マンション管理組合の中には、数か月単位の管理費等の滞納者を抱えることはよくあります。
それほど深刻なものはありませんが、顧問先の管理組合でもチラホラ見かけます。
滞納も3ヶ月以上に及ぶと、もはや「うっかり忘れ」ではなく「確信犯」とみた方が良いです。
滞納の事情としては、もちろん資金繰りが厳しいというケースもありますが、単に本人の生活や性格がルーズな場合もありますね。
いずれにしても、初期対応として重要なのは、
滞納者本人とコミュニケーションを取って本当の事情を把握することです。
そのうえで、滞納管理費等の弁済スケジュールを組合側に提出してもらうのがよいでしょう。
しかし、通常こうした仕事は、管理会社に委任されるのが一般的です。
そして、管理会社が管理組合に代わってきちんと督促等の対応してくれるのかというと、メールや電話で一応アクセスを試みるものの、返信がなかったり本人が不在という理由で連絡が取れないまま放置されることが多いのです。
その結果、滞納期間が4ヶ月以上になったら「黄信号」と考えるべきです。
管理組合では滞納が発生しても、往々にして督促が甘めで鷹揚な対応で終始することが多く、その結果、滞納者にとって弁済の優先度が低くなり、回収が遅れがちになる傾向が否めません。
そのため、さらに状況を悪化させないためには、
初期段階で管理組合が毅然とした姿勢を示すことが大切だと思います。
具体的には、滞納者本人に督促状を送付のうえ、弁済が一定期限内になされない場合には、
■ 「遅延損害金」(一般的な規約では年利14%以上)を請求する
■ 駐車場等の専用使用契約がある場合は、その解約を通知して使用を禁止する
等の措置を取るべきでしょう。
にもかかわらず、その後何の改善も見られず、滞納期間が6ヶ月以上に達した場合には、内容証明書を送付して少額訴訟等、法的措置を取る準備を進めることをお勧めします。
最後に、やや専門的な話になりますが、
管理費の滞納については「消滅時効」がある点にご留意ください。
毎月一定額を支払う管理費や特別修繕費にかかる債権は「定期給付債権」に当たるとされ、消滅時効は5年です。
ただ、この時効を中断させるには単に支払いを催告するだけでは不十分で、催告の時から6か月以内に裁判上の請求を含む下記3つの措置を取る必要があるのです。
【時効中断の事由として認められるもの】
(1) 裁判上の請求(支払督促申立て、少額訴訟を含む)
(2) 差押え、仮差押え、仮処分
(3) 承認(債務者による支払猶予の申出、承諾書の提出等)
こうしたリスクもあるので、滞納問題についてはなるべくボヤの段階で確実に「火消し」を行うよう心掛けることが重要なのです。
<参考記事>
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