12月14日付のZAKZAKに、下記の記事が掲載されています。
これによると、
- 築数十年になる100戸規模のリゾートマンションは、大浴場と屋外プールがウリだったが、バブル崩壊後に時価が10分の1以下に暴落した。
- 主な原因は、深刻な管理費の滞納問題を抱えており、滞納率が5割を超えていることにあった。
- 困り果てた管理組合の理事長が弁護士に依頼して、解決に乗り出してもらった。
- その後、以下のような施策が講じられた。
- 自主管理の運営を止め、管理会社に委託し、滞納管理費の督促を強化。
- 悪質な滞納者で所在が分かる場合には、競売を請求して債権を回収。
- 管理組合を法人化し、競売でも買い手がつかない場合には組合自らが区分所有権を数十万円で取得し、内装リフォーム後に売却。
- このような地道な努力の結果、数年経過後に滞納率は2割まで改善した。
- 同時にマンション共用部の管理状況も改善され、浴場施設の利用も正常化した。
残念ながら、本記事のような深刻な状況にあるリゾートマンションは珍しくありません。
リゾートマンションの場合には、自宅が遠方にあり、現地に居住しない区分所有者がほとんどです。そのため理事会も開催されず、チェック機能が働かないため、管理組合が機能不全に陥りやすいのです。
管理費の滞納については、管理会社が回収まで責任を持つものと思われがちですが、通常の委託契約の場合、3~6ヶ月で督促業務は終了するので、その後は管理組合の責任になってしまいます。
この場合、管理組合が訴訟の手続きや弁護士の起用などについて臨時総会の決議を経てしかるべき法的措置をとる必要があるのです。(※管理規約に特に定めがあれば、その限りではありません。)
こうした対応は、専門知識のない一般的な管理組合にとっても決して容易なことではありませんが、リゾートマンションのように主として外部所有者で構成される管理組合にとっては「至難の業」でしょう。
ただ、本記事のマンションの場合、管理会社や弁護士への委託費用をねん出したり、管理規約を変更して管理組合を法人化することができたのはラッキーだったと言えます。
と言うのも、管理組合会計に資金的な余裕があったうえに、管理組合の総会を開催して法人化を決議することができたからです。
管理組合を法人化する場合には「特別決議」の対象になり、区分所有者数と議決権数全体のそれぞれの4分の3以上の賛成が必要になるため、通常の決議よりも相当厳しい条件になります。
したがって、現住所すら不明な区分所有者が多数いる管理組合の場合には、たとえやりたくても実現できない可能性が十分あるのです。
一方、このような廃墟化のリスクを抱えているのはリゾートマンションだけでなく、都市部のマンションも同じです。
国交省の「平成25年度マンション総合調査」でも、建物の老朽化とともに賃貸化が進み、滞納率も上昇する傾向が明確に示されています。
管理組合が危機に瀕した際に、そのマネジメントを誰が担うかは、すべての分譲マンションがいずれ直面する課題なのです。
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