マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンションの「金食い虫」=「機械式駐車場」とうまく付き合う方法はあるか?

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ダイヤモンドオンラインで、「マンションの金食い虫「機械式駐車場」とうまくつき合う方法とは」と題した記事が掲載されていました。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ 機械式駐車場は、「附置義務」との兼ね合いもあり、必要がないからといって簡単に取り壊せるものでもなく、管理費や修繕積立金に重い負担をかけ続けている。

■ 機械式駐車場にかかる費用を見直す一つの方法として、「リース+フルメンテナンス契約」というものがある。

■機械式駐車場のメンテナンスには、主にフルメンテナンスとPOGという2種類の保守契約がある。フルメンテナンス契約とは、点検、調整や部品交換など必要なメンテナンスを保守料金の範囲内で行う方式だ。高額部品の取り替えも月々の保守料金内に含んでいるため、部品交換のための予算を特別に取る必要はない。ただし、保守料金はその分割高な設定になる。

■ もう1つのPOG契約とは「パーツ・オイル・グリース契約」の略称で、機器や付属備品の点検、清掃、給油、調整などを契約する方式である。要するに基本的な点検だけを委託するイメージで、1回のメンテナンスにかかる費用は抑えられるが、部品交換や修理工事などを行う場合には別途費用が発生することになる。

■ どちらがよいとは一概には言えないが、機械式駐車場の場合はPOG契約が一般的で、フルメンテナンス契約はほとんど見かけない。

■また、 長期修繕計画を見ると、耐用年数を過ぎた機械式駐車装置の入れ替えが莫大な費用とともに予定されている。さらに、機械の経年劣化に伴い部品交換や修理などにかかる費用がかさんでくる。

■ 昨今、若者の車離れや車を手放す高齢者の増加などにより、駐車場利用率が低下していることも、機械式駐車場の維持管理に暗い影を落としている。ひどい状況のマンションだと、100パレットある機械式駐車場のうち、2割しか利用者がいない機械式駐車場もある。

■そのような場合、設備更新にかかる費用を、修繕積立金を取り崩して充てる決議を通すのは簡単ではない。機械式駐車場を利用していない8割の組合員にしてみれば、「使ってもいない設備に、どうして自分たちが金を出さなければならないのか」と思うのも無理もない。

■「それなら、使っていない機械式駐車場を取り壊してしまえばいい」という考えも出てきそうだが、「附置義務」制度により、マンションには一定数の駐車場を確保することが求められる。

■ 敷地面積が十分取れないマンションで、附置義務を課して必要台数を確保するために考え出されたのが機械式駐車場である。だから、稼働率が低いからといって、簡単に取り壊すことはできないというジレンマが生じる。

■ 今後問題化することが明らかな機械式駐車場に、いつまでも高額な維持管理費や機械装置の更新費用を負担し続けるしかないのか?そこで提案したいアイディアがある。

■ 機械式駐車場にかかる費用を駐車場利用者=受益者が負担するシステムにするのだ。例えば、多額の費用がかかる機械式駐車場の更新工事に対して、その費用をマンションの積立金会計を取り崩して捻出するのではなく、受益者負担によるリース+フルメンテナンスにより、一般会計から拠出する。

■ たとえば、駐車場利用料が1台あたり月額15,000円と設定した場合、受益者が支払う15,000円は一般会計に入るが、月額1万円で機械式駐車場をリース+フルメンテナンス契約にした場合、一般会計には5000円が残る。要するに、両者の差額分が、一般会計の収入として積み立てられていくわけだ。

■ そして、いざ機械式駐車場の更新工事を実施するとなった場合、これまでは修繕積立金から工事費用を拠出していたものを、一般会計にプールされてきた駐車場利用料でまかなうことができる。

■ この方法なら、組合員全員で更新費用を負担するのではなく、受益者による負担で支払うことになるため、機械式駐車場を利用していない組合員に対しても、機械式駐車装置の入れ替えに対する説明責任を果たすことができ、総会での合意形成も得やすくなる。

■ また、フルメンテナンス契約にすることで、毎年提案される修繕についての長時間かつ不毛な議論から解放されるだけでなく、機械式駐車場の安全性と利便性もはかれるうえ、突発的な修理も不要になる。

■ さらに、長期修繕計画からも費用負担の比重が大きかった機械式駐車場更新の項目が削除され、格段に身軽になれる。

■ このところ、このリース+フルメンテナンス契約のプログラムを提供する会社が増え、中には共済方式でリーズナブルにプログラムを利用できる団体も出てくるなど、ようやく競争原理が働く気運になってきた。

■  機械式駐車場を自前で維持していくか、リースにするか、あるいはPOG契約で必要な修理や部品交換を適宜施していくか、フルメンテナンス契約で保守を一括で任せるか、などというように選択肢が増えて、自分たちのマンションに合った方法を選ぶことができるようになりつつある。

 

先日、顧問先マンションの通常総会で、足掛け3年かけて検討してきた機械式駐車場の撤去・平面化工事が、特別決議事項の要件(区分所有者全体の4分の3以上の賛成)を満たして無事承認されました。

 

このマンションでは、

3段ピット式の設備が3基、合計9台分のパレットがありますが、現状稼働しているのは2台のみです。

 

この設備全体を撤去・平面化すると、3台の平面式駐車場に一新されることになります。

 

このマンションは築20年を超えてすでに設備の経年劣化が進行しており、保守会社から300万円にのぼる部品交換等の見積提案を受けています。

 

長期修繕計画においても、今後30年で1,500万円もの修繕費が見込まれています。

 

また、事前に実施した居住者向けアンケートでは、今後解約する利用者が見られる一方で、新たに利用しようとする居住者はありませんでした。

 

そのため、駐車設備のほとんどが「遊休化」状態にあると判断せざるを得ず、今回の決断に至ったわけです。

 

しかしながら、総会での議案上程に至るまでには理事会において以下のプロセスを経てきたこともあり、ここまでの道のりは長いものになりました。

・住民アンケートによる需要動向調査

・外部賃貸の可能性・リスクの検討

・平面化の工事方法の検討(埋め戻しか、鋼製板の敷き込みか)

・発注先業者の選定(相見積りの取得や施工業者のプレゼン)

 

現在の利用者の中には、車上荒らし対策として地下のパレットに車両を停めた方が安全という考えから、平面化には反対の意思を表明される方もいらっしゃいました。

 

ただ、組合全体の財政健全化という観点から見れば、今後も収益が上がらない可能性の高い設備にお金をかけて更新することを回避したのは「正解」だと思います。

 

また、このマンションでは、修繕積立金を標準以上の水準まですでに増額改定していますが、工事費相場や消費税の上昇を考えると余計な支出はなるべく節約したいところです。

 

今回の撤去・平面化工事によって、イニシャルで数百万円の出費が伴いますが、将来の設備更新費がなくなるうえ、年間10万円の保守点検費も節約できることになります。

 

さて、今回紹介した冒頭の記事ですが、ネットで検索してみたところ、確かに「リース+フルメンテナンス契約」を提案している企業がありました。

 

www.asap-net.co.jp

しかしながら、以下のとおりいくつか留意すべき点があります。

1)既存設備はリースの対象にならないため、既設の設備を一度リニューアルすることが前提条件です。(POG契約でメンテナンス中の既存設備を途中でフルメンテナンス契約にすることは、エレベーターと同様に原則としてできません。)

 

2)駐車場の稼働率が現状すでに芳しくない場合や、(今は良好でも)将来悪化した場合には、駐車場の収支が赤字に陥ってしまうため、受益者の負担が現状の駐車料金以上に増えるリスクがあります。

 

3)「リース+フルメンテナンス契約」は、毎月負担が平準化されるというメリットはあるかもしれませんが、費用に金利分が上乗せされるため、購入と比べて確実に割高になります。(防犯カメラなどと同様です)

 

4)なお、設備撤去の際の障壁になると指摘されている「附置義務台数」については条例等で定められているため、稼働率低迷に伴う設備撤去を自治体に相談しても公式に承諾を得ることは難しいのは確かですが、管理組合の事情等に鑑みて「黙認」してもらえる可能性もあります。

 

このように、機械式駐車場に関する問題の解決には、「ウルトラC」と呼べるものはなく、個別マンションの事情に鑑みて時間をかけて泥臭く、かつ丁寧にコンセンサスを得ていく努力をするほかないと思います。

 

<参考記事>

 

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名古屋のマンションで管理コスト適正化がスムーズに実現できたワケ

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昨年冬からコンサルティングしている名古屋市内のマンション(築18年目 34戸)では、先日の通常総会にて管理委託契約の変更が賛成多数で決議されました。

 

単純減額の他に、一部過剰だった仕様の標準レベルへの変更、そして一部委託先変更のミックスポリシーによって、従前の委託費に比べて約24%のコスト削減となりました。(年額94万円の削減)

 

ちなみに、これに先行してマンション保険も見直しており、年あたりの保険料が10万円も減っています。(従前比25%ダウン)

 

これを合わせると

年額104万円の削減となるので、戸当たりでは平均3万円の経済効果となります

 

その結果、コスト削減で生まれる剰余金を活用すれば、今後30年の修繕計画で求められる資金需要に対して修繕積立金を増額しなくとも賄える見通しなりました。

 

今回は、相談元である管理組合の若い理事長さんがリーダーシップを発揮していただいたお陰で、コンサルティングがとてもスムーズに進捗しました

 

まず、管理見直しに着手する際にも事前に住民アンケートを実施したいとの申し出があり、そのアンケート案の作成について当社から助言させていただきました。

 

その後、コンサルに入った後も、委託業務の一部仕様変更や業者の一部リプレイスもあって、いきなり総会で賛否を問うのではなく、3日間に分けて住民説明会の開催をしながら丁寧にコンセンサスを高めるための努力をされていました

 

こうした理事会側の配慮と努力が奏功して、特段の反対者も出ず、総会もスムーズに進行できたのだと思います。

 

今回のコンサルティングで驚いたのは、

エレベーターの保守点検費について、メーカーが大幅な減額に応じたことです。

 

従前のフルメンテナンス仕様のままで、従前の金額に比べて半額以下に変更してもらいました。

 

コスト適正化実現のためには、委託先業者の変更をあらかじめ想定していたのですが、メーカーが独立系の見積もりを下回る金額で減額に応じたのは意外でした。

 

エレベーターについては独立系保守会社の株式上場などの台頭が見られることから、

メーカー側もかなり危機感を持っていることの現れかもしれません。

 

<参考記事>

 

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マンション管理組合の「役員報酬」と「組合活動協力金」の相場はどれくらい?

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管理組合の「役員報酬」と、外部区分所有者による「組合活動協力金」の実態について、マンション管理大手「大和ライフネクスト」の系列会社(マンションみらい価値研究所)が調査結果をまとめたレポートをリリースしました。

 

レポートの要約は以下の通りです。

■組合の役員報酬制度や外部所有者からの協力金徴収制度から、マンション管理組合が抱える問題の数々が浮き彫りとなった。

■大和ライフネクストが受託する管理組合(3,900)のうち、役員報酬制度がある管理組合は9%。管理組合活動に直接的に協力できない外部区分所有者から、協力金を募る管理組合は6%であった。

■築年数別の割合でみると、高経年マンションほど役員報酬・外部区分所有者協力金を設定している管理組合がともに増加する傾向が見られる。

■役員報酬制度については、総戸数が多いほど、導入する割合も高くなっている。これは、戸数に比例して検討課題は増え、その内容も複雑化することで役員の責任と拘束時間が増すためと推察される。

■また、規模が大きいと、輪番制を導入しても組合員全員が役員経験するまでに相当な周期が必要となることから、その不平等感の解消にも資すると思われる。

■報酬の支払いについては、理事長・副理事長・その他の順で段階的に金額設定している組合が多い。また、理事会・総会の出席回数に応じて報酬を設定している例も見られる。

■「役員一律の報酬」を設定している場合の報酬水準は、「固定給タイプ」の平均額は、12,130円/年(1,011円/月)

■「役員一律でない報酬」を設定している場合の水準は、「固定給タイプ」の平均額は、理事長39,247円/年(3,271円/月)副理事長18,688円/年(1,557円/月)、理事14,513円/年(1,209円/月)、監事15,963円/年(1,330円/月)であった。

■一方、外部所有者からの活動協力金の徴収については、物件規模による傾向は特に見られない。ただ、高経年物件で比較的多くみられる。(築20年以上が約7割を占めている)また、外部所有者の割合が相対的に高いケースで導入する割合も多い

■なお、協力金徴収の対象は外部所有者とする割合が約7割と最も多いが、内部所有者でも役員を辞退する者(30%)、役員に就任しても一定数の理事会に参加しない役員には協力金を求める規定(1%)もある。役員に就任しないことへの不公平感は外部所有者だけではないと言える。

■協力金の徴収方法は組合ごとに様々であるが、月額換算で1,000円から2,000円の範囲が半数以上を占めている。

 

 管理組合にとって、

「役員報酬」と「組合活動協力金」はコインの表裏のような関係にあります。

 

理事長をはじめ、組合役員に就任することはなるべく忌避したい「義務」として捉えられているため、その負荷が一部に偏らないように「輪番制」を採用している管理組合が多いと思います。

 

ただ、多くのマンションの管理規約では役員就任に「現に居住要件」が定められているため、外部所有者は自動的に役員候補から除外されます。

 

外部所有者の割合が高くなるほど、残りの「現に居住する所有者」の中で輪番制を運用せざるを得なくなり、役員に就任する周期が短くなっていきます。

 

そうなると、居住する所有者と外部所有者との間で、役員業務の「負荷」(定例会議に参加するための拘束時間や事務手間、精神的負担など、民法上の善管注意義務など)に大きな差が生じることになります。

 

そのため、こうした不公平感の緩和のために、役員の労苦に報いるための報酬制度や、役員就任の義務から解放される見返りとしての活動協力金徴収制度の提起がなされるわけです。

 

ただ、私が顧問を務めるマンションでは、役員報酬制度を導入している組合は一部ありますが、活動協力金を徴収している組合はありません。

 

それは、「協力金徴収」の基準を明確には決めづらいからです。

 

役員就任義務を回避しているのは、外部所有者だけとは限りません。

 

たとえば、居住する所有者の中でも、実態として以下のようなケースを原因とした不公平感も生じています。

・役員就任の依頼があっても(高齢や疾病、多忙を理由に)固辞する

・たとえ役員に選任されても、その後理事会や総会等の活動に一切参加しない

 

また、一口に「外部所有者」と言っても、(投資等が目的ではなく)転勤など一時的な事情によるケースもあります。

 

つまり、個人情報保護の問題もあいまって、協力金を徴収すべきかどうかの判断に際しては個別事情に応じた見極めがとても難しいのです。

 

輪番制の運用だけでは、上述の事情から理事会の成立や運営に支障が生じかねないリスクがあるのは確かです。

 

そのため顧問先の組合でも、以下のような工夫をしているマンションがあります。

・(2年任期制のもとでの)役員の半数改選制の導入

・輪番制に加えて立候補枠も設定している

・ 現役員の一部(理事長など)に来期再任を要請する。

 

結局のところ、「ウルトラC」的な妙案は今のところなく、

そのマンションや住人の特性等に応じて試行錯誤していくしかないと思います。

 

 <参考記事> 

  

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オンラインセミナー<9月>開催のお知らせ

9月度「マンション管理セミナー」を開催いたしますので、ご案内いたします。

 

新型コロナウィルス感染拡大防止のため、今回も「オンラインセミナー」にて開催いたします。

 

オンラインのため、ネット接続環境があれば首都圏以外にお住いの方も気軽に受講ができます。

 

先着10名様のお申し込みを受け付けております。

 

どうぞお早目にお申し込みください。

【日時・会場】

令和 2年 9月  19日(土) 13:30~15:00

 

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込)

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方。

弊社に個別にご相談いただける方

 

【内 容】

「管理コストを3割削減するための見直し術」

これまで弊社のコンサルティングによって大幅なコスト削減を実現した事例を紹介しながら、その費用項目ごとに効果的な見直しポイントを解説します。

【内 容】

■ ポイント1:管理人の勤務体制と業務内容
最も多く見られるのが、管理員の勤務時間が過剰なケースです。また、その業務範囲も物件の特性によって違いが見られます。

 

■ ポイント2:設備保守点検の契約形態と実施頻度(エレベーター、機械式駐車場など)
エレベーター、消防、機械式駐車場など各種共用設備の保守点検費用は管理組合側には相場観がないため、メスが入りにくいテーマです。

 

■ ポイント3:遠隔監視&緊急対応費用(ホームセキュリティを含む)
設備保守点検と同様に相場観が掴みづらい項目ですが、そのため割高になりがちです。

 

■ ポイント4:事務管理費など管理会社の経費
管理会社によって提示金額が異なりますが、物件の規模に応じたで適正な市場価格がわかります。

 

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

【お申込み方法】

セミナーお申込み専用ページからお申し込みください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等をご記載ください。)

 

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

 

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「第三者管理」のワンルームマンションで管理会社をリプレイス!

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先日、都内の某ワンルームマンション(築8年目・47戸)にて臨時総会を開催し、管理会社のリプレイスの議案が承認されました。

 

現管理会社の管理委託費が割高な水準にあり、現状比2割程度の削減が可能と考えたたため、更新後の管理委託費について減額の要望書を提出しました。

 

しかしながら、管理会社からは口頭ベースで「減額には応じられない」とのゼロ回答でした。

 

そのため、やむなくリプレイス(管理会社の変更)を視野に入れ、同業他社2社から相見積もりを取得しました。

 

さらに、リプレイス候補として挙がった会社からは、日常では管理人不在の物件特性を踏まえ、月1回の共用部全体の目視確認や、年1回建築設備点検を実施のうえ書面で詳細を報告する、という追加仕様の提案もしてもらいました。

 

その追加仕様も含め、現状比で25%も管理委託費が下がることになりました。

 

そのため、将来修繕積立金の増額改定を強いられる可能性の高い区分所有者にとっては大きなベネフィットがあると考え、リプレイスの議案を総会に上程することになりました。

 

ところで、このマンションは理事会が設置されておらず、「管理者」方式を採用しています。

 

その管理者を務めているのが、マンション管理士の私です。

 

ただ、私は区分所有者ではないので「第三者管理」というわけです。

 

つまり、リプレイス検討のための準備は見積もりの取得から総会議案書の作成まですべて私自身の手で行なったわけです。

 

加えて、今回は現管理会社の協力が得られなかったため、総会の委任状等の提出の督促も管理者である私がやりました。

 

最も大変だったのが、一度も会ったことのない区分所有者に電話して書面の提出を要請することでした。

 

と言うのも、

総会開催10日前の時点で47名中19名の提出にとどまっており、開催要件である「全組合員の半数以上」を満たしていなかったからです。

 

そのため、先日の連休中に30名近い未提出者に電話かけまくりです・・・(汗)

 

もともと九州のデベロッパーが販売したマンションのため首都圏に在住するオーナーは全体の2割程度に過ぎず、残りは九州や関西、東海エリアに散在しています。

 

そのため、電話で繋がった際の第一声は、

「東京の〇〇というマンションの管理者を務めているマンション管理士の村上と申します。先日お送りした総会の議案書はお手元に届いておりますか?」

です。

 

質問に対する返答は、概ね以下の3種類に分類できます。

(1)届いているが、議案書は読んでいない。 

→ 未提出者全体の約5割

(2)議案書は読んだが、委任状等は出していない。

→ 未提出者全体の約4割

(3)送付先に住んでいないため、総会の開催予定自体知らなかった。

→ 未提出者全体の約1割

 

ただ、今回の議案が

・管理会社を変更する重要な議案であること

・管理委託費が25%下がるので、剰余金が増えるというベネフィットがあること

をかいつまんで説明したところ、委任状(もしくは議決権行使書)を提出すると約束してくれる方がほとんどでした。

 

中には、個人アドレスを教えてもらったうえで議案書をメールで送付し、委任状等もメール添付で返信してもらった方もいました。

 

その結果、最終的に38戸分回収することができ、回収率は80%を超えました。

しかも議決権行使書は全員賛成だったので、「棄権」を除いて全会一致です。

 

このマンションの所有者特性や在住地域を考えると、議案書の送付をメール添付も選択できるようにするとか、総会の参加方法としてリモートでも可能にするなどの工夫が必要ではないかと思いました。

 

今回決まった新たな管理会社と相談し、管理規約の改正も視野にいれて今後の運営方法を見直したいと考えています。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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築16年目のマンションが管理適正化診断で最低評価になったワケ

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先日、日管連(日本マンション管理士連合会)からの紹介で「マンション管理適正化診断サービス」を実施したマンションについてご紹介します。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

 

東京都心エリアにある築16年目のマンション(約50戸)。

 

管理委託先は、大手独立系管理会社の「G」です。

 

結論から言うと、

診断結果は、最低評価の「B」(100点中24点)でした。

 

築20年未満のマンションでこの低得点は、かなり珍しいです。

 

原因の第1は、「長期修繕計画の不備」です。

 

築3年目、つまり今から13年前に作成した25年間の計画がその後更新されていません。

 

また、診断では、給水管、排水管の更新工事が長期修繕計画において見込んでいることが加点の条件になっているのですが、給水管は更生工事を見込んでいるだけで排水管を含めて更新費用については一切見込んでいませんでした。

 

さらに、修繕積立金の水準が国交省のガイドラインを下回っているため、将来の資金計画にも不安が残る状況でした。

 

第2は、「大規模修繕工事が未実施」であることです。

 

屋上防水やシーリング材の経年劣化を考えると、1回目の大規模修繕は遅くとも築15年目までに済ませていることが望ましいと思います。

 

しかしながら、このマンションは築16年目の時点で予定すら立っていません。

 

第3は、「法定点検時の指摘事項の未対応」です。

 

東京都では、5階以上の共同住宅については、築10年を超えた時点で「外壁全面打診調査」が義務付けられています。(建築基準法にもとづく)

 

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このマンションは、大規模修繕だけでなく、この打診調査すら行っていません。

つまり、法令違反の状態にあります。

 <ちなみに、虚偽の報告をしたり報告を怠った場合には、罰則(100万円以下の罰金)が科せられる場合があります。>

 

診断の際には、管理会社のフロント担当者も同席していましたが、「私は最近担当になったばかりで詳細はよくわからない」とまるで他人事のようでした。

 

当日の問診では組合の規約の内容や会計についてもフロントに質問しましたが、要領を得ない印象で、とてもこのマンションを担当しているとは思えませんでした。

 

たしかに、低評価となった責任が当の管理組合にあるのは間違いありません。

 

ただ、長期修繕計画が更新されていないことや、外壁全面打診が未実施であることについては、プロである管理会社の積極的なサポートがあって然るべきでしょう。

 

以前、別のマンションで管理会社の変更を検討する際に、この「G」社が候補の一つに入っており、そのプレゼン資料に以下のような説明(抜粋)がありました。

========

(1)「懸案簿」

懸案事項を一覧表にして理事会運営・進捗管理をします!

(2)「提案型管理」

修繕計画、資金計画を含めて積極的に的確に提案します!

(3)「チェックシステム」

「担当者任せ」にせずに、処理状況をチェックします!

========

実際のところ、現場でこのPRどおりに業務が実行されているのか、

甚だ疑問に思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

 

 

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15年前の耐震偽装事件を教訓に、設計偽装マンションをなくせるか?

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ニュースサイト「Net IB News」に、「相次ぐマンションの設計偽装~デベロッパーと行政の「不都合な真実」」と題した記事が掲載されていました。

 

www.data-max.co.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ 2005年に「姉歯耐震偽装事件」が起きたことに伴い、、2007年の建築基準法改正により、建築確認の厳格化を図った。法改正後、構造計算の偽装は激減したが、いまなおゼロではない。1つの例が、東京の豊洲市場における「日建設計」による設計偽装だ。

■ 福岡市のマンションで設計の偽装が判明したので、販売会社、設計事務所2社、建築確認を行った福岡市に対し質問書を送付した。

■ 販売会社は「設計事務所に確認したが、問題ない」、設計事務所2社は「販売会社から回答するので、直接の回答はしない」と口裏を合わせた回答だった。福岡市は「確認申請書は廃棄しているが、適合を確認のうえ確認済証を交付したと思われる」という回答のみで、適合を確認した具体的な根拠などは 一切示されていなかった

■ 当該物件の購入希望者が構造計算書の閲覧を希望し、仲介業者を通じて管理会社に申し入れたが、「構造計算書は存在しない」との回答であり、購入を断念したことがあった。

■ 建築確認申請書は、正本を行政が保管し、副本は管理組合に引き渡されるため、構造計算書を管理していた管理会社が構造計算書を紛失したことになる。

■ 福岡市は、構造計算書を含む確認申請書正本を廃棄しており、管理会社は構造計算書を紛失している状態で、いったいどのように「適正な構造計算を行っている」ことを確認できたのだろうか。

■ 元請の設計事務所に保管されるのは、多くの場合、確認申請時の構造計算書であり、審査の過程において修正が加えられるため、最終的な構造計算書は、確認申請書副本に綴じられたものだ。

■ それに基づいて、適正な構造計算であることを確認した根拠を示すことができなければ、販売会社も福岡市も、背景には明らかにされては困る「不都合な真実」があると考えられる。

■ 筆者が所有している別府市のマンションでも設計の偽装が明らかになったため、建築確認を行った大分県および別府市に対し質問書を送付した。大分県は「建築確認資料の保管期間が過ぎているが、確認済証と検査済証を交付している」と回答し、別府市は「大分県から書類を引き継いでいない」という回答だった。しかしながら、検査済証は構造計算の適正性を証明する書類ではない。

■ 完了検査は、建築確認を受けた図面通りに施工が行われているかをチェックする。つまり、図面と現場の整合性の確認だけであり、設計が適切かどうかを判断するものではない。

■ 設計が適切に行われていることを前提としているため、設計が偽装されていれば、偽装された図面に基づいた施工に対して、検査済証を交付してしまうことになる。したがって、「確認済証が交付されているから、適切な設計」と主張することは間違いだ。主張が正しいと証明するには、完了検査において建築基準関係規定への適合を確認した根拠を示すべきだ。


■ 「姉歯事件」以降、構造設計が適正に行われているかについて、行政主導による検証が実施されることになったが、実際の検証は、(一社)日本建築構造技術者協会(略称:JSCA)に委託された。


■ 検証に際して、管理組合に対し助成金を交付しているが、この公金を投入した検証において設計の偽装は完全に見逃されていた。それは、JSCAの構造技術者たちが技術的に未熟で発見できなかったか、もしくは自らも偽装を行っていたからだと推測される。


■ JSCAが公金を使い、いい加減な検証を行っていたことは、全国のマンション区分所有者に恐怖を与えることになる。マンション販売会社や行政は、区分所有者の生命と資産を守るために適切な対応をとってほしい。


■ もしマンションが倒壊した場合、区分所有者は近隣の住民に対して加害者となってしまう。また、法令規準を満たさないマンションの売却は難しく、運よくできたとしても、法令規準違反を知った買主から訴えられることもあり得る。


■ 区分所有者は、販売会社に対して「マンションを適法な状態に戻せ!それができないなら、建て替えるか買い取るかの対応をせよ!」と要求すべきだ。

 

本記事の冒頭に出てくる15年前に起きた「姉歯事件」とは、1級建築士が構造計算書を偽装したうえ、確認検査機関がそれを長年にわたり見逃したというものでした。

 

その結果、耐震性を欠いた多くのマンションやホテルが現実に造られ、購入者やオーナーが直接の甚大な損害を受けたばかりでなく、住まいの安全、建築物の耐震性に対する社会全体の信頼が損なわれ、大きな社会問題にもなりました。

 

その際、指摘されたのが「構造設計者」に関する問題です。

 

建築主(デベロッパー)から設計を受託するいわゆる元請け設計者は、いわゆる「意匠設計者」であり、全体の設計を統括するものの、構造設計については専門の技術者に再委託しています。

 

デザイン力を求められる意匠設計者に対して、構造設計者は「計算力」が問われる地味な存在で、担い手がかなり少ないと言われています。

(全国約30万人の一級建築士のうち、構造設計者は1万人に満たない・・)

 

また、構造設計は「下請け業務」と見なされるため報酬が低くなりがちです。

 

そのうえ、オーナーの意向で設計コストの削減や納期の短縮などの要求を受けることも少なくありません。

 

冒頭の「姉歯事件」でも、発注者による経費削減命令が、設計偽装に及んだ動機と言われていました。

 

もう一つは「検査チェック機能の有効性」です。

 

確認検査の目的とは、設計および施工の法適合性に関する第三者チェックですが、「姉歯事件」では、官民の確認検査機関において長年にわたって構造計算書の偽装が見過ごされてきたことから、「確認検査制度の形骸化」も指摘されていました。

  

そのため、2007年の改正建築基準法では、

構造計算適合性判定制度」があらたに導入されました。

 

従来は建築主事、または指定確認検査機関による審査だけでしたが、鉄筋コンクリート造なら高さ20m超など一定の水準を超える建築物は、各自治体指定の「適合性判定機関」の専門家による審査(ビアチェック)が行われることになりました。(下図参照)

 

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この構造計算適合性判定制度の実施に伴い、以下のような変更もなされました。

(1)建築確認の審査期間の延長
   <従前>21日以内 → <現在> 35日以内。

  (ただし、複雑な構造計算を行った場合は、最大で70日以内に延長)

(2)設計図書の差替えや訂正がある場合には、「再申請」が必要に

(3)「3階建て以上の共同住宅」は、中間検査を義務付け

 

この適合性判定を実際に行なっている(一社)日本建築センターのホームページを見ると、最終的には、依頼を受けた建築主に対して、「適合判定通知書」もしくは「適合しない旨の通知書」を発行する、と記載されています。

 

www.bcj.or.jp

冒頭の記事で、筆者が「設計偽装の疑いあり」と指摘している3件の実名付きのマンションは、いずれも2007年の法改正以前に竣工しているため、従前の制度にもとづいて建築確認を受けたものと思われます。

 

したがって、確認申請時の構造計算書を入手のうえ、改めて適合性の判定を受けることで設計偽装の有無を確認したいという主張はよく理解できます。

 

また、

・「構造計算書が存在しない」と回答したマンション販売会社や管理会社

・「確認申請時の正本を廃棄した」と回答した自治体

・「確認済証と検査済証を交付しているから問題ない」という自治体

はたしかに無責任(もしくは無知)と言わざるをえないでしょう。

 

それにしても、

過去の事件(下記参照)を見ても、特に「九州地区」でこうした問題が多く指摘されている印象があるのですが、気のせいでしょうか??

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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