マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション大規模修繕工事の相見積もりを取得する手順と注意点

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当社の顧問先マンション(築15年目)では、来年初めに大規模修繕工事の実施を想定し、施工業者5社から相見積もりを先日取得しました。

 

その結果は、以下の通りです。

 

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各社の見積条件を見ると、

総額は税別4千万円強のところ最大170万円の僅差に収まりました。

 

工事総額に対する比率は、たったの2%に過ぎません。

各社が犇めき合った接戦であったことが伺えます。

 

管理組合側で事前に想定していた予算額(税別4,500万円)と比べると、1割強下回ることができたことになるので、うまく「競争原理の導入による経済効果」が得られたと言えるでしょう。

 

さて、マンションの大規模修繕工事において、多くの管理組合にとって悩ましい問題とは何でしょうか?

 

大きく課題は3つあると思います。

1)適切な実施時期

2)工事予算の立て方

3)施工業者の候補選定

 

今回は、上記3つの課題について、どう進めるべきかをご案内しましょう。

 

1)適切な実施時期

大規模修繕工事の実施周期は概ね12年~15年と想定されています。

 

つまり、30年間の長期修繕計画においては、2回実施することを見込むのが一般的です。

 

ただ、マンションが立地している環境、紫外線や風雨による影響の大きさ、当初の施工の巧拙、シーリング等の使用部材の良し悪しなどによって、実際の経年劣化の進行具合は大きく異なってきます。

 

したがって、いつ実施すべきかを判断するには、事前に「建物劣化診断」を受けるべきです。これは概ね10年前後の周期で実施するとよいでしょう。

 

その結果によって、概ね標準的な劣化が進行しているのか、それとも標準より早く劣化が進行しているのかを把握できるので、適切な実施時期もおのずとわかるはずです。

 

2)工事予算の立て方

この建物劣化診断を実施する際にお勧めしたいのが、その診断結果にもとづいて修繕対象箇所の数量積算も併せて行う、ということです。

 

何故かと言えば、

それによって概算の修繕工事費も算出することが可能だからです。

 

本記事の冒頭で紹介した、顧問先マンションの相見積もり取得結果の表の一番左側にある「建物劣化診断にもとづく概算予算額」が、まさにそれです。

 

それに加えてさらに副次的な効用もあります。

修繕対象箇所の数量について積算済みのため、その後複数の施工業者から各社同一の前提条件のもとで相見積もりを取得し、比較検証ができるからです。

 

3)施工業者の候補選定

本記事で紹介した顧問先マンションでは、施工業者のリストアップの際に、当社、役員、管理会社からそれぞれ候補先を挙げました。

 

業界の関係者であれば、他のマンションでの発注実績のある先の名前が挙がるでしょうし、近傍の物件で受注した事例がある施工業者から選択してもよいでしょう。

 

それが難しいなら、ネットで検索して対象マンションのエリアに営業拠点があり、かつそれなりの実績のありそうな会社をチョイスします。

 

その際、会社のプロフィールの分かる資料(売上規模、建設業の免許番号、社員数、過去数年の受注実績など)は少なくとも収集しておきましょう。

 

施工業者のクレジット(信用度)に不安がある場合には、候補先に対して「大規模工事瑕疵保険」に加入することを発注の条件に加えましょう

 

住宅瑕疵担保履行法をはじめとした消費者保護政策の一環として、2010年からマンションの大規模修繕工事に関する瑕疵担保責任保険の制度が開始しました。

 

 <参考>

www.kashihoken.or.jp

この保険の最大のメリットは、

施工業者が瑕疵担保期間中に倒産した場合

事後に瑕疵が見つかった場合に相当の期間を経過してもその責任を履行しない場合などに、発注者である管理組合に対して直接修繕費用に相当する保険金が支払われる

ということです。

 

言い換えれば、瑕疵担保期間中に施工した業者の倒産や清算などによって瑕疵担保責任が消滅しても、国が認定した上記保険に加入していれば、一定の保証は有効なまま維持できるというわけです。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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老朽マンションの建替え促進策として、国が容積率割増しの要件を緩和!?

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7月14日付の読売新聞に、「老朽マンションの建て替え促進策導入へ…階数増やせる特例で「新陳代謝」進める」と題した記事が掲載されていました。

 

 

www.yomiuri.co.jp

本記事の要約は以下の通りです。

■ マンション建替えには区分所有者の8割以上の合意が必要だが、建て替えの費用負担がネックとなって合意できず、そのまま老朽化が進むケースが後を絶たない。しかし、老朽化が放置されたままでは、壁面の崩落や廃虚化に伴う事故、治安悪化を招くことが懸念される。

 

■ 国土交通省は、老朽マンションの増加に歯止めをかけるため、マンションの建て替え促進策を導入し、関係する省令・告示を年内に改正する予定。

 

■ 具体的には、一定の要件を満たすマンションについては、建替えの際に容積緩和の優遇が受けられるようにする。

 

■ 現行法では、建替えに際して容積を増やせるのは、旧耐震基準で建設された「耐震不足」の物件に限られている。そこで、 国交省は新たに「外壁の劣化」「防火体制の不足」「配管設備の劣化」「バリアフリー未対応」の4要件を加えるとともに、いずれか一つに該当すれば容積率を緩和する特例を受けられるようにする。


■ 各要件のうち「外壁の劣化」は、ひび割れやはがれが一定以上あることを、「防火体制の不足」は、非常用進入口の未設置などを指す。

 

■ 「配管設備の劣化」は天井裏の排水管で2か所以上の漏水、「バリアフリー未対応」は3階建て以上の物件でエレベーターがないほか、各戸玄関の幅が75センチ未満などが該当する。 これらの要件のチェックは、いずれも1級建築士などの有資格者が調査、判断する。

 

■ 増床の割合はマンションの立地にもよるが、10階建ての老朽マンションを12、13階建てに建て替えることができるイメージとなる。

 

■ 建替えによって増える床は、管理組合がデベロッパーなどに売却し、建替えの資金に充当することで、管理組合も建替えの合意形成をしやすくなると見込む。

 

分譲マンションのストック約600万戸のうち、旧耐震基準に基づいて建設されたものは約106万戸にのぼりますが、これまでの建替えの実績は累計約1万4,000戸(2013年4月時点)にとどまっています。

 

そのため国は、老朽化マンションの建替え等を促進するため、既存建物を解体した跡地の売却によって管理組合を清算できる「マンション敷地売却制度」のほかに、建て替え時の「容積率の緩和特例」も新たに措置しました。

(下図参照)

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しかしながら、その後も老朽化マンションの建替えのペースは依然として緩慢なため、特に建替えの合意のネックとなっている資金問題解決に資する施策として、容積緩和を受けられる条件の見直しを検討しているわけです。

 

   <マンション建て替えの実施状況 国交省出典 >

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一口に「建替え用の資金」と言っても、それは既存建物の解体や再建築のための費用だけにとどまりません。

 

建替えに際しては、建築や法律に関する専門知識を有するコンサルタント等の関与が不可欠で、事前の検討段階でそのための費用がまず発生します。

 

また、仮に建替えの実施がうまく決まったとしても、工事期間中の仮住まいの確保や往復のための移転費も必要になります。

 

そのため、戸あたりで1千万円以上の資金が別途必要とされています。

 

こうした費用は、当然ながら各区分所有者が負担することになりますが、各区分所有者の経済状況や家族構成、ライフステージ、年齢等は多様であるうえ、コストの負担能力には個人間で格差があるのが実情です。

 

特に、老朽化マンションに多く居住する高齢者は、経済的負担が大きい建替えに消極的にならざるを得ない理由のひとつにもなっています。

 

こうした資金問題の解決に資する施策の一つとして、耐震性が不足するマンションについては、建替えの際に容積率の緩和を受けられるようにしました

 

いわゆる「等価交換方式」によって、管理組合が容積ボーナス分(専有床)をデベロッパーに売却することによって得られる資金を建替え費用の一部に充当することで、区分所有者の経済的負担を軽減できるからです。

 

今回の見直しは、「耐震性不足」以外にも容積の緩和を受けられる条件を増やすことで事実上その要件を緩和するのが狙いです。

 

まだ、本記事の通りの改正になるかは不明ですが、「バリアフリー未対応」の要件として挙がっている「3階以上の建物でエレベーターが未設置」に該当する事例は旧公団の分譲マンション等に多く見られるので、有効なインセンティブになることが期待できます。

 

また、「省令(施行規則)の改正」なら国会での承認も不要のため、年内の施行も可能でしょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 


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電気料金削減コンサル業者の「アンフェアなやり口」と対抗策

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前回に引き続き、「電気料金削減コンサル業者」のC社と手を切るためのサポートを行なった際のエピソードをご紹介します。

 

<前回記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 当社の助言にもとづいて中途解約に向けて管理組合が動いたところ、C社から機器買取りプランの見積もりと注意喚起の文書が届きました。

 

機器の値段は、当社で紹介した別業者に比べてやや割高な水準でした。

 

なお、買取りに切り替える場合でも、現契約の残期間分の中途解約費用(電気料金削減成果に応じたシステム利用料の7割相当)は確実に請求される、ということがわかりました。

 

それより問題なのは「注意喚起」の文書です。

 

管理組合宛に、「コンプライアンスは大切です。トラブルにまきこまれないようお気をつけください」と題した文書が送られてきました。<下の画像はその抜粋>

 

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その要約は以下の通りです。

===============
1)新しく蓄熱暖房機と電子ブレーカーを購入しても電気料金削減効果が継続できるといった営業には注意してください。

2)中途解約した場合、「契約書のとおり」電子ブレーカーを回収し、改善前の契約種別(従量電灯・低圧電力)にお戻しします。それによって電気料金の削減効果がなくなり、電気料金が高くなります。

3)それでも他社製品の購入を検討される場合には、お客様にリスクが生じた場合の弁済保証を明記した書類を必ずもらってください。

===============

 

管理組合の役員がこの文書を読んだら、かなり動揺するのではないでしょうか?

 

ポイントは、上記2)の「中途解約した場合、契約書にもとづき電子ブレーカーを回収し、改善前の契約種別に戻す」という部分です。

 

C社から送られてきた「中途解約申込書」には、「本システム契約書にもとづく解約までの流れ」として以下の内容の記載がありました。

=====================

C社が電力会社に申請し、管理組合の契約種別を本システム導入前の契約(従量電灯契約と負荷設備契約)に戻します。

・これにより本システムの復旧作業が終了となり、本システムの削減効果が得られなくなります。

=====================

 

しかしながら、東京電力との共用部に関する電力供給契約の主体はC社ではなく、

あくまで管理組合です。

 

C社と中途解約したからといっても、C社が電力会社と管理組合間で締結している契約を勝手に変更する権利はありません。

 

また、これまで社から提供を受けていた機器を新たに買取りによって交換するだけなので、現在の受電契約を一旦元に戻す必要もないはずです。

 

そこで、東京電力を訪問のうえ、機器の買い替えに伴い受電契約の変更が必要になるのかを確認するために所轄支社を訪問しました。

<以下、東電との打ち合わせ内容>

【質問1】
蓄熱式暖房器を新たに交換する場合、電化上手契約が継続できなくなるのか?

【回答1】
現在の電化上手契約は蓄熱式暖房器を交換しても継続可能である。ただし、東電が認定している電気工事店からの申請が必要になる。

 

【質問2】
契約者である管理組合が望まない契約変更を、第三者である電気工事店が勝手に契約を変えようとするのを阻止できないのか?

【回答2】
受電契約はあくまで管理組合と電力会社間のものなので、第三者が勝手に変更することは原則できない。管理組合からの委任状等が無い場合は契約変更の受付を止めることもできる。

 

要するに、C社から送られてきた「中途解約申込書」がワナだったのです。

 

この申込書に記載されている内容に理事長が同意のうえ署名・捺印したら、それがC社への委任状として転用され、従前の受電契約に戻されて削減効果が得られなくなる、という寸法です。

 

それを阻止するために、

管理組合側で新たに中途解約申込書を作成し、以下の注意書きを加えることとしました。

==============

1)本システム解約後の受電契約については、管理組合もしくは管理組合の指定業者が電力会社に申請するものとします。

 

2)本システムの解約に伴って、共用電灯・共用動力の契約について、C社が管理組合の共用電灯・動力の契約に関して変更の手続きを行うことを固く禁じます。万が一、C社がこれに違反したことによって管理組合の得べかりし利益が損なわれた際には、その損害賠償をC社に請求します。

==============

 

C社との契約書には、中途解約の際に「C社指定の申込書でなければ無効」という定めもないので、組合側が容認できる条件内で作成しても拒否する権利はないと判断したからです。


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マンション管理組合は要注意!「電気料金削減コンサル業者」の商法

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当社がコンサルしている都内のマンションでは、「電気料金削減コンサルタント」と称する会社と10年間におよぶ長期契約を締結していることがわかりました。

 

その契約の基本的なスキームは以下のとおりです。

(このコンサルタントを「C社」と称します。)

(1)電子ブレーカーならびに蓄熱式暖房機の導入による共用部電力料金削減に関するシステム利用契約(10年間)を締結。

(2)C社は、マンション共用部に「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」を設置

(3)上記機器の設置後に、C社は受電契約変更の手続きを代行する。

(4)受電契約の変更によって、共用部の電気料金負担が減少する。

(5)管理組合は成果報酬型の契約にもとづき、(3)の削減成果の一定割合を「システム利用料」として支払う。(1年目:削減実績の180% 2年目以降の9年間:削減実績の 40%相当)

(6)中途解約する場合には、残期間分のシステム利用料の70%相当額を解約金として支払う必要がある

なお、中途解約の際の付帯条項として、以下の定めがあります。

「中途解約した後に本システム以外の方法に変更しようとする場合、信義誠実の原則に従い、管理組合は資料を開示し、C社が十分に協議等を行えるよう協力し、他の業者と同等程度の提案の機会を管理組合が提供しなければならない。」

 

このマンションの場合、電気料金の削減効果が年間約40万円です。

 

したがって、このコンサルタントに10年間で支払う「システム利用料」のトータルは、削減実績の405%(=180%+25%×9)に相当する162万円になります。

 

したがって、管理組合の10年間のネット・キャッシュフロー(収入ー支出)は

40万円 ×10年ー162万円=238万円 です。

 

一方、「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」をもし購入したらどうなのでしょう?

 

両方の合計が実売価格で70万円のため、管理組合のNCFは330万円(=400万円ー70万円)となり、かなりの「お得」であったことがわかります。

 

つまり、買取りの方が管理組合の剰余金は約100万円増やすことができたのです。

 

この「100万円」のことを、経済学的には「機会損失」と言います。

 

「機会損失」とは、ある取引きにおいて、もっとも儲けの出る選択をしなかったために「儲けそこなった利益」のことです。

 

また、そもそも論の話として、

事前調査をすれば「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」を導入すればどれくらい電気料金を削減できるか正確に把握できるので、「成功報酬型」の契約をする必要もありませんでした。

 

さらにこの契約で問題なのは「C社との関係は10年では終わらせにくい仕組みになっている」ということです。

 

まず、2週目の11年目に入ったら、設備の経年劣化を理由に、「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」の買い替えを求められ、また当初と同様の成果報酬型のシステム利用料を支払い続けることになります。

 

では、契約の更新を拒否したらどうなるのか?

 

契約期間の満了に伴い、管理組合が本契約の終了を希望した場合には、以下のような条文が定められています。

・本契約を終了させる場合、電力会社への再申請等の「復旧費用」として契約満了日の翌日から復旧工事完了までの期間の削減実績相当額をC社に支払う

・C社は契約終了の書面を受領した日から6ヶ月後に復旧工事を実施する。

 

要するに、このマンションの場合契約を終了させるためには、年間40万円の削減効果の半分に相当する20万円をC社に追加で支払わなくてはならないということです。

 

そこで、管理組合に以下のような助言・提案を行ったところ、早速行動に移すことになりました。

1)他社の買取プランへの変更を検討中のため、C社に対し中途解約を検討中である旨を伝える。

2)C社でも買取りプランの提示が可能なら提案を依頼する。(契約の条文どおりに対応するため)

3)両者の提示条件を比較検討し、より有利なプランを選定する。

 

さて、これに対してC社がどのような反応をしたのか?

それは、下の記事をご覧ください。

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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コロナ禍でもマンション管理委託費を3割削減できました!

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先日、コンサルティングしている都内のマンション(築24年・ファミリータイプ 36戸) で通常総会が開催され、管理委託費の3割削減が実現しました。

 

今回は、当社へのご相談の経緯からコスト削減が実現するまでの経過についてご紹介しましょう。

 

1.  きっかけは「集合インターホン」更新工事の見積もりから!

 竣工後24年を経過し、マンションの集合インターホンで不具合が相次いで発生していたうえ、メーカーの部品生産もすでに終了していることがわかりました。

 

 そのため、管理会社を通じて設備更新のための見積もりを取得しましたが、適正な金額を確認するため、当社のサイトページを見つけた理事長さんから昨年10月に相見積もりの依頼がありました。

 

 その後、当社の紹介を含めて複数の業者から相見積もりを取得した結果、当初予算に比べて大幅に下がった金額で工事を今春発注することができました。

 

2.  その後セミナーに参加した理事長さんから相談が・・・

 上記の集合インターホン工事の検討と並行して、昨年11月に開催した当社セミナーに参加した理事長さんから、「昨年管理費や修繕積立金が増額改定され、区分所有者の経済負担が増えたので、コスト削減を検討したい」との相談を受けました。

 

その後、理事会で当社の業務内容や実績についてプレゼンの機会をいただいた際に、有償の「管理コスト適正化診断プログラム」をお勧めしました。

 

3.  「管理コスト適正化診断プログラム」で削減余地を「見える化」!

 昨年12月に、理事会決議にもとづいて管理コスト診断を受託した後、組合の決算資料、管理委託契約書や長期修繕計画書を提供してもらって、現地調査を実施のうえ診断した結果を今年1月に報告しました。

 

その要点は、以下の通りです。

■ 組合の財政状況について

・管理費の増額改定で年間収支が黒字化しましたが、収益に対する剰余金比率は4%とあまり余裕がありません。 将来的に保険料や消費税などのコストアップのリスクがあるた。
・修繕積立金会計については、現在の徴収額を前提とした場合、長期修繕計画で見込まれる修繕費に対して30年間で84百万円の資金不足となり、なお増額リスクが高い。

 

■  管理委託費の診断結果について 
1) 現行の管理仕様を維持した場合:現在比で約26%の削減余地あり。
 (年間経済効果:194万円 → 戸あたり平均@5.4万円 )

2)一部過剰な管理仕様を変更した場合:現在比で約39%の削減余地あり。

 (年間経済効果:289万円→ 戸あたり平均@8.0万円 )

 

この診断結果を踏まえ、理事会で審議した結果、当社の「マンション管理見直し隊」業務の発注を決議し、今年2月の臨時総会の承認を経て本格的な管理委託契約の見直しに着手しました。

4.  管理会社との減額交渉と相見積もりの取得を同時並行で!

その後、3ヶ月ほどの期間をかけ、管理会社と都合3回交渉を行った結果、以下の内容で合意に漕ぎ着けました。

1)管理委託費の単純減額

 機械警備業務や管理会社の諸経費を単純減額してもらいました。

2)委託業務の一部解約と専門業者との直契約への変更

 清掃や共用部の設備管理業務費についても単純減額の提示があったものの、相見積もりを取得した専門業者と比較するとなお割高なため、再検討を求めたものの、折り合いませんでした。

 そのため、消防設備や機械式駐車場、エレベーター保守点検については、専門のメンテナンス会社に直接発注することでより大きな削減効果を得ることを理事会が選択しました。

3)委託業務の一部仕様変更

 管理員業務については、36戸の物件規模に対してやや過剰な仕様になっていました。そのため、以下の通り品質の低下を招かないレベルで以下の通り勤務時間の縮減を提案しました。

【現 在】 週6日(実質 週28時間)勤務
   週5日(月~金):実質5時間
   週1日(土)  :実質3時間勤務

       ↓

【変更案】 週5日(実質 週20時間)勤務
   週5日:午前中の4時間

 理事会でもその程度ならば問題ないだろうと判断したものの、念のため一般組合員にもアンケートを実施したところ、圧倒的に賛成多数の回答が得られたため、勤務時間の縮減も加えることにしました。

 

その結果、年間237万円(現在比31%ダウン)のコスト削減ができました。

戸あたり平均で、年間6.6万円の経済効果ですから大きいですね。

 

というわけで、正式にご相談をいただいてから8ヶ月という短期間で、

事前の査定結果に近い成果を挙げることができました。

 

本件に限らず、セミナーのご参加が管理コスト見直しの契機になっていることが少なくありません。

 

次回のセミナーのお知らせですが、

7月17日(土)の午後に、「管理委託費の削減事例のご紹介」をテーマにオンラインセミナーを開催する予定です。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

詳しくは当社サイトページをご覧ください!

 


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早わかり!2021年6月改正「マンション標準管理規約」の改正ポイント

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6月22日付で、国交省が改正版「マンション標準管理規約」を公表しました。

 

www.mlit.go.jp

今回の改正のポイントは以下の2つです。

(1)新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の社会情勢の変化への対応

(2)マンション管理適正化法及びマンション建替え円滑化法の改正への対応

 

国交省がリリースした「マンション標準管理規約の改正について(概要)」と題した資料によると、具体的な変更点は以下のように要約できます。

 

 =================

1.IT を活用した総会(以下「オンライン総会」)の開催方法と留意点の追加

■ 「オンライン総会」が実施可能なことを明記するとともに、留意事項等も記載。

(1)利用するWEB 会議システム等に関する定義を追加。

電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等

 

(2)理事長による前会計年度における組合業務の執行に関する事務報告も可能とコメント。(ただし、各組合員からの質疑への応答等に対応する必要があることに留意が必要。)

 

(3)WEB 会議システム等にアクセスする方法を以下の要領で通知する。

・開催方法は、当該システム等にアクセスするための URL の通知が考えられる。

・区分所有者への「なりすまし」防止対策として、出席予定の組合員に対しては個別に ID及びパスワードを送付することが考えられる。

 

(4)「オンライン総会」における議決権行使は、総会会場において議決権を行使する場合と同様に取り扱う

ただし、第三者による組合員への「なりすまし」や、大規模な障害等による通信手段の不具合が発生した場合等は、総会決議が無効になるおそれがある点に留意が必要。


2.感染症の感染拡大のおそれが高い場合等の対応に関するコメントの追加

■ 感染症の感染拡大のおそれが高いと認められた場合、共用施設の使用停止等を使用細則で定めることが可能なことをコメント。

■ 感染症の感染拡大の防止等への対応として、やむを得ない場合においては総会の延期が可能とコメント

 

3.共用部分における「置き配」を承認する対応

■ 原則としては専用使用部分でない共用部に物品を置くことは禁止だが、ウィルス感染防止対策などのために「置き配」を認める際には使用細則で定めることができることをコメント。

 

4.専有部分の配管取替え工事を共用部分と一体化して実施する場合の対応

■ 共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に、修繕積立金から工事費を拠出するときの取扱いを以下の通り記載。

(1)配管の取替え費用のうち専有部分に係るものは、各区分所有者が実費に応じて負担すべきだが、共用部分と併せて専有部分の取替えも行う方が費用が軽減される場合には、一体的に工事を行うこともある。

(2)その場合は、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについても記載するとともに、その工事費を修繕積立金から拠出することについて規約に規定する。

(3)また、先行して専有部配管の取替え工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意が必要。


5.その他の改正あるいはコメントの変更・追加

(1)「長期修繕計画の作成または変更に関する業務」のコメントの変更(組合業務)
「計画期間が25年程度以上(新築の場合30年以上)であること。」から「計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること」に変更

 

(2)理事長、副理事長等の役職に関する「解任」の追加(理事会の職務)
理事の互選で選任された理事長、副理事長等の役職は、理事の過半数の一致によりその職を解くことができる。ただし、その理事としての地位自体は総会決議を経なければ解くことができない。)

 

<参考記事>

www.bmi.or.jp

(3)役員の欠格条項変更
従来の「成年被後見人若しくは被保佐人」から「精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」に変更。

 

(4)総会の議決事項の追加

「管理計画の認定の申請」及び(マンション建替え等円滑化法にもとづく)「要除却認定の申請」を追加

 ================

 

なお、国交省の説明資料によると、

オンライン総会(理事会)の開催が可能なことを明確化する観点で今回標準規約の改正を行ったため、各マンション管理組合の管理規約を変更しなくても「オンライン総会」等の開催は可能と説明しています。

 

ただ、区分所有者の中には、パソコンやネット接続ツール等の必要機器を所持していない あるいはそれらの機器の操作ができない方がいる可能性も少なくないと思います。

 

そのような場合は、いきなりオンライン方式だけで開催すると区分所有者からの不平不満が生じる恐れがあるので、「集会(リアル)とオンラインの併用型」での開催を検討する必要があるでしょう。(下図参照)

 

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<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp


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マンション大規模修繕工事の際は、事前の「アスベスト調査」がマストに!

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「アスベスト」とは、天然の鉱物繊維で「石綿(いしわた)」とも呼ばれています。

 

その名の通り、繊維は綿のように軽くて柔らかく、耐熱性・耐火性・防音性・絶縁性に優れている特徴を持っていることから、建物の建材だけでなく、自動車や家電製品・家庭用品など、広い分野で使われていました。

 

しかしながら、万一空中に飛散したアスベスト繊維を吸い込んでしまうと、肺ガンや中皮腫のリスクが高くなることが判明したため、2006年9月にアスベスト製品の製造・使用が禁止されました。

 

ただ、言い換えれば、2006年9月以前に建設された建物にはアスベストを含んだ建材が使われている可能性がある、ということです。

 

そのため、有害なアスベスト繊維が周囲に飛散してしまう危険のある、2006年9月以前に着工したマンションについては何らかの対策が必要になりました。

 

「2006年9月の着工以前」ということは、「2007年竣工以前のマンションのほぼすべて」は事前調査の対象になるということです。

 

したがって、第1回目の大規模修繕工事の実施を検討中のマンションは要注意です。

 

2018年に厚生労働省が公開したマニュアルでは、マンションで大規模修繕などの工事を行う際、アスベスト建材の使用が疑われるときは、事前に含有調査を実施するように定められています。

 

さらに、2020年6月,大気汚染防止法の改正法が公布され、事前調査の方法が定式化され、今年の4月1日から施行されました。下図:環境省による大気汚染防止法改正に関するリーフレット抜粋参照>

 

 

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したがって、マンション管理組合としては、大規模修繕工事の施工業者を選定する際に、その見積書に「大気汚染防止法によるアスベスト事前調査費用」の項目が入っているかどうかを確認しましょう。

 

その調査は現地調査を行い、必要箇所の建材をサンプルを採取したうえで専門の会社に分析を依頼します。そして、分析結果が出たら、マンション内の掲示板など居住者が見やすい場所に掲示しなければなりません。

 

なので、工事の着工前に、施工業者から事前調査の結果が書面で説明されたかを必ず確認するようにしましょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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