顧問先の管理組合(123戸)では、現在加入しているマンション保険が来年7月に満期を迎えることになっていました。
ただ、来年1月以降、各損保が保険料率の増額改定を行うため、なるべくコスト増を抑えるべく中途更改を検討することになりました。
損保5社からの相見積もりを代理店に依頼したところ、満期で更改した場合は現在の保険料が2倍近くも増えることがわかりました。
そのため、料率改定前の年内での契約更改が得策と判断し、損保5社からの相見積り取得したところ、最も保険料が廉価であるN社を選択する方針としました。
ただ、現契約条件を維持した場合、
最も安いN社でも現状比で保険料が50%増えてしまいます。
そこで、改めて今の契約条件を精査したところ、
地震保険が保険料全体の6割強を占めていることがわかりました。
火災等の保険金額の3割相当(最高でも5割)で付保しているにもかかわらずです。
地震保険の仕組みと費用対効果について、理事会で検証したところ、以下のことがわかりました。
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1) 東日本大震災時(2011年)の地震保険金の支払い実績について
宮城県の分譲マンションの7割以上が「一部損」と判定されたため、最大保険金の5%相当額しか支払われていないことがわかりました。
「一部損」(時価の5%〜20%以下の損害)と判定された場合は、設定額の5%しか保険金は支払われません。(下記参照)
このマンションの場合、火災保険金(10億円)の3割のため、地震保険金は3億円。
「一部損」と判定された場合の支払保険金は1,500万円となります。
一方、このマンションの場合、地震保険の保険料(概算)は契約更改によって以下の通り負担が現状比で2割以上増えることになっていました。
<現在> 267万円/5年 → <将来> 323万円/5年
これに対して、火災保険(個人賠償責任、施設賠償責任等も含む)は、保険金額(最大)10億円に対応する保険料は、更改後でも274万円/5年です。
両者の費用対効果を比較すると、地震保険はかなり見劣りすることがわかります。
2) 地震保険は、建物の「傾斜・沈下」あるいは「主要構造部(柱、梁など)への損傷」が生じた場合に保険金が支払われる。
門、塀、垣、エレベーター、受水槽などの給排水設備等、主要構造部を除く付属設備のみが損傷した場合などは、保険金は支払われません。
たとえば、地震に伴ってマンションの壁にクラックが発生したり、窓ガラスが破損した程度では保険金は支払われないわけです。
3)当マンションの所在地は、丘陵地のため比較的地盤が硬く揺れにくい。また、津波に見舞われるリスクもない。
4) 地震保険は「掛け捨て」タイプしかない。
契約期間中に被害がなければ、支払われた保険料は更改後すべてチャラになります。
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以上の事情に鑑みると、地震保険料相当分を剰余金として積み立てておき、万一の際の修繕資金に充当してもよいのではないかという意見が理事会内で大勢を占め、今回継続加入を見送ることなりました。
地震保険を外した結果、更改後の保険料は現状より3割以上削減できました。
ちなみに、総会でもこれについて特に反対の意見は出ませんでした。
地震保険の場合、特に木造の戸建住宅、あるいはマンションの専有部分や家財について付保することはとても有効だと思います。
ただ、マンションの共用部については保険料がかなり高額にのぼることもあり、以下の項目をもとに検討し、ケースバイケースで加入すべきかどうかを判断すべきだと思います。
■ 建物の築年数(新耐震基準かどうか)ならびにその形状などの特性
■ 所在地域のハザードマップでのリスク評価(地盤の硬さ、浸水のリスクなど)
<参考記事>
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