管理組合の理事さんからの相談で、「ウチのマンションは管理費が毎月15,000円なのだが、これは高いのでしょうか?」といった類の問い合わせを受けることがあります。
まずは「部屋の広さも分からない状況では、なんとも・・・」となります。
次に、お部屋の面積が分かれば、
新築マンションの平均単価に関する統計データと比較するのは可能です。
専有面積1平方メートルあたり月額210円くらいなので、70㎡の部屋なら
14,700円となり、おおむね平均に近いレベルだとわかります。
しかし、そもそも管理費の平均値が「妥当」かどうかとはまったく別の話です。
なぜ管理費の金額だけでは、それが「割高」か「適正」か分からないのか?
その理由を解説しましょう。
【その1】「管理費」とは、管理組合の「収入」である
管理組合の理事さんの話を伺っていると、「管理費」と「管理委託費」を概念的に混同されていることが多いです。
どちらの科目も費用(支出)の名称で似ていますが、内容は全く違います。
つまり、
■ 管理費 :区分所有者「が」管理組合「に」毎月支払うおカネ
■ 管理委託費:管理組合 「が」管理会社「に」毎月支払うおカネ
要するに、
管理組合の目線で考えると、管理費は「収益(売上)」で、それを原資に「管理委託費」など組合運営や建物管理に必要な経費を支払うわけです。
【その2】 管理組合の収益は「管理費」だけではない
管理組合の決算書に目を通せばわかりますが、管理組合の収益(売上)に計上されるのは管理費だけではないのが普通です。
管理費のほかに、駐車場やバイク置場、専用庭などの各種「専用使用料」もあるからです。
この専用使用料の収入が、マンションによっては管理費に対しておよそ3〜5割くらいの比重を占めることもあります。
もしそれが5割だとすれば、管理組合にはトータルで管理費の1.5倍の収入が入ることになります。
【その3】 管理費は必要経費の積み上げから算定される
それでは、月額の管理費はどのように算出されるのかそのプロセスを確認してみましょう。
まず、管理委託費、水光熱費、火災保険料、修繕費などの経常的な支出項目を積み上げながらトータルで必要な年間経費を算定します。
これに多少の安全余裕率(剰余金)を加えたうえで、管理組合の安定収入として必要なお金(=区分所有者から徴収すべきおカネ全額・・A)が決まります。
上記の総収益(A)から、別途徴収する各種専用使用料を差し引くと、徴収すべき「管理費」の金額が決まります。
以上の解説を算式にまとめると、以下のようになります。
【管理委託費等の必要経費の積上げ】×(1+余裕率) = A
管理費 = A - 各種専用使用料
つまり、
「管理委託費」などの運営経費や、駐車場等の「専用使用料」の金額次第で、区分所有者から徴収すべき「管理費」の金額も変わってくるということです。
これが、管理費の金額だけではそれが割高か適正か判断できない理由です。
ただ、管理費の水準を決めるに際して、全体の5割くらいの比重を占める管理委託費の多寡が大きく影響することは間違いありません。
そして、その管理委託費は、特に分譲会社(デベロッパー)系列の管理会社が受託する場合は売主側の「言い値」で決まっていることがほとんどです。
つまり、管理費の水準を云々するよりも、管理委託費を決める際に競争原理が働いているのかどうかがよほど重要なことなのです。
<参考記事>
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