マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

無料診断でわかる!管理会社のズサンな仕事ぶり

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管理会社の業務状況に疑問を感じた管理組合の理事さんから、当社宛にメールで相談を受けました。

 

その役員さんが日常懸念を感じている管理会社に対する懸念や不満の内容は、概ね以下の通りでした。

■ 修繕工事の発注先選定のため相見積もりの取得を管理会社に依頼しているが、いつも特定の業者1社からの提示しかない。


■  昨年の組合総会で上記業者によるポンプ交換工事の予算が計上されているが、見積書などの資料がない。

 

■ 管理会社担当者に対して理事から質問や相見積もりを依頼してもスルーされる。

 

そこで、管理会社が日常業務をどのように行っているか状況を把握するため、「マンション管理適正化診断サービス」(無料)を受診されることをお勧めし、理事長さんからも了承が得られたため実施することになりました。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

 

その後、理事さんの立会いのもと、マンションの管理室で診断を実施したものの、まず重要資料の保管状態がかなり酷いために診断そのものが実施できないことがわかりました。

 

このマンションでは、約10年前に今の管理会社に変更された経緯があるのですが、管理室内にある資料のほとんどが以前の大手管理会社の時代のものでした。

 

少なくとも以下に掲げる重要資料が管理室には保管されていません。

過去5年以内に開催した総会議案書と議事録

・各種設備点検報告書(消防設備、建築設備定期検査など法定点検を含む)

・大規模修繕工事の完了報告書ならびに保証書

・管理委託契約書

・長期修繕計画書(更新後のもの)

 

そのため、理事長さんを通じて管理会社に資料を送付するよう要請してもらったところ、管理会社の担当者から理事長さん宛に驚くべき内容のメールが送られてきました。

 

先日の依頼のあった書類についてですが、理事会決定として承認されていません。

管理会社として勝手に提出することは出来ません。

マンションの大切な資料を見ず知らずのひとにマンションの情報を提供することは管理委託契約に反しますのでご理解下さい、まず次回の理事会で決議承認して下さい。

 

甚だしい問題のすり替えに呆れてしまいますね。

 

管理受託会社として、顧客の重要資料の保管・整理を行わずに長年放置していたことを全く「棚上げ」にしたばかりでなく、自身が知らぬ間に組合が適正化診断を依頼したことをあたかも契約違反であるかのように主張して理事長を牽制しています。

 

国交省の「標準管理規約」には以下のような定め(抜粋)があります。 

第49条 (議事録の作成、保管等) 

4  理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

 

第64条 (帳票類の作成、保管)

理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。

 

このマンションでは 「総会議事録は管理事務室に保管している」旨を掲示しているにもかかわらず保管されていませんし、会計帳簿等も直近ものはまったく見当たりませんでした。

 

このような状況を招いた原因として、

まず管理組合自身が管理会社の業務を主体的にモニタリングしていなかったことは確かです。

 

しかし、事務管理を含めて全部委託されている管理会社にも、規約に反する状態を放置している責任を真摯に感じてもらわねばなりません。

 

まして、現状に関する反省や謝罪もなく、組合が外部の専門家に診断を依頼したことに「逆ギレ」するのは言語道断です。

 

このマンションの将来は、今から管理組合自身がリスクに目覚めていかに行動し、組合全体の意識を改革できるかにかかっています。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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6月度 マンション管理セミナー開催のお知らせ

6月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、下記の通りご案内いたします。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

令和元年  6月 15日(土) 

13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 セミナー後の個別相談をお申込みの方には、もれなく弊社代表の著書「マンション管理見直しの極意」を進呈いたします!

 

【内 容】

1. 講 演 

管理コストを3割削減するための見直し術

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

ポイント1】 管理人の勤務体制と業務内容


最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

ポイント2】 各種共用設備保守点検の契約


エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

ポイント3】 遠隔監視&緊急対応費用

 

設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

ポイント4】 事務管理費などの管理会社経費

 

管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから「セミナー参加希望」と明記のうえ、お申し込みください。 

  

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マンションの建替え・解体、いずれも「至難の業」のワケ

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5月10日付の朝日新聞に、「マンション解体、いばら道」という記事が掲載されていました。

digital.asahi.com

本記事を要約すると、以下のとおりです。

■ 新潟県湯沢町で、区分所有者全員合意にもとづき、老朽化したリゾートマンションが解体の後更地で売却され、管理組合が解散した。

■ 解体されたのは、築44年・30戸のマンションで、苗場のリゾートマンションの草分け的な存在だった。

■ しかし、バブル崩壊後に利用者が激減。その後、管理費や修繕積立金の滞納も相次ぎ、修繕もままならなくなった。

■ 廃虚になるのを避けようと、2014年に区分所有者の一人が動き、他の区分所有者を登記簿で調べ、アンケートを実施して意向を聞いた。

■ アンケート結果を集計した結果、マンションの利用希望者は皆無だったことから、解体の方針が決まり、建物を閉鎖した。

■ ただし、マンションを解体して更地を売却するには、所有者全員の合意が必要にもかかわらず、区分所有者のうち4名の連絡先が不明のため、探して合意を取り付ける必要があった。
■ 管理会社の部長は、周辺の「聞き込み」から始め、不明の所有者を突き止めた。解体に反対した所有者には、「このまま放置して何か事故が起きたら、責任を問われかねない」などと説得し、解体の合意が得られた。
■ その後17年の組合総会で全員合意による解体を決議。修繕積立金残高を使って解体し、昨年6月に更地となった。
■ 滞納管理費の一部を回収できたこともあり、追加負担なしで処分できたが、動き出してから5年がかかった。
■ 今回のケースで売却が実現した背景には、修繕積立金が使われずにたまっていたため、それを解体の資金を確保できたことがある。それでも5年の歳月と、関係者の膨大な手間を要した。マンションの「終活」がいかに困難かを示した事例である。

■ 国土交通省の統計では、分譲マンションの総戸数は17年末時点で約644万戸ある。20年後には、築40年超の老朽物件が約350万戸に増えると見込まれる。

■ 建替えには見切りをつけてマンションを解体しようとしても、そこには「所有者の合意」という高いハードルが待ち受ける。修繕積立金が十分にプールされていなければ、修繕も解体もできないまま、廃虚となって放置されるリスクが高まる。

■ 一部の専門家からは、「少子化が進む日本では今後、マンション解体を前提にすべきで、更地売却の場合でも『5分の4』の合意を原則とし、解体費用の積み立てを義務化すべき」との意見もある。

 

 マンションの建替えを決議するには、区分所有法で「総会決議で全所有者の5分の4以上の賛成が必要」とされています。

 

それでは、

建物解体⇒敷地売却には、なぜ所有者「全員」の賛成が必要か、ご存知ですか?

 

敷地売却は、区分所有法ではなく民法の条文にもとづくからです。

 

分譲マンション全体は、各区分所有者による「共有物」ですね。

 

民法では、共有物を処分する際には共有者全員の合意が必要です。

 

しかし、分譲マンションの管理・運営において常に全員合意を条件とするのはあまりにも非現実的です。

 

そのため、「民法の特別法」として区分所有法を定め、原則として過半数の合意で足りるようにしたわけです。

 

ただし、管理規約の改正や共用部の大きな変更などの重要案件は「特別決議事項」として全体の4分の3以上、そして建替えについては全体の5分の4以上の賛成を要すると別途定めました。

 

しかし、マンションを解体したら、おのずと区分所有権も消滅し、敷地の共有持分だけになってしまいます。

 

そのため敷地売却に際しては、民法の原則どおり「共有者全員の合意」が求められる、というわけです。

 

しかし、冒頭の新聞記事にも紹介されているように、老朽化マンションの建替え事例は極めてレアケースとなっています。

 

その最大の理由は、やはり建替え資金の問題です。

 

建替えを実現するには、既存建物の解体費、居住者の移転費用、仮移転中の家賃、新築建物の建設費を工面する必要があります。

 

幸運にも、もし既存建物に余剰容積があった場合には、「空中権」をデベロッパーに売却することで建替え資金をねん出するという「マジック」も活用できますが、通常は各人が1千万円単位の費用を負担しなくてはなりません。

 

当然ながら、区分所有者によって経済状況が異なるため、全体の8割の合意を取り付けるのは容易ではありません。

 

とは言え、老朽化した建物に永久に住み続けられるわけではありません。

 

資金的な問題で建替えが困難となれば、(建物解体費は何とか捻出したうえで)敷地の売却で組合を解散するプランも選択肢に入れたいところです。

 

ところが、敷地売却は、上記のとおり民法の定めで「全員の合意」が求められるため、さらにハードルが上がってしまいます。

 

その解決策として、さすがに耐震性が足りないマンションや、大規模に被災したマンションを対象とする「マンション敷地売却制度」(2014年)が施行され、全体の5分の4以上の合意があれば解体・売却できるようにはなりましたが、これでは「焼け石に水」です。

 

老朽化マンションの将来は完全に「袋小路」にはまり込んでしまっていると言えます。

 

今後少子高齢化が進む中、近い将来マンションでも所有者不明や相続放棄などの住戸が出現することは間違いないでしょう。

 

しかしながら、わが国では不動産登記も義務化されていないため、連絡が取れなくなった場合に本当の所有者を捜索するのはとても厄介な仕事です。

 

・管理組合の設立は法的義務だが、設立しなくとも罰則なし。

・区分所有者の管理は、登記制度が義務化されていないため非常に心許ない。

・管理者の選任、管理規約や長期修繕計画の作成は、管理組合にお任せ。

・計画的に修繕が実施されているかどうかも、管理組合にお任せ。

 

こうしたある意味「放置プレイ」の環境のもとにありながら、建替えや敷地売却を実現するハードルだけやけに高いのは、あまりにも性善説に偏っていて、著しく制度的なバランスを欠いているように思うのです。

 

<参考記事>

     

yonaoshi-honpo.hatenablog.com yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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5年ぶりの「マンション総合調査」結果でギモンに思ったこと

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去る4月26日に、国交省より「平成30年度マンション総合調査」の結果が公表されていましたので、その内容についてご紹介します。 

 

 (1)アンケートデータの収集方法と対象

 

■ データ収集の手法:アンケート調査
■ 対象地域     : 全国
■ 調査実施期間   : 平成30年11月~12月
■ 収集データ数   : 4,200 管理組合  8,400 区分所有者

 

(2)サマリー


1)世帯主の年齢 
・「60 歳代」が 27.0%と最も多く、次いで「50 歳代」が 24.3%、「70 歳代」が 19.3%、「40 歳代」が 18.9%。

・30 歳代以下は減少する一方で、70 歳代以上は増加しており、着実に高齢化が進行している

 

2)賃貸住戸・空室戸数

・築年数の増加とともに賃貸住戸・空室数も増加

 

3)所在不明・連絡先不通の戸数割合(新規調査項目)
・昨今注目されている「所有者不明問題」に対応すべく創設?

「 20%超」( 2.2%)

 

4)永住意識
「永住するつもりである」: 62.8%

・永住志向の割合が着実に上昇している。


5)管理規約の改正状況
・改正したことがある: 88.5%

 

 

6)戸当たり管理費・修繕積立金
・戸当たりの管理費の平均 :月額 15,956 円(駐車場使用料等の充当額含む)
・駐車場使用料等からの充当額を除いた場合:月額10,862 円


・戸当たり修繕積立金の平均:月額12,268 円(駐車場使用料等の充当額を含む)
・駐車場使用料等からの充当額を除いた場合:月額 11,243 円

 

7) 管理事務の実施状況
「管理事務の全てをマンション管理業者に委託」: 74.1%
「分譲時に分譲業者が提示したマンション管理業者である」: 73.1%

 

8) マンション管理業者のサービスとして希望するもの(新規調査項目)
「専有住戸内で発生した水回り、鍵、電気などトラブルへの緊急対応」: 66.9%


9) 管理状況全般の満足度
「非常に満足」(24.9%)「やや満足」(37.9%)の合計で6割超

 <満足の理由> 

「マンション管理業者が良い」( 68.8%)、「管理員が良い」( 52.4%)

「管理組合役員が熱心」 ( 34.8%)

 

 <不満の理由>

「一部の居住者の協力が得られにくい」( 48.5%)

「マンション管理業者が良くない」(28.7%)

「管理組合役員が不慣れ」( 26.3%)

 

10) 現在の修繕積立金の積立方式(新規調査項目)
・均等積立方式( 41.4%)段階増額積立方式( 43.4%)

11) 修繕積立金の積立状況(新規調査項目)
現在の積立額が計画 に比べて不足:34.8%
不足がある割合が20%超のマンション:15.5%

 

12) 総会への出席状況
直近の通常総会への出席割合:82.1% (委任状及び議決権行使書提出者を含む)
実際の出席割合の平均   : 32.9% 

 

13) 役員報酬の支払い状況
「報酬は支払ってない」: 73.3% 「役員全員に報酬を支払う」: 23.1%
各役員一律の場合の報酬額平均:約 3,900 円/月。
一律でない場合の理事長の報酬平均額:約 9,500 円/月

 

14) 理事会の開催状況
「月に1回程度」:36.5%、次いで「2ヶ月に1回程度」が 25.4%。

15) 組合員名簿等の作成及び閲覧状況
「組合員名簿及び居住者名簿がある」: 77.3%

「いずれもない」: 6.6%

16) 大規模災害への対応状況
「定期的に防災訓練を実施」: 44.1%

 

17) 専門家の活用状況
「専門家を活用したことがある」: 41.8%
「建築士」(15.6%)「弁護士」( 15.2%)「マンション管理士」(13.0%)

 

18) 外部役員を選任する意向・理由(新規調査項目)
「外部役員の選任を検討又は必要となれば検討したい」28.3%

<理由>

「区分所有者の高齢化」( 37.6%)「役員のなり手不足」( 36.5%)

 

19) トラブルの発生状況
「居住者間の行為、マナー」( 55.9%):生活音、違法駐車

「建物の不具合」( 31.1%):水漏れ、雨漏り

「管理費等の滞納」( 23.9%):「3ヶ月以上の滞納住戸あり」 24.8%

 

20) 管理に関して取り組むべき課題
「防災対策」 33.6%、「長期修繕計画の作成又は見直し」 32.0%

「修繕積立金の積立金額の見直し」 28.9%

 

21)管理組合運営における将来への不安
「区分所有者の高齢化」( 53.1%)「居住者の高齢化」( 44.3%)

 

まず、アンケートのデータとしての有効性を確認しておきたいと思います。

 

現在の全国分譲マンションのストックは約644万戸(2017年末時点)です。

 

マンション管理業協会によると、登録会員である管理会社の受託戸数(約590万戸)は棟数ベースで約11万棟におよぶとのことですから、ストック総数に換算すると約12万棟になると推定できます。(下記サイトページ参照)

 

www.kanrikyo.or.jp

総数約12万棟に対して調査によって収集できた管理組合数は4,200ですから、団地管理組合の存在を考慮しても、せいぜい4〜5%程度の収集率にすぎないことになります。

 

そして、これはあくまで推定に過ぎませんが、

アンケートに回答している管理組合は役員の意識が高く、その結果優れた組合運営をしている可能性が高いと思われるということです。

 

その一端が伺えるのが、上記10)11)の修繕積立金に関する回答結果です。

 

「均等積立方式にもとづいて徴収」していると回答した割合が、なんと4割を超えています。

 

これまで多くの管理組合をコンサルティングしてきた実感からすると、ちょっと考えられないほどです。

 

実態としては、せいぜい全体の1割程度、どれだけ多くても2割未満でしょう。

 

さらに、「現在の積立額が長期修繕計画に比べて不足している」と回答した割合がたった3割強にすぎない点にも大きな違和感があります。(下記記事参照)

 

www.nikkei.com

つまり、本調査の結果は、マンション管理組合の上位数%を対象としたもので、これを管理組合全体の実態を反映していると考えるとミスリードしかねないということです。

 

とはいえ、

ご自身の管理組合を運営するための「指針」として参考するために活用されるならば問題はありませんし、むしろ有益です。

 

管理組合の抱える悩みや課題については、おおむね実態を反映していると思われるからです。

 

ただ、統計データのボリュームの有意性や回答者の偏りに関するリスクについては、十分ご留意ください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

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マンション共用設備更新の際は、相見積もりに「ひと工夫」を!


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築15年目を迎える顧問先のマンションで、「増圧給水ポンプユニット」の更新を検討することになりました。(画像は装置のイメージ)

 

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管理会社の点検報告によると、設備耐用年数(15年)を迎えており、各所に経年劣化や腐食が見られるということでした。

 

消耗部品の交換やユニット全体のオーバーホール(整備)を実施することも可能ですが、その後本体に重大な故障が生じた場合には、結局装置全体の交換が必要になるため修繕費が余計にかかってしまうリスクもあります。

 

また、給水装置については、居住者のライフラインを維持するために不可欠なため、故障してから交換するのではなく、予防保全的な観点から計画的に修繕することが望ましいです。

 

このポンプユニットのメーカーは、T社です。

そのため、同社の新製品での更新の提案と見積書が提示されました。

 

見積金額の妥当性を検討するため、他社から相見積もりを取得することになりました。

 

ただ、T社の製品を前提にしてしまうと、他社がT社から仕入れる際にその分金額が高くなってしまうため、他の経費で削減努力しても総額はほぼ変わらないことがわかりました。

 

そこで、T社以外のメーカーの製品に更新することも視野に入れることで競争原理を導入することを理事会に提案しました。

 

国内の主要なポンプメーカーには、業界で有名なE社やK社もあるため、今回はK社の製品で相見積もりを取得することにしました。

 

その結果、T社の見積金額に比べて10%強金額を下げることができました。

 

ポンプ装置一式は工事費込みでおよそ2百万円以上かかるので、たとえ1割でも節約効果としては小さくありません。

 

管理会社に見積もりを任せると、

ポンプ装置のメーカーの選択肢を広げてまで相見積もりを取るという発想はなかなか出てこないのではないでしょうか。

 

また、もしポンプ交換後の保守点検業務も受託できるチャンスが広がるとすれば、他メーカーの提案に対するモチベーションも高まり、見積金額の低減につながる可能性もあると思います。

 

多額の費用がかかる設備更新は、管理組合にとっては苦しいかもしれませんが、見積もりの取得に「ひと工夫」加えることで、その費用を節約することも可能です。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com
 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンションの管理規約と「住みやすさ」の関係

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4月19日付の「まぐまぐニュース!」に、「それで住みやすいか?マンション共用部分にモノ置くなと叫ぶ人々 」という記事が掲載されていました。

 

www.mag2.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ まわりに迷惑にならないことまではダメ出しせず、ある程度は個人の事情や利便性を尊重し、これまで特に問題のなかったマンションがある。

■ しかし、ある時から、共用部分の番人のような住人が現われ、見回ってはダメ出しして、管理会社や理事会に厳しく取り締まるように迫るようなケースがある。

■ また、あるマンションでは、室内駐輪場に複数の空気入れが置かれていて、暗黙の了解で他の人もそれを使わせてもらっていた。 しかし、新たに就任した理事長が「共用部分に私物を置いているのはけしからん、すぐに撤去させるように」と管理会社に指示したという。

■ 別のマンションでは、ある住民が、共用部分に私物がないか巡回チェックしていて、少しでも見つけると理事会にクレームを入れる。

■ 「共用廊下やポーチは共用部分だから私物を置いてはいけない。避難通路でもあるから。」というのが原則なのは確か。でも、あまり厳しく取り締まると暮らしにくいと感じることも事実だ。

■ 子供を連れて自転車で買いものに行って帰ってきたが、子供と荷物があるため、自転車をラックにしまえず、しばらく駐輪場以外の場所に自転車を止めていた。それを他の住人に厳しく注意されたことで、その後買い物に行けなくなった…という話もある。

■ 皆が周りを気遣って、ルールを守りながらも、それぞれの事情があるのだからと、一時的なものや迷惑にならないことには、片眼をつぶっているというのが、暗黙のうちにバランスの取れた住み心地のいい状態をつくってきていたなら、それはいい「文化」である。

■ そうした「文化」に無関心な人が画一的に取り締まることでその「文化」を壊していくことは、マンションにとって決してプラスとは思えない。結局、重大な合意形成時に必要なのは、まわりに対する気配りや事情がある人に対する想像力であり、その「文化」が育っていることだからだ。

■ もちろん、最初から、ルールを守ることを徹底し、それによって資産価値を維持するというコンセプトを守り続ける…それもひとつの「文化」だ。

 

筆者が記事の中で主張している「文化」の部分は私にも理解できます。

 

管理規約や使用細則に記載されたとおり何でもキッチリと運営しようとすれば、人間関係がギスギスしたものになりかねません。

 

しかし、だからと言って、管理組合や理事会の立場としては、こうした明文化されたルールとは別の「暗黙の了解」や「不文律」の存在を公式に認めるわけにはいきません。

 

また、筆者が好むような「文化」を好むかどうかは、その個人の価値観の問題です。

 

筆者とは反対側の「文化」を好む人も少なからずいるはずで、彼らは「管理規約や使用細則を遵守すべき」と主張するに違いありません。

 

もし筆者が好むような「皆が周りやそれぞれの事情を気遣って、一時的なものや迷惑にならないことには片眼をつぶるような文化」を醸成したいなら、日頃の住民同士の近所付き合いや、町内会といったコミュニティ活動に力を入れるべきではないでしょうか。

 

マンションで企画するならば、住民間の懇親会や防災訓練、除草会などの活動をレクレーションとして実施することも有効でしょう。

 

実際、顧問先のマンションでは定期的にこうした活動を企画されているところもあります。

 

袖振り合うも多生の縁」という仏教由来の言葉があります。

 

「道で人と服の袖が触れ合うようなささいなできごとでも、それは偶然ではなく前世からの因縁だから大切にしなければならない」という意味です。

 

たまたま同じマンションで暮らしているだけであっても、住民同士はすでに「袖振り合う」関係となっているはずですが、昔のような井戸端会議や近所づきあいもすっかり影を潜め、こうした価値観が薄れつつあるのが現実です。

 

各人がどういう地域コミュニティにしたいのかを真剣に考えながら、地道に努力を継続することが求められるのだと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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管理組合財産の着服事件と「上っ面だけ」の反省文

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4月15日付けで国交省 関東地方整備局からマンション管理会社が行政処分(指示処分)を受けたとのリリースがなされました。

 

その内容は以下のとおりです。

■ 処分対象業者

 株式会社日鉄コミュニティ

■ 処分理由

 同社が受託している複数の管理組合において、元従業員が組合財産を不正に着服したため、組合に損害を与えたため。

■ 処分内容

1)本件違反行為の内容及ぶ処分内容に関する役職員への周知徹底

2)法令順守の社内徹底、ならびに社内研修教育の計画的かつ継続的な実施。

3)社内業務管理体制の整備

4)再発防止策の策定ならびに継続的な実施

5)上記のすべてに関する報告書の提出

 

ちなみに、今回処分された日鉄コミュニティの概要は以下のとおりです。

■ 親会社 

 新日鉄興和不動産

■ 従業員

 約1,000名

■ 受託件数

 732棟

■ その他

 平成26年に「興和不動産レジデンスサービス」を吸収合併

 

 日鉄コミュニティのサイトページにもお客様へのご報告とお詫びとして国交省の処分文書とほぼ同じ体裁の文書が掲載されていました。

 

ただ、そこには以下のような「至極当然の事柄」以外は何も書かれていません。

・被害に遭った管理組合への報告と謝罪、ならびに損失の補てんを行ったこと

・コンプライアンス強化と信頼回復に向け全社一丸で取り組むという意思表明

 

本気で再発防止に取り組もうとするなら、その原因を徹底的に分析することが何よりも重要です。

 

着服できた「環境」や「手口」が一体どのようなものか公開されておらず不明ですが、過去の事例から以下のような可能性が考えられます。

 

■ 管理現場で現金を取り扱える環境にあった。

■ 法令で禁じられて久しい「預金通帳と印鑑のダブル管理」が容認されていた。

■ 架空の修繕工事や物品購入など請求書をねつ造した。

 

このような状況と手口のいかんによって、講じるべき対策もおのずと変わってくるはずです。

 

そういった情報も考察もまったく外部には示されず、毎度似たり寄ったりのうわべだけの反省文の提出を繰り返していることがこの業界の最大の問題でしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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