マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

足掛け4年の苦労!駐車場附置義務条例の「壁」を乗り越えたマンション

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先月、都内になる顧問先マンション(築21年・76戸)で、駐車場設備の更新と一部平面化工事が無事竣工しました。

【設備更新後の機械3段式(8区画)のユニット】

【設備撤去・平面化後のユニット(2区画)】

 

このマンションでは、駐車場区画(全22台)の稼働台数が漸減傾向にあり、月極契約は半分以下の10台(平置き1台分を含む)にとどまっていました。

 

そのため、駐車場使用料の収入がピーク時に比べて年間350万円減少しました。

 

また、築20年近く経過したため、駐車設備の経年劣化に伴う修繕が必要になり、今後修繕費が嵩むことが確実な状況となったため、事実上遊休化している設備のあり方を見直すことにいたしました。

 

さらに、従前の設備は某中堅メーカーの製品ですが、昇降用連結シャフトが破断するなどの事例が複数発生していたため、保守専業業者が受託したがらないという評判が上がっていました。

 

つまり、このマンションの駐車場は「空き区画の増加による設備遊休化」と「駐車設備の事故リスク」という2つの課題を抱えていたのです。

 

一方、このマンションには、機械式駐車設備として2種類のユニット(16台分・5台分)がありました。

 

ただ、仮にすべての設備を撤去・平面化した場合には、旧機械式設備の跡地には5台分(ユニット1:3台、ユニット2:2台)の駐車場しか確保できず、平面式の1台を加えても計6台となり、現在の契約車両の台数にも届かないことがわかりました。(下図参照)

 

【従前の駐車場の平面図】

そのため、「ユニット2」(5台)は撤去・平面化するものの、「ユニット1」(16台)についてはこれを撤去し、8台分の駐車設備に新規入替えを行わざるを得ないとの結論に至りました。

 

つまり、「ユニット1」は8台収納可能な新規の設備、「ユニット2」は2台の平置き区画となるため、平地式1台を合わせて計11台とする方針となりました。

 

駐車区画が半減(22台→11台)することによって、今後25年間で想定される維持修繕費も、53百万円→30百万円に4割超減らすことができる見通しが立ちました

 

また、設備更新(ユニット1)と設備の撤去・平面化(ユニット2)によって、駐車可能な車両の対象範囲が拡大するため、利便性も向上します。(下記参照)

  <全 長> 40センチUP   <車両重量>  900kgUp
  <車 幅> 10センチUP   <車 高> 最大45センチUP 

 

こうして駐車設備の更新と一部撤去・平面化の混合プロジェクトにて推進する方針が決まったのですが、ここに新たに「大きな壁」が立ちはだかります。

 

それは、東京都の駐車場附置義務条例です。

 

このマンションは、最寄りのターミナル駅近傍の商業地域に建っており、新築当時、附置義務条例に則った駐車台数を確保するよう指導を受けていました。

 

そのため、市役所に本プロジェクトの相談をしたところ、以下のような説明がなされました。

 

(1)新築時の基準台数 (当マンションの場合 :20台)未満に削減する場合 は、市に事前申請のうえ附置義務緩和の認定を受けることが必要である。 

(2)具体的には、市との事前協議 (1ヶ月程度)を行なったうえで、組合総会の特別決議を得た後に、正式に市に対して認定申請を行う必要がある。 

(3)都の駐車場条例によると、附置義務緩和の台数制限として、過去3年間の最大利用実績台数 を下回らないこと等が定められている。 

(4)この条例に違反して設備の撤去・平面化を実施したことを後に行政が認知し、原状復旧等の措置命令に対して組合が従わなかった場合は、50万円以下の罰金を課せられる。 

 

そのため、上記(3)の規定に則ると、11台の区画に縮小するためには最短でも2022年9月以降まで待たなくてはならないことがわかりました。

 

その条件をクリアしたうえで、改めて自治体に事前協議のための申請を行い、その他に必要とされる諸手続き(管理規約や使用細則の改定や必要書類の整備など)の準備を行なった結果、自治体の事前了承が得られ、2022年11月に臨時総会に本議案(特別決議事項)を上程したところ、4分の3以上の多数の承認が得られ可決したのです。

 

しかしながら、コロナ禍等による昨今の半導体不足などの影響を受け、工事発注から着工までおよそ1年間のインターバルを余儀なくされたため、先般ようやく完成に至ったわけです。

 

結局、検討開始から足掛け4年もかかりましたが、

ようやく工事が完成し、感慨もひとしおです。

 

<参考記事>

 

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史上最速の4ヶ月で解決!マンション管理委託費の減額交渉

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都内にあるコンサルティング先のマンション(築24年目・34戸)にて、先日臨時総会が開催され、管理委託契約の変更に関する議案が全会一致で承認され、この12月から管理委託費が従前に比べて3割削減することになりました。

 

年間のコスト削減の効果は、税込で約160万円。

戸あたり平均で47,000円です。

 

このマンションでは、諸経費の上昇に伴い一般会計が逼迫しており、今年の夏に管理費の徴収額を増額しましたが、今期の収支予算でもなお大幅な赤字が見込まれており、このままでは再度の増額改定の検討を余儀なくされる状況にありました。


そのため、今期理事会では管理委託費等の管理コストの適正化による剰余金の創出を図るため、有償で当社の診断を受けたところ、契約条件の見直しを行うことで一般会計収支を大幅に改善できる余地があることがわかりました。

【管理委託費に関する診断結果の概要】
1) 現行の管理仕様を維持した場合、現在比18%の削減余地
 (年間経済効果:100万円 → 戸あたり平均 @2.9万円/年 )

2) 管理仕様を一部変更した場合、現在比27%の削減余地。
 (年間経済効果:153万円 → 戸あたり平均 @4.5万円/年)

 

このマンションの特徴として、管理員の業務の仕様に見直し余地がありました。

【従前の仕様】
・管理員業務 :週3日(火・木・土曜勤務 1日 実質7.0時間 )

 

30戸程度の規模のマンションの場合、管理員の勤務時間は「週勤3〜5日、かつ1日4時間以内」が一般的です。


現状の仕様は、1日あたりの勤務時間数が長い一方、出勤日数が少ないため、小まめな清掃が行き届かない印象があります。

 

また、この地域はゴミ収集が最大で「週5日」ありますが、所定の出勤日以外は管理員の「早出残業代」が年間で約5万円発生していることがわかりました。

 

そのため、理事会で協議した結果、管理員を「週5日・3時間/日」の勤務時間に変更した場合の見積もりを今年の8月下旬に管理会社に要請しました。

 

その結果、申し入れから1ヶ月後の9月末に、管理会社から以下の提示がなされました。

【現行仕様の場合】 組合目標:年間約100万円削減

 ⇨ 現状比▲18.5%(年間約▲102万円・税込)の削減

 

【仕様変更の場合】 組合目標:年間約153万円の削減

  <管理員業務:週5日・3h/ 日勤務に変更>
 ⇨ 現契約比▲29%(年間約▲160万円・税込)の削減。

 

1回目の交渉で管理会社から満額回答を得られたのは、史上初めてです。

 

総会には上記のうち仕様変更案を議案を上程し、特に反対意見もなくスムーズに可決承認されました。

 

というわけで、

8月のコンサルティング契約の締結から11月の臨時総会決議まで、

なんと4ヶ月間というスピード解決となったわけです。

 

なお、このマンションでは先行して実施したマンション保険の見直しや電子ブレーカーの導入による電気料金の削減によって、上記の管理委託費と合わせると年間200万円近い経費削減ができたため、管理費の再増額は当面必要のない状況になりました。

 

<参考記事>

 

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マンション管理業界のトレンドは、管理委託費の値上げと第三者管理方式の増加

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11月15日付けの「不動産経済オンライン」に、「7割が直近5年で管理委託費の値上げ ―分譲マンション組合調査、値上げ受入は10%まで」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

fk-online.jp

本記事の要約は以下の通りです。

=====

 マンション管理支援アプリ「クラセル」を提供するイノベリオスは、分譲マンションの管理組合にマンション管理に関するアンケート調査を行った。(本年9月、分譲マンションの区分所有者253名に実施。)

1)管理委託費の水準について

「高い」:42%「妥当」:34%、「安い」:10%

2)直近5年間で管理委託費の値上げ要請があったか?

「ある」:68%、「ない」:27%

3)今後、管理委託費の値上げ要請があったらどうするか?

管理会社の変更や自主管理への移行を検討する」:53%

「ある程度の金額までは値上げを受け入れる」  :31%

4)受け入れられる値上げ幅について

「10%アップ程度」:82%

5)管理会社に期待すること

「管理組合目線での提案力」:56%で最多。

その他は、「管理員のレベルの高さ」と「フロント担当者の対応の迅速さ」が多かった。

6)管理会社による「第三者管理方式」について

「利益相反の問題がネックで反対」:61% が多数を占めた。

「管理組合の負担軽減は魅力。費用が増えないならOK」:21%、

「費用が増加してもお願いしたい」:5%。

7)電気自動車の充電器を設置する必要性について

「将来は必要になると思うが当面は様子を見たい」:40% と最多

「一部の人しか恩恵を受けないので設置は反対」:19%

「早めに設置すべき」:12%

=====

もっかのマンション管理業界のトレンドは、

「管理委託費の値上げ」と「第三者管理方式の増加」の2つでしょう。

 

管理員などの人手不足や最低賃金の上昇等で、管理会社が管理委託費の増額改定を要請する事例が増えているのは間違いありません。

 

特に30戸以下の小規模のマンションに対しては、得られる売上収益に対して、理事会の運営サポートなどの手間がかかるのは大規模物件とあまり変わらないため、「解約もやむなし」という覚悟で増額を要請したり、新規の受託も辞退するケースが増えています。

 

ただ、ほとんどのマンションでは委託当初の管理委託費が割高な水準にありますから、管理員業務費は多少上がっても、他の経費を見直すことでトータルで減額できるケースも少なくありません

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

一方、第三者管理方式の増加も、管理会社側からすれば、理事会の運営をはじめとする事務管理業務の負担を軽減したいという思惑が背景にあるように思います。

 

 

役員の成り手不足に悩むマンションでは、輪番制も機能しなくなり、総会を目前に控えて管理会社が何人もの候補者に電話でお願いしながら断られて苦労しているという声も聞きます。

 

区分所有者の高齢化が急速に進行する中、これまでの「管理組合の自治」を前提とした運営スタイルが次第に成り立たなくなっているのです。

 

こうした事情もあり、従来の理事会方式に代わって、管理会社に管理者の業務も委託するスキームの新築マンションが現れ始め、一部の管理会社では既存物件でも「第三者管理方式」への移行を勧める事例も見られるようになりました。

 

ただ、Jリート、賃貸ビル、賃貸マンションなどに見られるとおり、

不動産の運営において「所有と経営の分離」は業界の常識です。

 

しかしながら、なぜか分譲マンションだけ、いまだにそれができていない。

管理組合(=区分所有者)が主体になって運営することが前提となっています。

 

なので、第三者管理への移行自体は、「所有と経営の分離を実現する近道」という点で、基本的には賛成します。

 

ただし、管理会社に管理者を委託するのはかなりリスキーです。

管理会社の「お手盛り」になる可能性が高いからです。

 

もし「理事にならなくて済むならいいんじゃない」としか思っていないなら、

率直に言ってかなり「おめでたい」です。

 

管理会社による第三者管理方式の課題を考えるうえで、以下の質問について考えてみてください。

・誰が管理者の業務状況をモニタリングするのですか?

・組合口座の通帳と印鑑を管理会社にセットで預けても大丈夫ですか?

・将来、管理者を解任して新たに選び直す余地が管理規約にありますか?

・修繕工事の必要性の判断や発注金額は管理者(管理会社)にお任せでよいのですか?

 

こうした課題をクリアするために、国交省は今年の8月に策定した「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ」にもとづいて、第三者管理方式における留意事項を示したガイドラインの整備等に向けた検討を行うべく、10月に「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」を設置しました。

 

www.mlit.go.jp

第三者管理方式に関心のある方は、上記サイトを覗いてみてください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンション保険料は「発生主義」で計上するのが基本です!

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コンサルティングしている都内のマンションの理事会で、管理会社のフロント担当者から今期の決算収支について説明がなされました。

 

この管理組合では、当社の提案にもとづき、マンション保険を今期中途解約し、より保険料の安い他社の保険に切り替えました。

 

従前の契約は5年の長期で、保険料(約700万円)を前期一括払いしていました。

したがって、1年分の保険料の負担は140万円となります。

 

このような長期の保険契約を締結した場合、企業会計原則である「発生主義」に則り、当期分の保険料(たとえば1年分)を期間費用として計上します。

 

そして、未経過期間分(4年分)の保険料は「長期前払費用」として貸借対照表上の資産に計上し、翌期以降は1年分ずつ保険料を計上しながらこれを償却していきます。

 

今期新たに契約した保険料は5年分合計で550万円なので、1年分の保険料は110万円になります。<未経過分の保険料(440万円)については、長期前払費用に資産計上します。>

 

そうすると、前期の保険料:140万円 ⇒ 今期の保険料:110万円

となるので、差引き年間30万円の負担が下がったことが明らかになるわけです。

 

ところが、大手管理会社のDKの場合、どこの支店でも「現金主義」で計上しており、従前の契約の保険料5年分を一括で費用計上していました。

 

その結果、今期に従前の契約の中途解約に伴う返戻金が特別収益に計上されるうえ、新たに契約した保険料も計上するので、前期の会計収支と比較しても、実際の費用削減効果が分かりづらくなるのです。

 

「現金主義」と「発生主義」の場合それぞれの保険料の推移を同条件で比較すると、下図のとおり、後者の方が会計収支の実態を正しく反映していることがわかります。

 

 

保険料を5年分一括払いしているので、もちろん組合の預金残高は減りますが、発生主義では未経過分の保険料を資産(長期前払費用)として計上するので、管理費会計の繰越剰余金残高(純資産)まで減ることはありません。

 

ところが、現金主義の場合、5年分を一括費用計上するため、その分繰越剰余金残高を減らすことになり、管理組合の財務状況の実態とずれてしまうことになるので、それもデメリットと言えるでしょう。

 

かつて別のマンションでは、現金主義で保険料を処理したために管理費会計の剰余金が枯渇し、修繕積立金会計から資金の組み入れをしていたケースもありましたが、これは管理規約上の「禁じ手」のうえ、まさに本末転倒です。(下記記事参照)

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

多くのまっとうな管理会社では「発生主義」で処理していると思いますが、大手の管理会社でも深く考えずに現金主義を続けているケースもあるので、要注意です。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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【終了しました】マンション管理セミナー<11月>開催のお知らせ

今月開催予定のセミナーのご案内です。

 

5名様までに参加人数を絞ってセミナーの開催と個別相談会を開催します。

先着順でお申し込みを受け付けますので、お早目にごお申し込みください。

 

【日時・会場】

令和5年11月  25日(土) 13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

1. 講 演

 

管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※会場参加者のうち希望者のみ 事前にご予約ください。)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)

その他、管理会社の変更や大規模修繕、設備更新工事などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの「問い合わせページ」より、お申し込みください。

 

お問い合わせ内容は「その他」を選択のうえ、コメント欄に「セミナー参加希望」とご記載ください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等を必ずご記載ください。)

 

 

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マンション管理費の相場に比べて、修繕積立金がさほど上がらないワケ

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10月20日付の日経新聞に、「マンション管理費・積立金、10年で3割上昇 東京23区」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.nikkei.com

本記事の要約は以下の通りです。

■東京カンテイ(東京・品川)によると、2022年の中古マンション管理費・修繕積立金の水準を発表した。なお、専有面積30平方メートル以上の分譲マンションを対象に調査し、リゾートマンションやケアマンションは除外した。

■ 管理費・修繕積立金の平均合計額は、築10年の物件が東京23区で70平方メートル当たり月2万9782円。12年当時に比べ29%高い。

■首都圏の築10年物件は2万7746円だった。12年に比べて30%増えた。近畿圏は同28%高い2万332円、中部圏は同36%高い2万2025円だった。

■マンションの修繕積立金はデベロッパーなどが販売時に試算する。将来の正確な見積もりは難しいため、実態とかけ離れることも多い。深刻な人手不足で人件費が膨らみ、管理費が上昇。資材高による工事費の上昇が修繕積立金を押し上げた。

18年度の国土交通省のマンション総合調査によると、35%のマンションで積立額が長期修繕計画を下回る。放置すると十分な修繕が行えず、水漏れなどで老朽化が早まる。

■そのため、多くのマンションで修繕工事の延期や、積立金の値上げといった対策がとられている。

■東京カンテイは「現状の修繕積立金の設定額は甘い。資金が不足して修繕できない例が出てくるだろう。積立金の上昇は避けられない」と話す。

■新築マンションでも管理費・修繕積立金が膨らんでいる。22年の東京23区の合計額は前年比5%増の3万829円だった。

■シアタールームの設置やコンシェルジュの配置など、新築マンションでは設備の充実が進み、管理費が膨らんでいる。修繕積立金も中古同様に工事費用の高騰で上昇傾向にある。

■首都圏は同8%高の2万7494円だった。23区を含む東京都全体が同5%高の2万9977円、神奈川県が10%高の2万4968円、埼玉県が10%高い2万4204円、千葉県が3%高の2万2045円だった。

下記のグラフは、東京カンテイが公表している首都圏の新築マンション(専有面積:70㎡換算)における管理費と修繕積立金の推移ですが、2013年当時、管理費と修繕積立金の合計は、月額22,369円でした。

 

これに比べて2022年では月額27,494円なので、22%上昇していることになります。

 

2022年の水準を専有面積(㎡)当たりの月額単価に換算すると、

・管理費  :@279円

・修繕積立金:@113円

となります。

 

およそ10年前(2012年)、不動産経済研究所が首都圏の新築マンション管理費の平均額を専有面積(㎡)当たりの月額単価で公表しています

 

当時の金額は@216円。

 

10年間で管理費は29%上昇している計算になります。

つまり、この10年間で管理費の平均相場は3割上がったということです。

 

管理費の相場が上昇している要因は、人件費の増加が影響しているのは確かでしょうが、近年超高層タワーマンションの供給が都心部を中心に増えていることも要因の一つと思われます。

 

タワーマンションの場合、ホテルライクな仕様を「売り」にしていますから、管理員が毎日勤務するのはもちろんとして、これに日常清掃員、コンシェルジュや夜間の警備員の配置が加わるとともに、超高速で昇降するエレベーター群やタワー式駐車場、スポーツジム、宿泊施設などの豪華な共用設備などの維持管理コストがのしかかってきます。

 

その一方で、修繕積立金の水準にはさほど大きな変化が見られません。

首都圏の新築マンションの場合、10年前の@97円に対して、直近の水準は@113円ですから、10年間で17%のアップと管理費の上昇率の半分強に過ぎません。

 

しかも、国交省のガイドライン(下図参照)によると、機械式駐車場の修繕コストを除いて均等積立方式を想定した場合、@250円〜300円程度が必要とされているにもかかわらず、その半分にも満たない水準で設定されています。

 

【2021年版 修繕積立金ガイドライン】

特に、地上20階以上の超高層タワーマンションの場合、上記の通り豪華な共用設備があるうえ、大規模修繕工事も足場を組めず、工期も大幅に長くなるため高額になることを考えると、@400円から500円程度は徴収しないとおそらく将来資金が不足するのではないかと思われます。

 

なぜ管理費と修繕積立金の上昇幅がこれだけ違うのか?

 

管理費の水準の多寡は管理会社の収益(管理委託費)に直結しますが、修繕積立金はそうではないからです。

 

国のガイドラインからすれば、新築当初から修繕積立金を管理費と同じ水準に設定すべきにもかかわらずそれをしないのは、

修繕積立金の上昇 → 購入者の可処分所得の低下 → マンション販売価格の低下 につながるからです。

 

これこそが、昔から変わらないマンション業界の悪弊なのです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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国交省がマンション修繕積立金の増額幅を規制する指針を検討!?

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10月9日付けの日本経済新聞で、「マンション修繕積立金の上げ幅抑制 国交省が指針、計画的徴収促す 3割超が資金不足」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.nikkei.com

本記事の要約は以下のとおりです。

============

■ 国土交通省はマンションの修繕積立金を巡り、積み立て途中での過度な引き上げにつながらないよう目安を設け、管理組合に計画的な積み立てを促す

■ 管理組合が長期修繕計画をつくる際に参考にする国交省の指針を改める。マンションの規模ごとに積立額の基準を示すガイドラインなどにも負担金の目安を盛り込む方針。

■ 一般的なマンションは築年数の経過に伴い、大規模修繕工事を実施するが、現在、多くのマンションで修繕のための積立金の増額幅が大きすぎて住民合意ができないトラブルが相次いでいる。

■ 2001年竣工のあるマンションでは、計画当初に比べ、最終段階で積立金が5.3倍になる徴収計画をたてた。13年に管理組合の総会で値上げを決めようとしたところ、一部から強い反対を受けて断念。資金不足で修繕工事は延期された。

■ 国交省によると、計画当初から最終年までの増額幅は平均3.6倍。10倍を超える事例もある。

■ 国交省が2018年度に実施したマンション総合調査では、長期修繕計画に対して積立金が不足するマンションは34.8%にのぼり、前回調査(13年度)に比べて割合が倍増している。

■ また、老朽マンションほど修繕積立金などの滞納割合が高い。1969年以前に竣工したマンションのうち42.9%で滞納があった。計画通り集金できなければ、修繕工事の遅延などが相次ぐ恐れがある。

■ こうした問題を受け、国交省は積立金の引き上げ幅の目安を示す必要があると判断。上げ幅について管理組合の決議が成立した範囲などを調査し、妥当な水準を探る。

■ 政府は22年4月、修繕計画や積立金の状況を自治体が確認する仕組みを設けたが、修繕積立金の上げ幅を適正に抑えているかを認定の審査項目にする案も検討する。

■ 国交省は10月末にも有識者による作業部会を設置し、2024年夏までに対策をまとめる方針だ。

■ 積立金が不足するのは積立金の徴収方法に要因がある。「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類のうち、国交省は均等積立を推奨してきた。これに反して10年以降に完成した築浅物件の6割強が増額積立方式を採用している。

■ 分譲時に当面の経費を少なく見せることができるためだが、建物の老朽化が相次げば影響は深刻だ。

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川崎市にある築26年目のマンションでは、昨年修繕積立金を約3倍引き上げました。

 

従前の徴収額は、専有面積(㎡)あたり月額@98円であったところ、これを@300円に増額したのです。

 

このマンションの長期修繕計画では、今後30年間で見込まれる修繕費用が@544円でした。

 

しかしながら、現状の積立金残高(30年間で割り戻した金額:@32円)および毎月の修繕積立金(@98円)を合計しても@130円のため、資金需要全体の3割にも満たない状況でした。

 

この状況で均等積立方式に移行しようとすると、修繕積立金を現状比で約5倍(+@414円/m²)の増額しなくてはなりません。

 

ちなみに、本記事でも紹介されている国交省のガイドラインによると、このマンションの場合、@370円が必要という計算結果になりました。(下記参照)

 

 

つまり、このマンションの規模や設備状況からすれば、竣工当初から修繕積立金を少なくとも@300円以上で設定する必要があったわけで、当初の設定額が異常に低く抑えられていたことがわかります。

 

国交省も、こうした現状を知りながら長年「見て見ぬふり」をしてきたわけで、今回の施策検討については、業界人から見れば遅きに失した感があります。

 

このマンションに限らず、新築当初の修繕積立金が、均等積立方式で必要とされる水準の半分以下がほとんどの状況では、国交省のガイドラインも参考にしつつ、なるべく早期に増額改定を実施することが重要だと思います。

 

なぜなら、改定時期を遅らせるほど必要な資金を確保するための時間が少なくなるので、現状からの増額幅がどんどん大きくなっていくからです。

 

また、本記事のとおり、増額幅が大きくなるほど総会で反対されるリスクが上昇するので、結局議案が成立せず、現状の低水準の積立金が維持される悪循環に陥るおそれがあります。

 

修繕積立金の徴収額を適切に引き上げておかないと、築20年目前後で資金状況が逼迫し、タイムリーな修繕ができなくなり、各所で設備の不具合や漏水事故が多発し、理事会が対応に追われて財政面だけでなく精神面でも疲弊していきます。

 

その行き着く先は、「管理不全マンション」の予備軍です。

 

マンションにお住まいの方は、決して他人事ではないことを肝に銘じてください。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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