マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

「マンション管理セミナー」開催延期(4/18 → 5/16)のお知らせ

4月18日(土)に開催を予定していたセミナーは、コロナウィルス感染予防のため延期させていただきます。

 

次回の開催につきまして以下のとおり予定することとしましたので、ご案内申し上げます。

  

先着5名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

 

【日時・会場】

令和 2年 5月 16日(土) 

13:30~15:00

 

LEAGUE 地下1階 ミーティングスペース

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 セミナー後の個別相談をお申込みの方には、もれなく弊社代表の著書「マンション管理見直しの極意」を進呈いたします!

 

【内 容】

1. 講 演 

管理コストを3割削減するための見直し術

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

ポイント1】 管理人の勤務体制と業務内容


最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

ポイント2】 各種共用設備保守点検の契約


エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

ポイント3】 遠隔監視&緊急対応費用

 

設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

ポイント4】 事務管理費などの管理会社経費

 

管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。(無料)その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから「セミナー参加希望」と記載のうえ、お申し込みください。 

  

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築13年目のマンションでエレベーター保守契約が「フルメンテナンス仕様」になったワケ

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昨秋から管理コスト適正化に取り組んでいたマンションで、昨日総会が開催され、管理委託費の減額が無事承認されました。

 

昨日は、季節外れの降雪の中、ウィルス感染防止対策として会場の窓や扉が大きく開放された状態での開催となったため、まさに凍えそうでした・・・(寒)。

 

さて、こちらのマンション(築13年目)については、昨年末から2回にわたって管理会社との委託条件の交渉を行ったところ、当初の削減目標(=事前の査定額)を超える成果を挙げる見通しが立ちました。

 

しかし、その交渉過程で予想もしていなかった提案が管理会社からありました。

 

なんと、エレベーターの保守点検について現状のPOG契約からフルメンテナンス(FM)契約に切り替えることも可能だというのです。

 

その具体的な提案条件を図に表すと、以下のようになります。

 

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上の表のとおり、POG契約の場合、経年劣化に伴う「部品の修理・交換」にかかる費用の負担は委託費の中に含まれていません。

 

一方、FM契約の場合は、「部品の修理・交換」にかかる費用も保守会社の負担となります。その分、当然ながら委託費はPOGより高く設定されます。

 

つまり、FM契約の場合、築30年前後で必要になる設備リニューアルまでの修繕費については、「事前積立分」として毎月の保守委託費に含んだ格好になっているわけです。

 

しかし、通常では既築マンションのエレベータで当初からPOG仕様で契約している場合、途中でFM契約に変更することはできません。

 

その理由は、保守会社の将来の修繕コストの負担リスクにあります。

 

独立系保守会社でも、FM仕様とPOG仕様の金額差(=修繕費の事前積立分)として毎月1万円程度(税別)は設けています。

 

そのため、設備リニューアルまでの30年間ではその積立て分がトータルで360万円が積み上がることになります。

 

もし仮に、築10年目でPOGからFM仕様に切り替えを認めると、事前積立てがその3分の2(240万円)に減ってしまいます。

 

それでは、今回なぜこのような提案が実現したのでしょうか?

 

事情を確認したところ、独立系保守会社による大手マンション管理会社への営業政策の一環として、同社受託物件に対して極めて例外的に提案したものであることがわかりました。

 

管理組合にとっては、メーカー系から独立系への委託先変更によってPOG契約での委託金額を大きく削減することも可能でした。(現状比46%ダウン)

 

一方、現状とほぼ同等のコスト負担ながら、将来の修繕費用の負担が免除されるFM契約への切り替えも選択肢として増えたわけです。

 

その結果、この管理組合では、今後修繕費の負担がないFM契約に仕様変更する方針を選択されました。

 

その背景には、修繕積立金会計の剰余金不足という事情がありました。

 

昨年、こちらのマンションでは初めての大規模修繕を実施したところ、外壁タイルの不具合が当初の想定をはるかに超える割合で発生していたたため、工事予算が大幅に増えたために剰余金が大きく減少してしまったのです。

 

今回の総会では修繕積立金の増額改定(現状比60%増)も議案に上程され、無事承認されましたが、今後の修繕費負担のリスクを抑制するためにエレベーター保守もFM仕様への変更を決断されました。

 

ここで、管理組合にとって現状のままPOGでコスト削減を享受するのと、FM契約に切り替えて将来の修繕支出を免れるのとどちらが得なのか、検証してみましょう。

 

(1)リニューアルまでのエレベーター修繕費の総額

概算では、およそ400万円と推測されます。

<年額12万円(FMとPOGの通常差額)×30年×1.1(消費税分)=396万円

 

一方、このマンションにおいて竣工以来実施した修繕工事は、

合計24万円(各種バッテリーの交換)でした。

 

したがって、

今後リニューアルまでに必要な修繕費用は、差引き372万円・・(A

と想定されます。

(2)FM契約を選択した場合

POGの委託費との差額分(年額+17.6万円)が将来の修繕に備えた積立分に該当しますが、その金額の合計は、リニューアルまでの今後17年間の総額で

329万円(税込ベース)・・(B

<年額17.6万円(POG契約との差額)×17年×1.1(消費税分)>

 

(3)POG契約を選択した場合

今回の契約変更に伴うエレベーターの保守委託費(POG契約のまま)の減額効果で得られる剰余金の増加は、

337万円(税込ベース)・・(C

<年額18万円(現契約との差額)×17年×1.1(消費税分)>

 

つまり、上記前提条件で両者を比較した場合、

・FM契約を選択した場合 :43万円の得 <(A)ー(B)>

・POG契約を選択した場合:35万円の得 <(A)ー(C)>

 

上記の前提条件をもとに比較すると、FM契約を選択する方が若干お得ではありますが、そんなに大きく変わらない結果となりました。

 

ただ、消費税の増税、あるいは大きなインフレが将来発生するリスクを考えると、事前に支出が確定しているFM契約を選択した方が無難と言えるでしょう。

 

いずれにしても、管理委託契約の見直しで財政状況の大きな改善が実現したことには変わりなく、事前の期待通りのベネフィットを管理組合に提供できてよかったと安堵しています。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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マンション管理適正化診断で最低の「B」評価になったワケ

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先日、コンサル先の管理組合で「マンション管理適正化診断サービス」を実施しました。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

 

残念ながら、その結果は・・・

「17点」で、最低ランクの「B」評価となってしまいました。

 

築40年を超える高経年のマンションなので、最高の「S」評価を獲得するのは極めて難しいのですが、普通にやるべきことをやっていれば余裕で「A」評価は獲れるはずです。

 

今回の診断では、いくつかの大きな問題点が浮かび上がってきました。

(1)管理費の長期滞納者がいるのに放置!

診断時点で、すでに10ヶ月以上の滞納者が1名いますが、まったく回収のめどが立っていませんでした。

 

滞納者への支払い意思の確認や内容証明便の送付はもちろん、少額訴訟等の法的措置にも着手していませんでした。

 

(2)長期修繕計画に重大な欠陥あり!

長期修繕計画は10年前に作成されたまま、その後更新がなされていませんでした。

 

また、このマンションで25年間で必要とされる修繕資金を

(専有面積あたりの)月額平均単価に換算すると、@124円/㎡ でした。

 

これは、国交省のガイドライン(同 @165円/㎡以上)と比べても少なすぎます。

 

資料を精査してみると、

その理由は、設備にかかる修繕費の計上漏れによるものであることがわかりました。

 

特に、給排水管の更新については竣工以来未実施のうえ、計画にも実施予定時期や概算予算が一切計上されていませんでした。

 

照明や消防などのその他の設備についても、計画期間中ほとんど費用の計上がされていませんでした。

 

(3)法定点検時の指摘事項に対して修繕等の対応がない!

 昨年実施した消防設備点検ならびに特定建築物定期調査では、以下のような指摘事項が各報告書に記載されていますが、その後も修繕等の対応が一切なされていないことがわかりました。 

・避難器具未設置

・非常用バッテリー不良

・自動火災報知器受信機の不良および一部断線

 

ちなみに、

このマンションでは「建築設備定期検査」の実施義務もあるのですが、これまで一度も実施すらされていませんでした。

 

(4)大規模修繕の完了報告書・保証書がない!

 約10年前には実施された模様ですが、当時の工事完了報告書が見当たらず、正確な実施時期や工事内容、保証条件を確認することができませんでした。

 

 ここまでの酷い状況を見て、

皆さんは「このマンションは自主管理なのではないか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

いえいえ、実は「全部委託」なのです!

ビックリでしょう!

 

しかも、診断の際に、管理会社の担当者に問い合わせをしたのですが

メールではほとんど返信がなく、電話かショートメールのみ。

 

大規模修繕工事の完了報告書を閲覧したいと申し出たところ、

「報告書は保管していない」ということで、

工事前の見積書・仕様書が送られてきました・・・(泣)

これが一体何の役に立つというのでしょうか??

 

結局診断項目をすべて確認し終えるのに、

2週間以上もかかってしまいました。

 

こんな状態では、管理委託費がたとえ適正な水準であっても

管理会社に委託している意味自体がまったくありません。

 

ただ、とても幸いなことに、これまで必要な修繕を実施していなかったせいか、

このマンションの剰余金残高は潤沢であることがわかりました。

 

この管理会社の場合、単純に仕事をしていなかっただけで、

どうやら「悪徳会社」ではなかったようです。

 

今後どの程度の期間をかけてまともな状態に再生できるか、

理事さんと協力しながらトライしたいと思います。

 

 <参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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大手マンション管理会社を対象とした「顧客ロイヤリティ調査」に新奇性はあるか?

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NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション(NTTコム オンライン)が、マンション管理業界を対象に、顧客ロイヤルティを測る指標であるNPS(R)ベンチマーク調査を実施し、その結果を3月12日にリリースしました。

 

www.nttcoms.com

 NPS(R)(Net Promoter Score(R))とは、「友人や同僚に薦めたいか?」という質問への回答から算出される、顧客ロイヤルティを図る指標です。

 

欧米では公開企業の3割強がNPS(R)を活用しているとされ、日本においても顧客満足度にかわる新しい指標として、NPS(R)を活用する企業が増えてきているそうです。

 

調査結果の概要は以下の通りです。

■ 調査対象:以下の大手マンション管理会社

住友不動産建物サービス、大京アステージ、大和ライフネクスト、

東急コミュニティー、日本ハウズイング、野村不動産パートナーズ、

長谷工コミュニティ、三井不動産レジデンシャルサービス、三菱地所コミュニティ


■ 調査対象者 :上記管理会社が管理するマンションに居住する区分所有者

■ 調査方法  :非公開型インターネットアンケート

■ 調査期間  :2019年12月

■ 有効回答者数:2千名強

■ 回答者の属性:【性別】男性:48.8%、女性:51.2%

■ 回答者の年代:

20代以下:4.8%、30代:10.4%、40代:19.9%、50代:21.4%、60代以上:43.5%

 ■ 結果分析

(1)NPSのトップスコアは、「三井不動産レジデンシャルサービス」
 管理会社9社のうち、1位は三井不動産レジデンシャルサービスとなった。

 

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(2)管理会社への不満項目は、「コストの高さ」と「長期修繕計画」
 17項目にのぼる要因別に満足度と重要度を分析したところ、重要度が高いにも関わらず満足度が伸びなかった(重要度と満足度のギャップが最も大きかった)項目のトップ3は以下の通り。

  1位「管理会社へ支払う費用が適正

  2位「策定する長期修繕計画が適正」

  3位「誠実な対応・意欲」

 

(3)満足度の高い項目は、「管理人業務」

満足度が総じて高かったのは、最も接触する頻度の高い管理人の仕事ぶりであった。

  1位 「管理人や清掃スタッフの共用部分の清掃の丁寧さ」

  2位「管理人の応対のよさ・親しみ やすさ」

  3位「管理人の緊急時や困ったときの対応の迅速さ」
 
(4)推奨者は費用面での許容度が高い傾向

推奨者は「ブランドイメージの良さ」を重視する傾向があり、費用に対する不満は小さい傾向が見られた。

 

(5)批判者は信頼性や提案力に不満の傾向

批判者にとって不満の要因となる主な項目は、「サービスの信頼性」「管理会社からの提案」の2つ。

 

(6)管理会社リプレイスに至る主な理由は、「コスト」と「提案力」

リプレイスの経験者は全体の2割弱で、主な変更理由は以下の通り。

 1位:「管理会社に支払う費用が高い」(31.3%)

 2位:「管理組合への提案やアドバイスが不十分」(17.8%)

 

 本調査の結果自体は、率直に言えば、「おおむね予想通り」でした。

 

以前本ブログでも記事にしているように、他社が実施した顧客満足度の調査でも、以下の通りほぼ同様の傾向が見て取れるからです。

 

① 「管理人」の評価は総じて高いが、「管理会社」への評価は低め

②「コスト」面については、おしなべて低評価

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 要するに、

管理人はそこそこ働いてくれているけれど、フロント担当者や管理会社への満足度はおしなべて低く、コスト・パフォーマンスには不満がある、という点は同じでした。

 

ただ、今回のNPSの調査結果は、顧客の不満要因がどこにあるのかをもう少し具体的に探った点では若干の意義があったかもしれません。

 

管理委託費や修繕費用が割高なのが不満項目のトップですが、これに続く要因として以下の2つが挙がっています。

 

■ 管理会社が策定する長期修繕計画と修繕積立金が適正(ではない)

これは、入居当初の修繕積立金が人為的に低く設定されているために、経年的に増額を強いられることについての不満が根強くあると思われます。

 

特に、大手管理会社の場合、マンション売主であるデベロッパーの系列会社である場合がほとんどのため、この問題を認識しながらも自ら是正しにくい立場にあるからでしょう。

長期修繕計画は5年程度のサイクルで更新することが望ましいとされていますが、大手でもオプション業務扱いにして10年以上更新されずに放置しているケースも少なくありません。

 

■ 管理会社の誠実な対応と意欲(が見られない)

これは主にフロント担当者に対する以下のような不満が影響していると想定されます。

・理事会や総会の議事録の作成が遅い、出来が悪い。

・理事会等で依頼した事項へのレスポンス・対応が遅い、あるいは放置されている。

・法定点検時の指摘事項に対して修繕などの提案がなされない。

 

先日も築40年超のマンションで管理適正化診断を実施しましたが、管理会社の仕事ぶりは以下のように惨憺たる状況でした。

****************

・大規模修繕工事の完了報告書や保証書がどこにも見当たらない。

・1年前の法定点検での要改善事項(誘導灯バッテリーの交換、自動火災報知器受信機の不良および一部断線)がまったく手当されず。

・建築設備定期検査が毎年必要にもかかわらず、未実施のまま放置。

・10か月以上の長期滞納者について特段の回収措置がなされないまま。

・長期修繕計画は10年前に作成したままで風化。しかも給排水管の交換が未実施にもかかわらず、計画に概算費用すら計上されていない。

****************

 もはや管理委託費の水準がどうとかという以前のレベルで、即他社へのリプレイスを提案するつもりです。(怒)

 


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国のマンション管理計画制度に先行して始まる、東京都の「管理状況届出制度」とは?

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3月10日付けの住宅新報WEBに、「マンション関連2法改正案が国会へ 適正管理に恩恵、促進図る」と題した記事が掲載されていました。

 

www.jutaku-s.com

本記事の要約は以下の通りです。

■ 政府は2月28日、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日に国会へ提出した。

■ 国による「管理基本方針」をはじめ、管理組合による「管理計画」の認定制度、団地における敷地分割制度などの創設が柱。成立すれば公布から2年後に全面施行される

■ 管理では、国がマンション管理についての基本的な方針を策定。現行の「マンション管理適正化指針」は、国の基本方針に組み込まれる形となる。

施策の主体は、基本的にはマンションの割合や数の多い都区部と市単位を想定し、町村については県が役割を担う見込み。各自治体は国の基本方針を踏まえ、区域内の「マンション管理適正化推進計画」を作成できる。ただし、 マンションの状況は自治体によって差があるため、くまでも任意の計画となる。

■ 自治体は、「積立金が不足」「総会が適法に開かれていない」などの状況を把握しながら、「管理組合に対して助言や指導、勧告を行える。ただし、罰則規定はない

■ また、個々のマンションの「管理計画」制度も創設する。所定の基準に適合していれば行政の認定を受けられるため、管理状況の可視化と市場での優位性につながり、住民による適正管理のモチベーション向上が期待される。計画認定のインセンティブとして、国交省は税制による優遇も検討しているようだ。

■ 管理組合と管理業者の負担軽減を図るため、管理受託契約における重要事項説明書と契約時の書面についてはデジタル交付を認め、重説自体もIT活用が可能となる見込み。

■ 同一内容での契約更新時の重説については、組合側が説明不要と表明すれば、書面の交付のみで可とする。

■ マンション再生についても、新たな施策を盛り込んだ。現行の敷地売却制度を拡充し、対象の追加に加えて敷地分割も行いやすくする。

■ 具体的には、「防火性についての建築基準法等不適合」と「外壁の剝落等による周辺危害のおそれ」を「特定要除却認定」として新たに追加する。またバリアフリー性能が確保されていない建物や、給排水管などの著しい劣化なども「要除却認定」として加えた。

■ 現在は民法の原則により全員の賛成が必要となるため、敷地分割は極めて困難な状況にある。そのため、「特定要除却認定」の団地型マンション等の再生へ向け、所有者等の5分の4以上の同意により敷地を分割・売却できるようにする。

本記事によれば、

管理計画の認定制度は2022年から正式にスタートする予定です。

 

具体的な仕組みとしては、

国が定めた「基本方針」(現状の国交省が定めたマンション管理適正化方針を踏襲するにすぎない)にもとづき、各自治体が区域内の管理適正化推進のための計画を作成します。

 

そのため、自治体の裁量によって濃淡が出るというか、指導の厳しさもかなり差が生じることになることが予想されます。

 

本制度の運営で注目されるのは、個々の管理組合に提出を求める「管理計画」の作成の内容とその手間がどれくらいかということでしょう。

 

管理組合は委託先の管理会社に「丸投げ」したいと考えるし、頼まれる管理会社はなるべく手間をかけたくないというのが本音でしょう。(自主管理タイプの管理組合は自ら作成しなくてはならないので大変です)

 

一方、全国で最もマンションの多い東京都では、本制度に先行する形で、今年1月「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」が制定されました。

 

www.mansion-tokyo.jp

この条例は、以下の3つの柱で構成されています。

1.都や管理組合、事業者等の責務の明確化

2.管理組合による管理状況の届出(管理状況届出制度)

3.管理状況に応じた助言・支援等の実施

 

都の「管理状況届出制度」の概要をまとめると以下のようになります。

● 要届出マンション

1983年12月31日以前に新築されたマンションのうち、人の居住の用に供する独立部分の数が6以上であるもの

上記以外でも、管理不全の兆候があると思われると判断した場合は、その限りでない。

● 届出事項

 ・管理組合の運営体制の整備

 ・管理規約の設定

 ・総会の開催

 ・管理費及び修繕積立金の額の設定

 ・修繕の計画的な実施

● 届出方法

以下の2つの方法から選択できる。
1)管理状況届出システムへの入力(推奨)
2)マンション所在の区市町村への届出書の提出
 ● 届出の更新・変更

5年ごとに届出内容の更新が必要
(届出内容に変更が生じた際に、変更の届出が必要)

● その他

届出を行ったマンションや、正当な理由なく届出がないマンションの管理組合や区分所有者等に対し、管理組合又は区分所有者等の協力を得て、当該マンションに立ち入り、書類その他の物件を調査することができる。

 

つまり、都内にある今年で築37年以上になるマンションは、ほぼすべてが届け出が義務付けられ、5年ごとに更新の届け出も必要なります。

 

ただ、届け出の内容を見る限り、普通に運営されている管理組合にとってはほとんど負担とはならないでしょう。

 

都の狙いは、本制度の施行によって管理不全のマンションをあぶり出し、是正させるための指導を実施したいということだと思います。

 

ただ、互いに似通っている国の「管理計画認定制度」と都の条例による「管理状況届出制度」が、管理組合にとって二重の負担にならないように配慮してもらいたいです。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

 

 

 

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マンションの非常用照明灯は、いつどのようにLED化すべきか?

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共用部の照明灯のLED化はもはや当然のことですが、非常用照明までLED化しているマンションとなると、まだかなり少数派ではないでしょうか。

 

非常用照明とは、停電時でも一定時間の照度を確保できるように内臓バッテリーを用いた照明で、建築基準法によって設置基準が定められています。

  

建築基準法では、2014年まで非常用照明器具の光源は耐熱性及び即時点灯性を有する「白熱電球」と「蛍光灯」に限定され、LED電球は一切使用できませんでした。

 

しかし、2014年11月以降、国交大臣の認定を受けたバッテリー内蔵型LED照明に限って非常用照明器具への利用が可能になりました。

 

そして、パナソニックからLED型の非常用照明が発売されて以来、徐々に普及し始めました。

 

ただ、非常用照明のLED対応器具は、一般の照明器具と比べてかなり高額です。

 

非常用照明の場合、器具代(工事代は別途)だけで@3~4万円台が相場で、一般の照明器具に比べて3~4倍も高い水準です。

 

そのため、非常用照明は電気代の削減効果で償却するのに10年以上かかってしまうことから、共用部照明灯のLED化工事を実施する場合でも、対象から外されるのが一般的でした。

 

しかし現在では、家庭用の白熱電球はすでに全メーカーが生産を中止し、蛍光灯も2020年中には器具の生産が中止されるため、光源である管球の生産も一気に縮小することが見込まれます。

 

そのため、消防関係を含む法定の設備点検の際に非常用照明の電球やバッテリーが切れていることが分かってこれらを交換しようとしても、LED照明しか選べない時期が来るのはもはや時間の問題です。

 

その場合、当然ながら照明器具ごとの交換を迫られることになります。

実際、築20年超のマンションでは、そのような事例が徐々に出始めています。

 

非常用照明の存在意義を考えれば、緊急の際に不点灯であっては拙いため、点検時に不具合が指摘されれば早急の対応(=交換)が必要です。

 

その場合、留意すべきなのは、高い器具代だけでなく、その交換工事費の負担です。 

 

電気工事業者にヒヤリングしたところでは、1~6か所の交換につきで5~6万円かかるそうです。

 

先日も、顧問先のマンションでLED化の見積もりを取得したところ、対象となった120か所のうち何と100か所以上が「非常用兼用タイプ」の照明であることが分かりました。

 

その対象箇所を一括で施工した場合の工事費の見積もりは、およそ40万円。

 

しかし、不具合が生じた都度、今後さみだれ式で少しずつ交換したらどうなるか?

 

たとえば1回あたり5か所ずつ交換すると仮定し、合計20回に分けて施工すると、100万円以上かかることになってしまいます。

 

また、全体を一括でLED化した方が電気料金の削減効果も早く得られます。

 

以上の点から考えると、(初期費用が掛かるのが痛いところですが、)

照明器具の耐用年数(15年)をすでに超えているマンションは、非常用照明器具の一括LED化を検討されることをお勧めします。

 

なお、交換時期としては、非常用照明に内蔵されたバッテリーが切れる時期(設置後4~6年経過した頃)を目途に計画するのがベストでしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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「はじめてのマンション大規模修繕」で知っておきたいこと

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丸紅のマンション「グランスイート」の情報サイト「コムズ倶楽部」では、マンションのくらしに役立つコラムのコーナーが用意されています。

 

その中で、先日私がインタビュー取材を受けた「はじめての大規模修繕を考えよう」というコラム記事が昨日リリースされたので、ご紹介します。

 

www.marubeni-sumai.com

本記事の要約は以下の通りです。

 

大規模修繕を実施すべき時期は?

 ・一般的には12~13年周期と言われているが、マンションの立地条件、当初の施工状況や周辺環境などによって変わってくる。

・実際にどのタイミングで大規模修繕を行うべきかは、個々のマンションの劣化の進行度合いや立地環境などによる。

・そのため、事前に建物劣化診断を行い、その結果に応じて修繕すべき箇所の選定と適切な実施時期を検討していくことがお勧め

・なお、日頃チェックがしにくいバルコニーなどの専用使用部分に関する不具合等は住人向けのアンケートを実施して把握する。

 

工事期間や予算はどれくらいか?

・工事着工から完成までの期間は小規模マンション(50戸以下)で2~3ヶ月、それ以上の規模ならは5~8ヶ月程度かかる。

・建物劣化診断⇒修繕の対象範囲の検討⇒施工方法の検討⇒見積もりの取得⇒施工会社の選定といった一連の準備期間を含めると足掛け2年くらいのプロジェクトになる。
・大規模修繕にかかる費用については、ちまたでは「戸あたり100万円前後が目安」と言われる。

・ただ実際には、マンションの規模や、経年劣化に伴い必要となる修繕の対象範囲によって当然変わってくる。

重要なのは、建物診断を経て必要な修繕箇所を把握したうえで、同一の工事仕様と数量積算書をもとに複数の工事業者から見積もりを取得して比較検討すること。

 

長期修繕計画の内容を確認しよう!

・国土交通省の「修繕積立金に関するガイドライン」によると、専有床面積あたり200円/㎡(月額)前後が必要とされている。

・しかしながら、ほとんどの新築マンションでは、このガイドラインで示される目安額の半分以下とかなり低めに設定されているのが実態で、将来的に増額改定を強いられるリスクが高い。
・ご自身のマンションの修繕積立金が適正な水準にあるか確認すること。もし足りないと思われる場合は、なるべく早く増額改定を検討すべき。

 

工事はどこに、どのように発注するか?

・大規模修繕の発注スキームは、主に「責任施工」方式と「設計監理」方式の2つのパターンに分かれるが、どちらも一長一短がある。

・いずれの方式を選択するにしても、複数の業者から相見積もりを取得せずに進めると、本来まだ修繕の必要性の小さい範囲も対象に含められたり、競争原理が働かないために結局は「高くつく」リスクがある。
発注先の施工会社の信用力に不安を感じる場合には、国土交通大臣指定の住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱う「大規模修繕工事瑕疵保険」への加入を発注の条件に加えることをお勧めする。
事後に施工時の瑕疵が見つかったため、先方に補修を請求する際に、万が一その業者が資金不足や倒産などで自ら修繕できなくなった場合でも、上記保険法人に請求することによって実質無償で補修工事を実施することができる。

 

<参考記事>

 

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