マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

怪現象!? 照明のLED化後に電気代が上がったワケ

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これは、今春から顧問契約を結んでいる管理組合で起こった「実話」です。

このマンションでは、平成25年12月に共用部照明のLED化工事を実施しました。

当時の施工業者の提案書によると、

◆LED化初期工事費用    :¥ 682,500

◆電気料金及び電球代金の削減額:¥192,593/年

と記載されています。

 

要するに、電気料金の削減することで初期投資を約3年半で回収できる見込みとなっていました。

ところがです!

工事完了後の電気料金が過去1年間(平成26年)を通じて減少するどころか、逆に増えていることが分かったのです。

前期の決算書を見ると、LED化実施後少なくとも約半年間の削減効果が見込めるはずなのに、逆に決算は予算金額を約5割も超過していました。その後の月次推移を見てもこの傾向に変化は見られません。

しかも驚いたことに、管理組合の役員はもちろん管理会社もこの「怪現象」に気づいてなかったのです。

私もこれまでLED化のお手伝いをしてきましたが、こんなミステリーに遭遇したことがなかったためすぐに管理組合に質問しましたが、全く知らなかったとの反応・・・。

ただちに、管理会社に指示して施工業者に現地調査させることになり、先日の理事会で原因の分析結果の説明を受けました。

その結果は、まったく意外なものでした。

調査の結果、このマンションにある地下駐車場の換気扇の回路が大きな電流値を示していることが分かりました。

さらに調べてみると、通常はタイマー設定で1日30分しか作動しない換気扇が、何らかの理由で「常時ON」に設定されていたことが判明したのです。

つまり、この換気扇の電気使用量が48倍(=24時間÷0.5時間)増えたことで電気料金が大幅増となったために、LED化による省エネ効果をすべて帳消しにしていた、というわけです。

では、このタイマーの設定ミスの犯人は、一体誰なのか?

管理室は、管理組合の役員でも入室できない設定になっているうえ、管理人が不在のマンションのため、管理会社もまず触れることがありません。

LED化工事後に使用量が増えたことを考えれば、LEDの施工業者自身のヒューマンエラーによる可能性が濃厚だと推察されます。

幸いなことに、今後原因が確定した段階で施工業者も自らの非によるものと正式に認め、管理組合の損害額を補償する用意があるとのことでした。

それにしても工事実施後省エネ効果の検証もせずに、1年半の間電気料金が増えている不思議な現象に誰もまったく気づかないことにはあ然としました。

特に、決算と予算案を作成している管理会社が気づかなかったのは、「第2の人災」と言わざるをえません。ホント怖いですね~!

もう少しで、70万円の省エネ投資が水の泡(どころかむしろ逆効果)に終わる所でした。

しかし、これで一件落着!

これもまた、マンション管理士の仕事です。

 

どうも有り難うございました!

 

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