都内の顧問先マンション(28戸)で、今週から機械式駐車場の撤去ならびに平面化工事に着手することになりました。
私の顧問先マンションの中では2つ目の事例となります。
このマンションの機械式駐車場は9台(3段ピット式・3区画)ですが、
現状たった2台の契約しかありません。
この遊休化した設備をすべて撤去した後、ピット内に梁と柱を組み立て、その上に鋼製板を敷き込むことによって、3台の平面区画にするわけです。
<画像は、平面化工事の作業事例>
工事費用としては、約4百万円かかります。
ただ、このマンションの長期修繕計画では、この機械設備の更新費を含め、
今後20年間で約14百万円もの支出が見込まれていました。
また、築21年目で雨ざらしの駐車設備の経年劣化が進行しており、制御盤や操作盤等の電装品の交換について保守会社の提案を受けており、その見積額が130万円でした。
平面化すれば上記補修費の負担がなくなり、平面化費用の負担が事実上軽減されるため、管理組合が判断するには非常に良いタイミングであったと思います。
このマンションでは、駐車場の空き区画問題について2018年から検討を開始していたため、今回の平面化の実施までに足掛け4年もかかった計算になります。
当初は、空き区画の外部利用者への貸し出しを検討し、利用者の募集や賃貸収入の保証を行うサブリース業者の提案を受けました。
ただ、家賃保証を求めると現状の使用料に比べてかなり条件が悪くなります。
そのうえ、外部に貸し出した場合には「収益事業」とみなされるため、管理組合でも「みなし法人課税」の対象になってしまいます。
ざっくり言えば、
その収益に対して3割程度の法人税等を納めなくてはなりません。
さらに、税務申告のためにその業務を税理士に委託すれば、その代行費用もかかります。
このように組合の財政状況を改善する効果がさほど見込めないこと、また外部貸しを行う際にはセキュリティ管理にも不安が生じることから、その後は保守点検費(年間10万円)や将来の修繕コストの負担を軽減できるる平面化プランの検討が本格化していったのです。
ただ、駐車場設備の撤去は「共用部分の大きな変更」に該当するため、
総会の特別決議事項となります。
その場合、全区分所有者の4分の3以上の賛成が必要です。
そのため、いきなり総会に議案を上程することはせず、今後の駐車場の利用ニーズの確認を行うととともに、理事会の検討経過や平面化プランの具体的な提示を盛り込んだアンケートを実施しました。
その結果、ほとんどの区分所有者が平面化に賛成する意向であることを確認できたため、総会に上程したところ、無事承認を得ることができました。
マンション管理組合で物事を進めていくには、年齢もライフスタイルも異なる区分所有者間のコンセンサスを得ることが何より重要なのですが、それが最も難しい。
理事会の検討経過や代替案の試算結果などをタイムリーに開示しながら、一般の区分所有者とも情報や知識を共有することが肝心です。
<参考記事>
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