マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの非常用照明灯は、いつどのようにLED化すべきか?

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共用部の照明灯のLED化はもはや当然のことですが、非常用照明までLED化しているマンションとなると、まだかなり少数派ではないでしょうか。

 

非常用照明とは、停電時でも一定時間の照度を確保できるように内臓バッテリーを用いた照明で、建築基準法によって設置基準が定められています。

  

建築基準法では、2014年まで非常用照明器具の光源は耐熱性及び即時点灯性を有する「白熱電球」と「蛍光灯」に限定され、LED電球は一切使用できませんでした。

 

しかし、2014年11月以降、国交大臣の認定を受けたバッテリー内蔵型LED照明に限って非常用照明器具への利用が可能になりました。

 

そして、パナソニックからLED型の非常用照明が発売されて以来、徐々に普及し始めました。

 

ただ、非常用照明のLED対応器具は、一般の照明器具と比べてかなり高額です。

 

非常用照明の場合、器具代(工事代は別途)だけで@3~4万円台が相場で、一般の照明器具に比べて3~4倍も高い水準です。

 

そのため、非常用照明は電気代の削減効果で償却するのに10年以上かかってしまうことから、共用部照明灯のLED化工事を実施する場合でも、対象から外されるのが一般的でした。

 

しかし現在では、家庭用の白熱電球はすでに全メーカーが生産を中止し、蛍光灯も2020年中には器具の生産が中止されるため、光源である管球の生産も一気に縮小することが見込まれます。

 

そのため、消防関係を含む法定の設備点検の際に非常用照明の電球やバッテリーが切れていることが分かってこれらを交換しようとしても、LED照明しか選べない時期が来るのはもはや時間の問題です。

 

その場合、当然ながら照明器具ごとの交換を迫られることになります。

実際、築20年超のマンションでは、そのような事例が徐々に出始めています。

 

非常用照明の存在意義を考えれば、緊急の際に不点灯であっては拙いため、点検時に不具合が指摘されれば早急の対応(=交換)が必要です。

 

その場合、留意すべきなのは、高い器具代だけでなく、その交換工事費の負担です。 

 

電気工事業者にヒヤリングしたところでは、1~6か所の交換につきで5~6万円かかるそうです。

 

先日も、顧問先のマンションでLED化の見積もりを取得したところ、対象となった120か所のうち何と100か所以上が「非常用兼用タイプ」の照明であることが分かりました。

 

その対象箇所を一括で施工した場合の工事費の見積もりは、およそ40万円。

 

しかし、不具合が生じた都度、今後さみだれ式で少しずつ交換したらどうなるか?

 

たとえば1回あたり5か所ずつ交換すると仮定し、合計20回に分けて施工すると、100万円以上かかることになってしまいます。

 

また、全体を一括でLED化した方が電気料金の削減効果も早く得られます。

 

以上の点から考えると、(初期費用が掛かるのが痛いところですが、)

照明器具の耐用年数(15年)をすでに超えているマンションは、非常用照明器具の一括LED化を検討されることをお勧めします。

 

なお、交換時期としては、非常用照明に内蔵されたバッテリーが切れる時期(設置後4~6年経過した頃)を目途に計画するのがベストでしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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