マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

【理事長のギモン】マンション保険で「漏水」は補償されるのに「雨漏り」はダメなの?

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築20年を超えるマンションで発生する保険事故のうち「漏水」が約7割を占めているそうです。


ただ、一口に「漏水」と言っても、その原因や被害が生じた場所や状況はさまざまです。


漏水事故を含むリスクに備えて、

マンション管理組合では、共用部を対象とする損害保険に加入しています。

 

その補償内容は、火災、破裂・爆発などの事故、自然災害(落雷、風災、雹(ひょう)災、雪災)、物体の飛来・落下などによる「突発的な損害」など多岐にわたります。

 

さらに、主要な「補償特約」として、

(1)施設賠償責任補償特約

共用部分が原因で他人の身体や財産を毀損(きそん)した場合の補償

 

(2)個人賠償責任補償特約

専有住戸に起因する事故で他人の身体や財産に損害を与えた場合の補償

の2つも付帯しているのが一般的です。

 

さらに、オプションとして「地震保険」を付けることも可能で、これらを総称して「マンション総合保険」と呼んでいます。

 

今回は実際に起きやすい漏水事故の事例をもとに、

保険の適用ができるのか、どこまで補償されるのかについてご紹介しましょう。

例1)どこから漏水したのか原因が分からない!

漏水事故の場合、事故の発生段階ではその原因や浸水した箇所がよく分からないことが多いのが実際です。

 

その場合、まずは「水濡れ原因調査」を行う必要があります。

 

この調査に要する費用はマンション保険の補償の特約に含まれているのが一般的で、実費相当は補償されるのでぜひ覚えておいてください。

(ただし、「年間100万円以内」など金額の制限があるのが一般的です。)

例2)居住者の不注意で上階の洗濯パンから漏水し、階下の居室が被害を受けた!

本ケースの場合、共用部ではなく、専有住戸間のトラブルのため、加害者・被害者の当事者間で解決すべき問題とも言え、管理組合が関与する問題ではなさそうだと思われがちです。


ただ、このようなケースでは、

上でご紹介した「個人賠償責任補償特約」を利用できます。

 

下階の被害者から賠償請求された場合、上階の加害者が管理組合(理事長)に事故の報告をして保険適用を申請すれば保険金が支払われます。

 

そのため、加害者が個人的に賠償責任保険に加入していなくとも、被害者は管理組合の保険で救済されることになります。

 

なお、この場合、加害者が区分所有者ではなく、区分所有者の「家族」あるいは「賃借人」であっても保険金は支払われます。

 

この特約は「専有住戸の使用等に起因する事故」が成立要件となっており、「加害者が誰か」までは問われないからです。


例3)老朽化した給水管(縦管)からの漏水で住戸内が被害を受けた!

漏水の原因が、共用設備の老朽化が原因と判明した場合には、上でご紹介した「施設賠償責任補償特約」の適用を受け、当該住戸の修繕費用については補償の対象となります。

 

ただし、共用設備自体の修繕費については補償の対象になりません

漏水原因が設備の老朽化であって、自然災害や突発的な事故による破損等ではないからです。

 

例4)外壁や屋上からの漏水で最上階の住戸内で漏水した!

漏水事故について覚えておいてほしい注意点が1つあります。

 

それは、風雨、雪、雹(ひょう)などの吹き込みや漏入による損害は、保険会社の「免責事項」に含まれているため、補償の対象外になるということです。

 

例えば、屋上防水シートの劣化が進んだ結果、最上階の部屋で雨漏りが発生したとしても補償はされません。

 

これに類する事例として、顧問先のマンションで実際にあった事故をご紹介しましょう。

 

このマンションでは、昨年の台風の際にエレベーターが緊急停止しました。

 

原因は、強い風雨によってエレベーター設備内の部品が被水したためであることがわかりました。

 

保守会社が緊急対応し、設備内の水を拭き取ったところ、エレベーターは無事復旧しました。

 

しかしながら、被水した部品は不具合が再発するリスクがあるとの理由で、その後管理会社から部品の交換工事の見積書が提示されました。

 

このマンションのエレベーターは「フルメンテナンス」の保守契約のため、経年劣化に伴う設備の修繕や部品の交換は保守点検費に含まれており、管理組合が修繕費を負担する必要はありません。

 

しかし、本ケースの場合には「天災等による損害」に該当するため、管理会社の免責事項に該当する、ということでした。

 

そこで、天災が原因ならということで、

マンション保険の適用を申請したところ、それも「却下」されてしまいました。

 

本ケースの場合、風災によって建物や設備が破損したわけではないので、単なる「雨水の侵入」が原因と判断されたからです。

 

建物や設備の老朽化だけでなく、「雨漏り」による損害も保険では原則(※)補償されないことは覚えておきましょう。

(※ 損保会社の一部については、共用部の老朽化による雨漏りの場合も「施設賠償責任特約」の適用で被害住戸の修繕費を補償するプランを用意しています。ただし、保険料はかなり高くなります。)

 

<参考記事>

 

suumo.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

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マンション保険の見直しでよくある管理会社の「脅し文句」とは?

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先日、あるマンション管理組合の理事さんから以下のような相談を受けました。

 

■ 管理会社の変更を検討中ですが、マンション保険の見直しについても相談があります。

 

■ 一昨年、損保会社Aから別の損保会社Nに変更することで、保険料を現状比130万円(5年分)も削減できる見積りをもらいました。

 

■ しかしながら、それを聞いた管理会社のフロント担当者から「損保会社Nについては当社が代理店として取り扱っていないため、事故発生時に対応の遅れや理事長の事務手続きが増大する可能性がある。」と不安をあおるような発言があり、結局変更には至りませんでした。

 

■ 損保会社Nを代理店として取り扱っている管理会社はほとんどないとすると、管理会社を変更しても保険会社の変更は難しいのでしょうか?

 

マンション管理会社は、管理受託をテコにして大規模修繕工事はもちろんのこと、集合インターホンや防犯カメラなどの共用設備の更新についても流通経路に介在することで元請けの売り上げや紹介手数料を収益として得ています。

 

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そして、マンション保険の代理店業もその一つです。

大手損保については、管理会社が取り扱い代理店になっていることがもっぱらです。


しかしながら、昨今、損保各社の保険料にはかなりの金額差が生じています。


4年前に登場した日新火災の「マンションドクター火災保険」は、築年数だけでなく、
マンションの管理や修繕状況の評価結果に応じて保険料の値引きを行う画期的な商品で、すでに累計7千件超の契約に達しています。

 

しかしながら、多くの管理会社が日新火災を代理店として取り扱っていない、もしくは日新火災への切り替えをあまり勧めません。

 

その主な理由は、以下の3点が考えられます。

 

1)第三者(マンション管理士)が管理適正化診断を実施するので対応が面倒。

2)専門家の介入によって、管理委託費の見直しの提案を受けるリスクが増える。

3)損保会社の変更で保険料が下がると、代理店としての収入も減るので面白くない。

 

要するに、自社の都合や利益しか考えていないのです。

 

また、保険代理店が管理会社以外の他社に変えられそうになった時に、フロントが

「この損保会社だと、なかなか保険金が下りないという評判がある」 とか

「保険金申請に伴う事務代行業務を行わないので、理事の負担が増える」など

と言って翻意させようとする行為は、特に体質の古い管理会社「あるある」です。

 

まず、何ら根拠も示さずに特定の損保会社の誹謗中傷をするのは、言語道断です。

(代理店になったことがなければ、少なくとも実体験ではないはずです。)


次に、保険代理店を外された管理会社が事務代行を行わないことで、組合役員の負担が増えるようなことがあってはなりません。

 

これについては、以前管理会社の所管団体である「マンション管理業協会」にも直接照会しましたが、事務管理業務の一部として保険契約にかかる事務代行業務を行うと記載している以上、こうした対応はNG であることを確認済みです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

つまり、管理会社がどこであろうと、保険代理店および保険会社のいずれも管理組合が自由に選択できて当然なのです。

都内にある顧問先マンションでは、昨年保険料の安い損保会社に中途で切り替えた際に管理会社が代理店から外れてしまいました。

 

それでも、保険申請できる事故が発生した場合には、普通に保険代理店への連絡などのサポートをしてくれています。

 

悪辣な管理会社の脅し文句に屈しないよう、管理組合も理論武装しておきましょう。

 

  
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老朽マンションの敷地一体売却の要件が緩和されたワケ

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6月16日付けの「NHK News Web」で「耐震性ある老朽化マンション建て替え所有者5分の4合意で可能へ」という記事が掲載されていました。

 

www3.nhk.or.jp

 本記事の概要は以下の通りです。

■ 耐震性を有する場合の老朽化マンションの建て替えを促進するための法改正案が16日の衆議院本会議で可決・成立した。

 

■ その結果、建物と一体で敷地を売却する場合の要件である「所有者全員」の合意が「5分の4以上」に引き下げられることになった。

 

耐震性が不足している老朽マンションについては、すでに建物や敷地の売却が所有者の5分の4の合意で可能となっていたが、耐震性があるマンションの場合は所有者全員の合意が必要で、老朽化が進んでいても合意形成が進まないことが課題となっていた。

 

■ 6月16日に成立した改正法は、今後1年半以内に施行される。

 

 

マンション建替えに関する現行法の状況は、下の図の通りです。

 

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ご承知の通り、マンションの建替えは、管理組合の決議によって区分所有者全体の5分の4以上の賛成がないと成立しません。

 

それだけでも十分ハードルが高いのですが、建替えを実現したくても、容積率の割増しなどの優遇措置がないと区分所有者の資金不足がネックになって合意形成が進まないという問題ものしかかってきます。

 

そのため、老朽マンションの建替えは一向に進んでいません。

 

実際のところ、築40年以上の老朽マンション56万戸のうち、建て替えが実現したのはたった3%(1.8万戸)に過ぎません。(2016年国交省調べ)

 

そのため、現実的に建替えが難しいならば、いっそのこと建物を解体して敷地売却したうえで管理組合を清算するという選択肢もあったほうがよいわけです。

 

しかし、マンション解体後の敷地の処分に際しては、(区分所有建物がないので)区分所有法のもとではなく、民法の定めに従うことになります。

 

そのため、民法の「共有物の処分」に該当し、敷地の共有者(=元区分所有者)全員の賛成が必要になるというわけです。

 

そうなると、ますます区分所有者間の合意形成が困難になるのは明らかで、事実上老朽マンションは建替えも敷地売却のどちらにも進めない「出口なし」の状況に陥ってしまいます

 

そこで、2014年の法改正によって、旧耐震でかつ耐力が不足しているマンションについて、建物解体後の敷地を「5分の4以上の賛成」により売却できる制度が施行されたのです。(下記ブログ参照)

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

そして、6年前の法改正に続いて、今回は敷地売却の要件緩和の対象が、耐震性のあるマンションまで拡大されることになったのです。

 

ただし、「外壁がはがれ落ちるなど周辺に危険性があるマンション」という要件を満たす必要があるとのことです。

 

この要件が意味するところとは、

資金不足のために維持修繕が満足にできなかったり、管理組合が適正に運営されていない管理不全のマンションなども対象にするということでしょう

 

新耐震基準を満たす建物は、1981年6月以降に確認申請していることが要件とされています。

 

つまり、新耐震マンションの最高齢は、今年で築39年を迎えることになります。

 

したがって、新耐震基準を満たしていても、資金面や運営面で問題を抱えるマンションも対象に、建替え以外の出口戦略を用意しなければならないのは当然でしょう。

 

今後は、わが国もますます人口減少の傾向が強まり、地価を含む不動産価格が下がることはもはや避けられないと思います。

 

地価が大幅に下がれば、老朽マンション解体後にそのまま同じものを建て替えなくても、たとえば戸建て住宅として再開発することも考えられるようになるでしょう。

 

「老朽マンションの出口戦略」については、建て替えに固執せずに現実的な選択肢を提供するよう適宜見直してもらいたいと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

     
         f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

 

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マンション管理組合は、今後オンライン化・電子化が進むのか?

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6月11日に、大手マンション管理会社の「大京アステージ」らが、デジタルトランスフォーメーションによる“次世代型マンション管理サービス”の開発に着手したというニュースリリースを行いました。

 

prtimes.jp

本リリースの要約は以下の通りです。

■ 大京アステージと穴吹コミュニティは、マンションをとりまく社会課題の「3つの老い」(建物の老朽化、居住者の高齢化、労働力の老い)などに対応する「次世代型マンション管理サービス」の開発に着手した。

■ 業界No.1の管理実績からこれまで得たナレッジに、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの最新テクノロジーを融合させた“新たなマンション生活様式”を創造するとともに、労働集約型の管理業務の変革を目指す。

■ 第一弾として、管理組合の総会をウェブ上で視聴できる「WEB総会」サービスを、2020年7月より試験的に提供する。

■ 通信障害などのリスクも想定し、総会決議をWeb上で行う方法ではなく、書面・電磁的方法などによりあらかじめ議決権を行使した上で、自宅などからウェブで総会を視聴できるようにする。

■ 今後は、理事会の実際の場とWEB参加の双方向で対話が可能な「WEB理事会」サービスの開発やその場で議決権行使が可能な「WEB総会」サービスにも対応できるよう検討する。

■ WEB総会サービスの機能を活用して、居住者間の「WEB意見交換会」など管理組合イベントでの活用や、「工事説明会」「防災セミナー」「空き駐車場の抽選会」など各種説明会での活用も予定している。

■ また、2020年秋から順次、デジタル技術で居住者の健康を支援するヘルスケアサービスや、管理組合と管理会社との電子契約システムなどを導入する予定。

■  電子契約システムの導入については、管理委託契約など書面の電子契約システムを導入することで、契約書保管の負担や印紙代を削減できる。

■また、居住者からの日常生活における相談やトラブル発生時の緊急連絡、各種申請手続きなどをアプリで簡単にできる環境を整備する。

■AIを活用し、管理組合の総会資料や議事録を自動作成することで、社員の事務業務効率化を進めていく。

 

 

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マンション管理のコンサルタントとして起業してから、今年で8年目を迎えました。

 

インターネットやパソコン、スマートフォンの普及によって、私たちの仕事や日常生活のあり方もかなり変容しましたが、管理組合の運営についてはまだまだアナログの部分が多いと言わざるを得ません。

 

理事会や総会の開催の際には、大量の資料や議案書を毎度コピーしていますし、総会議事録の送付や委任状等のやり取りも捺印を伴うこともあって常に郵送です。

 

組合経費の精算についても、理事長による電子承認で管理会社が支払いを代行するシステムを活用しているケースもありますが、原則としては、管理会社が銀行に提出する払戻し請求書を理事長に送って、押印したものを郵送で返してもらうのが一般的です。

 

外出自粛を余儀なくされた期間中に、日本独特の「ハンコ文化」がリモートワーク普及の障害になっているとの報道もありましたが、管理組合の運営もまったく同様です。

 

重要情報の漏洩や組合財産の喪失といったリスクを回避するセキュリティ対策には万全を期すことがもちろん前提条件ではあるものの、今回の「コロナ対策」を機に古色蒼然とした管理組合の運営様式が見直される動きは歓迎しますし、大いに期待するところです。

 

ただ、管理会社がこうした電子化システムを通じて管理組合にサービスを提供することに伴って懸念される点もあります。

 

現在でも、管理組合の理事会・総会の開催やその議事運営を管理会社が事実上仕切れる立場になることが実情のため、管理会社にとって都合の悪い議案(管理委託契約の見直し、管理会社のリプレイス)を上程したり、利害関係の当事者となる管理会社をオミットすることに抵抗感を感じたり、消極的になる管理組合が少なくありません。

 

今後こうした電子化システムを管理組合に提供することで、ますます組合運営を牛耳ることが容易になりかねません。

 

つまり、「顧客の囲い込み強化」という経営戦略の面も少なからずあると考えるべきです。

 

その証拠に、本記事には今後予定しているメニューとして、以下のような説明がなされています。

■問い合わせの多い換気扇フィルタの交換方法などを動画で説明する「住宅設備メンテナンスの仮想体験」などのコンテンツを追加していく予定。

 

■設備メンテナンスや交換などのマンション固有の各種情報を定期的に配信する。

 

 

マンションの共用部分はもちろんのこと、専有住戸内のサービスも視野に入れた「流通経路の独占」が狙いである思います。

 

 

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【理事長のギモン】コロナ感染防止対策で、マンション管理組合の運営はどうすればいいの?

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6月6日付けのダイヤモンド・オンラインに、「コロナで問題噴出!マンション管理組合に求められる新しい形とは?」と題した記事が掲載されていました。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。

 ■ 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マンションの管理組合にも思わぬ影響が管理組合と業務委託先の管理会社の双方に及んでいるため、業務が停滞してしまったマンションが少なくない。

■ その一つが、「3密」を回避するため、理事会や総会などの開催を見合わせている管理組合が多数出ていることだ。理事にとって気がかりなのが、「規定の集会や会合を開かないことが問題にならないか」という点である。

■ 区分所有法において、「管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない」(同法第34条2項)、「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」(同法第43条)と定められている。

■  しかしながら、「前年の開催から1年以内」という開催期限に関する規定はない。 法務省からも「本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」との見解が示されている。

■  「3密」を回避しつつ、理事会などを開催するひとつの方法として、ZoomやLINEなどのオンライン会議システムが注目を集めている。ビジネスシーンでは急速に導入が進んでいるオンライン会議システムを、理事会でも活用しようという動きが盛んになっている。

■  ただ、ここで問題になってくるのは、オンライン会議システムを利用した理事会の開催の可否である。国交省の標準管理規約には、「書面または電磁的方法」の利用についての規定はあるが、オンライン会議システムの利用を想定した規定はないため、その有効性が明確ではない。

■  これについて、国交省がそれを補足する形で、「理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる」という「コメント」を記載している。ただ、このコメントは今回の新型コロナウイルス問題が起きる前に作成されたもので、こうした事態を想定したものではない。

■  このコメントが意図するのは、オンライン会議システムを採用した理事会が成立するためには、管理規約を改正し、その旨をあらかじめ定めておく必要がある、ということだ。

■ しかし、「3密回避」を目的とした方法を採用するために、管理規約を改正すべく「3密」になる総会を開くのは本末転倒だ管理組合や理事会の運営が困難になっているこの非常事態には、もっと柔軟な解釈をしてもよいと思う。


■ 理事の全員が賛成するならば、今はオンライン会議システムを利用して理事会を開催し、のちに通常の理事会が開催された際に、念のため議題を再度上程して追認する、という形を取ればよいのではないか。

■ ただし、理事のうち1人でも反対した場合などは、慎重に進めるほうが得策だろう。

■ 最も感染の危険性が高い場所はエレベーターといわれているため、エレベーターボタンのアルコール消毒をまめに行う。さらに、マンションで感染者が出た場合の対応として、管理組合は感染者とその家族に対する差別やいじめにつながらないような配慮をするとともに、ほかの居住者に対する安全対策も講じる必要がある。

緊急事態宣言以降、管理や清掃員の出勤を停止したり、業務時間を大幅に短縮したり、フロント担当者もリモートワークになったことで、運営に支障が出ているところは少なくない。

■ 気になるのは、現段階で、管理会社からは管理業務削減の申し出はあっても、それに応じて管理委託費の減額が提示されたという話をあまり聞かないことだ。

■ 管理組合は費用感覚に疎いところが多く、管理会社は管理組合からの指摘がなければ、業務の不完全履行が明確であっても、満額で引き落としを行う場合がある。しかし、行われなかった業務分の管理委託費は返金されるべきである。

■ このように、管理組合では理事会の役割が非常に重要である。そのためには、日ごろから理事同士が密に連絡を取れるようにしておくことが大切だ。理事同士で電話番号、メールアドレスなどの情報を交換し、互いに連絡が取り合えるようにしておくことが望ましい。

 

 本記事で提起されている筆者の見解には「ほぼ賛成」の立場ですが、私自身の考えを以下述べてみたいと思います。

 

1)通常総会の開催について

区分所有法の定めで、通常(定期)総会は年に1回開催することが義務付けられています。

 

管理規約では、一般的に決算月から3(もしくは2)か月以内に開催すると定められていますが、これは法定ではなくあくまで「管理組合内のルール」にすぎないため、状況に合わせて延期するなど柔軟な対応を取っても許されるものと思います。

 

とはいえ、例外的に通常総会の開催を延期する場合には、一般の組合員から問い合わせやクレームを受けないよう、理事会で事前に決議したうえで議事録にその旨を記載し、その議事録を組合内で共有するよう広報しておくべきです。

 

ただ、総会の開催時期をずらすと、現在の役員の任期も延長されてしまうという「不都合」も別途生じることになります。

 

コロナ流行以前でも、もともと総会に出席する割合は「平均3割」と言われており、大半の組合員は出席していないのが実情です。

 

それを踏まえると、例年通りのスケジュールで総会を開催しつつも、現下の情勢に鑑みて出席するのは極力新旧役員にとどめ、なるべく委任状や議決権行使書の提出をお願いすればよいでしょう。

 

併せて、各議案に対する質問や意見があれば書面で事前に受け付け、後で作成する議事録にその回答も記載する対応をすれば十分ではないかと思います。

 

ただし、多額な支出を要する議案や、賛否が分かれる可能性が高い議案などは時間が許す限りではあえて上程を避けることが望ましいと思います。

 

なお、総会と同じ日に行われるのが慣例となっている管理委託契約更新に伴う重要事項説明会(重説)について、国交省は、Web会議システムなどITを活用した方法で実施した場合も、適正化法上の重説として認める取り扱いを発信しています。

 

www.kankyo-station.co.jp

 

2)理事会の開催について

通常総会の開催が「法的な義務」であるのに対し、理事会の設置や開催については、あくまで管理組合の規約によって(総会の開催方法に準じて)ルール化されているものです。

 

もちろん集会形式で定期的に開催するのが望ましいのですが、集会室のないマンションでは、公民館などを利用しているケースも少なくありません。

 

その公民館も、自治体によっては使用禁止としたり、利用時間を制限するなどの措置を取っているケースが見られます。

 

それを理由に理事会の開催を見送る例も当然出ていますが、これを機に、私は顧問先の組合にZoomなどのWeb会議ツールの利用を勧めています。

 

特に高齢の方はネットやITリテラシーに詳しくないので、尻込みされることも多いですが、「習うより慣れろ」の精神でスタートしてみると、意外にできるものです。

 

特にZoomについては、画像や音質も良好なうえ、管理会社の作成した資料をパソコンの画面で全員が共有できるのでペーパーレスも実現することが可能です。

 

その意味では物理的に集会形式で開催するのと比べても、ほとんど遜色がありません。

 

Wi-Fiやスマートフォンの普及率を考えれば、Web会議ツールも集会に代わる立派な代替手段となりうるものと考えます。

 

したがって、今後の管理組合の円滑な運営のために、以下の対応を取ることを提案します。

(1)当面は新型コロナウィルス感染予防対策のための「やむを得ない措置」として、次善の策としてWeb会議ツールを利用のうえ理事会を開催することを組合内で広報し、周知しておく。

 

(2)次回の通常総会では、「理事会の開催方法について、役員全員の承認があれば、Web会議ツールの利用も認める」旨、管理規約を改正することを議案に上程する。

 

3)業務縮減または未実施に伴う管理委託費の返金について

記事にも紹介されている通り、管理員の勤務時間の縮減や、(専有住宅への立ち入りを要する)設備点検の延期や中止などが発生していることが多いですね。

 

消防設備点検や雑排水管洗浄などについては、中止となった場合は、返金の対象になるはずです。

 

また、管理員の勤務時間の縮減や中止があった場合には、時間当たりの費用で積算されているので、当然減らされた時間分の返金をお願いしてもおかしくはありません。

 

管理会社によっては、自主的に管理組合に説明のうえ、後日精算を提案する誠実な会社もあります。

 

一方で、ダンマリを決め込んでいるズルい会社もあります。

 

定額費用で毎月精算している組合が多いため、理事会役員でもつい見逃してしまいがちですが、中止や縮減となった業務に関する費用の精算方法については管理会社に問い合わせましょう。

 

 <参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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次回もオンライン!マンション管理セミナー開催のお知らせ

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新型コロナウィルス感染予防のため、今回もオンラインでセミナーを開催することといたしました。

 

首都圏以外にお住いの方も、ネット接続環境とパソコン等があれば、気軽に受講することが可能です。 

 

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

 

【日時・会場】

令和 2年 7 月  18日(土)

 13:30~ 15:00

  

【参加料金】

 お一人様  2,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

 

 

【内 容】

マンション保険の最新事情と管理組合がとるべき対策について」

 

(1)損保業界の最新動向と今後の見通しについて

マンション保険については地震や台風等による大規模災害の増加に伴い、年々保険料が上昇していますが、業界の最新情報と管理組合のとるべき対策などについて、損害保険会社の商品開発担当者からご講演いただきます。

<主な内容>
・マンション保険を取り巻く業界の最新事情について
・2021年にも改定!?各社一斉保険料の増額改定の見通し

・累積契約7千件超!「マンションドクター火災保険」が支持される理由
・中途更改でも見直しが望ましいマンションの条件
・保険料の抑制のために打つべき対策は?

<講 師>
日新火災海上保険(株) 商品開発部 
部長 植木 宏文様

(2)「マンション管理適正化診断サービス」受診のススメ

「マンション管理適正化診断」とは、管理組合の運営全般が適正に実施されているかどうかをマンション管理士が客観的に診断し、その結果をポイントに換算して評価する無料のサービスです。

また、この診断の結果に応じてマンション保険料の割引きが受けられるというメリットがあります。

具体的に、「どのような診断項目を行うのか?」「なぜその診断が必要なのか?」「診断を受けるにはどのような手続きが必要か?」「なぜ無料なのか?」についてわかりやすく解説いたします。

高経年マンションで保険料の増額リスクに直面している管理組合はもちろん、まだこの診断を受けたことのない組合役員さんはぜひ知っておかれるとよいでしょう。

<講 師>
(株)マンション管理見直し本舗
代表取締役  村上 智史 


【お申込み方法】

セミナーお申込み専用ページからお申し込みください。(お名前、マンション名、メールアドレス、電話番号等をご記載ください。)

 

加までの流れや、オンライン会議の利用に慣れていない方向けの説明も上記ページにてご案内していますので、ご参照ください。

 

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築45年を超えて、初めて管理規約を改正したマンション!

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今春から顧問を務めることになった、都内にある築46年目のマンションの話です。

 

20世帯にも届かない小規模マンションですが、「マンション管理適正化診断サービス」から着手したところ、大小様々な問題が見つかり、最低ランクの「B」評価になってしまいました。

 

なかでも最も深刻な問題が、組合運営上のルールを定めた「管理規約」でした。

 

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このマンションでは、現状の運営実態との齟齬が以下の通り数多く見られました。

(1) 敷地内駐車場が一部バイク置場に用途変更されたのに、反映されていない

(2) 管理費・修繕積立金の徴収額の改定が反映されていない

(3)組合役員ならび理事会の運営に関する規定がない

(4)管理費等の滞納者に対する対応に関する規定がない

 

現在では、ほとんどの分譲マンションが国交省の「マンション標準管理規約」にもとづいて管理規約が作成されているため、概ね必要な条文は網羅されています。

 

しかしながら、この標準管理規約が最初にリリースされたのは、

1982年(昭和57年)です。

 

つまり、このマンションが分譲されてから8年後のことです。

 

そのため、マンションを分譲したデベロッパーは、当時の区分所有法の規定にもとづいてオリジナルの管理規約を作成したと思われます。

 

その後40年以上の長きにわたって、まったく見直されてこなかったわけです。

 

竣工時から受託している老舗の管理会社は、いったい何をやっていたのでしょう?

「怠慢、ここに極まれり」です。

 

そのため、当社からの提案にもとづき、以下の方針で管理規約を全面改訂することを臨時総会に上程しました。

 

■ 規約全体を国交省の「マンション管理標準規約」をベースに改訂する
<上記(3)、(4)の問題に対応>

 

■  現状の当マンションの運営実態を管理規約に反映させる
<上記(1)、(2)の問題に対応>


その結果、改正後の管理規約については、以下の規定が新たに盛り込まれました。

 

1.  組合役員の定数ならびに任期について <現規約に規定なし>
・理事長、副理事長、監事を含む定員4名(任期1年)

 

2.  総会の議決に関する要件 <現規約は、区分所有法に準拠>
・成立要件

議決権総数の半数以上を有する組合員が出席

(委任状、議決権行使書の提出を出席とみなす)

・決議要件

原則として「出席組合員」の議決権の過半数で決する

(特別決議事項を除く)

 

3. 理事会の設置ならびに運営方法 <現規約に規定なし>
・開催要件、決議方法、決議事項等に関する規定を盛り込む。

 

4. 管理費滞納者への対応 <現規約に規定なし>
・期限までに納付しない場合には、その未払金額について、年利14.6%の遅延損害金ならびに違約金(弁護士費用および関連費用)を加算のうえ、滞納者に対して請求できる。
・未納の管理費等の請求について、理事会の決議にて訴訟その他法的措置を追行できる。


5. 専有部の用途制限の追加
・民泊事業のほか、シェアハウス、短期賃貸、グループホーム、暴力団事務所としての使用も禁止。

 

こちらは小規模なマンションのため、全体の3分の1くらいの組合員がグループLINEで繋がっており、コミュニケーションが日常的に取れる状況だったのが奏効しました。

 

最終的には、議決権行使書や委任状を含めて全員の意思を確認でき、特別決議の要件をクリアして決議されました。

 

それにしても、従前の規約に「この規約の改廃は、区分所有者全員の書面による合意によって行うことができる」と記載されていたのには驚きました。

 

管理組合にとって最も難事業である「建替え」でさえ、全体の8割以上の賛成で実現可能なのにもかかわらず、規約の改正ですら全員の合意ができないというのはあまりにも理不尽です。

 

ただ幸いにして、区分所有法では、「組合員総数ならびに議決権総数の各4分の3以上の賛成があれば規約の改廃できる」という規定があります。

 

しかも、当該条項は区分所有法どおりにしか運用できない「強行規定」に該当するため、管理規約でこれを変更することはできません。

 

したがって、従前の規約における規定は「無効」とみなすことができ、改正にこぎつけることができました。

 

こうして、インフラ整備の最重要テーマであった規約改正については、顧問就任後2ヶ月で解決できました。

 

引き続き、優先順位をつけながら、長期滞納者問題、管理会社のリプレイス、長期修繕計画の更新などの課題に取り組んでいきます。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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