マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

築19年目で初めて修繕積立金が増額改定されたマンション

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昨年から当社が顧問を務めている都内のマンション(76戸)の話です。

 

昨日通常総会が開催され、

築19年目で修繕積立金がはじめて増額改定されることになりました。

 

この管理組合では、以前から将来の資金不足を避けるため、修繕積立金の増額を組合員に提案していましたが、反対者が少なくなかったため実施しづらい状況が続いていました。

 

そのため、今期の理事会ではこうした反対の声を抑えるためにも、昨夏に当社と顧問契約を締結し、管理コスト適正化に注力することになったのです。

 

その後、当社からの提案とアドバイスのもと、管理委託費、マンション保険、電気料金の主要3費目を見直した結果、以下の通り年間300万円強の経済効果を実現することができました。

1)  管理委託費(年間 ▲261万円 従前比29%ダウン)

管理会社との減額交渉、一部委託先の変更、管理人勤務時間の縮減による効果

2)マンション保険(年間 ▲15万円 従前比18%ダウン)

マンション管理適正化診断サービスの好結果(A判定)にもとづき、従前の契約を中途解約のうえマンションドクター火災保険にて5年契約を締結。

3) 電気料金(年間 ▲30万円 従前比15%ダウン

電子ブレーカーの導入と新電力への契約先変更による効果

 

上記に加えて、適正化前から期待できた収支剰余金を含めて年間350万円を修繕積立金に振り替えることができる見通しとなったのです。

 

このマンションの修繕積立金は、現時点では専有面積(㎡)あたり月額@91円。

 

しかしながら、現在の積立金残高をもとに、長期修繕計画上で求められる修繕資金を均等積立方式で賄うには現状比で@223円の増額が必要な状況でした。

 

つまり、現状の3倍以上の月額@314円への増額が必要というわけです。

 

一方、管理コスト適正化によって振り替えられる剰余金(年間350万円)を専有面積(㎡)あたりに月額に換算すると@60円になります。

 

この効果を加味すると、必要となる修繕積立金の徴収額は@254円となります。

 

そのため、一気に@254円まで引き上げる「均等積立プラン」と、「今後5年ごとに段階的に増額していくプラン」のどちらを選択するかについて住民アンケートを実施しました。

 

その結果僅差でしたが、多数決で段階的増額プランを選択することになったのです

 

段階的増額プランの場合、まず今年度@180円に倍増させ、その後5年ごとに@40円ずつ引き上げるため、最終的には@300円まで負担が増える予定です。

 

ちなみに、国のガイドラインにしたがって必要な修繕積立金を求めると、

月額@281円でした。

 

つまり、現状の徴収額は本来必要な金額の3分の1にも満たない水準でした。

 

そのため、マンション全体で考えると、竣工からの18年間で約2億円も資金不足が蓄積していたことがわかります。(下図参照)

 

 

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もし管理コストの適正化をしていなければ、段階的増額プランの場合、現状の4倍に相当する@360円までの増額が必要だったことを考えると、今回の資金計画の見直しはうまくソフトランデイングできたと言えると思います。

 

<参考記事>

 

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