先日、あるマンション管理組合の理事さんから以下のような相談を受けました。
■ 管理会社の変更を検討中ですが、マンション保険の見直しについても相談があります。
■ 一昨年、損保会社Aから別の損保会社Nに変更することで、保険料を現状比130万円(5年分)も削減できる見積りをもらいました。
■ しかしながら、それを聞いた管理会社のフロント担当者から「損保会社Nについては当社が代理店として取り扱っていないため、事故発生時に対応の遅れや理事長の事務手続きが増大する可能性がある。」と不安をあおるような発言があり、結局変更には至りませんでした。
■ 損保会社Nを代理店として取り扱っている管理会社はほとんどないとすると、管理会社を変更しても保険会社の変更は難しいのでしょうか?
マンション管理会社は、管理受託をテコにして大規模修繕工事はもちろんのこと、集合インターホンや防犯カメラなどの共用設備の更新についても流通経路に介在することで元請けの売り上げや紹介手数料を収益として得ています。
そして、マンション保険の代理店業もその一つです。
大手損保については、管理会社が取り扱い代理店になっていることがもっぱらです。
しかしながら、昨今、損保各社の保険料にはかなりの金額差が生じています。
4年前に登場した日新火災の「マンションドクター火災保険」は、築年数だけでなく、
マンションの管理や修繕状況の評価結果に応じて保険料の値引きを行う画期的な商品で、すでに累計7千件超の契約に達しています。
しかしながら、多くの管理会社が日新火災を代理店として取り扱っていない、もしくは日新火災への切り替えをあまり勧めません。
その主な理由は、以下の3点が考えられます。
1)第三者(マンション管理士)が管理適正化診断を実施するので対応が面倒。
2)専門家の介入によって、管理委託費の見直しの提案を受けるリスクが増える。
3)損保会社の変更で保険料が下がると、代理店としての収入も減るので面白くない。
要するに、自社の都合や利益しか考えていないのです。
また、保険代理店が管理会社以外の他社に変えられそうになった時に、フロントが
「この損保会社だと、なかなか保険金が下りないという評判がある」 とか
「保険金申請に伴う事務代行業務を行わないので、理事の負担が増える」など
と言って翻意させようとする行為は、特に体質の古い管理会社「あるある」です。
まず、何ら根拠も示さずに特定の損保会社の誹謗中傷をするのは、言語道断です。
(代理店になったことがなければ、少なくとも実体験ではないはずです。)
次に、保険代理店を外された管理会社が事務代行を行わないことで、組合役員の負担が増えるようなことがあってはなりません。
これについては、以前管理会社の所管団体である「マンション管理業協会」にも直接照会しましたが、事務管理業務の一部として保険契約にかかる事務代行業務を行うと記載している以上、こうした対応はNG であることを確認済みです。
<参考記事>
つまり、管理会社がどこであろうと、保険代理店および保険会社のいずれも管理組合が自由に選択できて当然なのです。
それでも、保険申請できる事故が発生した場合には、普通に保険代理店への連絡などのサポートをしてくれています。
悪辣な管理会社の脅し文句に屈しないよう、管理組合も理論武装しておきましょう。