マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

管理組合財産の横領事件の温床は、「組織の機能不全」にあり

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3月17日付の毎日新聞に、残念な事件が掲載されています。

この記事の内容を要約すると・・・

◆「北海道ベニーエステート」の元社員(懲戒解雇済み)が15年間にわたって13の管理組合から修繕積立金や管理費等から合計1.8億円を着服していたことが発覚。

◆手口は、不正に業務指示書の発行や、領収書の偽造など不正な経理処理を繰り返して行った模様。

◆着服した金は、個人の遊興費等に使用したとのこと。

◆元社員は全ての組合費を1人で管理していたことなどから、長期間発覚しなかったとみられる。

◆管理会社は、各管理組合の被害額を全額返納することを表明する一方、元社員を刑事告発する意向。

 

管理会社の社員による着服や横領と言えば、管理会社が組合の通帳と印鑑の両方を預かるという「違法状態」の中、モラルの低い社員が誘惑に負けて犯罪に手を染めてしまう・・のがほとんどです。

 

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 今回の事件がこのような違法状態にあったどうかはこの記事からは判然としません。

 

しかし、特に注目すべきは、管理会社の内部で「全ての組合費を1人で管理する」社員が、「不正に業務指示書を発行」しながら組合財産を横領していたことを「15年間」の長期にわたって上司を含む他の社員が気づけなかったことにあります。

 

と言うのも、本記事によれば、着服が発覚したきっかけについて「管理組合から『組合費を別口座に移動したい』との申し出があり、既に引き出され本来とは別の口座で管理されていたことが判明』と説明されており、管理会社自身の内部監査によるものではないと推測できるからです。

 

北海道で13,000戸の管理実績を誇り、いまや三菱地所グループの管理会社でありながら、社内のチェック体制がまるで機能していないという点では、もはや組織の体をなしていないと言わざるを得ないでしょう。

 

しかし、被害者側の管理組合においても善管注意義務が果たされていたか疑問です。

たとえば・・

・銀行通帳と印鑑を両方管理会社に預けていなかったか?

・毎年の定期総会時に理事会が決算書の内容と預金残高を確認をしていたか?

・管理会社が要請するままに理事長がメクラ判を押していなかったか?

など、これまでの行いを振り返ってみる必要があるでしょう。

 

つまるところ、このような事件は、管理会社(業者)と管理組合(顧客)の両組織でガバナンス機能が不全なために生まれた悲劇であり、内部チェック体制を見直さない限り再発しかねないと思います。

 

 

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