マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

【理事長のギモン】マンション内で発生した保険事故の対応は、管理会社の仕事じゃないの?

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顧問先の管理組合では、マンション保険を見直した結果、他社の方が保険料の負担も下がることが分かったので、現在の契約を中途解約しようという話になり、その準備を進めていました。

 

これに伴い、管理会社が兼務している保険代理店も他社に変更となる予定でした。

 

しかし、それを知った管理会社のフロント担当者が理事長に対して

当社が保険代理店業務から外れた場合、これまで行ってきた事故対応業務は行えなくなる」との説明をしました。

 

そのため、その理事長も、保険事故の申請のたびに今後負担が増えることに不安に感じ、代理店の変更は見合わせた方がよいのでは?との相談がありました。

 

これについては、標準的な管理委託契約であれば、「基幹事務以外の事務管理業務」の中に「契約事務」に関する以下のような定めがあります

 

「甲に代わって、甲が行うべき共用部分の損害保険契約、マンション内の駐車場等の使用契約・・(中略)等に係る事務を行う。」

 

「甲」とは管理組合のことを指すので、

管理会社は管理組合に代わって共用部分の損害保険契約に係る事務を行う

とコミットしていることになります。

 

では、具体的に代行する事務の内容とは何でしょうか?

 

各マンション管理会社が所属する「一般社団法人マンション管理業協会」に照会してみたところ、当該契約事務には以下の業務が含まれるとの回答を得ました。

 

■ 損害保険の契約締結・更新等にかかる事務

■ 保険事故発生時における保険代理店への連絡ならび保険金申請の手続き

 

 共用部で事故等が発生した際に、現場写真の撮影ならびに修繕の手配はもちろん、管理組合が加入している損害保険契約に関連して、保険代理店への連絡と保険適用の申請に関する事務の代行もいわゆる「事務管理業務」に含まれるということです。

 

ただ、標準管理委託契約では代行業務に関する具体的な内容まで記載されていません。

 

そこで、他社の委託契約の事例を調べてみたところ、

大手管理会社H社やM社については、独自の書式にて条文を作成していることがわかったので、ご紹介します。

【H社の場合】

共用部の火災保険及び共用部分、または専有部分の賠償責任保険の契約締結等に関する管理組合の業務を代行する。また、共用部分または専有部分にて発生した保険事故について、管理組合又は組合員の報告にもとづき、保険代理店に連絡し、事務手続きを行う。

 

 【M社の場合】

①  乙(管理会社)は、甲(管理組合)と損害保険会社間における次の損害保険契約にかかる締結・更新等の事務手続を、甲に代わって行う。

 ・共用部の火災保険

 ・本マンション居住者にかかる個人損害賠償責任保険

 ・共用設備等にかかる施設所有者管理者賠償責任保険

 ・共用部分等にかかるその他の損害保険」

 

② ①の事務代行に関連して、乙は甲に代わって次の業務を行う。

 a 加入保険契約の証券等の保管(積立保険など貯蓄型保険を除く)

 b    保険金の請求及び甲名義の口座による受領 

   c    満期返戻金、解約無効執行返戻金の請求及び甲名義の口座による受領

 

上記2社と標準管理委託契約を比べた場合、標準契約の条文では「共用部分の損害保険契約」としか記載されていないため、専有住戸内の漏水事故等が対象になる「個人賠償責任保険」に関する対応業務は含まれていない、と主張されるリスクもあると思われます。

 

したがって、上記2社で採用しているような条文が記載されている方が、管理組合にとっては安心でしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

  

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