マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

「住民同士の挨拶はしない」と決めたマンションの話

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マンション内で住民同士が挨拶すべきか否かというテーマで、新聞読者が投稿でボヤいていた記事がメディアで話題になっています。

 

たしかに最近の世相を反映しているとは言え、さすがに「ついにそこまで来たか・・」と驚きを禁じえませんでした。

 

その投稿がこちら。

 

【理解に苦しんでます】<11月4日付 神戸新聞>

住んでるマンションの管理組合理事をやってるんですが、先日の住民総会で、小学生の親御さんから提案されました。「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めてください」。子どもにはどの人がマンションの人かどうか判断できない。教育上困ります、とも。

すると、年配の方から「あいさつをしてもあいさつが返ってこないので気分が悪かった。お互いにやめましょう」と、意見が一致してしまいました。

 

その告知を出すのですが、世の中変わったな、と理解に苦しんでいます。
(神戸・西、自営、男、56)

 

 

投稿者の住むマンションの組合総会で、「住民同士の挨拶は止めよう」というルールが決まり、それを住人に告知することになったようで、この投稿者は「理解に苦しむ」と嘆いているのです。

 

投稿記事中に「一致した」とされている2つの意見の主張内容を整理すると・・

 

<「小学生の親御さん」の意見>

「子供が犯罪等に巻き込まれないよう、知らない大人から挨拶されても無視しろと教えている。住民の皆さんも敢えて子どもに声を掛けないでほしい」

 

<「年配の方」の意見>

「マンション内で他の住人に挨拶しても返事がなく、不愉快な思いをしていた。それなら、こちらも気を使わなくてよいように、いっそ挨拶はしないルールにしてもらいたい。」

 

たしかに、大人と子供の間の挨拶については防犯上の観点から「一理ある」とも言えます。

 

ただ、逆に「挨拶しないのは、防犯上好ましくない」という意見も少なくありません。

 

不審者は、コミュニティー的な習慣(近所付き合い・挨拶・人の目)を嫌う傾向があるからです。

 

<参考記事>

r25.jp

もう一つは、

挨拶をされて返さないのは何も子供に限ったことではない、ということです。

 

実際、ウチの子供も、「朝のゴミ出しの時に大人の住民に挨拶しても無視された」とボヤいていたことがあります。

 

穿った見方をすれば、「同じマンションの住人でも挨拶しないのが今やジョーシキ」となっていて、むしろ「挨拶をする大人は何か下心のあるアヤシイ奴」だと見なされつつあるのかもしれません。

 

しかし、マンション内の住人同士が知り合いになる機会としては、以下の3つくらいしかありません。

 

・部屋が隣り同士のために接触頻度が高く、自然と知り合いになるケース

・「ママ友」付き合いのように、子供同士の関係を通じて知り合いになるケース

・管理組合や自治会の役員になることで知り合いになるケース

 

そう考えると、特に子供のいない世帯では、マンション内で知り合いをつくる機会はほぼゼロです。

 

もちろん、マンション内で知り合いがいないなら、町内会(自治会)への参加もあったものではないのでしょう。

 

いわば、地域コミュニティーの崩壊です。

 

 「挨拶はすべきもの、されたら返すべきものだ」という不文律がいつしか風化し、「挨拶をしないことをルール化する」ようなご時世・・・世知辛い。

 

結婚や出産も当たり前ではなくなり、年々単身世帯の割合が増えています。

 

職場も、正規・非正規雇用問題やブラック化によって、家族的な雰囲気は望めない

自分が暮らす地域でも近所づきあいもなく、コミュニティが成立しない

深まる孤独感・・・

 

日本の都市生活はこれからどこへ向かっていくのでしょう?

 

後編の記事につづく。

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 <参考記事>

www.mlab.ne.jp

 

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