先日の日経新聞に、タワーマンションの住民トラブルに関する管理組合の取組みが紹介されていました。
本記事の要約は以下の通りです。
■都心にあるタワーマンションでは、数世帯の住民が大量にゲストルームを予約して、直前にキャンセルしていた。そのため、希望者が予約できないうえ空き室が多く発生し、管理組合に収入が入らない事態になっていた。
■こうした状況に対処するため、管理組合はゲストルームの宿泊数を制限するとともに、キャンセルしても宿泊枠にカウントされる仕組みに変更したところ、かなり改善された。
■別のマンションでは、ラウンジに住民が不特定多数の人を集め、有料の婚活パーティーや講演会などに頻繁に利用していた。
■住民からの苦情を受けた管理組合はラウンジの使用細則を改定。使用回数を1世帯あたり月2回までとし、ネットや広告などで参加者を募る行為も禁止にした。
タワマンの最大の魅力は、都心もしくはそれに近接したエリアで「ホテルライクなマンションライフ」を楽しめることでしょう。
豪華なラウンジやゲストルームはもちろん、プール、バーなどの施設も備えた物件もあります。
こうした共用施設の利用方法やルールについては、分譲時に売主であるデベロッパーが管理規約や使用細則を定めて、管理組合の設立総会で承認されています。
しかし、本記事で紹介された事例にあるように、必ずしも新築当時に想定したイメージどおりに住人が実際に利用するとは限りません。
そうした場合、管理組合が主体性をもって当初の規約等を見直し、必要に応じて改訂しなければならないことになります。
ここで厄介なのは、
特に規約の改正となると「特別決議事項」に該当するため、「全区分所有者等の4分の3以上の合意」という高いハードルが立ちはだかるという点にあります。
しかも、特にタワマンの場合には以下の3つの事情からコンセンサスを得るのは容易でないと思われます。
1)住戸規模が数百戸単位と非常に多い。
2)住戸タイプ・階数によるバリエーションが多く、住戸毎の資産価値に乖離がある。
3)居住者間の価値観・ライフスタイル等について多様性が見られる。
タワマンが登場する以前は、大規模といえば団地型のマンションくらいしかありませんでした。
階数もせいぜい地上10数階まで、各住戸の大きさも「金太郎飴」方式で設計されているため概ね近似しており、住戸の価格差もせいぜい2~3割程度しかありませんでした。
そのため、管理組合を構成する組合員の収入やライフスタイル、価値観もそれほど変わらないという特性がありました。
実は、管理組合で新たなルールや決め事をするときに、こうした特徴は結構重要なポイントになっていると思います。
一方、タワマンの場合は住戸ごとの個性が「尖って」いるが故に、住む人たちの価値観やライフスタイルも様々という構成になり易いと思われます。
タワマンの規模から考えて、理事会の役員も20名を超えるケースもも少なくないでしょう。無関心層もいるでしょうが、一方で社会的地位が高くて一家言ある方々も少なからずいらっしゃることでしょう。
こうしたコミュニティーで当初のルールや決め事を見直して合計形成するのは容易ではないはずです。
しかし、こうした管理組合の運営の巧拙が10年後、20年後の資産価値を決めることになるのです。
このように管理運営の視点から、どんなタイプのマンションを購入するのかを考えることも大切ですね。
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