マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

修繕積立金の増額改定に苦労したマンションの事情とは!?

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神奈川県内にある築27年目のマンション(70戸)では、先日の通常総会で修繕積立金を現状比3倍に大幅値上げすることを決議しました。

 

顧問に就任してから丸1年かかってようやく実現したのですが、どのような事情があったのかをご紹介します。

 

まだ顧問契約の締結以前のこと、総会で修繕積立金の増額改定を議案として上程したところ、賛成の数が管理規約の要件を満たさず、承認に至りませんでした。

 

当時の議案書を確認したところ、驚くことに「特別決議事項」として扱われていたことがわかりました。(区分所有法では、管理規約の改廃や共用部の変更など特に重要な議案は「特別決議事項」とし、「全組合員ならびに議決権総数の各4分の3以上の賛成」が必要と定められています。)

 

ただ、管理費や修繕積立金の改定は、規約で特に定めがない限り「普通決議事項」として扱われます。(普通決議事項の場合、「出席組合員ならびに出席議決権の半数以上の賛成」が成立要件となります)

 

そのため、管理会社にその理由を確認したところ、「管理規約の定め方しだいでは、管理費等の改定も管理規約の改定の一部とみなされるから」という回答でした。

 

ちなみに、管理会社の所管団体にあたるマンション管理業協会や、知り合いのマンション管理士にも問い合わせてみたところ、同様の回答でした。

 

管理規約のどの部分が具体的に問題になるのかと言うと、以下のような条文のケースです。(下線部分に注目してください)

========

第25条(管理費等)第2項抜粋

1)管理費及び(2)修繕積立金の金額は別紙1記載の通りであり、各区分所有者の共有持分に応じて算出するものとする。

 

別紙1のタイトル

管理費・修繕積立金(第25条第2項

(※ 住戸別の月額管理費・修繕積立金の一覧表がタイトル下に記載されている)

========

つまり、規約本文に「管理費等の額は別紙第○の通りとする」のような記載があると、管理費の金額が記載された別表自体も規約の一部とみなされてしまい、管理費等の改定が規約の変更を伴うと解されるため、総会の特別決議が必要となるというのです。

 

それでは、上述の事例のような管理規約の場合、どのように修正等の対応をすればよいのか?

 

法律の専門家によれば、以下のような対応が有効とされています。

 

1) 特別決議事項の一つとして列挙されている「規約の制定、変更又は廃止」の部分に、(別表記載の管理費・修繕積立金等の改定を除く)と追記する。

2)規約本文が別表とリンクしないように「管理費等の額は別に定める」等の文言に条文を変更する。

3)別表に○○年○○月○○日現在、管理費等一覧表のような表題をつけ、規約と別に管理する。

 

とは言え、個人的にはまだ納得しかねるところがあったので、過去の判例を調べてみたところ、なんと約20年前に控訴審まで闘った訴訟事例があることが分かりました。(下記参照)

========

【管理費等請求控訴事件(平14(レ)90号 神戸地裁判決)の概要】

■ 管理組合が、区分所有者に対して管理規約にもとづき増額改定した管理費の支払いを請求した。

■ しかしながら、控訴人である区分所有者は「管理費等の額を変更するには規約改正の手続として特別決議が必要であり、本件決議は無効である」旨を主張した。

■ 裁判所は、「総会において管理費及び修繕積立金の額を決定することは規約の変更に当たらず「特別決議を要しないものと解するのが相当」として控訴を棄却した。

<裁判所が判断した根拠>

・規約変更の議事は,組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決するものとしているが,管理費等の額については,規約本文において特別決議の対象事項とはされていないことが認められる。

・規約本文において、規約の変更については管理費等の額の改定とは異なる扱いをしていること

========

こうした判例も実際に存在することから、私も予防的な措置として規約を改定するのが望ましいと判断しました。

 

また、このマンションでは別の理由でちょうど管理規約の全面改定を行う準備をしていたため、「渡りに舟」とばかりに、上記の専門家の助言をふまえた条文の修正も加えることとし、昨夏の臨時総会で承認されました。

 

こうして、修繕積立金の増額改定は堂々と普通決議事項として取り扱えるようになったのです。

 

続いて、次に修繕積立金をいくら増額すべきかの検討に入りました。

 

このマンションの長期修繕計画で予定されている修繕見込み額(@544円/m²)に対して、積立金の手元残高(@32円/m²)および毎月の修繕積立金(@98円/m²)を合計しても資金需要全体の3割にも届かず、修繕積立金を現状比で5倍以上(+@414円/m²)に増額が必要になる、という状況でした。<下図参照>

 

 

一方、国交省はマンション購入者や管理組合に向けて、均等積立方式で必要な修繕積立金金額の目安を示すガイドラインを公開しています。

 

【参考】マンションの修繕積立金に関するガイドライン

https://www.mlit.go.jp/common/001080837.pdf

 

本ガイドラインによると、当マンションの場合必要となる修繕積立金は、

「@370円/m²」になりました。(下表参照)

 

いかに新築当初に設定された徴収額が低かったかが分かります。

 

現状の財政状況や長期修繕計画を踏まえれば、@400円/㎡を超える水準に増額することが望ましいのは明らかです。

 

ただ、現状比4倍以上の改定になると、区分所有者の反対がかなり増えることが予想されるため、確実に総会決議をクリアするための「落とし所」を事前に探ることにしました。

 

そして、全組合員を対象に修繕積立金の改定プランとして3つの案(1案: @300円/㎡、2案:@350円/㎡、3案:@400円/㎡)でアンケートを実施したところ、予想通り「1案:@300円/㎡」がもっとも多数の支持を得ました。

 

これまで時間をかけて検討した成果を無駄にしないために、今回の改定はあまり「冒険」しない方針とし、最低限必要と考えていた「@300円/㎡」への増額改定で総会に上程し、成立に漕ぎ着けることができました。

 

これをもって問題解決ということにはなりませんが、一歩一歩着実に改善していくしかありません。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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管理会社が薦める「防犯カメラのレンタル契約」にご注意を!

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都内にある顧問先のマンションでは、既設の防犯カメラ(5台)のレンタル契約(6年間)が今年の夏に満期を迎えるため、機器一式(モニター、レコーダー各1台を含む)の更新について検討することになりました。

 

 

まずは、現契約先(管理会社が紹介した業者)にレンタル契約の継続を前提に機器更新の見積もりを依頼したところ、「月額22,660円 税込」との条件提示がありました。

 

上記料金には、保守メンテナンス、消耗品交換、障害故障発生時の無償対応サービスも含まれています。

 

現契約の料金(月額23,112円 税込)よりも安いこと、また新しいカメラの性能も現状に比べて向上することを考えると、魅力的な条件のように思われます。

 

ただ、防犯カメラの設置を検討する場合、「買取り」と「リース」、そして「レンタル」の3つのプランがあります。

 

そのため、現契約先の金額が適正か、またどのプランが最も管理組合にとって有利なのかを検証するため、他社からも相見積もりを取得するとともに「買取り」と「リース」のプランも検討対象に加えることにしました。

 

他社から相見積もりを取得のうえ6年間の支払総額で比較したところ、下の表のとおり、レンタルは買取りやリースに比べて費用がかなり割高であることがわかりました。

(ちなみに、カメラならびにハードディスク等の機器の性能等は両社同等です)

 

 

現契約先(A社)の場合、レンタル以外の買取り等のプランを積極的に営業していませんでした。

 

一方、相見積もり取得先のB社については、レンタルを扱わない代わりに、「買取り」と「リース」の2種類のプランがあり、それぞれについて保守管理サービスをオプションで付けられる提案をしていました。

 

このB社の保守サービス料金に含まれる内容は以下のとおりです。
・カメラ映像の遠隔点検(月1回)
・現地での機器一式総点検(年1回)
・機器の設定変更、作動点検 
・24時間コールセンターの受付、および現地駆け付け対応 
・事故発生時の警察への証拠提出、代行業務 
・消耗機器の交換(ハードディスクを含む) 

 

レンタル契約の場合、機器一式の所有権は業者側にあるため、不具合や故障が発生した場合には業者側の責任で対応することになります。そのため、A社のレンタル料金は上記のような保守管理サービスを含む料金体系となっています。

 

しかしながら、6年間の支払総額で考えると、A社のレンタル料金(約163万円)に対し、B社の買取りプランで保守管理サービスを追加しても100万円強とかなり安くなります。

 

そのため、この管理組合では、B社の買取りプランに保守サービスを追加する方針で更新することになりました。

 

ここで一つの疑問が湧いてきます。

なぜ管理会社は他の選択肢があるのに、レンタル契約の業者を薦めるのか?

 

一つは、レンタルの方が高い利益が得られ、業者からのバックマージンも期待できるからだと思います。

 

そしてもうひとつは、管理組合側の姿勢にも原因があると思います。

 

詳しくは、下記の執筆記事を参照ください。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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宅配ロッカーのあるマンションにも「スマート置き配」はおススメ!

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1月10日付のBIglobeニュースで、「「スマート置き配」申込棟数、一都三県で4000棟突破」と題したニュースが掲載されていました。

 

<参考記事>

news.biglobe.ne.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■配送業者ごとに認証された配達員のみが入館できる上、エントランスの解錠履歴は全て記録されるため、セキュリティーに配慮できるのが特徴。

■マンションオーナーや管理組合、管理会社の初期費用、月額費用、工事費用などは全て無料。

■ AIやIoTで不動産業務のDXを促進するライナフは、同社が提供しているオートロックのマンションで置き配を利用できるようにするサービス「スマート置き配」の申し込み棟数が1都3県で4000棟を突破したと発表した。

■「スマート置き配」はオートロック付きマンションのエントランスに、専用のスマートロック「NinjaEntrance(ニンジャエントランス)」を設置し、受け取る側があらかじめ指定した場所に配達員がエントランスのドアを開け、荷物を届ける。

■ 配送パートナーごとに認証された配達員のみが入館できる上、エントランスの解錠履歴は全て記録されるため、セキュリティーに配慮できるのが特徴。

■マンションオーナーや管理組合、管理会社の初期費用、月額費用、工事費用などは全て無料。オプションとして、内覧時など遠隔で解錠可能にする各種エントランス操作をプラスすることも可能という。

 

このシステムが優れているのは、宅配ボックスがすでに設置されているマンションにもメリットが大きいことでしょう。

 

コロナ禍に伴って、Eコマースの需要増とともに宅配ボックスの利用頻度が非常に増えていると思います。

 

そのため、宅配ボックスの利用がひっ迫し、再配達になるケースが増えているだけでなく、利用頻度の増加によって設備の不具合・故障が発生することも珍しくありません。

(下記アンケート参照)

 

このシステムを利用することによって、宅配ボックスの利用頻度が適正化され、再配達になるケースが減るとともに、設備に負荷がかかりにくくなるのではないかと思います。

 

「スマート置き配」では、専用デバイス(下の画像参照)を集合エントランスに設置すれば、スマホ等を使ってセキュリティ認証後、荷物を預かっている配送ドライバーが1回限り入館することが許可され、注文者が予め指定した場所に置き配ができます。

 

配送業者がいつ入館したかはログとして記録されるので、不特定の外部者が立ち入ることはありません。

また、高額な商品や生鮮食品、共用部に置くと邪魔なサイズの大きいものは置き配設定はできない仕組みになっているとのことです。

 

また、上の記事に紹介されている通り、導入の際はもちろん維持費用も掛からないのは嬉しい条件ですから一度検討してはいかがでしょうか。

 

ただし、本システム導入の際には、マンションの使用細則に置き配の利用に関する以下のようなルールを条文として新たに制定することをお勧めします。

1)区分所有者に容認を求める事項

管理組合が指定する配送業者等が、専有部分の玄関前に非対面で宅配物を配送するサービス(以下、「置き配」という。)を運用するにあたり、管理組合が1階共用部分に、運用に必要な機器を設置することを容認する。

2) 区分所有者等への禁止事項
・ 管理組合が指定する配送業者、又は配送サービス提供者以外に配送を依頼すること。
・専有部分の玄関前以外の場所、又は通行や避難の妨げとなる位置に置き場所を指定すること。
・ 宅配物を24時間以上置き場所に放置すること。
・ 玄関扉等に置き配が収納できるもの常時設置すること。
・ 大量・大型の宅配物を通行や避難の妨げとなる状態で放置すること。
・他の区分所有者に不快感等を与えるような臭気を発したり不衛生な宅配物を依頼すること。
・ 生鮮食料品など、衛生的に問題となりうる宅配物を依頼すること。

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【申込み受付中】マンション管理セミナー 1月開催のお知らせ

今月に「マンション管理セミナー」を開催いたしますので、ご案内します。

 

参加人数を絞ったミニセミナーの開催と個別相談会を開催します。

先着5名様の参加を受け付けますので、お早目にごお申し込みください。

 

【日時・会場】

令和 5年 1月  14日(土) 13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

1. 講 演

 

管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※会場参加者のうち希望者のみ 事前にご予約ください。)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)

その他、管理会社の変更や大規模修繕、設備更新工事などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの「問い合わせページ」より、お申し込みください。

 

お問い合わせ内容は「その他」を選択のうえ、コメント欄に「セミナー参加希望」とご記載ください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等を必ずご記載ください。)

 

<注意事項>

※ 会場では、マスクの着用をお願いいたします。

※体調のすぐれない場合には、無理をなさらず欠席をお申し出ください。

(当日キャンセルでも、参加料金はいただきません)

 


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マンション管理計画認定制度「国が笛を吹けども現場は踊らず」!?

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12月27日付けの朝日新聞に、「マンション管理の新制度、自治体の準備進まず 減税策で不公平感も」と題した記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

===========

■ マンションの管理が適切かどうかを認定する「管理計画認定制度」。今年4月にスタートしたものの、自治体の受付の開設が進んでおらず、国の調査によると来年度以降にずれ込む自治体が全体の5割あるとのこと。

 

■ この制度では、修繕積立金や長期修繕計画など、適切な管理のために基準17項目を審査し、地方自治体が管理組合を「認定」する。一方、基準に満たない場合は助言や指導をし、さらなる改善を勧告することができる。

 

■ 課題の一つが、どのくらいの管理組合が参加するかだ。 だが、国の調査(6月時点)によると、都道府県や市区町村282のうち、実際に受け付けを始めているのはその2割にも満たない

 

■ 認定制度を始めるには、各自治体がマンション管理の適正化推進のための計画を作成することが前提になる。しかし、すでに作成している、あるいは今年度中に作成する予定としている自治体は全体の5割にとどまっている。 しかも、計画の作成時期について「24年度以降」の予定と回答した自治体が全体の26%を占めている。

 

■ さらに計画作成後、申請受付開始までの準備時間も必要で、半年ほどかかる場合もあるという。

 

■ 国交省の担当者は、マンションの数が多い自治体では計画作成が進み、戸数ベースでは23年度末時点で約83%に達することから、「順調に進んでいると考えている」という認識だという。

 

■ 一方、認定を受けたマンションに対する優遇措置が、以下の通り既に動き出している。

(1)住宅金融支援機構による住宅ローンの金利を引き下げ

(2)固定資産税の減税措置

 

■ (2)については、2023年度の政府税制改正大綱に措置されたもの。23年度~24年度に大規模修繕工事が完了した場合、建物部分について翌年度分の固定資産税を減額する。

 

■ 減税のようなメリットがあれば、認定を受けようとする管理組合も増えるが、自治体の窓口開設が遅れ、減税される期間に申請が間に合わないマンションも出てくると、不公平感が出る。

===========

 

本記事で紹介されている減税措置とは、12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」において、「マンション長寿命化促進税制」の創設が盛り込まれたことを指しています。

 

<参考記事>

www.mlit.go.jp

本制度の概要は以下の通りです。

【改正の概要】
1)管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化工事(屋上防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事)が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額される。

2)減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定める。
 
【対象となるマンション】
 ○ 築後20年以上が経過している10戸以上のマンション
 ○ 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施している
 ○ 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保している
 
【対象工事】
 ○ 2023年4月1日から2025年3月31日までの間に完了した長寿命化工事

<本特例の創設は今後の税法の成立が前提となっていること、また、今後細部を詰める必要もあるため、あくまで速報としてご認識してください。>

 

しかしながら、この減税特例措置が正式にスタートしたとしても、管理計画の認定を受けることが前提条件になるなら、認定申請の受付の準備が整っていない地域にあるマンションはこの制度を活用できずに割を食ってしまう可能性があることになります。

 

せっかく創った制度の実効性を上げるためにも、国は地方行政との連携をしっかりやってもらいたいものです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

          f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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マンション管理計画認定のインセンティブとして、新たな減税措置が浮上!

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12月13日付の日本経済新聞に、「マンション修繕、固定資産税を減額 長寿命化へ特例創設」と題した記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

本記事の要約は以下の通りです。

======

■ 政府・与党は13日、大規模修繕工事を実施したマンションの固定資産税を減額する特例措置を創設する方針を固め、2023年度の与党税制改正大綱に盛り込む予定。

 

■ 今年4月から一定基準を満たすマンションの管理計画を認定する仕組みをつくった。が、この認定を受けた築20年以上の建物を減税対象にする。

 

■2023年4月から2025年3月末までの期間に外壁補修などの工事が完了すれば、建物部分について翌年度の固定資産税の3分の1を減額する。

======

 

先日、このブログでも、管理計画認定制度は義務でないうえに認定の費用もかかるのに対して、認定を受けることによるインセンティブ(誘因)がまだまだ不十分だと述べました。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

認定を受けたマンションは、住宅金融支援機構による「フラット35」など融資金利の引下げや、「マンションすまい・る債」の利率上乗せの優遇措置が受けられますが、インパクトは率直に言って小さいと言わざるを得ません。

 

今回、一定の条件を満たすことが前提になりますが、建物の固定資産税の減額措置が創設されるということなので、まずは「一歩前進」と評価できると思います。

 

ただ、減税の対象になる工事の実施時期が2年間と極めて限定的であることや、減税となるのが1年分の固定資産税のうえ建物分の3分の1に過ぎないのは、いかにも迫力不足です。

 

個人的には、この減税措置を工事実施時期を問わない恒久的な制度にするとともに、減税期間も大規模修繕工事の瑕疵担保保証が有効な5年間に延長してもらいたいと思います。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

aplug.ykkap.co.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション管理組合の評価制度が「3つ」あるのをご存知ですか?

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12月7日付けの朝日新聞に、「マンション新制度 管理に注目、「二つの老い」に備え」と題した記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ 自分の住む分譲マンションは安心して末永く暮らせる場か。それを知るカギ、管理に関する新制度が二つ、今年度から官民で始まった。

■ 建物の修繕計画やそのための資金の確保、管理組合の運営状況などが適切か、統一の指標で確認する取り組みだ。

■ その一つは、マンション管理業協会の「適正評価制度」。管理水準を採点して、その結果を6段階の評価で分ける、いわば管理組合の通信簿である。11月末現在で全国149物件に42~100(満点)の点がつけられ、協会のサイトで公表している。

■ 「マンションは管理を買え」と言われながら、これまで明確な評価基準がなかった。新築マンションの価格が高どまりして中古物件が人気を集めるなか、買い手は肝心の管理の実態をつかめない。それが「見える化」すれば、取引の参考になる。

■ もう一つは、各自治体による「管理計画認定制度」。国の指針をもとに自治体が基準を設け、それを満たしたマンションにお墨つきを与える。こちらは点数をつけず認定の可否のみだ。

■ 両制度は時を同じくして始まったこともあるが、その違いがわかりにくい。例えば適正評価制度の★の数は不動産の流通サイトでも掲示されるが、自治体の認定制度の情報はこれから。

■自治体の認定を受けた物件は、住宅金融支援機構のローン金利引き下げの優遇があるが、適正評価制度は対象外だ。また、管理計画認定制度に取り組んでいない自治体内ではそもそも認定を得られない。

■ さらに言うと、評価や認定を受けることは「義務」ではないから、しくみやメリットを管理組合にわかりやすく伝えないと利用するマンションの数は伸びそうにない。

■ 多くのマンションが使ってこそ、評価指標として機能する。ローン金利の引き下げだけでなく、税の優遇や補助金、売値に反映されるしくみ作りなどメリットをさらに工夫しないと理想への道は険しそうだ。

■ 二つの新制度をどう生かすべきか。まず管理組合は、住人の関心や意識を高める手立てにできる。認定をめざして協力を呼びかけたり、点数を通して管理の姿を自己点検したり。メリットは今後増えると期待しつつ、新制度を機にマンションの姿を内外に伝え始める効果は大きい。情報公開が運営の透明性や構成員の参加意識を高めるのは、企業も管理組合も同じなはずだ。

■ 自治体は対応が難しい。管理の不十分な物件が参加せず取り残される恐れもある。その実態をつかみ、管理組合への指導など個別の対応が必要になる。マンション管理行政は自治体にとって新分野。都市の一部を除いて人材やノウハウが乏しい。

■ 新たなしくみが生まれた背景には、建物と住人というマンションの二つの老いがある。老朽化して修繕が要るのに、高齢化で管理組合が動けず対応できない。そんな問題がこれから増えると心配されている。

■ 分譲マンションは今や686万戸、国民の1割が住んでいる。二つの老いに向き合うため、関心をどう高めるか。定期検診がヒトの健康への心持ちを変えるように、新たなしくみが住人の心を動かすかに注目している。

 

今年の4月から分譲マンションの管理状況を評価するための新たな制度が相次いでスタートしました。

 

まずは、「管理計画認定制度」です。

地方公共団体(正確には「自治体」という表現は誤り)が各マンション管理組合が一定の管理状況を確保していることについて「お墨付き」を与えるものです。

 

たとえば、長期修繕計画が適切に作成されているか、長期修繕計画にもとづいた修繕積立金が徴収されているか、組合の総会や理事会の定期的な開催など、組合活動が円滑に行われているかといった点をチェックします。


その結果、適切な管理計画を有するマンションが認定を受けられます。

認定が受けられなかった場合には、各地方公共団体が行政として指導・助言、勧告などを行うことによって管理水準の底上げを図る、というものです。

 

ただし、この認定を受けることは、少なくとも現時点では管理組合の「義務」ではありません。

 

続いて、「マンション管理適正化評価制度」です。

一社)マンション管理業協会が、マンションの適正な管理が促進され、良質な管理が市場で評価される新しい仕組みをつくるため、全国共通の評価基準を制定のうえスタートさせました。

 

具体的な評価項目として、「管理体制関係」「組合収支会計」「建築・設備」「耐震診断関係」「生活関連」という5つのカテゴリに分けられ、下記のような配点が定められています。

 S・・・特に秀でた管理状態(90点以上)
 A・・・適切な管理状態である(70点以上)
 B・・・管理状態に一部の問題あり(50点以上)
 C・・・管理状態に問題あり(20点以上)
 D・・・管理不全の恐れがある(19点以下)

実際にマンションを評価するのは、本協会指定の講習を修了した管理業務主任者もしくはマンション管理士です。評価結果については、本協会のサイトに公開されます。

 

もちろん、この評価を受けるのは任意であり、費用もかかります。

 

実は、これらの制度に加えて、すでに2015年から類似した評価制度が運用されているのをご存知ですか?


それは、日本マンション管理士会連合会(日管連)による

「マンション管理適正化診断サービス」です。


本サービスでは、日管連から認定を受けたマンション管理士がマンションの管理状態を診断のうえ、S・A・Bの3段階で判定します(評価結果の有効期間は5年)。

 

2022年6月時点で、すでに累計約1万5,000棟のマンションが診断を受けています。

(下の記事参照)

www.nisshinfire.co.jp

この診断を多くの管理組合が受診しているのは、診断自体が無料であることに加えて、その結果に応じて「マンション保険料の割引き」が受けられるという明確なベネフィットがあるからです。


それまでの損害保険料は、マンションの築年数にもとづきほぼ損保各社一律で算定されていましたが、「管理状況の優れたマンションであれば高経年でも事故発生リスクは小さい」とみなされ、保険料の値引きのある保険商品が新たに登場し、この診断サービスを受けることが見積もりの前提条件となったのです。


なお、日管連は、株式会社LIFULLと提携し、管理組合の事前了解を得たうえで「S評価」および「A評価」の物件を対象に、2021年2月から不動産・住宅情報サイト「LIFULL HOME'S」において診断結果の掲載を開始しました。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


したがって、現状では、管理計画認定制度、管理適正評価制度とともに、3つの「似て非なるマンション管理評価制度」が並行して運用されていることになります。

 

管理計画制度は、主に「管理不全予備群」のマンションをあぶり出し、その増加を抑止することが目的なの対し、管理業協会や日管連は、中古マンションの市場評価に資するためのデファクト・スタンダードを目指しているという違いがあるように思います。


いずれにしても、これまで見えづらかったマンション管理の実態が組合内部だけでなく外部に公開されることによって、物件ごとの優勝劣敗が明らかになり、それが流通市場における公正な評価につながるのであれば歓迎すべきことではあります。


さらに、日常の管理や修繕に対して無関心な傾向の強い管理組合やその区分所有者が、自らの大切な資産の価値を維持しようというモチベーションが働くきっかけになり、これまでのように組合活動に無関心でいられなくなることを期待したいところです。

 

<参考資料> 上記3つの制度概要とその相違点

ただ、最後に紹介した「マンション管理適正化診断サービス」を除く2つの制度については義務でもなく有償なのに対し、それを受けることによるインセンティブ(誘因)についてはまだ不十分な状況です

 

現時点で言えば、管理計画認定制度の認定を受けた場合は、2つの優遇措置が受けられることになっていますが、率直に言ってさほどのインパクトはありません。

 

(1)融資金利の引下げ

住宅金融支援機構の融資として「フラット35」、「マンション共用部分リフォーム融資」がそれぞれ引き下げられる。

 

(2)「マンションすまい・る債」の利率上乗せ

住宅金融支援機構が発行している「マンションすまい・る債」について、令和5年度募集分から利率上乗せ制度を創設することが決定。

 

<参考資料> 住宅金融支援機構「令和4年度制度改正等の概要」抜粋

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ただ、冒頭の記事でも述べられているとおり、今年スタートした2つの制度が今後順調に普及するかどうかは、管理組合にとってのベネフィットをいかに拡充して訴求することができるかにかかってくると思います。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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