マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

所有者不明・相続放棄のマンションを処分しやすくする法改正!?

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3月10日 付の朝日新聞に、「所有者不明のマンション「空き部屋」売りやすく 法務省が新制度検討」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

digital.asahi.com

本記事の要約は以下の通りです。

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◾️ 分譲マンションで、独居老人が亡くなった後の相続人が分からないなどの理由で、所有者が不明のまま放置される「空き部屋」が問題になっている。

◾️ 国交省の調査(2018年度)によると、所有者の所在が不明だったり連絡がとれなかったりする部屋が「ある」と回答した管理組合の割合は、築40年を超えるマンションの場合は約14%にのぼり、そうした部屋が全体の2割を超えるところも5%あった。

◾️ こうした部屋の管理・売却を進めやすくするため、法制審議会(法務大臣の諮問機関)は2月、新制度を設けることを区分所有法の改正要綱に盛り込み、答申した。

◾️  現行法では、相続放棄等の理由で相続人のいない住戸が発生した場合、管理費等の滞納を回収するため、管理組合が「債権者」として裁判所に「相続財産清算人」(旧・相続財産管理人)の選任の申し立てを行い、清算人の主導によって住戸が売却されて新たな区分所有者が決定した後、管理費等の滞納分を回収することができる。

◾️  ただ、亡くなった人の負債を含む全財産を調べたうえですべて処分する仕組みのため、他の債権者との関係などによっては処分までに時間がかかり、管理組合が支払う報酬の負担も大きいという問題がある。

◾️  そのため、今回の法改正では、当該区分所有者の財産のうちマンションの住戸だけを清算できる「所有者不明専有部分管理人」制度の創設をめざす。

◾️  その他の遺産等は清算の対象外になるため、相続財産清算人制度を使うよりも短期間で済み、管理組合の経済的負担も軽減されることが期待される

◾️ 所有者がわからない土地や建物をめぐっては、2023年度の改正民法で、個々の土地や建物に限った財産管理制度が措置されているが、「所有者不明専有部分管理人」制度は、その「マンション版」ともいえる。

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管理組合にとって悩ましいのは、区分所有者の所在不明、あるいは相続放棄となった住戸が発生した場合に、これを放置していると滞納管理費等の回収が進まないため、組合の財政問題に発展していくリスクが高まることです。

 

上の記事でも紹介されているように、管理組合として現行法で対応する場合は、所有者不明の住戸の場合は「不在者財産管理制度」、相続放棄された住戸の場合には「相続財産管理制度」をそれぞれ活用してその住戸の処分を申請するしかありません。

 

ただし、そのためには、家庭裁判所への申立てが必要で、100万円程度の「予納金」も納付しなければならないとされています。

 

今回の法改正によって、マンション住戸のみを対象とする清算制度ができれば、処分までの時間も短縮化され、清算人への報酬を含む経済的負担も軽くなることが期待できるわけで、それ自体は朗報と言えるでしょう。

 

とは言え、管理組合としては、こうした問題が深刻化しないよう日頃から必要な対策をとっておくべきです。

 

具体的には、なるべく早期に問題の発生を察知することが重要です。

管理会社の協力を得ながら、区分所有者の連絡先の届出や変更された情報の随時アップデートを行うほか、管理費等の滞納状況のモニタリングを毎月行うようにしましょう。

 

自治体による「マンション管理計画認定制度」の基準には、「組合員・居住者の名簿を備え、年1回以上はその内容を確認する」ことが盛り込まれていますが、上記のリスクに対応したものと思われます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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