「2021年1月 マンション総合保険は値上げに!保険料削減の5つの対策」と題した記事が掲載されていました。
損保業界の動向や、今後管理組合がとるべき対策がとても分かりやすく解説されているので、ご紹介します。
本記事の要約は、以下の通りです。
・2021年1月1日から火災保険料が値上げになるが、以下のような相談が寄せられている。
「2020年中に切り替えた方がお得なのか?」
「2021年2月に更新を迎えるが、更新後の保険料が2倍になった。どうにかならないか?」・そのため、下記3つのテーマについて解説します。
①マンション保険は2021年1月にどれだけ値上げになるのか
②マンション保険の値上げの理由
③値上げに対する具体的な5つの対策方法■ 保険料値上げの要素は主に4つ
(1)2021年1月の火災保険料率改定
2018年の台風21号やマンションの漏水事故増加を理由として、損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率を平均4.9%引き上げることになった。(算出機構が出している参考純率を考慮し、各社が個別に火災保険料率を設定しているため、4.9%以上の値上げになる会社もある。)
2020年9月の各保険会社の決算状況を見ると、火災保険の損害率は90%前後で自動車や傷害と比べても突出して高い。このことから、保険料の値上げをしないと、経営が苦しくなってしまうことが分かる。
マンションは給排水管の老朽化によって漏水事故が増える傾向にあり、事故の半分は漏水事故によるものである。また、水濡れ損害による支払保険金は右肩上がりに増加を続けている。
なお、今回の料率改定には、2019年の台風19号の被害は反映されていないため、今後さらなる値上げも予想される。
(2)築年数の経過
マンションの場合は、「築年数」も加味する必要がある。「築20年」では「築5年」と比べて2倍の保険料になる。「築35年」になると「築5年」に比べて3倍の保険料にせまる勢いである。
(3)過去の事故件数過去の事故件数も保険料に影響する。次回の保険開始日(保険始期日)から6ヶ月さかのぼった、2年間もしくは保険会社によって1年間の事故の件数(保険金を受け取った件数)によって、保険料が決定される仕組みである。当然のことながら事故件数が多くなるほど、保険料は高くなってくる。
また、事故件数は損害保険金の大きさは関係ない。 したがって、軽微な事故であれば保険を使わないという選択肢を考える必要がある。
(4)地震保険料の改定地震保険は、東日本大震災によって、約1兆3,203億円の保険金を支払ったことを主な理由として、2017年、2019年、2021年と3回に分けて、地震保険料の値上げを行っている。
保険料が値上げの地域は、徳島県、高知県など南海地震が予想される地域、東京都、神奈川県、千葉県などの首都直下地震が予想される地域である。
■ マンション総合保険の保険料削減のための5つの方法1)2021年1月前にマンション総合保険を切り替える
現在加入中のマンション総合保険を解約して、同日付で新しい契約をスタートさせることによって、2021年の料率改定を5年先延ばしにすることができる。
2)保険期間を5年にする
5年の長期契約とすることで、保険料の割引が効くため、特別の理由がない限りは5年契約がオススメである。
3)保険金額を下げる
建物の評価が10億円のマンションに、保険金額10億円を設定されている場合があります。 このこと自体には何ら問題はないが、鉄筋コンクリートの建物に、10億円の損害が生じる「全損リスク」の可能性は、限りなく0に近いのかも知れない。例えば、建物の評価が10億円の物件に対し、60%の6億円を保険金額とするという契約方法が可能である。
4)免責金額を設定する
免責金額10万円など高めに設定することで保険料を削減ができる。ほとんどの保険会社で過去の事故実績によって、次回の保険料が決定される仕組みとなっていて、保険金の受取額が1万円であっても、1億円であっても1件カウントになる。免責金額を設定することで、保険料を安くする効果と、次回更新時の保険料を安くする効果も得られる。
5)複数の代理店から見積もりを取る
実はこれが一番大事である。同じ保険代理店で保険を更新し続けることで、競争原理が生まれにくくなる。 また、契約内容の誤りがあっても気付きにくくなるということもある。
記事後半の保険料の削減対策5つのうち、
マンション管理組合が即対応できるのは、(2)と(5)でしょう。
特に築30年以上など高経年マンションの場合、1年契約で更新している管理組合も少なくありません。
確かに、一部の保険会社では、高経年のマンションについて新規で長期契約の引受けをしていないケースもあります。
しかし、損保全社で長期契約ができない、というわけではありません。
マンション管理組合の場合、管理会社が保険代理店を兼ねているケースがもっぱらですが、管理会社も必ずしもすべての損保会社を取り扱っているわけではありません。
また、自らの代理店としての成績をバランスよく上げたいという管理会社の思惑から、現在の損保会社以外をあえて管理組合に紹介をしないというケースもあります。
その結果、管理組合としては、単に長期契約よりも割高な保険料を負担しているだけでなく、その後も毎年のように保険料の値上げに見舞われるため、多大な機会損失を被っていることになるのです。
そこで重要なのが、
管理組合自身が自主的にセカンドオピニオンを兼ねて管理会社以外の保険代理店を探して相見積もりを取る ことです。
これによって、その他の削減対策である(3)(4)などについても、新たに提案を受けられる可能性があります。
特に(3)の保険金額の設定水準については、これまでコンサルに携わった数多くのマンションを見ても、「建物評価額=保険金額」になっている事例が少なくありません。
上記記事の解説にあるとおり、鉄筋コンクリート造の建物、しかもその共用部分が全損するリスクが一体どれだけあるのか?という観点から考えた場合、付保率(保険金/建物評価額 × 100)は50%〜60%程度でも十分だと思います。
付保率を見直すことによって、保険料が従前の半額程度に下がった事例もあります。
<参考記事>
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