マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

修繕積立金が足らないマンション管理組合はどんな対策を取っているか?

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5月27日付の日経新聞に、「マンション修繕、攻略の合鍵は 夏工事や駐車場リストラ」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www.nikkei.com

本記事の要約は以下のとおりです。

■ 都内のマンション(築27年)では2回目の大規模修繕の費用を見積もったところ、修繕積立金会計の残高を1000万円ほど上回った。50戸余りの組合員に追加の負担を求めると戸当たり約20万円になるため、その組合の役員は理解が得られるか悩んでいる。

■ 屋根や外壁などを修理する大規模修繕工事は十数年ごとに必要とされるが、資金不足に悩む管理組合は多いのは、近年の工事費の大幅な上昇や、毎月払う修繕積立金が入居当初の低い水準のままだったりするためだ。

 

■ 積立金を引き上げるには管理組合総会での合意が必要で、難航するケースは少なくない。特に居住者が高齢化したマンションで積立金が不足して修繕できず、老朽化が深刻になると専門家は指摘する。

 

■ 積立金が不足する場合はどうすればよいのか。まず不足分を分割払いで徴収すること。まとまった金額を一括払いするのに比べ組合員の合意を得やすい面があるためだ。

 

■ すでに外壁や屋根などが傷み始め、工事が遅れると建物の劣化が深刻になりかねない状況なら、借り入れで早めに工事を実施し、資産価値の低下を抑えることが大切と専門家は話す。

 

■ 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」は原則として10年以内の期間で、100万円から固定金利で借りられる。耐震改修工事やエレベーターの交換などを伴う場合は返済期間を20年まで延ばすことも可能だ。

 

■ 融資なので最終的には毎月の修繕積立金の引き上げなどで返済原資を確保する必要があるが、高額の一時金を全組合員に払ってもらうよりハードルが低い。

 

■ 工事の実施時期を変更するのも一案である。物件規模にもよるが、大規模修繕は3月ごろから足場をかけて夏前に撤去する「春工事」と、秋に工事を始めて年末までに終える「秋工事」が一般的。こうした繁忙期を避ければ、職人の人件費や足場の部材費などのコストを抑えられる。

 

■ 長期的な対策では管理組合の収入源を広げるのが一案だ。最近増えているのが、住民用駐車場に空きがある場合に外部の個人や事業者に貸し出し、賃料を得る方法だ。マンションの屋上に携帯電話の基地局を設置する手もある。

 

■ ただ基地局をどこに設置するかは携帯電話会社側の判断。マンションの立地が会社側のニーズに合うとは限らない。また駐車場の貸し出しや携帯電話基地局で収入を得ると「収益事業」とみなされ、毎年税務申告する必要もある。

■ 大規模修繕工事の周期を延ばす方法もある。たとえば、防水などの保証期間の長期対応を利用して12年周期で予定していた工事を18年周期に延ばすことで、総費用を削減できるとうたう業者も増えている。


■ 修繕積立金が不足する原因の一つとして関心を集めているのが、機械式駐車場の稼働率の低下だ。近年は大都市を中心にマイカーを手放す人が増え、機械式駐車場に空きが目立つマンションが多い。空きが出れば毎月の収入が減る一方、維持コストは変わらないため、管理組合の収支が悪化する原因となっている。

■ こうしたことから駐車場の貸し出しに加えて、設備更新などのタイミングで一部を撤去し、台数を減らすマンションも増えている。自治体でも条例を改正し、設置台数の義務を緩和する例が多い。

 

■ 撤去する際は区分所有者間の利害関係を調整する必要があり、総会で否決されるケースもある。だが台数を適正な規模にすれば設備の更新・維持費を減らすことができ、組合の収支改善につながる。

 

<出典 日本経済新聞>

 

私の顧問先では、この2年間で4件のマンションが大規模修繕工事を実施しましたが、このうち3件では住宅金融支援機構から融資を受けました。

 

「マンション共用部分リフォーム融資」は無担保で10年間の低利融資が受けられますが、支援機構が発行する「すまい・る債」を一口(50万円)持っているだけで、その金利も優遇(0.2%分)されます

 

さらに、東京都にある分譲マンションであれば、支援機構から融資を受けることを条件に、最大1%分の金利相当額の助成金を受けられます。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

 

ただし、支援機構への年間返済額を修繕積立金収入の80%以内に収める必要があるので、希望する融資金額によっては、事前に修繕積立金の増額改定を実施する必要があります。

 

一方、大規模修繕工事の実施周期を長くすることで長期的に修繕費の負担を下げる対策は確かに有効です。

 

たとえば、屋上防水工事では10年保証が一般的とされているところ、最長25年間の保証がつく特殊素材のシートを使用した改修工事を実施したマンションもあります。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

また、一般的な長期修繕計画では、共用部の給水管は築30年〜40年の間で取り替える予定で高額な費用が計上されていますが、電気防食工法によって配管内の発錆を止めることで延命させる方法もあります。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

なお、本記事には紹介されていませんが、

修繕積立金の不足を緩和する有効な対策がもう一つあります。

 

それは、管理委託費等の維持管理コストの適正化です。

 

昨今、人件費等の上昇で管理費が増額になるマンションも増えているようですが、

専門家の目で見れば潜在的に大きな削減余地のあるケースも少なくありません。

 

管理費会計の適正化によって毎年百万円単位の剰余金を捻出できれば、修繕積立金の増額リスクを低減することができます。

 

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

aplug.ykkap.co.jp

aplug.ykkap.co.jp

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