11月30日に、国土交通省が「マンション管理計画認定制度」に関する事務手続きに関するガイドラインを策定し、公表しました。
<参考記事>
そもそも、本制度はいかなる趣旨で創設されたのか?
そこから説明しましょう。
国土交通省によれば、
築40年超のマンションは、2018年末の81.4万戸から10年後の2028年末には2.4倍の約198万戸、38年末には4.5倍の約367万戸となる見込みです。
<2020年末時点のマンションストック総数は、約675万戸>
これに伴い、建物の老朽化や管理組合の担い手不足に悩む高経年マンションが急増すると予想されます。
そのため、2022年に施行予定の「改正マンション管理適正化法」では、老朽化を抑制し、周辺の危害などを防止するための維持管理適正化に向けた取り組みの強化が課題とされています。
こうした中で、2022年4月から、各マンション管理組合が一定の管理状況を確保していることについて地方公共団体が「お墨付き」を与える制度が始ることになったのです。
続いて、管理計画の認定手続きの流れはこうです。
まずは、国がマンションの適正管理のための基本方針である「マンション管理計画認定制度」を定め、認定のための基準を開示します。
そして、各々の管理組合は、所定の書式にもとづいた自らの管理計画を地方公共団体に提出し、一定の基準を満たした場合に地方公共団体の長によって認定が受けられます。
なお、管理組合に認定を与える側である都道府県等は、以下の事項について認められています。
1)国が定める認定基準に加えて独自の基準を設けること
2)認定事務の一部を指定認定事務支援法人に委託すること
それでは、管理計画の認定を得るために必要な要素とはどのような内容なのでしょうか?
主な項目は以下の通りですが、かなりベーシックな内容なので、
管理会社に業務委託しているマンションなら概ね余裕でクリアできる内容です。
<主な判断基準>
・管理者等及び監事が定められている
・管理規約に修繕等の履歴情報の保管などの規定が定められている
・管理費と修繕積立金の区分経理がされている
・長期修繕計画の修繕積立金の平均額が著しく低額でない
・組合員名簿、居住者名簿が適切に備えられている
・都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものである
ただ、修繕積立金の設定金額については、今年9月に改訂された「修繕積立金ガイドライン」が比較対象になると思われますが、10年前に比べてかなり基準額が上方修正されたので、竣工当時の金額で改定していないマンションは「NG」と判定されるおそれがあります。
<参考記事>
この管理計画認定制度は、老朽化マンションが抱えがちな「管理不全リスク」のあぶり出しとその抑止がねらいと言えるでしょう。
一方、実は一般社団法人マンション管理業協会も、2022年4月に「マンション管理適正評価制度」をスタートさせる予定です。
管理計画認定制度との違いは、管理業協会の場合、中古マンションの市場評価に資するためのデファクト・スタンダードを目指している点です。
というわけで、来年4月以降は国の管理計画認定制度とマンション管理業協会の管理適正評価制度という「似て非なるマンションの管理評価制度」が並行して運用されることになりました。
マンション保険の見積もりと併用することで4年前に始まった、日管連の「マンション管理適正化診断サービス」とともに、各管理評価制度の内容および相違点については、下の記事で詳しく紹介していますので、ご参考になれば幸いです。
<参考記事>