昨日、3月末に着工した顧問先マンション(築25年)の屋上防水工事を見学してきました。
このマンションでは、10年保証が一般的とされる屋上防水工事において、今回25年の長期保証が付帯する工法を採用することになり、先日着工しました。(発注の経緯等については下の記事をご参照ください。)
<参考記事>
この工法では、ドイツ最大の総合化学メーカー「BASF」が開発した「ポリフィン3018」という素材を使用しています。
この「ポリフィン3018」には、既存工法(アスファルト、ウレタン、塩ビシートなど)とは異なる特性があります。
第一に、「ポリフィン3018」には500%を超す大きな弾性があり、躯体の動きに合わせて伸縮するという特長があります。
しかも、既存の防水工法の素材に大量に含まれている「可塑剤」を使用していません。
可塑剤とは、もともと素材に柔軟性を与えたり、加工をしやすくする効果があるのですが、これが経年とともに防水材の硬化や収縮を引き起こします。
「ポリフィン3018」にはこの可塑剤が含まれていないので、経年に伴う弾性の低下が起こらず、素材の硬化やそれに伴う剥離等が生じません。
第二の特徴として、紫外線の影響に伴う樹脂の退色やクラックの発生、抗張力・伸びの低下など、いわゆる「光化学反応」を防止するために「紫外線吸収剤」を使用しています。
これらの特性から、「ポリフィン3018」自体は長期にわたってメンテナンスが不要なため、25年の保証が付くというわけです。
ただし、狭い、あるいは複雑な形状の場所については、既存工法によるシール材やウレタン防水を併用せざるを得ません。
そのため、「ポリフィン3018」を使用していない箇所のメンテナンス(部分補修)が工事後10年目・20年目で必須となり、それぞれ70万円程度の修繕コストを見込む必要があります。
ただ、10年保証が通り相場で一般的には15年以内に全面改修が必要とされる既存工法と比べると、防水面の経年劣化を予防するトップコート(保護塗装)も不要ですし、経済的な負担はかなり軽減される点が管理組合で高く評価されました。
さて、見学した現場の状況を紹介しましょう。
(1)屋上平場の施工現場
手前の白い床面が既存の防水面で、奥側の濃いグレーの床面が「ポリフィン3018」による改修後の防水面です。
<ドレン周り>
雨水が滞留しやすいドレン(排水口)周りも、下の画像のように現場で職人が作成しながら改修します。
<屋上立ち上がりの端部>
外壁タイルと天端部分との間のシーリング材が硬化して劣化しているため、ここから雨水等が浸水するリスクがありました。
(従前の天端部分の状況)
今回の改修では、立ち上がりの笠木部分を「ポリフィン3018」のシートでくるんでいくとともに、「ポリフィン3018」が塗布された専用鋼板で固定します。
(施工イメージ画像)
外壁の立ち上がり部分や排水溝の周りもすべて「ポリフィン3018」のシートや専用鋼板で改修されていることがわかります。(下の画像参照)
(現場の改修状況)
全体の工期は1ヶ月程度を予定していますが、無事に完工してほしいと思います。
<参考記事>
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