マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

滞納管理費の督促の仕方が悪いと、マンション管理組合が訴えられる!?

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10月13日付の日経新聞に、「マンション管理費滞納どう対応? 法的措置を粛々と」という記事が掲載されていました。

 

www.nikkei.com

「自宅マンションで長期間にわたって管理費を滞納している住民に対してどのような対策をすればよいか?」という質問に対して、弁護士が回答しています。

 

管理組合としてぜひ知っておきたい重要な点も含まれているので、ご紹介します。

 

■ 多くの管理組合では、以下のように滞納への対応ルールを定めている。(1)滞納が3ヶ月以内

文書・電話・訪問等による督促を行う

(2)滞納が1年程度

理事長が滞納者に対して支払督促や少額訴訟等の法的措置を講じる

(3)滞納が1年超

弁護士に依頼して通常訴訟を提起する


■ 上記のような対応に加え、滞納者に対してペナルティーを与えるケースも見受けられる。例えば、一定期間以上管理費を滞納した区分所有者の氏名をマンションの掲示板に張り出すようなケースがある。しかし、これは「自力救済禁止の原則」から問題があるうえ、氏名の公表は名誉毀損行為として不法行為が成立する可能性もある。

 

■ その他にも、電気・ガス・水道を管理組合で一括して契約しているマンションの場合は、滞納者に対する電気・ガス・水道の供給を停止したという事案もある。しかし、このような供給停止は、滞納者に対する不法行為に当たるとして管理組合に損害賠償の支払いを命じた判例もある。

 

■ このように、管理費滞納者に対してペナルティーを与えることは、そのこと自体が不法行為となってしまう可能性があるため、支払督促や訴訟の提起といった法的措置を講じて粛々と対応すべきだ。

 

(1)「自力救済禁止の原則」とは?

本記事で取り上げられている「自力救済禁止の原則」については、あまり認知されていないので、補足のため解説しておきます。

 

「自力救済」とは、自己の権利を侵害された権利者が、法律の手続きによらずに実力行使で自己の権利を実現することです。

 

日本を含む近代国家では、自力救済は原則として禁止されています。

 

自力救済を認めると過度の暴力が用いられたり、権利がないのに実力行使がなされたりといったことが起こりかねず、社会秩序の維持が難しくなるからです。

 

たとえば、

自転車を貸して相手がなかなか返してくれない場合に、相手の家に行って勝手にその自転車に乗って帰ることは自力救済にあたります。

 

たしかに、自転車の所有権を持っているのは自分ですが、自転車は貸した相手に「占有」されている状態です。


法的に言えば、占有しているものはその占有者の財物とみなされ、たとえ真の所有者であっても占有者に無断で持ち帰ったりすると不法行為(窃盗罪)に問われる可能性があります。

 

管理費のような管理組合にとって債権を回収する場合も同様で、相手先に押しかけて暴力や脅迫と受け取られるような請求を行うことは自力救済=不法行為とみなされる可能性があるのです。


このようなリスクを回避するには、(多少お金がかかっても)弁護士等に依頼して粛々と法的措置を取った方が安全ということです。

 

なお、マンションによっては管理費の滞納を理由に、駐車場等の専用使用契約を解除できる旨あらかじめ管理規約に定められているケースもありますが、これは法的にまったく問題ありません。

 

ただし、契約解除された後も当該滞納者が駐車場を明け渡さないことが考えられます。

 

このような場合、たとえば管理組合がその車両をレッカー移動したりするのは、上記の通り「自力救済」に該当するのでNGです。

 

レッカー移動によって車両の使用を制限したということで、逆に滞納者から損害賠償請求を受ける恐れがあります。


管理組合としては、駐車場の明け渡し請求訴訟を提起のうえ債務名義(勝訴判決)を取得後、裁判所にレッカー移動等による車両の排除(=強制執行)を申請するのが「正しい」手順となるのです。


(2)滞納者へのペナルティが不法行為に該当するケースとは?

滞納者の氏名や、滞納の事実及び滞納期間等をマンション内で公表するのは、名誉毀損=不法行為に該当するのでしょうか。


本記事の解説と異なりますが、判例によれば、長期間にわたる滞納については、不法行為の成立を否定するケースもあるようです。

 

たとえば、6ヶ月以上の滞納者が実名を公表されたとして、不法行為に基づく損害賠償請求をした事案では、「長期間にわたって管理費等の支払を怠っている」事実をふまえ、「管理費等の自発的な支払を事実上促す措置として、長期滞納者の部屋番号と名称を館内に掲示することが違法とまではいうことはできない」と請求が棄却されています。

 

<参考サイト>

schoolformkk.com

 

ただ、管理組合の理事として行った行為は、理事個人としての不法行為にもなり得るリスクもあるため、公表については慎重に判断したほうが良いのは確かなようです。

 

また、滞納の理由が、本人の失業・疾病等に伴う純粋に経済的な事情なら、氏名公表による督促の効果も期待できないと思います。

 

いずれにしても、督促や示談交渉を通じて長期滞納に至った理由を把握したうえで、慎重に対処することが大切です。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 


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マンション管理費の滞納問題が深刻になる前に、管理組合役員が知っておきたいこと

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顧問先のワンルームタイプの投資用マンションではすでにその傾向が現れていますが、最近ではいわゆるファミリータイプでも長期の滞納者が出始めています。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 滞納期間が3ヶ月を超える場合は、「うっかり失念」ではなく「確信犯」と考えてまず間違いありません。

 

しかしながら、滞納の初期段階では、管理会社も未納の理由すら確認せず放置しているケースも少なくありません。

 

その結果、やがてそれが長期間の滞納に発展し、その後の回収にも時間や手間を要する事態に陥いる傾向が見られます。

 

じっくり読み込んだ方は少ないと思いますが、

管理組合の「ルールブック」である管理規約には、以下のような内容が定められているのが一般的です。

 

支払期日までに管理費等を納付しない場合は、その未払金について「遅延損害金」(年利14%)ならびに「違約金」として弁護士費用、督促ならびに徴収の諸費用を加算して請求できる。

 

管理費の納付は「前払い」になっているケースが多いですが、その場合たとえば10月分の管理費は、9月末日が規約で定められている期日となります。

 

したがって厳密に言えば、未納となった場合はその期日から起算して高金利の遅延損害金を請求できることになっています。

 

ところが、管理会社から「規約にもとづいて遅延損害金を請求しましょう」という提案は少なくともこれまで聞いたことがありません。

 

もちろん、1、2ヶ月間の「うっかりミス」は起こりうることなので遅延損害金まで請求するのは行き過ぎでしょうが、滞納期間3ヶ月を超える確信犯に対しては請求してもよいのではないかと思います。

 

と言うのも、滞納者の側に立って考えると

・納付期日から遅れても、うるさく督促されない

・遅延損害金(金利)も請求されない

と、管理組合の運営実態がとってもユルイがゆえに軽んじられやすいからです。

 

次に、滞納者に対してすでに督促しているものの、本人と連絡が取れず一向に支払われないというケースもあります。

 

その場合、管理組合役員を含めて「管理会社に任せておけばいいんでしょ?」と考えている方が大半だろうと思われます。

 

しかし、それは大きな「誤解」です。

管理会社との委託契約書には、このように定められているのが一般的だからです。

 

① 滞納者に対して最初の支払期限から◯ヶ月の間、電話、メール、督促状または自宅訪問(当マンションの居住者に限る)などのいずれかの方法により、支払いの督促を行う。

 

②上記①の方法で督促してもなお滞納管理費が支払われない場合は、管理会社はその業務を終了する。

 

管理会社が行う督促期間である「◯ヶ月」に入る数字は、「6」が一般的だと思います。

 

また、「業務が終了する」という表現についてはかなり事務的な印象が強いですが、「管理委託費の枠内で行う業務範囲」ということを意味しています。

 

つまり、それ以降は、組合の判断で有償(追加費用)での対応、あるいは弁護士の起用を含めて法的な措置をとってくださいということです。

 

したがって、契約の範囲内で管理会社が督促対応してくれるのが滞納期間6ヶ月間までとすると、滞納者が「確信犯」と判明してから実質4ヶ月程度しか残っていないことになります。

 

こうした事情からも、管理費の滞納問題はなるべく小火(ボヤ)の段階で消火活動を行って確実に回収することが大切です。

 

そのため管理組合としては、初期段階での滞納理由の見極めと、管理規約に則って「確信犯」を判断した場合の遅延損害金の請求については速やかに行っていくことをお勧めします。

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


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「現代ビジネス」に執筆記事が掲載されました!

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昨日、「現代ビジネス」に執筆した記事が掲載されました。

 

「マンションの共用施設を見れば「損か得か」一瞬で判断できるワケ」

 

gendai.ismedia.jp

<内 容>

(1)「ホテルライク」である必要はない!
(2)こういう設備・サービスは「損」をする!
(3)「得」する設備・サービスはこちら
(4)実は「リスク」だらけのタワマン

 

至れり尽くせりの豪奢な仕様と巧みなセールストークに魅了され、新築でマンションを購入した時点では満足度も最高潮に達します。 

 

しかし、それから10年も経つと「これって本当に必要なの?」と思わざるを得ない設備やサービスがあることに気づき始め、サービスの見直しや廃止の対象になる事例も耳にします

その理由は、マンションを購入した瞬間から、管理や修繕等に関する経済的負担をどうするか、という「不都合な現実」に直面するからです。

 

新築販売時の魅力的な謳い文句や世間的な人気に惑わされて、結果的に高い買い物をさせられないためには、マンションには維持管理費がかかるという「不都合な現実」から目を背けず、長期的な視点に立って冷徹な判断を下すことが大切だと思います。

 

これまで数多くの様々なマンションについて財政状況を診断してきたコンサルタントの立場から、マンションの設備・サービスとして本当に必要なものとそれほどでもないものとを選り分けて整理しました。

 

また、タワーマンションの実データを参考に、通常のマンションと比べていかに維持管理に大きなコストがかかっているかを紹介しています。

 

なお、タワマンについては、そのほかに2つの「リスク」についても留意する必要があることも指摘させてもらっています。

 

ぜひご一読ください。

 

 

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小規模マンションでも、戸あたり年間5万円もコスト削減ができたワケ

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先日、都内の顧問先マンション(28戸)では、理事さんからのリクエストを受けて直近1年間の理事会運営の状況について当社が講評をさせてもらいました。

 

その一部をご紹介しましょう。

 

1.管理コストの適正化について

管理委託費(従前4百万円/年)、電気料金(従前4百万円/年)、マンション保険(従前230万円/年)の主要3費目について当社が見直しを行い、契約変更までをサポートした結果、以下のような成果を実現することができました。

 

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(1)管理委託費

 

全体の削減成果の8割を占める管理委託費については、これまで管理組合自身が管理会社に減額を要請しても、なかなか応じてもらえなかったものの、当社がコンサルティングに着手したことで対応が一変し、従前とほぼ同じ仕様を維持しながら3割近い減額に応じてもらうことができました

 

(2)マンション保険

 

マンション保険については、従前の保険契約では保険金額が建物評価額と同額で設定されていました。

 

ただ、鉄筋コンクリート造のマンションの場合には全焼・全損のリスクが小さいため、建物評価額の6割相当に保険金額を調整するとともに、「マンション管理適正化診断サービス」での好評価を反映させた結果、従前の保険料に対して半額以上削減することができたのです。

 

<参考記事>

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 (3)電気料金

 

電気料金については、このマンションでは電子ブレーカーや蓄熱式暖房機をすでに導入しており、コスト削減ができていました。

 

しかしながら、これら機器を削減業者が実質的にリース方式で提供しているため、長期にわたって料金削減額の4割相当をシステム利用料として支払う契約になっていました。

 

そのため、削減業者との契約を中途解約のうえ、これらの機器を管理組合が購入するプランを改善案として提案しました。

 

その後、削減業者の思わぬ抵抗に遭いましたが、新電力への切り替えも併せて実施することで、長期にわたってより多くの削減メリットを享受できるようになりました。

 

<参考記事>

 yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 これら主要3費目のコスト適正化の実現によって、年間150万円の経済効果生まれました(戸あたり平均で年間5万円超)

 

2.今後の課題について

このマンションでは、機械式駐車場の稼働が9台中2台にとどまっています。

 

また築20年目を迎え、経年劣化に伴う設備の修繕・更新の必要性が高まっています。

 

そのため、このまま修繕・更新を進めるのか、思い切って事実上遊休化している設備を撤去して平面化するかを現在鋭意検討中です

 

撤去・平面化を実施する場合、当該工事費の負担(3〜4百万円)が必要となりますが、それ以降の定期保守点検費(年間10万円)ならびに長期修繕計画で計上されている修繕・更新費用(15百万円程度)が逆に不要となるため、経済的なメリットは十分あると考えます。

 

今年度は、この駐車場設備の見直しが大きなテーマとなりますが、引き続き当社が理事会の運営をサポートしていきます。

 

なお、10月19日(土)の当社セミナーでは、

「駐車場上の空き区画対策」をテーマに開催する予定です。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

 

ご関心のある管理組合の皆様のご参加をお待ちしております!

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

           f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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【理事長のギモン】マンションの管理費 月額15,000円は高い?妥当?

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管理組合の理事さんからの相談で、「ウチのマンションは管理費が毎月15,000円なのだが、これは高いのでしょうか?」といった類の問い合わせを受けることがあります。

 

まずは「部屋の広さも分からない状況では、なんとも・・・」となります。

 

次に、お部屋の面積が分かれば、

新築マンションの平均単価に関する統計データと比較するのは可能です。

 

専有面積1平方メートルあたり月額210円くらいなので、70㎡の部屋なら

14,700円となり、おおむね平均に近いレベルだとわかります。

 

しかし、そもそも管理費の平均値が「妥当」かどうかとはまったく別の話です。

 

なぜ管理費の金額だけでは、それが「割高」か「適正」か分からないのか?

 

その理由を解説しましょう。

 

【その1】「管理費」とは、管理組合の「収入」である

 

管理組合の理事さんの話を伺っていると、「管理費」と「管理委託費」を概念的に混同されていることが多いです。

 

どちらの科目も費用(支出)の名称で似ていますが、内容は全く違います。
 

つまり、

■ 管理費  :区分所有者「が」管理組合「に」毎月支払うおカネ

■ 管理委託費:管理組合 「が」管理会社「に」毎月支払うおカネ

 

要するに、

管理組合の目線で考えると、管理費は「収益(売上)」で、それを原資に「管理委託費」など組合運営や建物管理に必要な経費を支払うわけです。

 

【その2】 管理組合の収益は「管理費」だけではない

 

管理組合の決算書に目を通せばわかりますが、管理組合の収益(売上)に計上されるのは管理費だけではないのが普通です。

 

管理費のほかに、駐車場やバイク置場、専用庭などの各種「専用使用料」もあるからです。

 

この専用使用料の収入が、マンションによっては管理費に対しておよそ3〜5割くらいの比重を占めることもあります。

 

もしそれが5割だとすれば、管理組合にはトータルで管理費の1.5倍の収入が入ることになります。

 

【その3】 管理費は必要経費の積み上げから算定される

それでは、月額の管理費はどのように算出されるのかそのプロセスを確認してみましょう。

 

まず、管理委託費、水光熱費、火災保険料、修繕費などの経常的な支出項目を積み上げながらトータルで必要な年間経費を算定します。

 

これに多少の安全余裕率(剰余金)を加えたうえで、管理組合の安定収入として必要なお金(=区分所有者から徴収すべきおカネ全額・・A)が決まります。

 

上記の総収益(A)から、別途徴収する各種専用使用料を差し引くと、徴収すべき「管理費」の金額が決まります。

 

以上の解説を算式にまとめると、以下のようになります。

【管理委託費等の必要経費の積上げ】×(1+余裕率) =  A 

 管理費  = A - 各種専用使用料

 

つまり、

「管理委託費」などの運営経費や、駐車場等の「専用使用料」の金額次第で、区分所有者から徴収すべき「管理費」の金額も変わってくるということです。

 

これが、管理費の金額だけではそれが割高か適正か判断できない理由です。

 

ただ、管理費の水準を決めるに際して、全体の5割くらいの比重を占める管理委託費の多寡が大きく影響することは間違いありません。

 

そして、その管理委託費は、特に分譲会社(デベロッパー)系列の管理会社が受託する場合は売主側の「言い値」で決まっていることがほとんどです。

 

つまり、管理費の水準を云々するよりも、管理委託費を決める際に競争原理が働いているのかどうかがよほど重要なことなのです。

 

 <参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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総会直前の業務委託費の増額提案に物申す!

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顧問先のマンションで8月下旬に開催された理事会のことです。

事実上今期の最終回となり、いよいよ役員改選も兼ねた通常総会のスケジュールを決めた直後に、管理会社から管理委託契約の更新について説明がありました。

 

このマンションでは、約2年前に管理コスト適正化の一環で管理委託費を3割近く減額してもらったばかりなので、そのままの条件で継続だろう・・・。

 

と思いきや、

「月額3千円増額してほしい」との申し出がなされたのです

 

理由は、清掃業務の人件費が高騰しているためとのこと。

 

再委託先業者から値上げの人手不足で労務単価が上昇しており増額の要請を受けている。

 

他社にも相見積もりを取って検討したが、業界全体的に厳しい状況なので認めてほしいとの由。

 

清掃費を時間単価で換算すると、現状の水準は確かにギリギリかもと思いました。

 

しかし、この管理会社にはいくつか「カウンターパンチを出す余地」がありました。

 

第一は、オファーのタイミングです。

 

たしかに管理委託契約は12月1日以降の更新なので、期間満了の3か月前までに条件変更の申し出を行っておりそれ自体に問題はありません。

 

ですが、総会を間近に控えており、契約更新の議案も当然上程するつもりでオファーしてきています。

 

つまり、管理組合側が増額提案を受け入れることを念頭に置いているわけですから、少々強引な姿勢だし、もっと早い段階でオファーできたのでは?と感じました。

 

第二は、フロント担当者のこの1年間の業務品質に関する問題です。

 

対応がしばしば遅れがちのため住人からクレームを受けたり、照明が漏電で不点灯になった際には、その原因が漏水と思い込んでしまったために、真の原因にたどり着くまで多大な時間がかかった(結局、照明器具の金具が配線に接触したことが原因と判明)という一件もありました。

 

そして三つ目は、

管理委託費全体として、まだ割高な部分も残っているということです。

 

2年前に減額交渉をして従前に比べて3割ほど下げられることになったので妥結しましたが、業務項目によってはまだ割高な部分もあり、組合側としては「満額回答」のレベルではありませんでした。

 

なので、そっちが増額を要望するなら、こっちもカウンターで再度減額の要望をさせてもらいますよ、と言うこともできるのです。

 

これらの「反論材料」を管理会社に伝えたうえで、「今回の増額提案には応じがたい。どうしても増額したいなら、来期の理事会でじっくりと条件交渉しましょうか?」とボールを投げ返してみました。

 

その数日後、「今回の増額提案は取り下げます」との回答が来ました。

 

近頃、管理委託費の値上げ要請が増えているようですが、交渉相手として管理組合はやや「舐められている」部分もあるのは確かです。

 

総会直前の段階で唐突に増額要求をして勢いで受諾させようというスタンスがそれを明確に示唆しています。

 

管理組合側も「仕方ないか」とすぐに諦めるのではなく、じっくり検討することが大切です。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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岩波新書「生き延びるマンション」は、丹念な取材記録の集大成!

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8月に発売された「生き延びるマンション」(山岡淳一郎著 岩波新書)を読みました。

 

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著者は、多くの分譲マンションが「建物の老朽化」と「住民の高齢化」という「二つの老い」が進む中、住民の大半が管理組合活動や維持管理に関心がない状況を憂いています。

 

このまま無関心の状況が続くと管理不能で住環境が荒れ、空室が増加してスラム化を呼び込むことになると言います。

 

なぜ住民の無関心がマンションのスラム化につながってしまうのか?

 

分譲マンションの管理を適切に行うには、「長期にわたる人的なマネジメント」が不可欠だからです。

 

そこに気づくには、分譲マンションの管理と運営にはどのようなリスクが潜んでいるのかをまず正しく認識する必要があります。

 

まずは、建物の資産価値を長期にわたって維持するために最も大切な管理組合の財政にかかわる問題です。

 

新築時の修繕積立金の設定が低すぎるために、将来の大規模修繕工事の資金を賄うにはなるべく早い段階で一定の金額以上に増額しなくてはなりません。

 

そのうえで、その修繕積立金をどのように支出していくかという問題に直面します。

 

多額の修繕積立金を巡っては、管理会社、施工業者、設計事務所、あるいは一部住民を巻き込んで利害関係者の思惑が錯綜しており、管理組合が主体となって適切なマネジメントが行われないと多大な無駄遣いや、工事の失敗を招いてしまうリスクもあります。

 

第二は、居住者の高齢化に伴うリスクです。

区分所有者の相続が発生した際に、円滑に部屋の承継人が決まればよいですが、マンションの「負動産」化、少子化の進行などに伴う相続放棄の増加によって所有者不明や管理費等の滞納の問題が発生するというリスクが今後顕在することは間違いないでしょう。

 

また、高齢化の進行に伴い、マンション内で認知症の居住者が今後増加することも予想されます。

 

つまり、管理組合の仕事は単に建物の維持管理だけでなく、新たに「住民の終活サポート」も今後視野に入れざるを得なくなるということです。

 

第三には、修繕か建替えかという選択に関する問題です。

 

マンションの建替えに関する制度は存在するものの、現在実施中も含めて建替えを実現できたマンションは全国でたったの267件(2019年4月現在)にすぎません。

 

これには、区分所有法の制約(全体の8割以上の賛成)もありますが、経済的負担が大きいのが最大のハードルでしょう。

 

しかし、通常数千万円にのぼるローンを組んでその後長期間の返済を強いられる一生ものの買い物であるにもかかわらず、それがようやく終わったら建て替えを検討しなくてはならないというのはどうなんでしょうか?

 

国交省の調査によると、「滅失した住宅の平均築後経過年数」は、日本の場合たったの「30年」です。

 

これは米国(55年)や英国(77年)の実績データと比べると、かなり短い。

 

また、「住宅投資に占めるリフォーム投資の割合」は日本の場合29%しかなく、英国(56%)やフランス(53%)とその差は歴然です。

 

その背景には、日本の不動産・建設業界が「スクラップ&ビルド」(新築・売り抜け)のビジネスモデルに依存しているということがあります。

 

この「スクラップ& ビルド」方式は社会的な費用を確実に増やします。

 人口も増え、給与も増え・・という右肩上がりの時代はそれも可能だったかもしれません。

 

しかし、少子高齢化による人口減少社会がすでに到来し、今後は高い成長率が見込めない経済状況の中で住宅環境を安定的に維持していくには、土地だけでなく、上物(うわもの)の住宅自体が資産化する方向にパラダイムを転換していくことが必要です。

 

そもそも、地震にも強い鉄筋コンクリート造のマンションは、外壁改修や防水工事、給排水設備のメンテナンスを怠らなければ、人間と同様に「寿命100年」を目指すことも決して夢ではありません。

 

しかし、それは無関心層が多数を占める管理組合の現状ではとても覚束ないでしょう。

 

つまり、それを実現するには「マンション住人自身の意識変革」が必要不可欠なのです。

 

本書は、こうした無関心派の管理組合とは違って、「何とかしなければ・・」と目覚めた住人の取り組みが大きな変革をもたらした複数の事例が詳細に綴られつつ、コンパクトにまとめられています。

 

特に、地震をきっかけにマンションを支える複数の杭が支持地盤に届いていなかったことが判明したために、結局全体の建て替えを余儀なくされた横浜市の大規模マンションでの検討経過のレポートは圧巻です。

 

売主のデベロッパーによる最初の反応とマスコミに取り上げられた後の対応の変わり方、建て替え決議に至るまでの組合内部の苦悩、杭の施工不良を招いた一因と推測される建築確認申請にかかる手続きの問題などが克明に描かれています。

 

この他にも

・訪問介護ステーションを設置した都心のタワーマンションの取り組み

・多摩ニュータウンにある団地の建替え実現までの約20年間の軌跡

・自主管理方式のまま法人化し、住民主体で運営している高経年マンション

など、「終の住処」を「楽園」に変えようと努力する住民の行動について参考になる事例が数多く取り上げられています。

 

ぜひ管理組合の役員さんには読んでいただきたい一冊だと思います。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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