マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

施工現場の写真付き!電気防食工法によるマンション給水管の延命対策工事

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昨年の11月と12月に、築20年超の顧問先マンション2件(都内76戸、神奈川県31戸)で電気防食工法によるマンション給水管の延命対策工事を実施しましたので、ご紹介します。

 

既存マンションに設置されている共用給水管の多くは、配管の内面に錆止めのコーティングが施された「硬質塩化ビニルライニング鋼管」を使用しています。

 

そのため、配管のほとんどの部分は耐食性に優れ、その耐用年数もかなり長いと考えられています。

 

ただ、配管の繋ぎ目となる継ぎ手部分にどうしても隙間が生じるため鉄が酸化し始め、その後徐々に錆(腐食)が進行し『赤水』や『漏水』を引き起こすリスクがあります。

 

そのため、マンションの長期修繕計画では、一般的に30年から40年の間で共用部の配管全体の更新が必要となると見込んでおり、概算費用(戸当たり30万円程度)を計上しています。

 

このような給水管の経年劣化に対する一般的な修繕方法としては、「更新(取替え)」と「更生」の2種類の方法があります。

 

配管自体の更新を行えば、その後長期間にわたって修繕が不要になるというメリットがあります。

 

ただし、上記の通り高額な費用がかかるうえ、躯体内に隠蔽されている配管を露出させるケースが多く、その結果、マンションの美観が損なわれるというデメリットがあります。

 

一方、更生工事は、既設配管内に発生した錆コブ等を研磨・洗浄したうえで特殊な樹脂を流し、内部をコーティングする方法(ライニング工法)です。

 

工期が短くコストも抑えられるのがメリットですが、やはり継ぎ手部分から再び腐食が始まることは避けられず、保証(延命)期間も10〜15年程度が一般的です。

 

また、配管内を削ることによって管の厚みが薄くなるため、更生工事の再実施は難しく、将来的に更新(取り替え)工事は避けられません。

 

今回実施した「電気防食工法」は、更新でも更生でもない、第三の方法となります。

 

電気防食工法とは、金属が腐食する原理を逆手に取って、鉄に反対方向の微弱な電流を流し続けることで、酸素と反応しない不活性領域(=酸化しない状態)を形成することで錆の発生を防止する方法です。

<下図参照 (図1)「腐食電流」の発生 (図2)「防食電流」の発生>

 

 

なお、この工法は、船底や橋脚の維持にも活用されている技術で、すでに100年以上の実績があります。また、第三者専門機関(一般財団法人建築保全センター)から「保全技術審査証明」も取得しています。

 

巷間では、他に「磁気処理工法」、「カルシウム防錆工法」といった延命対策も宣伝されていますが、信頼できる第三者の専門機関による審査証明を得た延命対策は他にありません。

 

具体的な施工作業の内容は以下の通りです。

①全戸を対象に「断水」平日2日間 日中の9時−17時
②配管を切断し、電極ユニット(アノード)と制御ユニットを設置。(下図参照)
③上記②と併せて配線の敷設工事を実施
④通水と通電の確認を行い、正常に作動しているかを確認

■ 設置工事費

 戸当たり6万円から10万円程度
(建物の階数や配管の系統によって変動します)

■ 導入効果の保証

 施工後の検査終了後10年間、製品及び効果保証が付帯します。

①製品保証
正常な使用状態において故障した場合は、部品代、修理工料とも無料で修理。

②効果保証
・ 給水管内部からの腐食などに起因する漏水の場合、原状復帰対応を実施。
・ 水道法の規定に基づき「鉄及びその化合物の水質基準値0.3mg/ 以下」を満たせない場合、給水管洗浄工事を含む基準値内確保のための対応を実施

 

昨年の12月に実施した、築28年の神奈川県のマンションでの施工現場の状況を以下ご紹介します。

 

【電極ユニット(アノード)設置前(上)と設置後(下)の給水管】

 

 

【制御ユニット設置後の状況】

赤色ランプの点灯で通電を確認できます。

 

 

ちなみに、パイプスペース内の配管を一部撤去した部分を撮影した下の画像(上側)には、水垢が付着していることが確認されましたが、塩ビでコーティングされており、発錆はありませんでした。

 

 

一方、防食加工した継手のねじ込み部分の画像(下側)には、発錆があることを確認できました。

 

この継手周りの腐食が進行すると、やがて錆コブに成長し、水流が悪化したり、赤水が発生します。そして、最終的には配管全体の交換が必要になってしまいます。

 

しかしながら、今回の電気防食工事によって、配管内でこれ以上の発錆が進行しなければ、給水管の交換を回避できる可能性もあると思われます。

 

ちなみに、この機器の設置に伴うランニングコストが以下の通り見込んでいます。

(ファミリー型タイプ50戸のマンションの場合)

■ 電気代の増加
電気防食装置1箇所につき年間50円程度。

10ヶ所でも年間500円とわずかな負担です。

■機器のメンテナンス費用
・制御ユニット   :約90万円(耐用年数30年)
・パッキン     :約50万円(耐用年数15年)
・リミッタ     :約 9万円(耐用年数20年)
・電極ユニット(アノード):耐用年数が長い(60年)ため、対象から除外。

 

なお、電気防食工法の詳細については、下の記事も併せて参考にしてください。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

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マンション法(区分所有法)が約20年ぶりの大幅改正へ!注目ポイントは?

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1月16日付の毎日新聞に、「マンション建て替えに必要な賛成、「4分の3」に緩和へ 法改正要綱案」と題した記事が掲載されました。

 

mainichi.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■国土交通省の推計では2022年末現在、全国の築40年超のマンション数は約126万戸に上る。20年後には445万戸に増えると見込まれ、マンションと所有者の「二つの老い」への対応が急務となっている。

■ 老朽マンションの再生促進策を議論してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、区分所有法の改正要綱案を取りまとめた。

■ 2月に予定されている総会を経て法相に答申され、政府は1月26日召集の通常国会に改正案を提出する方針。

震性や火災への安全性不足、周辺に危害や衛生上の害を与える恐れ、バリアフリーへの不適合があるなどの条件に該当する場合は、建替えに必要な所有者の賛成決議の割合を「5分の4」から「4分の3」に緩和する。

■ 現行法は、死亡や相続で連絡がつかず、決議に参加しない所有者を「反対」と扱っているが、所有者不明によって合意形成が進まなくなるとの懸念が指摘されていた。

■ そのため、住人らの請求によって、裁判所の判断で所在不明所有者を決議の分母から除外できる仕組みを創設する

■ 建物の骨組みを維持しながら全体をリノベーションする工事や建物の取り壊しについても、現行の「全所有者の同意」という要件を緩和し、新たな建て替え要件にそろえるとした。

■ 1995年の阪神大震災をきっかけに制定され、大規模災害で被害を受けた場合に適用される「被災マンション法」も見直す。

■ 現行は、被災した建物の建て替えや取り壊し、敷地の売却には所有者の5分の4の賛成が必要だが、迅速な復興を妨げるとの指摘が挙がっていたため、所在不明所有者を決議の分母から除外する仕組みを採用し、多数決割合も「3分の2」に引き下げる。

■ 被災して建物の価値が2分の1を超えて失われたマンションは、政府が災害を認定してから1年以内に賛成決議をしないと被災マンション法が適用されなかったが、これを3年以内に延ばし、再延長もできるようにする。

 

<出典> 毎日新聞「老朽・被災マンションの再生に向けた要綱案のポイント」

 

新聞などの大手マスコミは、今回の区分所有法改正の目玉として、上の記事のように老朽マンションの建て替え要件の緩和措置を中心に取り上げています。

 

ただ、通常の管理組合の運営に際して注目すべき改正点として、

集会決議の円滑化対策もあるので、以下ご紹介します。

 

まずは、総会決議の要件となる区分所有者の母数に関する見直しです。

総会に出席せず議決権行使も委任状も提出しない区分所有者は、特別決議(管理規約の変更、共用部分の変更および復旧の決議)や建替え決議においては「反対者」と同様に扱われます。

 

そのため、議決に参加しない区分所有者が多いほど、議案が承認されにくくなり、その結果、マンションの円滑な管理が阻害されるおそれがあります。

 

こうした観点から、今回の法改正に伴って、所在等不明者を含めて総会議案に対して一切意思を示さない区分所有者をあらかじめ除外し、みなし出席区分所有者」(委任状あるいは議決権行使書の提出者を含む)の多数決による決議ができるようにします

 

また、多数決割合の緩和措置についても、以下のとおり導入されます。

①共用部分の変更

原則としては、多数決の要件は「4分の3以上」を維持します。

(したがって、上の挿入図は厳密には正しくありません。)

 

ただし、共用部に瑕疵が生じている場合や、高齢者や障害者の移動や利用に支障がある場合については、多数決要件を「3分の2以上」に引き下げます。

 

また、各マンションの管理規約において別段の定めをすれば、区分所有者及び議決権の各過半数以上に緩和することが可能になります。

 

②共用部分の復旧

地震・火災・爆発などにより共用部が損害を受けた場合に、その部分を元の状態に戻すための復旧を実施する場合には、多数決割合の要件を「総会に出席した区分所有者の3分の2以上」に引き下げることになりました。

 

おまけで、もう一つ押さえておきたいのが、

給・排水管の全面更新など「専有部分の使用等を伴う共用部分の管理」に関する改正です。

 

共用部分の変更に伴い必要となる専有部分の保存行為、あるいはその性質を変えない範囲においての利用もしくは改良を目的とする場合は、共用部の変更と同様の多数決要件にて総会決議が可能になります。

(ただし、専有部分の利用状況は支払った対価等の事情を考慮のうえ、区分所有者間の利害の衡平を図る必要があります)

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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国が「第三者管理者方式のマンション」向けにガイドラインを策定中!

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昨年12月23日付の朝日新聞に、『「割高」修繕費に国が対策指針 理事会なしマンション管理に「監事」』と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

digital.asahi.com

本記事の要約は以下のとおりです。

■ 分譲マンションでは通常、管理組合が区分所有者の中から選任した役員で構成される理事会が運営を担う。

■ ただ、組合活動の煩わしさに加えて、住民の高齢化などで役員のなり手が少ないことから、理事会(筆者注:区分所有法上の「管理者」を含む)の役割を管理業者に委ねる「第三者管理方式」が増えている

■ マンション管理業協会の今春の調査では、第三者管理を「受託している」「今後の受託を検討」とした業者は167社で、3年前に比べて約3割増えている

■ 第三者管理方式のマンションについて、国土交通省は、管理業者の運営状況をチェックする「監事」を設けるよう管理指針を見直す。

■ 第三者管理では、住民の目が管理業者に行き届かなくなりがち。また、その立場を利用して管理業者が修繕工事を同じグループの会社に割高な金額で発注する例もある。

■ そのため、管理組合に不正や不当なもうけがないかをチェックする監事を設置し、税理士やマンション管理士などの専門家から選ぶよう求める。

■また、 大規模修繕を手がける施工会社は、監事と住民でつくる「修繕委員会」が選び、管理業者は関与しないようにする。小規模な工事でも業者が関連会社と取引する場合は、住民の決議を得るようにする。

管理者の任期は原則1年とし、管理組合の総会で再任するかどうかを決めるようにする。また、組合口座の通帳などは管理業者だけに管理させないようにする案も出ている。
■ 国交省が「外部専門家の活用ガイドライン」の改訂案を12月26日の有識者会議で示しており、来春にも運用を始める見込み。

 

区分所有法では、管理組合の代表者として「管理者」が設置することを想定しています。(設置自体は義務ではありません)

管理者の資格要件は特になく、区分所有者以外の外部からも選任が可能です。

 

ただ、管理組合自治主義の考えにもとづき、国の「標準管理規約」では、管理者(理事長)を区分所有者の中から選任するとともに、理事会による組合運営を想定しています

 

しかしながら、管理組合の運営には一定の専門知識が求められること、また昨今の高齢化等に伴う役員の成り手不足の深刻化を背景に、マンション管理会社(管理業者)が「管理者」を兼ねる運営方式のマンションが増えているのです。

 

このスキームを「第三者管理方式」と呼びます。

 

【国交省「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ」資料より】


このスキームの場合、上図のとおり、管理業者(マンション管理会社)が管理者を兼ねることによって、管理組合内に理事会(理事長)を設置する必要がなくなります

 

そのため、管理組合の立場からすると、

区分所有者が理事会役員の就任義務から解放されるというメリットがあります。

 

一方、「管理会社が管理者を兼ねる第三者管理者方式」の場合は、理事会のチェックやモニタリング機能が働かなくなるため、性悪説で考えると「管理会社によるお手盛り運営」に陥る大きなリスクが潜んでいます

 

その最大のリスクとは、管理組合との利益相反の問題です。

 

上の記事でも紹介されていますが、大規模修繕工事において発注側(管理者)と受注側(施工業者)が実質的に同一グループとなる場合に不適切な発注が行われることによって、以下のとおり区分所有者が不利益を蒙るリスクが生じると考えられます。

(1)管理者が工事内容や工事金額について施工会社の意向に従って発注を行うことで管理組合の財産が毀損されるおそれ
(2)施工会社の選定プロセスにおいて発注予定などの情報を自社グループに共有することで公正な選任プロセスを害するおそれ
(3)設計コンサルタントが起用されたとしても、管理者の意向を尊重せざるを得ないため、中立的に施工会社を監督するという役割を果たすことができないおそれ

 

マンションの管理者には「管理組合の代表者」として広範囲な権限が与えられており、以下のような重要な議案を総会に上程することができ、原則として総会で出席者の過半数の賛成さえがあれば実行できてしまいます。

・管理費や修繕積立金、専用使用料の改定

・長期修繕計画の更新

・大規模修繕・設備更新を含む諸々の工事の発注

・管理規約の改定(特別決議事項:4分の3以上の賛成が必要)

・使用細則の改定

・今期決算報告と来期予算案

・管理委託契約の締結・更新

 

極端に言えば、

管理会社が自己の利益拡大を図るために管理委託費を増額したり、さほど必要性のない修繕工事を実施する。

その結果、管理組合の財政状況が逼迫したら、管理費や修繕積立金の増額改定を提案する・・といった「お手盛り経営」になる陥る可能性がないとは言えません。

 

こうした事情から、国はマンション管理組合が大きな不利益を蒙ることがないよう以下の論点でガイドラインの策定を進めているので、その概要を記しておきます。

 

1.第三者管理者方式を導入するプロセスについて
組合内での十分な検討や管理会社からの十分な説明がないまま、第三者管理者方式が導入されるおそれがあるため、管理業者から区分所有者に対して積極的に以下の内容を情報提供するよう定める。
 【管理業者から区分所有者に情報提供すべき事項(案)】
 ・管理者の権限の範囲
 ・通帳・印鑑の保管のあり方
 ・管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス
 ・日常の管理での利益相反取引等におけるプロセスや情報開示のあり方
 ・大規模修繕工事等におけるプロセスや情報開示のあり方
 ・監事の設置と監査のあり方
 
2.管理組合運営のあり方(管理者権限の範囲等)について
(1)管理者業務委託契約書締結の要件
 管理委託契約とは別に、管理者業務委託契約書を別途締結する。
 緊急時の対応、管理者としての業務報告、契約途中の解約、契約更新等の条件を明記する。
(2)管理規約の変更に関する留意事項
管理者の指定については、個社名を記載するのではなく、総会の決議によって選任・解任できるものとする 。
・管理者の任期は原則1年程度とし、毎年開催する総会において管理者の選任(継続・不再任等)の決議を行う。
・総会決議事項として以下の項目を追加。
 管理者業務委託契約の締結、 監事業務委託契約の締結、業務監査基準の制定・変更
 
3.管理組合の財産の分別管理について
・管理業者が管理者として選任されている場合は印鑑等を保管しないこととすべきか。その場合、印鑑等の保管先を「監事」とするか。
・管理組合として恣意的な引き出しを防止する措置を講じることを前提に、管理業者が管理者として印鑑等を保管することを選択できる余地を残すか
・透明性を担保するため、管理者向けの月次会計報告書を区分所有者にも送付する。
 
4.管理業者が管理者の地位を辞する場合のプロセスについて
・辞任もしくは解任によって管理業者が管理者の地位を離れる場合、新たに管理者に選任される者や新たに委任する管理業者への管理に関する情報の引き継ぎ等について現管理業者には協力してもらうことが必要。
・管理業者が辞任又は不再任の場合、退任の効力発生日(退任決定から3か月程度)までは引き続き管理者の地位にとどまることとする。
・解任の場合、総会の決議後速やかにその効力が発生するが、新管理者が選任されるまでの期間について監事が管理者業務を担うものとする。
・新たな規約や新管理者の選任に際して、監事を中心に臨時総会の調整(退任決定日から1か月以内を目途とした総会招集)を行う 。
・解約時における円滑な業務引継のため、 努力義務等として後任の管理者の選定の支 援、後任者への円滑な業務引継義務、 管理組合から提供を受けた書類の返却義務等について定めておくことが望ましい 。
 
5.利益相反取引等のプロセスと情報開示のあり方
発注額が一定額 未満の場合には管理者ができる旨の規約を定める等の場合でも、管理者が利益相反取引等を行うことがあり得ることを明確に説明すべき。
・「契約金額が規約で定める額未満かつ管理業者と同一グループでない会社」である場合を除いて、個別に承認決議を必要とする。
・決算案の承認に際し、毎期の決算書において契約内容、 相手方、契約金額等を注記する。また、監事の会計監査を経たうえで通常総会において承認を得る。
・大規模修繕工事の進め方(案)
①(管理者ではなく)区分所有者から構成される修繕委員会を主体として進める 。
②修繕委員会の構成員に監事も含める。
 
6.監事の設置と監査のあり方
区分所有者以外の第三者が管理者に就く場合において、監事の選任を必須とする
・監事については、(管理者による指名ではなく)総会決議により選任する。
・監事の担い手として、外部専門家(マンション管理士等)の選任を必須とする 。

 

利益相反リスクをどこまで低減できるかについては、

組合財産の管理方法、監事の権限と資格要件、管理規約の条文規定、大規模修繕工事等の実施方法をどこまでルール化できるかにかかっているように思います。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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【終了しました】マンション管理セミナー開催のお知らせ<1月20日(土)>

今月開催予定のセミナーのご案内です。

 

5名様までに参加人数を絞ってセミナーの開催と個別相談会を開催します。

先着順でお申し込みを受け付けますので、お早目にごお申し込みください。

 

【日時・会場】

令和6年 1月  20日(土) 13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

1. 講 演

 

管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※会場参加者のうち希望者のみ 事前にご予約ください。)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)

その他、管理会社の変更や大規模修繕、設備更新工事などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの「問い合わせページ」より、お申し込みください。

 

お問い合わせ内容は「その他」を選択のうえ、コメント欄に「セミナー参加希望」とご記載ください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等を必ずご記載ください。)

 

 

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12月19日放送 NHK「クローズアップ現代」をご覧にならなかった方へ

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12/19のNHKの「クローズアップ現代」で「老いるマンション維持費の高騰にどう備えるか」が放映されました。

 


放映内容を要約すると、内容としては概ね以下のようになります。

======

・2012年に比べてこの10年間で分譲マンションの管理費・修繕積立金の合計額は3割上昇している。

・長期修繕計画の更新に伴い、修繕積立金を大幅に増額改定しているマンションも少なくなく、経済的負担に耐えきれず手放す人もいる。

・そんな中、大規模修繕工事の費用を工事会社から不正に請求されたマンションもある。

・タイルの貼り替え枚数が不自然に多いことから疑問を感じた管理組合が工事会社に説明を求めたところ、水増しによる不正行為を認めた。

・業者が水増し報告をしたタイルの数がおよそ14,000枚。危うく500万円近くを過大に支払うところだった。住民は専門の知識に乏しいため、不正な工事に気づかないままでいる可能性がある。

・また、大規模修繕工事に関わる複数の企業が事前に工事金額を裏で示し合わせる談合行為もある。さらに、工事会社に支払われた工事費の一部は、キックバックとして設計事務所などのコンサルタントに渡される。こうした行為は、工事ごとに受注する会社を変えながら繰り返され、管理組合から必要以上のお金を吸い上げている。

・予防対策としては、コンサルタントとか業者任せにせず、管理組合が「独自に見積もり」を取得することが重要である。

・管理組合自身も積極的に関与することによって、業者にもプレッシャーにもなり、安易に不正ができなくなる。

・管理組合は「家計簿」をしっかり管理し、収入と支出を洗い出して将来的な大きな支出に備える習慣を身につけることが重要。

・具体的には長期修繕計画を作成し、収入と支出を把握し、将来の大規模修繕に備える。また、これを定期的に見直していくということが非常に重要。

・また、理事長や理事が毎年全員入れ代わったり、長期修繕計画を定期的に見直していないということがないか、注意て欲しい。

・手間のかかる管理には関わりたくない人が多いのも現実で、そうしたマンションで、今導入が始まっているのが「第三者管理」という仕組み。外部の専門家などに運営の判断や決定を任せるものだが、その仕組みにも課題がある。

・「第三者管理」について、国はガイドライン作りを進めている。中でも課題があるとされているのが、管理者にマンション管理士などの外部専門家でなく、管理会社が就任するケース。

・管理会社が管理者を兼ねる第三者管理方式においては、利益相反の問題がある。なぜなら、発注者たる管理者と受注者たる管理会社が同一の会社になるため、自分が自分に工事などを発注するということができてしまうからだ。

・第三者管理方式の場合の組合運営について、いま国が作っているのは「ガイドライン」にすぎない。もしこれを守らないような業者が出てきてしまったら、その次の段階としては強制力を持った法律というのが必要になる。

・一方、マンションの管理状況を自治体が評価する「管理計画認定制度」を活用して住民の関心や意識を変えようとする動きも見られる。

・この認定制度は、修繕工事や積立金の計画などが適正かどうかを自治体がチェックするもので、認定されると、共用部分の固定資産税が最大で半額免除され、借り入れ金利が優遇されるなど(ただし、各種条件付き)住民にもメリットがある。

 

番組の内容としては概ね納得できるものでしたが、専門家から見るとちょっと視聴者の誤解を招きやすい箇所も散見されました。

 

たとえば、マンションの管理費等が10年前に比べて3割上昇したというデータは、このブログでも紹介しましたが、あくまで新築マンションが対象であり、既存マンションは含まれていません。

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

また、マンション管理計画認定制度の説明の中で、「共用部分の固定資産税が最大で半額免除」という優遇措置は、適用される条件が非常に厳しいうえに、第2回目以降の大規模修繕工事が竣工した翌年1回だけの恩恵にすぎません。(下の記事参照)

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp 

一方、大規模修繕工事の際のリスク(施工業者の不正行為、談合やキックバック)や、第三者管理方式における管理会社との利益相反リスクについては、まったくその通りだと思います。

 

管理組合がしっかり家計簿をつけて中長期的に財務運営をしましょうというアドバイスも異論はありません。

 

「こんなマンションは要注意!」として下記のチェックシートが紹介されましたが、ほとんどの管理組合は半分以上の項目が該当するのではないでしょうか。

 

しかしながら、こうした素人の区分所有者によるマンション管理組合の自治主義にもとづく仕組みを世の中に定着させたのは、他の誰でもない国ではないのでしょうか。

 

管理組合を適正に運営をするのに専門知識が必要なのは、マンション管理士や管理業務主任者といった国家資格が存在していることからも明らかです。

 

しかしながら、多くの区分所有者は、長期修繕計画、管理委託契約書はもちろんのこと、管理規約や使用細則すらも十分に理解していないと思われます。

 

よく分かっていない事柄に積極的に参加しようと思う人が少ないのは当然です。

 

だから、組合役員は輪番制で交代することになるし、管理会社に丸投げになるのです。

 

つまり、人口高齢化や老朽化マンションの増加に伴い、今の「管理組合自治主義」は、もはや制度疲労を起こしておりいる、利益相反リスクの低減化を前提に「第三者管理方式」にシフトしていかざるを得ないだろうと思います。

 

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マンションの排水管に詰まりが発生!その「意外な原因」とは?

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神奈川県にある顧問先のマンション(90戸)では、ここ数年で排水管の詰まりによる滞水事故が相次いで発生するようになりました。

 

2020年以降、雨水排水管の詰りに伴う修繕工事が合計8件も発生し、

その修繕費だけで総額440万円にものぼっています。

 

排水の詰まりの原因を調査したところ、

敷地内に植えられた「木の根っこ」が配管内に混入したためと判明しました。

 

そのため、下記画像のとおり、雨水枡の周辺を掘削したうえで枡と雨水管内に伸びた木の根を取り除いたううえで、配管の交換工事を実施しました。

 

<雨水枡の周辺の状況:枡のそばに高い樹木が植生>

<雨水枡の周辺:枡の周辺に多くの根が伸びている>

<枡内に根っこが混入>

<切断した雨水管内にも根っこが大量に混入>

 

ただ、現在詰まり等が発生していない場所でも、今後木の根が侵入するリスクがあるため、どの植栽が排水管の詰まりに影響しているのかを植栽業者にヒアリングし、再発防止策を検討することになりました。

 

その結果、特に敷地内に植生している高木(針葉樹 )の根が、雨水枡経由で排水管内に侵入して詰まらせていることが判りました。

 

そのため、このマンションでは敷地内の高木の伐採を検討することになりました。

 

植栽が豊かで高木の植生しているマンションでは、樹木の成長とともに木の根も伸びるので要注意です。

 

ちなみに、高木が育ってくると、植栽管理作業にも手間(人件費)がかかるので、経年的に維持管理費も上昇する傾向が見られます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

築20年を超える時期に植栽の植生状況を点検のうえ、見直すことも必要かもしれません。

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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被害総額9億円!?史上最悪かもしれないマンション管理組合の財産着服事件

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12月4日付けのYahoo!ニュースに、「  被害総額は最大9億円の可能性 ビルメンテナンス会社の元社員、マンション管理組合の預金を着服か」と題した記事が掲載されていました。

<参考記事>

www.nikkei.com

本記事の要約は以下のとおりです。

■ 大阪府吹田市に本社を置く「ビケンテクノ」に勤務していた60代の元男性社員が、複数のマンション管理組合の預金を着服した疑いがあることが分かったた。

■ 被害総額は最大で約9億円に上る可能性があるということです。

■ビケンテクノによると、元社員の男性は20年近く会計業務に携わっていたが、11月中旬に連絡が取れなくなり、調べたところ、管理組合の預金を不正に引き出した疑いがある。

■対象となる管理組合は10を超えており、会計に関する書類を改ざんしていた可能性もあり、被害総額は最大で約9億円にのぼる可能性があるとしている。

■会社は男性を懲戒免職としているが、すでに警察に相談している。

 

「株式会社ビケンテクノ」は、創業60年を超えるビルメン会社の老舗で、東証スタンダード市場に上場しています。

社員もパート等を除いて2千名を超える大手企業です。

 

現状の調査によると、同社の元社員が管理組合様の預金を不正な手段で引き出し、管理組合会計に関する書類を改ざんしたため、発覚ができなかったものとされています。

 

12月1日付けで、外部専門家(弁護士、公認会計士)による調査委員会を設置し、本件の調査を進めることになったとの発表をしています。

 

当該文書によると、対象の管理組合が多数、かつ預金口座等も多数にのぼるうえ、過去に遡って調査を実施する必要があり得ること、まら元社員が消息不明のため調査の手がかりが限定されること等から、調査に時間を要するだろうとの見解を述べています。

 

現時点では全容不明であるものの、被害総額は9億円程度に達する可能性があるとのこと。

 

同社のホームページを確認する限りでは、マンション管理業の登録はあるものの、さほど実績は多くなさそうです。

 

また、過去の事例を確認する限り、同社においてマンション管理適正化法に係る違反事例は見られません。

 

管理組合の会計処理は特殊なうえ、物件数もさほど多くなかったことから、長年同じ社員が単独で関わっていたことが想像され、その結果、社内での監視・チェックが行き届かなかったことが被害額を大きくした要因の一つのように思われます。

 

なお、会計操作の方法として、架空の修繕工事費を計上するなどの手口もあったのではないかと思われますが、管理組合の理事や監事による会計帳簿のチェックも杜撰だった可能性が考えられます。

 

昨今、新築マンション等で「管理会社による第三者管理方式」が増加する傾向にありますが、これに冷や水を浴びせたような事案と言えます。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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