マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション管理組合が「新電力」と契約が続けられなくなったら、どうすればよいか?

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顧問先マンションで今月起こったばかりの話です。

 

現在高圧で受電しているマンションで、管理会社より「契約中の新電力からいきなり契約解除の協力願いという文書が届いた。」との連絡がありました。

 

その内容を要約すると以下の通りです。

■  2018年8月から契約している某新電力会社より、「契約解除のご協力のお願い」という書面が届いた。

■ エネルギー価格の高騰により、料金単価を改定することとなり、改定後は類を見ないほどに高くなるので、供給契約解除をお勧めするとのこと。(書面では、現在の料金単価が3倍強に跳ね上がる内容となっている)

■ 料金改定をして契約を継続する場合、料金承諾期日が今から「4日後」に設定され、契約を継続する場合は理事長に捺印のうえ返送してほしい。

■ 現契約を解約する場合には、契約解除日が4月初旬となっており、それまでに他の電力会社と契約し切り替える必要があるとのこと。

高圧電力については、昨年くらいから新電力が東京電力よりも安い金額を提示できなくなっていたことは知っていたので、「東京電力エナジーパートナー」への切り替えを進めるよう管理会社に提案しました。

 

しかし、その後「東京電力エナジーパートナー」からは「契約辞退」の連絡が来ました。

 

これは、他にも新電力と解約する顧客が受け入れ先を求めてすでに殺到しており、東電側がオーバーフローしているためです。

(現時点では、受け入れの時期も全く未定です。)

 
では、そんな時どうすればよいのでしょう?

唯一残された方法は、「最終保障供給」の利用です。

 

これは、小売電気事業者のいずれとも電気の需給契約についての交渉が成立しない高圧以上の顧客に対して、「電気最終保障供給約款」にもとづき電気を供給することです。

 

【参考 想定される最終保障供給のケース】

 

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本件の場合であれば、新電力との契約が解除され、その後の新たな供給先と契約するまでの期間、「一時的な供給元となってくれる電力会社」が最終保障先です。

 

首都圏の場合、最終保障先は「東京電力パワーグリッド」となります。


現状では、暫定的に「東京電力パワーグリッド」に身を預けるしか選択肢がないため、そこに解約日までに切り替えできるよう、現契約先に話を通してもらうよう依頼しました。

 

今後、東京電力エナジーパートナーへの切替え可能になったときには、改めて案内が来る予定です。

 

ただし、東京電力パワーグリッドの料金は、

東京電力エナジーパートナーよりも2割くらい高くなるようです。

 

また、今回の電気供給先の変更については、原則としては総会決議で進めるべき事案とは思いますが、上記事例で見る通り、意思決定に1,2週間程度の猶予しかない中、臨時総会を開催して決議するのは到底困難です。

 

したがって、緊急措置として理事会で決議して供給先の切り替えを粛々と進め、その後の総会で本件の経過報告を行うのが現実的だと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション管理士「業務独占資格」へ昇格か!?

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先日、(公財)マンション管理センターが、「管理計画認定手続支援サービス」の開始及び「事前確認講習」の実施についてホームページで発表しました。

 

これによると、マンション管理センターでは、本年4月より、管理計画認定の申請をオンラインで実施することを可能にするとともに、管理計画の認定基準への適合状況を事前確認講習を受けたマンション管理士が事前に確認する「管理計画認定手続支援サービス」の提供を開始する、とのことです。

 

また、管理計画の認定基準への適合状況を事前に確認するマンション管理士を対象とした講習(事前確認講習)を実施することになりました。

 

さっそく、私もこの講習の受講を申し込みました。

と、ここまで読んで「いったい何の話かさっぱり・・??」と感じた方は、以下の参考情報をご一読ください。

 

【参考:管理計画認定制度とその運用の仕組みについて】

■ 建物の老朽化や管理組合の担い手不足が顕著にみられる高経年マンションが今後急増する見込みであることを踏まえ、マンションの老朽化を防止するための維持管理の適正化や、老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題になっている。

■ こうした中、「改正マンション管理適正化法」が令和2年6月 に公布され、地方公共団体によるマンション管理適正化推進計画制度や管理計画認定制度などが創設された。

■ マンション管理センターでは、上記制度の創設に伴い、管理組合が地方公共団体に行う管理計画の認定申請手続を円滑化するため、「管理計画認定手続支援サービス」を提供することになった。

■ マンション管理センターによる「支援サービス」の概要
① 認定申請手続の円滑化のため、マンション管理センターがインターネット上の電子システムを提供し、そのシステムを活用することによって、必要事項を入力すれば、地方公共団体に提出する申請書を簡易に作成できる。

② 申請者が地方公共団体に申請を行う前に、マンション管理士が管理計画の認定基準への適合状況を「事前確認」し、認定基準に適合していると判断した場合、当該管理組合宛てに、センターが「事前確認適合証」を発行する。

③ 地方公共団体は、上記「事前確認」の結果を活用することで認定事務に係る負担を軽減できる。 

④支援サービスの開始時期 

2022年4月1日から申請受付開始予定

 

 

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要は、今後老朽化ストックの急増とともに、管理不全や財政破綻などの状況に陥る分譲マンションが増えることが危惧されるため、地方公共団体が主体となって管理組合の運営が適正になされているかをモニタリングする制度がスタートすることになったわけです。

 

しかしながら、専門知識のない地方公共団体が実務を行うことは難しいため、「マンション管理センター」への業務委託という形で運用することになりました。

 

そして、この地方公共団体への支援業務の実務を担うのが、マンション管理士ということです。

 

具体的には、申請したマンションの管理計画が「国が定めた認定基準」を満たしているかを「事前確認」します。(ただし、地方公共団体が独自に基準を定めることも可能)

 

一定の要件をクリアしていると判断した場合には、マンション管理センターが「事前確認適合証」を発行し、地方公共団体がこれを追認する、というわけです。

 

ただ、マンション管理士の有資格者なら誰でもこの事前確認ができるわけではありません。

 

この資格の所管団体であるマンション管理センターが主催する「事前確認講習」を受講し、修了しなくてはなりません。(修了した場合、2028年3月末まで有効)

 

ところで・・

マンション管理士は、その試験合格率が例年一桁台という難関資格の一つなのですが、弁護士や公認会計士といった他の有名ライセンスと比べると専業で生計を立てている人は、ほんの一握りかと思います。

 

その最大の理由は、マンション管理士が

「業務独占資格ではなく、名称独占資格にすぎない」からとされています。

 

簡単に言うと「マンション管理士の資格がないとできない業務はない」からということです。

 

たとえば、マンション管理士の有資格者でない人が、自分の名刺に「マンション管理コンサルタント」と記載して営業活動をしても、法的には何ら問題はありません。

 

コンサルタントとしての属人的なスキルや営業力さえ持ちあわせていれば、わざわざ国家試験を突破する必要はないということです。

 

言い換えれば、それがこの資格自体の「最大の弱み」だったわけですが、今回の新たな制度の発足によってマンション管理士もいよいよ業務独占資格に昇格という「宿願」が叶うことになりそうです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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【理事長のギモン】マンション修繕積立金の改定は「特別決議事項」なのか?

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これから紹介するのは、当社が顧問に就任する前に起こったマンション管理組合での実話です。

 

このマンションでは長らく修繕積立金の徴収額が低い水準にとどまっており、このままでは2回目の大規模修繕工事の際に借入金で資金調達せざるを得ない状況のため、従来の3倍に増額改定する議案を上程しました。

 

総会前に、増額検討の経緯を含めて理解してもらうために住民説明会も開催されており、出席者からは概ね賛同してもらえる感触が得られていたそうです。

 

ところが、実際の総会では賛成票が足らなかったために否決されました。

 

その議案書を読んでいたところ、この議案が「特別決議事項」(総組合員数および総議決権数の各4分の3以上の賛成が必要)として扱われていたことが分かりました。

 

ただ、管理費や修繕積立金等の徴収額の決定は、普通決議事項(出席組合員の半数以上の賛成で承認)でよいはずです。

 

不思議に感じたので管理会社に確認したところ、以下のような回答がありました。

(1)管理費や修繕積立金の徴収額は管理規約の巻末に添付されている「別表」に一覧表が記載されている。

(2)修繕積立金の改定は、すなわち規約の一部を構成する別表の変更が必要なため「規約の変更」に該当する。

(3)規約の変更を伴うため、修繕積立金の改定の議案も特別決議の対象となる。

 

たしかに、このマンションの規約には、以下のような「別表」が最後に付属しています。

・対象物件の表示

・共有持分等

・専用使用部分とその使用料

・管理費、修繕積立金等の住戸別一覧表

 

<別表のイメージ>

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しかしながら、「別表は規約の一部に含まれるから、管理費や修繕積立金の徴収額の変更も特別決議が必要」という見解はどう考えても「屁理屈」だと思います。

 

このマンションの規約(第54条)には、「総会議決事項」が以下の通り定められており、「管理費等の金額決定」と「規約の変更」はそれぞれ別項目として扱われています。

<(1)・(2)は省略>

(3)管理費等及び専用使用料の額ならびに賦課徴収方法

(4)規約の変更

 

一方、同規約の第53条第3項には、「特別決議を要する事項」として以下のとおり定められています。

(1)規約の変更

(2)敷地及び共用部分等の変更

・・・ <以下省略>

 

つまり、管理費等(修繕積立金も含まれる)の徴収額の決定と規約の変更はそれぞれ独立した事項である旨が規定されているうえで、規約の変更のみが特別決議事項と定められているであれば、管理費や修繕積立金等の改定は特別決議事項には該当しないと解するべきです。

 

さらに、本件についてネットで検索していたら、この主張を裏付ける判例を見つけました。(下記参照)

管理費等請求控訴事件(平14(レ)90号 神戸地裁判決)の概要

(1)管理組合が、区分所有者に対して管理規約にもとづき増額改定した管理費の支払いを請求した。

(2)しかしながら、控訴人である区分所有者は「管理費等の額を変更するには規約改正の手続として特別決議が必要であるから、特別決議を経てない本件決議は無効である」旨を主張した。

<主張の根拠>

・本件規約では,管理費,修繕積立金,修繕積立一時基金はそれぞれ本件規約別表のとおりであるとされ、同別表には,「タイプ別管理費用明細書」として各居室の管理費,修繕積立金, 修繕積立一時基金等の額が記載されている。 
・すなわち,本件規約は,管理費,修繕積立金,修繕積立一時基金の具体的な額も定めているものであるから,これを変更するには規約改正の手続(特別決議)が必要である。 

(3)裁判所は、「総会において管理費及び修繕積立金の額を決定することは規約の変更に当たらず、特別決議を要しないものと解するのが相当」として控訴を棄却。

 

ただ、このような訴訟が実際に起こっていることを考えると、現状の管理規約の解釈に異論が生じるグレーな部分があることも事実と言わざるを得ません。

 

そのため、特別決議の対象となる事項を記載している条文において、「規約の変更」の部分に、ただし書きとして「別表の記載事項を除く」、あるいは「別表記載の管理費等の変更・ 改定は除く」と追記するのがよいでしょう。

 

しかしながら、今度はこの改正自体がまさに特別決議事項になってしまうという「イタチごっこ」になっていまいます・・。

 

したがって、国交省の標準管理規約を上記のとおり改正してもらうか、コメント部分において別表にある管理費等の金額改定は含まれない旨を明記してもらうのが管理組合にとっては余計な手間がかからないので、とても助かります。

 

なお、この顧問先の組合については、別の理由で規約の改正を現在検討中のため、その際に上記の追記の措置を併せて行なっておくことを提案するつもりです。

 

<参考記事>

 

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マンションの大規模修繕工事が割高になる原因は、住民の無知・無関心にあり!

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2月15日付の「朝日新聞デジタル」に、「6千万円の大規模修繕、3分の1で出来た? マージン取る管理会社も」と題した記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

===============

■ 1年ほど前。築25年以上の関西のマンションでは、2回目の大規模修繕の時期を迎えようとしていた。

■ 管理組合は、設計や監理など中心的な役割を担うコンサルタントを選び終え、施工をどの業者にするか決める段階になっていた。

■ 受注する業者の最終提示額は、6435万円。ただ、1回目の大規模修繕工事は3045万円。しかも、工事業者、工事内容は前回とほぼ同じだった。

■ 増額の理由について、コンサルは住民に「安全対策のための費用が上積みされ、人件費が高騰している」と説明したものの、釈然としなかった。

■ 工事に疑問を持った別の住民は、別のコンサルタントに相談を持ち掛けたところ、「工事費用は割高」と指摘がなされた。

■ このコンサルは工事項目や使用材料などから、「1戸あたり80万~100万円」が妥当と見積もったが、実際の見積金額は120万円を上回っていた。

■ その後コンサルが工事内容を施工業者に確認したところ、実際には作っていない仮設トイレやつけていない看板の費用が、工事代金に盛り込まれていたことが分かった。

■ マンションの工事は昨年終わったが、工事後の点検ですぐにサビが見つかるなど、工事の品質にも疑問符がついたため、「引き渡し」を了承していない。

■ 識者によると「月々の管理委託費だけでは、管理会社の利益が出づらい。そこで、共用部の修繕工事の際に「リベート」名目で、工事業者から利益を吸い上げる慣行が生まれた」と言う。

■ 具体的には、管理会社と関係する業者に工事を任せ、割高な工事代金をマンション側に請求した上で、バックマージンを得るなどの方法がある。

■ また、近年では、第三者のコンサルタントが関わるケースのトラブルが目立つようになった。設計コンサルは、第三者の立場でより適切な工事を監理することが期待されていたが、立場を悪用した形だ。

■ 特徴的なケースでは、管理会社と関係のあるコンサルが、極端に安い価格を提示して落札したうえで工事を取り仕切る。そして、施工業者候補を入札させる際に、自社の息のかかった会社を選ぶ。施工業者はコンサルに、コンサルは管理会社にリベートをおさめるケースがある。

■  こうした事態を国交省も把握し、「一部のコンサルタントが、自社にバックマージンを支払う施工会社が受注できるように不適切な工作」を行っているなどと注意文書を出している。

■  一方、割高な修繕工事が引き金になって修繕積立金を値上げせざるを得なくなったところもある。埼玉県のマンション(築27年)では、2019年に6千万円強の費用をかけて大規模修繕工事を行ったが、資金不足のために4千万円の借金をした。だが、その後、専門家の調査で3分の1程度の金額でできたことがわかった。

■  このマンションの理事長は、「最大の反省は、住民が管理への関心がなかったこと」と話す。  大規模修繕工事の見積もり合わせでは、管理会社系列の業者が他社より安価だと管理会社から説明を受けて決定したが、詳細な証拠を求めることをせず、他社との見積もり合わせや業者からのヒアリングもしなかった。

■  こうした危機感から、その後は住民が中心となって、専門家を招いて勉強会を始めた。マンションの現状や問題点を伝えるため、全戸にお便りを配布する取り組みも始めた。

■  また、管理会社の変更を決め、植栽やエレベーターの保守管理などの一部の業務は、管理会社を通さずに管理組合と専門業者が直接契約して、費用を抑えた。

■  理事長は「住民が顔を合わせて話し合うことで意識も少しずつ変わってきた。無関心、無知から脱却することが目標」と話す。

===============

管理組合の役員さんと話していると、最初の悩みとして共通しているのが、「大規模修繕工事をどのように進めたらよいか分からない」ということです。

 

その際に、私は以下のような説明をします。

(1)建物劣化診断を受ける

マンションの各部位ごとに経年劣化の進行度を調査し、工事対象範囲ならびに実施すべき時期を検討します。

 

その際、留意すべきことは、

あなたのマンションの長期修繕計画書で予定されている実施時期、工事金額はあくまで想定であり概算にすぎないという点です。

 

理事さんと話していると、「長計で来年実施する予定になっているから」という理由だけでスケジュールを決めようとすることも少なくありません。

 

長計の作成目的は、修繕積立金の適切な徴収額を求め、円滑な資金計画を策定することであり、大規模修繕の実施時期まで決めているわけではありません。

 

長計上のスケジュールはあくまで「目安」であって、実際の実施時期は現場で劣化状況の見極めを行なった上で決めるべきです。

 

また、長計で予定している工事内容は、あくまで「フルスペック仕様」です。

マンションの立地条件や環境、実際の劣化進行度合いによっては範囲を縮小することも可能です。

 

たとえば、外壁補修や住戸バルコニー周りの工事など足場(仮設)が必要な箇所についてはコスト効率性の観点からなるべく一括集中的に実施すべきですが、共用廊下周りや屋上防水などは足場が不要なため必須ではありません。

 

こうした部位的な特性を踏まえたうえで大規模修繕工事の対象範囲を決めましょう。

 

(2)数量積算書を作成する

工事対象範囲を決めたら、次の課題は、適正な金額の見極めです。

そのために必要なのが、数量積算書です。

 

複数の施工業者候補から見積もりを取得する際に、これがないと前提条件がバラバラになるため、金額を比較してもまったく意味がありません。

 

見積もりには、外壁、屋上、廊下、階段、外構といった部位別、あるいは仮設、防水や塗装、タイル貼り替えなどの作業ごとに対象面積や数量を積算が不可欠です。

 

劣化診断の実施と併せて、この数量積算書を作成しておけば、スムーズに見積もりを取得することができます。

 

その後、施工業者候補の選定 → 見積もりの依頼と取得 → 各社比較表の作成 → 発注候補先からの個別ヒヤリング といった手順で進めていくことになります。

 

<参考記事>

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【終了しました】マンション管理見直し本舗 オンラインセミナーのご案内(3月)

新年最初の「マンション管理セミナー」についてご案内します。

 

新型ウィルス感染防止のため、今回も「オンライン形式」で開催します。

 

ネット接続環境があれば、首都圏以外にお住いの方も気軽に受講できます。

 

先着10名様のお申し込みを受け付けておりますが、

本日現在であと5名様の空きがあります。

 

どうぞお早目にお申し込みください。

【日時・会場】

令和 4年 3月  19日(土) 13:30~15:00

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込)

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方。

弊社に個別にご相談いただける方

 

【内 容】

「管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによってコスト削減を実現した事例(管理会社のリプレイスを含む6件)を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

 

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

 

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

 

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

 

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

 

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

【お申込み方法】

セミナーお申込み専用ページからお申し込みください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等をご記載ください。)

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

 

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【マンション保険の見直し】保険金を1億円増やしても今の保険料を維持できたワケ

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先日、顧問先のマンションで通常総会が開催され、1年後に満期を迎える現在のマンション保険を中途解約して、新たな保険に入り直すための議案が承認されました。

 

と言うのも、昨年このマンションの顧問になった際に、現状の契約を保険代理店にチェックしてもらったところ、以下のとおり2つのリスクを抱えていることがわかったからです。

(1) 適正な保険金額は建物評価額(共用部)の5~6割程度とされているところ、現状では建物評価額に対して2割の付保率にとどまっており、甚大な被害に遭った際に十分な補償が受けられないリスクがある。

 

(2) 地域ハザートマップによると、当マンションの立地するエリアは高潮( 3m 以上)、洪水(50cm~3m)による浸水リスク、ならびに地震等に伴う液状化のリスク(中程度)があるにもかかわらず、水害の補償が付保されていない

そこで、以下の2点について見直すプランが提案されました。

1)主補償である火災保険の最大保険金を約1億円増やすこと

2)ハザードマップのリスク状況を踏まえ、水害補償を追加すること。

 

ただ、この2点を反映させつつ他の条件を維持した場合、最も有利な損保会社でも保険料の負担が増えてしまうことがわかりました。

 

そこで、保険代理店から

「保険会社の免責額を増やすことで保険料を抑制してはどうか」

という提案を受けました。

 

「免責金額」とは、事故の発生に伴い加入者から保険金の支払い請求を受けた際、保険会社が支払いを免れる金額のことです。

 

言い換えれば、管理組合自らが負担すべき損失額ということになります。

 

現在の契約では、保険会社の免責は、1事故につき1万円と最低額の設定になっていますから、10万円の損害事故が発生しても差し引き9万円の保険金が支払われます。

 

この免責額を増やすと、保険金の支払いに関する保険会社のリスクが低減するため、引受け保険料も下がることになります。

 

このマンションの場合は、免責金額を「一律10万円」に引き上げることで、現状の保険料とほとんど変わらない負担に抑えることができました。

 

なお、事故に伴う損害が発生した場合には、保険会社から一種の見舞金として「臨時費用」が損害額の10%相当支払われます。

 

したがって、たとえば100万円の損害事故が発生した場合、

・保険会社の免責分 :▲10万円

・臨時費用の追加支給:+10万円

となるため、差引き損害額と同じ100万円の保険金が支払われます。

<ただし、個人賠償、施設賠償については臨時費用は適用されません。>

 

そのため、管理組合にとっては意外と実損は少ないとも言えます。

 

また、今後はマンション保険も過去の事故件数の多寡によって次回の引受条件が大きく変わっていく傾向が一段と強くなるものと思われます。

 

現在の保険料が変わらないからと言って、10万円以下の少額の損害事故でも保険金を都度請求していくと、5年後の契約更改の際に大幅に保険料が上昇することになります。

 

その意味でも、免責金額の増額設定は少額保険金の請求の抑制につながるため有効な見直し方法の一つだと思います。

 

また、契約更改の際には、

・地域ハザードマップを確認して必要な補償がしっかり付保されているか?

・逆に無駄な補償が付いていないか?

・保険金額は十分か?

と言った観点で、(管理会社以外の)保険代理店やマンション管理士など専門家に診断してもらうことをお勧めします。

 

<参考記事>

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10年前とココが変わった!改訂版「修繕積立金ガイドライン」

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昨秋、国土交通省が10年ぶりに修繕積立金に関するガイドラインの改訂版を公表しました。

 

これについては、本ブログでも10月22日のブログでも紹介しています。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

ただ、今回の改定版をよく読んでみたところ、「修繕積立金の額の目安」の計算方法が以前と大きく変わっていることに気づきました。

 

変更のあった箇所を抜粋すると以下の通りです。

【旧ガイドライン(2011年)】

 

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【新ガイドライン(2021年)】

計画期間全体における修繕積立金(m²当たり月単価)の平均額(Z)の算出方法は、以下の通りです。

         Z=(A+B+C)÷X÷Y
      A:計画期間当初における修繕積立金の残高(円)
      B:計画期間全体で集める修繕積立金の総額(円)
      C:計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額(円)
      X:マンションの総専有床面積(m²)
      Y:長期修繕計画の計画期間(ヶ月)
      Z:計画期間全体における修繕積立金の平均額(円/m²・月)

旧ガイドラインとと今回の新ガイドラインを見比べると、

目安の平均値がおしなべて大きく増加していることがわかります。

 

たとえば、延床面積5,000㎡未満の平均値は

2011年:@218円  →  2021年:@335円

となっています。

 

その理由として、最初は10年前に比べ大規模修繕工事の単価が上昇したためかと思いましたが、実は目安金額の計算方法自体が大きく変わっていることに気づきました。

 

駐車場など専用使用料収入からの繰入額を加えることになったのもその一つですが、

最大のポイントは、現時点(計画初年度)の繰越剰余金残高を加算するという点です。

 

計算方法を変えた理由として、以下の2つのことが考えられます。

1)新築当初の修繕積立金の金額が著しく低いマンションが一般的であることを考えると、その後増額改定されたとしても、直近の徴収額の水準だけでは、長期修繕計画にもとづく今後30年間の資金需要を賄えるか判定するにはデータとして不十分だから。

 

2)特に既築マンションの場合、築年数の経過や大規模修繕の実施などに伴って繰越剰余金残高が大きく変動するため、その金額の多寡が長期修繕計画における資金収支に大きな影響を及ぼすため。

 

したがって、ご自身のマンションの修繕積立金の状況をこのガイドラインと比較して目安をクリアしているかどうかを判定するには、以前に比べて少々面倒な作業が必要になります。

 

まず、管理組合の最新の決算書を見て、修繕積立金会計の「次期繰越剰余金」を確認してください。

 

管理組合の総会議案書には、決算の貸借対照表が添付されているはずですから、その剰余金の部で金額を確認しましょう。(下記決算書サンプル参照)

 

 

 

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これが、上記ガイドラインの計算式にある「A」計画期間当初における修繕積立金の残高)です。

 

次に、その「A」を「総専有面積」(㎡ 全住戸分)と「360ヶ月(30年)」で割った月額単価を算出します。

 

続いて、現在の修繕積立金の徴収金額(ならびに専用使用料収入の繰入れ分があればそれも加える)の専有面積あたり単価を計算し、上記Aの月額単価に加算すると新ガイドラインの計算式にある「Z」が求められます。

 

ぜひ一度お試しください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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