マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

新築マンションの管理費が平均月2万円超!「豪華共用施設」は本当に必要か?

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7月15日付けの読売新聞に、「マンション管理費が2万円突破、首都圏で初めて…サウナなど共用施設の充実や人件費の増加で 」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.yomiuri.co.jp

本記事の要約は以下の通りです。

=====

◾️ 分譲マンションの維持管理費が上昇している。23年に首都圏の新築分譲マンションの平均管理費(70平方メートル換算)は前年比4・1%増の月2万358円となり、初めて月2万円を超えた。修繕積立金と合わせると月3万円弱の負担になる。

◾️ 管理費を押し上げている要因は、人件費増のほかに、共用施設の充実と多様化だ。

◾️ 東京都文京区で販売中の新築マンションは共用施設の充実が売りで、屋上に共用テラスを設置しているほか、テレワーク対応のワークスペースや来客者用ゲストルームを確保している。

◾️ さらに、朝の通勤・通学時間帯には管理組合がシャトルバスを運行し、マンションと最寄り駅を往復するという。
◾️ 昨年東京・昭島市で販売された分譲物件では、共用施設に本格的なサウナを設け、全481戸が完売となる人気ぶりだった。
◾️ 共用施設の維持管理費は、エレベーターなどと同様、区分所有者から徴収する管理費でまかなわれる。最近ではスポーツジムを備えたり、フロントにコンシェルジュが常駐したりする物件も珍しくない。
◾️ 東京23区内のマンション管理費は、10年前から約6000円増加した。昨今増加している「第三者管理方式」のマンションが増えていることも一因とされている。

◾️ 一方、建築資材や人件費など修繕にかかるコスト増に伴い、修繕積立金も上昇している。23年は首都圏で前年比9・9%高い平均月8729円となった。
◾️修繕積立金はマンション購入時には低めに抑えられているが、年数がたつと段階的に増額されるケースが多い。国交省の調査では、修繕積立金が計画に対し不足しているマンションは全体の36%に上り、物件によっては今後さらに負担が重くなる可能性がある。
◾️今後は住宅ローン金利も上がることも想定され、消費者には維持管理コストも含めた負担額の見極めが求められそうだ。

=====

マンションの高級感を顧客に訴求するために、新築物件のパンフレットで使われる常套句が「ホテルライクな空間」です。

 

たしかに、ホテルや旅館のような訪問客が癒しを求める場所なら、温泉やフィットネスルーム、コンシェルジュなども必要でしょう。

 

しかし、ホテルで過ごすのは、1年のうちせいぜい数日程度のこと。

一方、マンションは「日常生活そのもの」です。

 

設備やサービスのベネフィット(便益)とかかるコストを天秤にかけると割に合わなくなる場合があるのは当然です。


コストパフォーマンスや、住民の利用頻度や負担の公平性に鑑みて、ムダと思われるものを以下に挙げてみましょう。

 

◾️ ゲストルーム
親族などの来客が宿泊するために用意されるマンションの「ゲストルーム」。確かにその使用料金は近隣のホテルに比べて割安に設定されており、おトクなように見えます。

しかし当然ながら、室内の清掃やリネン等の交換、そして将来的なリフォーム費用が管理費に含まれています。

また、一部の利用者に利用が偏ったり、事前予約を巡って住人間でトラブルになるなど、おカネ以外の問題もあるようです。

◾️ AVルーム
機材類や工事費で軽く1000万円を超えるものもありますが、利用状況を聞くと「誰も一度も使っていない」という声が少なくありません。

◾️ キッズルーム、保育施設
最初こそ利用されるものの、子供の成長につれ3、4年もするとほとんど誰も遊ばなくなる傾向があります。

また、周囲の住戸から騒音のクレームが出たり、ケガや事故の防止対策として監督を置かなくては、厄介な問題が噴出するリスクもあります。

 

◾️ 噴水や人工池などの水景設備
あると確かに華やかですが、水垢が溜まるため定期的な清掃が必要です。そのほか、水道代、ライトアップにかかる電気代、修繕費の負担もバカになりません。

 

◾️ 温泉施設、プール

最近の新築物件ではほとんど見かけなくなりましたが、水景設備と同様、ボイラーや循環ポンプなどのメンテナンス、清掃や水光熱費等のランニングコストが重くのしかかってきます。

また、当然ながら経年劣化に伴い、設備の改修コストも必要になってきます。その一方で便益を受ける利用者が一部の住民に偏りがちという問題もあります。

これは、「フィットネスルーム」や「プール」、「ジャグジー」、「ドッグラン」なども同様です。

 

◾️ コンシェルジュ
各種共用施設の予約や料金精算、クリーニングなどの居住者向けサービスの受付などのために、管理人とは別にコンシェルジュを派遣するケースがあります。

しかしながら、提供できるサービスやメニューの数も中途半端であることが多く、多額の人件費を負担してまで設置すべきか疑問に感じることが多いです。


◾️ 夜間警備員
管理員、コンシェルジュのほかに、深夜の宿直対応を含む警備サービスを提供するマンションもタワーマンションなどでは珍しくありません。

一定の規模を超える共同住宅では、防災要員を配置することが法的に必要となるケースもありますが、機械警備による遠隔監視サービスもありながら、警備員を常時配置するのは「屋上屋」ではないでしょうか。


一方、マンションに「必須」と考える設備やサービスは以下の通りです。

 

◾️ オートロック付き集合インターホン
いまや賃貸マンションでも必須アイテムとされていますが、「TVモニター付きのインターホン」が今は標準仕様となっています。

不在時の来客者録画機能、宅配ロッカー利用時のアナウンス機能、キーレス対応など利便性を重視した仕様もあります。

これと同様に、セキュリティ面のアイテムとしては、防犯カメラ、駐車場のグリルシャッターも必須でしょう。

 

◾️ 宅配ロッカー
夫婦共働きが当たり前の時代、今や戸建て住宅にも導入されつつある設備です。

宅配業者の再配達をなくせるという社会的な貢献を考えれば、一番の必須アイテムかもしれません。

 

◾️ 集会室
意外と重要になってくるのが「集会室」。

理事会や総会など管理組合の運営や住民同士の交流を目的とした会議用スペースがあるほうが望ましいです。

(ただし、近隣に利用可能な自治会館等の公的な施設があればその限りではありません)


◾️ 24時間出せるゴミ置場
どのマンションにもゴミ置場はありますが、昼夜問わずいつでも出せるマンションは多くありません。

時間や曜日に関係なく屋内の集積所にゴミを出せて、管理員が収集日に外に出すという仕組みが、多くの新築マンションで導入されています。

「収集日の朝まで待たずに出せる」という点が、多忙な住人に好評を得ています。

 

◾️ 遠隔監視サービス
管理人が常駐しているマンションはごく一部に過ぎないため、管理人不在時における各種設備の不具合等が発生した場合の緊急対応が必要不可欠です。

こうした場合、機械警備による「遠隔監視サービス」があれば、異常信号の受信から25分以内(警備業法上の制限)に警備員が駆けつけ対応をしてくれるので安心です。

 

もし自分にとってはさほど必要とは感じない施設やサービスがあっても、それらの維持管理費は毎月納める管理費の中にしっかりと含まれています。

 

それだけではありません。

将来更新が必要な設備の修繕・更新費用についても、別途修繕積立金として強制的に徴収されているのです。


必要な設備やサービスに関する「目利き力」を身につけることをお勧めします。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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機械式駐車場の平面化プロジェクトが無事完結!

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先月末に、顧問先マンション(築19年)で機械式駐車場の平面化工事が竣工しました。

 

当マンションの駐車場は、3年前から経年劣化に伴う部品交換等の修繕工事の提案(総額約6百万円)を受けていました。

 

一方、駐車場の稼働率が近年低下傾向にあり、全32区画の半分以上(18台)の空き区画が発生していました。

 

居住者を対象にアンケートも実施しましたが、今後も利用者の増加は期待できないことがわかりました。

 

さらに、既存設備のメーカーの製品は、駆動用のシャフトが破断してパレットが落下する事故等が発生した事例があり、その耐久性に関するリスク情報を管理会社や保守業者から入手していました。

 

そのため、既設メーカーの設備を維持しながら修繕工事を実施するのは安全性だけでなく経済面のリスクも大きいと判断しました。

 

現状の稼働状況が改善する見込みが小さいことから、駐車場の区画を減らすことを基本方針にしたものの、その区画数の調整が重要な課題となりました

 

と言うのも、当マンションの場合、敷地形状の制約から、下図のとおり駐車設備が4ヶ所に分散していました。

 

・Aブロック(パズル式:16台)  ・Bブロック(パズル式:8台)

・Cブロック(ピット式:4台)   ・Dブロック(ピット式:4台) 

 

 

仮にすべてのブロックを平面化した場合、間口の狭いAブロックには3台分の平置き区画しか確保できないため、区画数が10台まで減ってしまい、現契約車両を収納しきれないことがわかりました。

 

そこで、Aブロックを新たにパズル式2段のタイプに改装して10台分の区画に減らす一方、他の3ブロックは、既存設備を撤去のうえ、新たに鋼製板敷込みによる平面化を行い、平置き駐車場(計7区画)に改装することにしました。

 

これによって新たな区画数が「17」になり、契約車両をすべて収容することができます。

 

ただ、既存設備の修繕費(約6百万円)の負担を免れる代わりに、設備更新を含めて平面化工事に約26百万円もの費用を要することから、これに難色を示す区分所有者が現れることが予想されました。

 

そのため、現設備(32台)を維持修繕する場合の今後30年間のライフサイクルコスト(LCC)を比較対象に、今回の提案プランと比較する資料を用意しました。

 

イニシャルコストの負担は大きいものの、駐車設備を3分の1に減らすことで今後30年間のトータルコストが従来の半分以下に抑えられ、経済的な負担を軽減できることを説明しました。

 

駐車設備の撤去・平面化は、「共用部の変更」に該当するため、特別決議事項となり、議案の承認に際して「組合員総数・議決権総数の各4分の3以上の賛成」が必要です。

 

そのため、理事会主催で事前に住民説明会を開催するなど丁寧に対応しながら駐車場問題の認知向上に努めた結果、2回目の総会で何とか可決されました。

 

工事は、第1期をAブロック、第2期をその他3ブロックと2期に分けて実施し、約2ヶ月の工事期間を経て、先頃無事完工しました。

 

なお、工事期間中は、契約車両の仮移動も必要になるため、外部の駐車場を事前に確保する必要があり、その駐車料金は管理組合が負担しました。

 

また、従前と駐車場の仕様が大きく変わるため、工事中に希望区画のアンケートを実施しつつ、希望が重複した区画の抽選も行いました。

 

その後、余った3つの区画について新規利用者を募集したところ、使い勝手が向上したためか、すべて埋まり、管理組合の収入も増加することになりました。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

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マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策

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先日国交省が発表した「マンション総合調査結果」(令和5年度)によると、管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸のあるマンションは約3割を占めているとのことです。(下記参照)

 

 

www.mlit.go.jp

顧問先のマンション(築29年目)でも、長期滞納者が1名います。

滞納期間もすでに2年近くに及び、未収金は60万円を超えました。

 

滞納が半年を超えた時点で法的措置をとるべく検討していますが、経済的に困窮していることが原因と思われるものの、滞納者本人と連絡が一向に取れず困っています。

 

区分所有法(第7条1項)では、債権者である管理組合に「先取特権」(マンションそのものや、マンションに備え付けた動産の売却代金・賃料等から優先的に管理費等を回収できる権利)が認められており、当該住戸を競売にかけて換価された売却代金から滞納管理費等を回収するという方法が認められています。

 

しかし、当該住戸には住宅ローンの抵当権等の返済がより優先される債務が存在しているため、これら優先債権の方が住戸の売却代金よりも大きい場合は、競売を実施しても意味がないとして競売を取消されてしまうという問題(無剰余取消し)があります。

 

ただし、分所有法第59条にもとづく強制競売」の場合には、仮に無剰余であっても競落人から滞納管理費等を回収することが可能です。

 

しかしながら、管理費等を滞納している区分所有者にとっては、「区分所有権を奪われる」ことになるため、その適用要件も厳格です。

 

第59条の強制競売を適用するには、

「建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為があったこと、又はそのおそれがあり、その行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しいこと」、「他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であること」が要件となっています。


「長期間かつ多額の管理費等の滞納」についても、区分所有者間の不公平感等を生むだけにとどまらず、これを放置すると管理費等の支払いを拒む者が他に現れる可能性も予測され、最終的にマンションの維持管理が困難になるという観点から、共同利益違反行為に当たるとした判例があります。

 

競売が実現すれば、新たな区分所有者が、前区分所有者の滞納管理費債務を承継するため、管理組合は滞納債権を回収できるというわけです。(区分所有法第8条)

 

ただ、過去の判例を見る限り、「滞納期間2年と60万円の債権額」の段階では、59条競売が認められる可能性は低く、滞納債権が100万円を超えた時点が目処ではないかと思われます。

 

というわけで、まだ訴訟に持ち込むことは難しい状況ですが、管理組合として他にやるべき事項もあります。

 

現行の管理規約を確認したところ、管理組合が法的措置を取ることになった場合、不利に働きかねない条文があったため、以下の改定について総会で提案し、承認されました。

 

1)管理組合に対する債務項目の追加

国交省の標準管理規約では、管理組合に納付すべき項目として、管理費と修繕積立金、専用使用料(駐車場、専用庭、ルーフバルコニーなど)しか記載されていないのが一般的です。

 

ただ、マンションによっては、例えばインターネットサービス料、ケーブルテレビの視聴料金、専有部サービス料も管理費等と併せて納付しているケースもあります。

 

滞納となる場合には、こうした費目も含むことになるため、管理組合の債権となりうる項目はすべて網羅しておきます。

 

さらに、これらも、管理費等と同様に、当該区分所有者の包括承継人および特定承継人に対して債権行使できるように定めておきます。

 

2)遅延損害金及び違約金の定めの追加

支払い期日以降の債権に関する「遅延損害金」(年14.6%相当の金利)と「違約金」(弁護士費用や督促・徴収の諸費用)請求できる旨を追加します。

 

また、管理組合が支払督促、強制執行、競売等申立て、訴訟等の法的措置を機動的に取れるよう、「理事会の決議」を経てそれを追行できる新たに条文を定めました。

(当該条文がない場合は、区分所有法にもとづき「総会決議」が必要と解されます)

 

管理費の長期滞納はそのマンションでも起こりうるリスクです。

 

その時になって慌てることがないよう、あらかじめ必要な準備を怠らず周到に対応できるようにしてください。
   

<参考記事>

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エレベーターの修繕工事の見積もりが割高な理由とは!?

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都内にある顧問先のマンション(築18年)では、エレベーターの保守契約がPOG」のため、修繕費用については保守料金とは別に負担しなければなりません。

 

<参考記事>

www.meltec.co.jp

先日、元請けの管理会社を通じて、インバーターユニット及び非常用バッテリーの経年劣化について指摘を受け、3百万円を超える修繕工事の見積もりが提示されました。

 

他のマンションでの経験から、直感的に「高すぎないか?」と不審に思ったため、

別の保守会社に見積もりを依頼したところ、上記に比べて25%も安い金額で提示されました。

 

エレベーターや機械式駐車場といった、定期的な保守点検を伴う設備の修繕工事の場合、当該保守業者以外の業者から相見積もりを取って安い方を選択することができないという「不文律があります。

 

保守業者に言わせると、「よその業者に修繕させた設備を保守するのは後で不具合が出るなどのリスクがある」というわけです。

 

それなりの説得力はありますが、さすがに25%の差は見過ごせません。

 

ちなみに、現在の保守業者は非メーカー系ですが、

管理会社とグルになって工事のマージンをシェアする取り決めになっている可能性も考えられます。

 

そのため、工事見積書とともに別の保守業者への切り替えを理事会に提案したところ、

保守料金も現在と変わらないため、修繕工事の発注と併せて保守委託先も変更することになりました。

 

また、その保守業者とは管理会社を通さずに、組合が直接契約することになりました。

 

毎月の保守料金は口座振替えで精算するので、組合直契約でも特に手間は増えません。

 

管理組合にとって、管理会社や保守業者をリプレイス(変更)するのは、かなり勇気が要ることでしょう。

 

ただ、そうした「弱み」に乗じて管理会社あるいは保守業者が過剰なマージンを上乗せしてくることがありますので、ご注意ください。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.comyonaoshi-honpo.hatenablog.com

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修繕積立金の値上げに苦節4年の奮闘記!そもそも資金が不足するのは誰のせい?

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5月28日付けの日本経済新聞に、『修繕積立金「値上げしました」 女性理事長ハラハラ奮闘記』と題した記事に掲載されていました。

<参考記事>

www.nikkei.com

本記事の要約は以下の通りです。

◾️ 大規模修繕などに必要な「修繕積立金」の不足に悩むマンションの割合は34.8%に上る。

◾️ 投資用に東京23区内にある中古ワンルームマンションを購入した女性理事長は、総会での2回の否決を乗り越え、4年がかりで修繕積立金と管理費のセット値上げにこぎ着けた。

◾️ 2020年夏、臨時総会の議案書で「現行の修繕積立金を『平米単価100円アップ』に改定する」議案が上程されていた。

◾️ 総会当日の出席者は2人だけ。管理会社によると、1回目の大規模修繕工事の費用が大幅に不足しており、金融機関からの借り入れが必要な状況にあるという。

◾️ 修繕積立金が不足する事態が起きた要因の一つが当初の修繕積立金が低く抑えられた「段階増額積立方式」と呼ばれる徴収方法にある。

◾️ 当初の設定金額が低い分、将来的には積立残高が不足する可能性が高まり、管理組合は段階的な値上げの実施を求められる。

◾️ 管理会社は3社から大規模修繕工事の見積もりを取得したが、最安値でも積立金残高の2倍の費用がかかる試算だった。足りない分は管理組合が金融機関から借り入れたうえ、大幅な修繕積立金の値上げが必要だった。

◾️ 20年夏の臨時総会で、▽大規模修繕工事の実施▽不足資金の借り入れ▽工事内容の理事会一任――の3点が決議されると、「このまま他人任せにはできない」と意を決して理事長に立候補した。

◾️ 理事長となって最初に取り組んだのが大規模修繕工事費の削減だ。3社とは別の業者に見積もりを依頼し、工事費を数百万円削減できた。

◾️ 次に取りかかったのが、修繕積立金の値上げ幅の検討だ。管理会社からは均等積立方式への移行を提案されたが、それには修繕積立金を倍増が必要な計算だった。

◾️ ただ、区分所有者の立場から考えると、いきなりの倍増は無理だろうと判断し、段階増額積立方式のまま、次の大規模修繕工事の費用を抑えることで平米単価の値上げ幅を100円から50円に引き下げ、年間の増額幅を15,000円に抑える提案をすることにした。

◾️ 同時に、新築時から一度も値上げしておらず散発的に赤字になっていた管理費も平米単価で約50円引き上げ、修繕積立金と合わせた値上げ額が年額3万円となる議案をまとめ、21年の通常総会に臨んだが、結果は否決。翌年の通常総会でも同じ提案をしたが、結果が覆ることはなかった。

◾️ 悩んだあげく、組合総会開催の案内のページに、以下の内容で直筆の文章を掲載し、厳しい財政事情と値上げの必要性を訴えた。「現在、借入金の返済をしながら修繕費を積み立てていく管理組合の現状は大変厳しい会計事情です。今後もメンテナンスは必要となります。毎月の費用負担の増額をお願いする次第です。」
◾️ それが功を奏したのか、23年夏の臨時総会でこの管理組合はようやく修繕積立金と管理費の値上げを決議した。

◾️ ただし、修繕積立金は今後3回の段階的な値上げが必要で、2回目は2年後に迫る。資材費や人件費の高騰が続けば、さらなる値上げが必要になる可能性も残る。
◾️ 理事長として勤務後に管理組合の書類を読んだり、管理会社と協議したり、理事会メンバーとメールでやりとりしたりするなど様々な業務に奔走した。
◾️ 管理会社から毎月届く業務報告書のチェックのほか、故障した玄関ドアの修理など理事長には緊急時の対応も多い。

◾️ だが多くの場合、管理組合の理事は無報酬。理事のなり手不足に直面する中、管理規約を改定するなどして理事の役員報酬を設けることも検討課題になりそうだ。

◾️ マンション所有者や購入希望者へのアドバイスとして、「修繕積立金の徴収方法や残高をまず確認してほしい。修繕積立金が不足していれば値上げの議論は急務。人ごとにせず、建物の安全を確保し資産価値を維持する組合の活動に参加してほしい」と助言する。

 

東京カンテイが公表している「首都圏新築マンションの管理費と修繕積立金の推移」に関する下のグラフをご覧ください。

 

 

これによると、修繕積立金の㎡あたりの月額単価は、2022年時点でも@113円にすぎません。

 

修繕積立金の相場は、2013年時点の平均額@97円から16%しか増えていません。

(ちなみに、同じ期間で管理費は約25%も増加)

 

一方、国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を見てみましょう。

 

このガイドラインの目的は、新築マンションの購入予定者に加え、既存のマンションの区分所有者や購入予定者においても、修繕積立金に関する基本的な知識 や修繕積立金の額の目安について参照できるようにするため」と記載されています。

 

下の表を見れば明らかですが、本ガイドラインによると、マンションの階数や延床面積にかかわらず修繕積立金の㎡あたりの月額単価は少なくとも@250円以上は必要(均等積立方式を想定した場合)とされています。(機械式駐車場がある場合は、別途加算が必要)

つまり、新築時点の修繕積立金が本来必要な水準の半分以下で設定されているために、10年後あるいは20年後に資金不足に悩まされるマンションが多いのです。

 

なぜそのようなことになっているのか?

これはマンションの売主であるデベロッパーの販売戦略の問題です。

 

昨今、分譲価格が高騰していますが、マンション購入者が意思決定する際の関心事の一つがローン返済能力の確認です。

 

ローン返済のほかに、毎月の管理費、修繕積立金、駐車場等の専用使用料といったランニングコストが可処分所得に占める割合をチェックしながら検討するはずです。

 

その時に、修繕積立金が仮に毎月1万円増えた場合、ローンの返済力にも影響が出るのは間違いないでしょう。

 

結局それは、マンションの販売価格の下方修正をもたらしかねません。

デベロッパーにとっては、売上だけでなく期待できる利益が下がることになるので、均等積立方式を採用せずに、段階増額方式で長期修繕計画を管理組合に提示するわけです。

 

今後は資金計画を見直しながら、段階的に増額するかどうかは管理組合自身で検討してくれ、ということです。

 

ガイドラインの半分以下で設定しておきながら、ずいぶん無責任な話です。

 

購入者は、こうした業界の「からくり」についてそもそも無知だったり、他のマンションも似たり寄ったりの状況のため、リスクに気づくのはごく一部の人だけです。

 

残念に思うのは、こうした問題を知りがなら大手マス媒体の記事は、必ず管理組合や購入者への注意喚起で終わってしまっていて、不動産業界への批判にまで及ばないことです。

 

<参考記事>

 

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マンション管理組合をミスリードするズサンな長期修繕計画にご注意を!

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先日、コンサルティングを行なった神奈川県所在のマンション(134戸 築23年)で長期修繕計画を確認したところ、修繕積立金の徴収額が専有面積あたり@151円/月ありながら、資金不足が生じない見通しになっていることがわかりました。

(下図参照 数値は、専有面積(㎡)あたりの月額換算した金額)

 

 

しかしながら、このマンションの延床面積や機械式駐車場の台数をもとに、国交省のガイドラインに基づいて必要な修繕積立金を試算したところ、均等積立方式であれば専有面積あたり@366円/月なりました。

 

これを30年間で必要な修繕費に換算すると、約12億円になります。

 

ところが、このマンションの長期修繕計画によると30年間の修繕費は約7億円に過ぎず、上記ガイドラインに比べて5億円も少ないことがわかりました。

 

そのため、このマンションの長期修繕計画を精査したところ、下記の通りいくつか大きな問題がありました。

1)大規模修繕工事費の見込額が実勢価格に比べて安すぎる

2)共用設備の修繕費用の計上不足

・機械式駐車場(125台分)の修繕費についてパレットの更新費しか見込んでいない

・集合インターホン、増圧給水ポンプの更新費用が少ない

・配電盤設備、自家用電気工作物の更新費用の計上が漏れている。

 

上記の項目を是正していくと、

今後30年間で見込まれる修繕費の合計額は@349円/月となり、概ねガイドラインと近似することがわかりました。(下図参照)

 

したがって、均等積立方式で資金収支の赤字分(@139円)を埋め合わせようとすると、現状の徴収額@151円/月から@290円/月への改定が必要ということになります。

 

詳しい経緯は不明ですが、この長期修繕計画は管理会社が作成したものであるものの、大手のマンション管理会社のように積算システムにもとづいて作成された体裁ではなく、フロント担当者が手作業で作成しているような印象を受けました。

 

このような杜撰な長期修繕計画にもとづいて運営された場合、将来大きな資金不足が発覚することは間違いなく、早急な見直しが必要と報告しました。

 

<参考記事>

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タワマンが難しいのは、管理組合の運営が従来方式だから

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5月5日付けの日経新聞に、『タワマン、築30年以上が1割に 迫る「2つの老い」』と題した識字が掲載されていました。

www.nikkei.com

本記事の要約は以下のとおりです。

◾️ 建物の老朽化と住民の高齢化という「2つの老い」がタワーマンションに忍び寄る。◾️築30年以上になる物件は全体の約1割を占める。

◾️ 大規模修繕工事などの多額の費用の捻出や住民間の合意づくりに苦労する事例が見られ、タワマンの「影」の部分が見えつつある。

◾️ 竣工から48年が経過した「タワマン第1号」と呼ばれる「与野ハウス」(さいたま市463戸)では、現在4回目の大規模修繕工事中であるが、費用は3億円以上かかるという。

◾️ エレベーターをはじめ設備も古くなっており「値上げしないと積立金はいずれ不足する」という。また耐震性にも問題があるため、建て替えも検討するという。

◾️住戸の半数以上は70歳以上の高齢者で、15人いる役員のうちは50代の3人が最若手で、75歳以上が中心という。役員の成り手も不足しており、「第三者管理」の導入も検討している。

◾️築30年以上のタワマンは177棟(計6万戸)と全体の約1割にのぼる。今後10年で2回目の工事をする必要が出てくる築20年以上は612棟(計17万戸)と3割に達する予定だ。

◾️タワマンの歴史はまだ浅く、管理方法は理論的にも技術的にも確立していないため、一般のマンションと比べて大規模修繕や建て替えが難しいと専門家は指摘する。

◾️タワマンの大規模修繕の受注実績がある施工業者も24%にとどまる。工事の難しさを業者に聞くと、53%が「施工計画全般」とした。仮設工事(63%)、外壁塗装(55%)、外壁タイル(50%)も多数に上った。

◾️また、費用が割高になる要因としてタワマンの特徴である「複雑な形状」「エレベーターや機械式駐車場が多い」「空調機が設置された内廊下、ラウンジ、ゲストルームの存在」「塩害を受ける湾岸エリアに近い」が挙げられる。

◾️その一方で、資金の備えは十分とはいえず、新宿区が20年に公表した区内の管理組合へのアンケートではタワマンの管理組合の約半数が今後の修繕積立金が「足りない」と回答した。

◾️タワマンの6割以上が長期修繕計画を見直し、約8割は修繕積立金の段階的な値上げを想定してるが、増額を決定する場でもある総会への出席率が低いため、合意形成が円滑にいかない可能性があるとの指摘もある。
◾️供給年代が古いほど区分所有者や居住者の管理への関心が薄い傾向がみられ、役員のなり手不足に悩む声も目立った。

◾️国交省はタワマンの実態を十分に把握していない。今後、修繕積立金や総会での合意形成の現状を調べ、資金管理などのガイドラインづくりを検討する方針だ。

◾️タワーマンションは日照やビル風、景観を巡って周辺住民らと摩擦が生じることがある。地域に短期間で人口増をもたらす一方、小中学校などの受け入れ能力が不足し、通勤・通学客が増えて近隣駅の混雑が激化する懸念もある。

◾️タワマンの開発を抑制する自治体も出てきた。神戸市は中心部、三宮周辺にオフィスや商業施設を誘致するため、20年にタワマン建設を制限する条例を施行した。

◾️マンションの法定耐用年数を税務上47年とされているが、タワマンの物理的寿命は100年以上とされる。自治体は事業者や周辺住民らとタワマン開発による影響や安全対策を事前に議論した上で、100年先を見据えた街の将来像を考えていく必要がある。

タワマンに限らず、高経年のマンション管理組合が役員の成り手不足や修繕の資金不足に悩むのは珍しくありません。

 

一般のマンションとの違いで留意すべき点は、単に大規模修繕や設備の更新費用に多額のお金がかかることや住戸数が膨大なことではなく、「合意形成がしづらいコミュニティー」ということです。

 

これまでのマンションは、せいぜい10数階の高さで住戸タイプや価格も似たり寄ったりのプランになっている「金太郎飴型」が主流でした。

 

つまり、住戸間で世帯構成や収入レベルもさほど変わらず、住民のライフスタイルや価値観も近いのが普通でした。

 

そのため、管理組合内の合意形成も「話し合えば折り合える」部分が少なくなかったと思われます。

 

それに比べて、昨今の大規模タワマンはどうでしょう?

5階から40階以上まであり、南向きも北向きもあり、4LDKもあれば1LDKもありで、サイズも価格もまちまちです。

 

したがって、区分所有者の経済力や世帯構成も様々でバラツキが激しいはずです。

 

しかも、外国人の投資対象にもなっており、賃貸の割合も少なくないでしょう。

 

こういうコミュニティーではより多様な意見や要望が住民内に燻っているため、合意形成を図っていくのは決して容易ではないはずです。

 

そのような特性があるにもかかわらず、従来どおりのやり方(=素人の区分所有者を中心にボランティア方式で理事会役員を募る)でうまく運営できるはずがありません

 

運営をサポートする管理会社の担当者が疲弊していくのが目に見えるようです。

 

個人的には、タワマンの管理組合こそ今流行りの「第三者管理方式」を導入すべきだと考えます。

 

ただ、管理会社が管理者を兼ねる場合は、利益相反のリスクがあるのも間違いなく、くれぐれも管理会社の「傀儡」にならないよう事前に十分留意する必要があります

 

ついては、

現在、国交省が取りまとめ中の第三者管理方式導入のガイドラインについて、先日筆者がポイントを纏めた記事をリリースしましたので、参考になれば幸いです。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

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