「アスベスト」とは、天然の鉱物繊維で「石綿(いしわた)」とも呼ばれています。
その名の通り、繊維は綿のように軽くて柔らかく、耐熱性・耐火性・防音性・絶縁性に優れている特徴を持っていることから、建物の建材だけでなく、自動車や家電製品・家庭用品など、広い分野で使われていました。
しかしながら、万一空中に飛散したアスベスト繊維を吸い込んでしまうと、肺ガンや中皮腫のリスクが高くなることが判明したため、2006年9月にアスベスト製品の製造・使用が禁止されました。
ただ、言い換えれば、2006年9月以前に建設された建物にはアスベストを含んだ建材が使われている可能性がある、ということです。
そのため、有害なアスベスト繊維が周囲に飛散してしまう危険のある、2006年9月以前に着工したマンションについては何らかの対策が必要になりました。
「2006年9月の着工以前」ということは、「2007年竣工以前のマンションのほぼすべて」は事前調査の対象になるということです。
したがって、第1回目の大規模修繕工事の実施を検討中のマンションは要注意です。
2018年に厚生労働省が公開したマニュアルでは、マンションで大規模修繕などの工事を行う際、アスベスト建材の使用が疑われるときは、事前に含有調査を実施するように定められています。
さらに、2020年6月,大気汚染防止法の改正法が公布され、事前調査の方法が定式化され、今年の4月1日から施行されました。(下図:環境省による大気汚染防止法改正に関するリーフレット抜粋参照>
したがって、マンション管理組合としては、大規模修繕工事の施工業者を選定する際に、その見積書に「大気汚染防止法によるアスベスト事前調査費用」の項目が入っているかどうかを確認しましょう。
その調査は現地調査を行い、必要箇所の建材をサンプルを採取したうえで専門の会社に分析を依頼します。そして、分析結果が出たら、マンション内の掲示板など居住者が見やすい場所に掲示しなければなりません。
なので、工事の着工前に、施工業者から事前調査の結果が書面で説明されたかを必ず確認するようにしましょう。
<参考記事>