マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

電気料金削減コンサル業者の「アンフェアなやり口」と対抗策

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前回に引き続き、「電気料金削減コンサル業者」のC社と手を切るためのサポートを行なった際のエピソードをご紹介します。

 

<前回記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 当社の助言にもとづいて中途解約に向けて管理組合が動いたところ、C社から機器買取りプランの見積もりと注意喚起の文書が届きました。

 

機器の値段は、当社で紹介した別業者に比べてやや割高な水準でした。

 

なお、買取りに切り替える場合でも、現契約の残期間分の中途解約費用(電気料金削減成果に応じたシステム利用料の7割相当)は確実に請求される、ということがわかりました。

 

それより問題なのは「注意喚起」の文書です。

 

管理組合宛に、「コンプライアンスは大切です。トラブルにまきこまれないようお気をつけください」と題した文書が送られてきました。<下の画像はその抜粋>

 

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その要約は以下の通りです。

===============
1)新しく蓄熱暖房機と電子ブレーカーを購入しても電気料金削減効果が継続できるといった営業には注意してください。

2)中途解約した場合、「契約書のとおり」電子ブレーカーを回収し、改善前の契約種別(従量電灯・低圧電力)にお戻しします。それによって電気料金の削減効果がなくなり、電気料金が高くなります。

3)それでも他社製品の購入を検討される場合には、お客様にリスクが生じた場合の弁済保証を明記した書類を必ずもらってください。

===============

 

管理組合の役員がこの文書を読んだら、かなり動揺するのではないでしょうか?

 

ポイントは、上記2)の「中途解約した場合、契約書にもとづき電子ブレーカーを回収し、改善前の契約種別に戻す」という部分です。

 

C社から送られてきた「中途解約申込書」には、「本システム契約書にもとづく解約までの流れ」として以下の内容の記載がありました。

=====================

C社が電力会社に申請し、管理組合の契約種別を本システム導入前の契約(従量電灯契約と負荷設備契約)に戻します。

・これにより本システムの復旧作業が終了となり、本システムの削減効果が得られなくなります。

=====================

 

しかしながら、東京電力との共用部に関する電力供給契約の主体はC社ではなく、

あくまで管理組合です。

 

C社と中途解約したからといっても、C社が電力会社と管理組合間で締結している契約を勝手に変更する権利はありません。

 

また、これまで社から提供を受けていた機器を新たに買取りによって交換するだけなので、現在の受電契約を一旦元に戻す必要もないはずです。

 

そこで、東京電力を訪問のうえ、機器の買い替えに伴い受電契約の変更が必要になるのかを確認するために所轄支社を訪問しました。

<以下、東電との打ち合わせ内容>

【質問1】
蓄熱式暖房器を新たに交換する場合、電化上手契約が継続できなくなるのか?

【回答1】
現在の電化上手契約は蓄熱式暖房器を交換しても継続可能である。ただし、東電が認定している電気工事店からの申請が必要になる。

 

【質問2】
契約者である管理組合が望まない契約変更を、第三者である電気工事店が勝手に契約を変えようとするのを阻止できないのか?

【回答2】
受電契約はあくまで管理組合と電力会社間のものなので、第三者が勝手に変更することは原則できない。管理組合からの委任状等が無い場合は契約変更の受付を止めることもできる。

 

要するに、C社から送られてきた「中途解約申込書」がワナだったのです。

 

この申込書に記載されている内容に理事長が同意のうえ署名・捺印したら、それがC社への委任状として転用され、従前の受電契約に戻されて削減効果が得られなくなる、という寸法です。

 

それを阻止するために、

管理組合側で新たに中途解約申込書を作成し、以下の注意書きを加えることとしました。

==============

1)本システム解約後の受電契約については、管理組合もしくは管理組合の指定業者が電力会社に申請するものとします。

 

2)本システムの解約に伴って、共用電灯・共用動力の契約について、C社が管理組合の共用電灯・動力の契約に関して変更の手続きを行うことを固く禁じます。万が一、C社がこれに違反したことによって管理組合の得べかりし利益が損なわれた際には、その損害賠償をC社に請求します。

==============

 

C社との契約書には、中途解約の際に「C社指定の申込書でなければ無効」という定めもないので、組合側が容認できる条件内で作成しても拒否する権利はないと判断したからです。


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マンション管理組合は要注意!「電気料金削減コンサル業者」の商法

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当社がコンサルしている都内のマンションでは、「電気料金削減コンサルタント」と称する会社と10年間におよぶ長期契約を締結していることがわかりました。

 

その契約の基本的なスキームは以下のとおりです。

(このコンサルタントを「C社」と称します。)

(1)電子ブレーカーならびに蓄熱式暖房機の導入による共用部電力料金削減に関するシステム利用契約(10年間)を締結。

(2)C社は、マンション共用部に「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」を設置

(3)上記機器の設置後に、C社は受電契約変更の手続きを代行する。

(4)受電契約の変更によって、共用部の電気料金負担が減少する。

(5)管理組合は成果報酬型の契約にもとづき、(3)の削減成果の一定割合を「システム利用料」として支払う。(1年目:削減実績の180% 2年目以降の9年間:削減実績の 40%相当)

(6)中途解約する場合には、残期間分のシステム利用料の70%相当額を解約金として支払う必要がある

なお、中途解約の際の付帯条項として、以下の定めがあります。

「中途解約した後に本システム以外の方法に変更しようとする場合、信義誠実の原則に従い、管理組合は資料を開示し、C社が十分に協議等を行えるよう協力し、他の業者と同等程度の提案の機会を管理組合が提供しなければならない。」

 

このマンションの場合、電気料金の削減効果が年間約40万円です。

 

したがって、このコンサルタントに10年間で支払う「システム利用料」のトータルは、削減実績の405%(=180%+25%×9)に相当する162万円になります。

 

したがって、管理組合の10年間のネット・キャッシュフロー(収入ー支出)は

40万円 ×10年ー162万円=238万円 です。

 

一方、「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」をもし購入したらどうなのでしょう?

 

両方の合計が実売価格で70万円のため、管理組合のNCFは330万円(=400万円ー70万円)となり、かなりの「お得」であったことがわかります。

 

つまり、買取りの方が管理組合の剰余金は約100万円増やすことができたのです。

 

この「100万円」のことを、経済学的には「機会損失」と言います。

 

「機会損失」とは、ある取引きにおいて、もっとも儲けの出る選択をしなかったために「儲けそこなった利益」のことです。

 

また、そもそも論の話として、

事前調査をすれば「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」を導入すればどれくらい電気料金を削減できるか正確に把握できるので、「成功報酬型」の契約をする必要もありませんでした。

 

さらにこの契約で問題なのは「C社との関係は10年では終わらせにくい仕組みになっている」ということです。

 

まず、2週目の11年目に入ったら、設備の経年劣化を理由に、「電子ブレーカー」と「蓄熱式暖房機」の買い替えを求められ、また当初と同様の成果報酬型のシステム利用料を支払い続けることになります。

 

では、契約の更新を拒否したらどうなるのか?

 

契約期間の満了に伴い、管理組合が本契約の終了を希望した場合には、以下のような条文が定められています。

・本契約を終了させる場合、電力会社への再申請等の「復旧費用」として契約満了日の翌日から復旧工事完了までの期間の削減実績相当額をC社に支払う

・C社は契約終了の書面を受領した日から6ヶ月後に復旧工事を実施する。

 

要するに、このマンションの場合契約を終了させるためには、年間40万円の削減効果の半分に相当する20万円をC社に追加で支払わなくてはならないということです。

 

そこで、管理組合に以下のような助言・提案を行ったところ、早速行動に移すことになりました。

1)他社の買取プランへの変更を検討中のため、C社に対し中途解約を検討中である旨を伝える。

2)C社でも買取りプランの提示が可能なら提案を依頼する。(契約の条文どおりに対応するため)

3)両者の提示条件を比較検討し、より有利なプランを選定する。

 

さて、これに対してC社がどのような反応をしたのか?

それは、下の記事をご覧ください。

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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コロナ禍でもマンション管理委託費を3割削減できました!

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先日、コンサルティングしている都内のマンション(築24年・ファミリータイプ 36戸) で通常総会が開催され、管理委託費の3割削減が実現しました。

 

今回は、当社へのご相談の経緯からコスト削減が実現するまでの経過についてご紹介しましょう。

 

1.  きっかけは「集合インターホン」更新工事の見積もりから!

 竣工後24年を経過し、マンションの集合インターホンで不具合が相次いで発生していたうえ、メーカーの部品生産もすでに終了していることがわかりました。

 

 そのため、管理会社を通じて設備更新のための見積もりを取得しましたが、適正な金額を確認するため、当社のサイトページを見つけた理事長さんから昨年10月に相見積もりの依頼がありました。

 

 その後、当社の紹介を含めて複数の業者から相見積もりを取得した結果、当初予算に比べて大幅に下がった金額で工事を今春発注することができました。

 

2.  その後セミナーに参加した理事長さんから相談が・・・

 上記の集合インターホン工事の検討と並行して、昨年11月に開催した当社セミナーに参加した理事長さんから、「昨年管理費や修繕積立金が増額改定され、区分所有者の経済負担が増えたので、コスト削減を検討したい」との相談を受けました。

 

その後、理事会で当社の業務内容や実績についてプレゼンの機会をいただいた際に、有償の「管理コスト適正化診断プログラム」をお勧めしました。

 

3.  「管理コスト適正化診断プログラム」で削減余地を「見える化」!

 昨年12月に、理事会決議にもとづいて管理コスト診断を受託した後、組合の決算資料、管理委託契約書や長期修繕計画書を提供してもらって、現地調査を実施のうえ診断した結果を今年1月に報告しました。

 

その要点は、以下の通りです。

■ 組合の財政状況について

・管理費の増額改定で年間収支が黒字化しましたが、収益に対する剰余金比率は4%とあまり余裕がありません。 将来的に保険料や消費税などのコストアップのリスクがあるた。
・修繕積立金会計については、現在の徴収額を前提とした場合、長期修繕計画で見込まれる修繕費に対して30年間で84百万円の資金不足となり、なお増額リスクが高い。

 

■  管理委託費の診断結果について 
1) 現行の管理仕様を維持した場合:現在比で約26%の削減余地あり。
 (年間経済効果:194万円 → 戸あたり平均@5.4万円 )

2)一部過剰な管理仕様を変更した場合:現在比で約39%の削減余地あり。

 (年間経済効果:289万円→ 戸あたり平均@8.0万円 )

 

この診断結果を踏まえ、理事会で審議した結果、当社の「マンション管理見直し隊」業務の発注を決議し、今年2月の臨時総会の承認を経て本格的な管理委託契約の見直しに着手しました。

4.  管理会社との減額交渉と相見積もりの取得を同時並行で!

その後、3ヶ月ほどの期間をかけ、管理会社と都合3回交渉を行った結果、以下の内容で合意に漕ぎ着けました。

1)管理委託費の単純減額

 機械警備業務や管理会社の諸経費を単純減額してもらいました。

2)委託業務の一部解約と専門業者との直契約への変更

 清掃や共用部の設備管理業務費についても単純減額の提示があったものの、相見積もりを取得した専門業者と比較するとなお割高なため、再検討を求めたものの、折り合いませんでした。

 そのため、消防設備や機械式駐車場、エレベーター保守点検については、専門のメンテナンス会社に直接発注することでより大きな削減効果を得ることを理事会が選択しました。

3)委託業務の一部仕様変更

 管理員業務については、36戸の物件規模に対してやや過剰な仕様になっていました。そのため、以下の通り品質の低下を招かないレベルで以下の通り勤務時間の縮減を提案しました。

【現 在】 週6日(実質 週28時間)勤務
   週5日(月~金):実質5時間
   週1日(土)  :実質3時間勤務

       ↓

【変更案】 週5日(実質 週20時間)勤務
   週5日:午前中の4時間

 理事会でもその程度ならば問題ないだろうと判断したものの、念のため一般組合員にもアンケートを実施したところ、圧倒的に賛成多数の回答が得られたため、勤務時間の縮減も加えることにしました。

 

その結果、年間237万円(現在比31%ダウン)のコスト削減ができました。

戸あたり平均で、年間6.6万円の経済効果ですから大きいですね。

 

というわけで、正式にご相談をいただいてから8ヶ月という短期間で、

事前の査定結果に近い成果を挙げることができました。

 

本件に限らず、セミナーのご参加が管理コスト見直しの契機になっていることが少なくありません。

 

次回のセミナーのお知らせですが、

7月17日(土)の午後に、「管理委託費の削減事例のご紹介」をテーマにオンラインセミナーを開催する予定です。

 

yonaoshi-honpo.co.jp

詳しくは当社サイトページをご覧ください!

 


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早わかり!2021年6月改正「マンション標準管理規約」の改正ポイント

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6月22日付で、国交省が改正版「マンション標準管理規約」を公表しました。

 

www.mlit.go.jp

今回の改正のポイントは以下の2つです。

(1)新型コロナウィルス感染症の感染拡大等の社会情勢の変化への対応

(2)マンション管理適正化法及びマンション建替え円滑化法の改正への対応

 

国交省がリリースした「マンション標準管理規約の改正について(概要)」と題した資料によると、具体的な変更点は以下のように要約できます。

 

 =================

1.IT を活用した総会(以下「オンライン総会」)の開催方法と留意点の追加

■ 「オンライン総会」が実施可能なことを明記するとともに、留意事項等も記載。

(1)利用するWEB 会議システム等に関する定義を追加。

電気通信回線を介して、即時性及び双方向性を備えた映像及び音声の通信を行うことができる会議システム等

 

(2)理事長による前会計年度における組合業務の執行に関する事務報告も可能とコメント。(ただし、各組合員からの質疑への応答等に対応する必要があることに留意が必要。)

 

(3)WEB 会議システム等にアクセスする方法を以下の要領で通知する。

・開催方法は、当該システム等にアクセスするための URL の通知が考えられる。

・区分所有者への「なりすまし」防止対策として、出席予定の組合員に対しては個別に ID及びパスワードを送付することが考えられる。

 

(4)「オンライン総会」における議決権行使は、総会会場において議決権を行使する場合と同様に取り扱う

ただし、第三者による組合員への「なりすまし」や、大規模な障害等による通信手段の不具合が発生した場合等は、総会決議が無効になるおそれがある点に留意が必要。


2.感染症の感染拡大のおそれが高い場合等の対応に関するコメントの追加

■ 感染症の感染拡大のおそれが高いと認められた場合、共用施設の使用停止等を使用細則で定めることが可能なことをコメント。

■ 感染症の感染拡大の防止等への対応として、やむを得ない場合においては総会の延期が可能とコメント

 

3.共用部分における「置き配」を承認する対応

■ 原則としては専用使用部分でない共用部に物品を置くことは禁止だが、ウィルス感染防止対策などのために「置き配」を認める際には使用細則で定めることができることをコメント。

 

4.専有部分の配管取替え工事を共用部分と一体化して実施する場合の対応

■ 共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に、修繕積立金から工事費を拠出するときの取扱いを以下の通り記載。

(1)配管の取替え費用のうち専有部分に係るものは、各区分所有者が実費に応じて負担すべきだが、共用部分と併せて専有部分の取替えも行う方が費用が軽減される場合には、一体的に工事を行うこともある。

(2)その場合は、あらかじめ長期修繕計画において専有部分の配管の取替えについても記載するとともに、その工事費を修繕積立金から拠出することについて規約に規定する。

(3)また、先行して専有部配管の取替え工事を行った区分所有者への補償の有無等についても十分留意が必要。


5.その他の改正あるいはコメントの変更・追加

(1)「長期修繕計画の作成または変更に関する業務」のコメントの変更(組合業務)
「計画期間が25年程度以上(新築の場合30年以上)であること。」から「計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること」に変更

 

(2)理事長、副理事長等の役職に関する「解任」の追加(理事会の職務)
理事の互選で選任された理事長、副理事長等の役職は、理事の過半数の一致によりその職を解くことができる。ただし、その理事としての地位自体は総会決議を経なければ解くことができない。)

 

<参考記事>

www.bmi.or.jp

(3)役員の欠格条項変更
従来の「成年被後見人若しくは被保佐人」から「精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」に変更。

 

(4)総会の議決事項の追加

「管理計画の認定の申請」及び(マンション建替え等円滑化法にもとづく)「要除却認定の申請」を追加

 ================

 

なお、国交省の説明資料によると、

オンライン総会(理事会)の開催が可能なことを明確化する観点で今回標準規約の改正を行ったため、各マンション管理組合の管理規約を変更しなくても「オンライン総会」等の開催は可能と説明しています。

 

ただ、区分所有者の中には、パソコンやネット接続ツール等の必要機器を所持していない あるいはそれらの機器の操作ができない方がいる可能性も少なくないと思います。

 

そのような場合は、いきなりオンライン方式だけで開催すると区分所有者からの不平不満が生じる恐れがあるので、「集会(リアル)とオンラインの併用型」での開催を検討する必要があるでしょう。(下図参照)

 

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<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp


          f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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マンション大規模修繕工事の際は、事前の「アスベスト調査」がマストに!

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「アスベスト」とは、天然の鉱物繊維で「石綿(いしわた)」とも呼ばれています。

 

その名の通り、繊維は綿のように軽くて柔らかく、耐熱性・耐火性・防音性・絶縁性に優れている特徴を持っていることから、建物の建材だけでなく、自動車や家電製品・家庭用品など、広い分野で使われていました。

 

しかしながら、万一空中に飛散したアスベスト繊維を吸い込んでしまうと、肺ガンや中皮腫のリスクが高くなることが判明したため、2006年9月にアスベスト製品の製造・使用が禁止されました。

 

ただ、言い換えれば、2006年9月以前に建設された建物にはアスベストを含んだ建材が使われている可能性がある、ということです。

 

そのため、有害なアスベスト繊維が周囲に飛散してしまう危険のある、2006年9月以前に着工したマンションについては何らかの対策が必要になりました。

 

「2006年9月の着工以前」ということは、「2007年竣工以前のマンションのほぼすべて」は事前調査の対象になるということです。

 

したがって、第1回目の大規模修繕工事の実施を検討中のマンションは要注意です。

 

2018年に厚生労働省が公開したマニュアルでは、マンションで大規模修繕などの工事を行う際、アスベスト建材の使用が疑われるときは、事前に含有調査を実施するように定められています。

 

さらに、2020年6月,大気汚染防止法の改正法が公布され、事前調査の方法が定式化され、今年の4月1日から施行されました。下図:環境省による大気汚染防止法改正に関するリーフレット抜粋参照>

 

 

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したがって、マンション管理組合としては、大規模修繕工事の施工業者を選定する際に、その見積書に「大気汚染防止法によるアスベスト事前調査費用」の項目が入っているかどうかを確認しましょう。

 

その調査は現地調査を行い、必要箇所の建材をサンプルを採取したうえで専門の会社に分析を依頼します。そして、分析結果が出たら、マンション内の掲示板など居住者が見やすい場所に掲示しなければなりません。

 

なので、工事の着工前に、施工業者から事前調査の結果が書面で説明されたかを必ず確認するようにしましょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
          f:id:youdonknowwhatyoulove:20180907095250g:plain

 

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「おカネのかかるタワマン」苦肉の経済対策とは

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6月2日付けの「ダイヤモンドオンライン」に、「タワマンの豪華施設を活用する新ビジネスが熱い!共有部が「最高のショールーム」に」と題した記事が掲載されています。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。 

■ タワマンの豪華な共用施設を有効活用する新サービスが、東京湾岸や神奈川・武蔵小杉のタワマンに広がりつつある。

 

■いま、 タワマン住民に急速に広がっているのが、4月に事業を開始したベンチャーが提供する、タワマンの「共用施設活用サービス」だ。

 

■ 展望ラウンジやバー、キッチン付きのパーティースペース、住民専用のスポーツジムなど、タワマンの代名詞ともいえる豪華な共用施設は、入居直後こそ喜んで使われていたものの、年月がたつにつれて飽きられて使わなくなっていくのが実情だ。

 

■ 一方、管理組合にとって、共用施設の稼働率が落ちることはやっかいな問題だ。特に利用料を徴収するタイプの施設は、その収入が施設の維持管理費用に充てられていることも多いからだ。

 

■だが、 共用施設活用の活性化策は、もっぱら管理組合の裁量に委ねられていることがほとんどだ。言い換えれば、組合理事のやる気と時間と体力の有無で活性化できるかどうかは左右される。しかし、組合理事がボランティアで共用施設の運営をサポートし続けるのは現実的に難しい。

 

■ 記事冒頭のベンチャー企業が提供するのは、このような管理組合の悩みを解決するだけではない。組合の出費なしにですむばかりか、逆に新たな収入源が得られるケースすらあるという。

 

■ 管理組合の負担が発生しないのは、たとえば住民参加型のイベントにであれば、実際にそこで参加する人が参加料を支払い、外部主催のイベントの場合には主催側の企業がコミッションフィーを支払うからだ。さらに、共用施設でテレビの撮影やロケなどを行い、その利用料を管理組合の収入とすることもできるという。

 

■ また企業側にとっても、タワマンの居住者には高額所得者が多く、消費者属性としても非常に期待が持てる集団であるため、直接自社のサービスや商品をアピールできるチャンスがあるという点でメリットも大きい。

 

タワマンについては、「ホテルライクな生活」を提供するというコンセプトのもと、管理員だけでなくコンシェルジュも派遣されるなど管理仕様が非常に手厚いうえ、その共用施設もかなり豪華になる傾向があります。

 

本記事にも紹介されている通り、新築当初は物珍しいので各種の共用施設の稼働率も高いですが、「ホテルライクな生活」は日常的には必要とされていない現実があるため、徐々にその稼働率も低下し、酷い場合には「遊休化」することになります。

 

問題なのは、これらの稼働率が低下しても、一定の人件費や保守点検などの管理コストは事実上の「固定費」として今後ものしかかってくるという現実です。

 

そこで、「遊休化した共用施設の有効活用のサポート」という新たなサービスによって、組合の経済的負担や理事の業務負荷を軽減するというソリューションを提供しようというベンチャーが現れたというわけです。

 

当社では、管理組合の管理コスト適正化のためのサポートを主業としていますが、タワマンについては、一般のマンションと違ってコストの削減余地は小さいと考えます。

 

それには以下の通り、大きく3つの理由があります。

(1)労務コストの比重が高い

タワマンの場合、複数名の管理員が交代しながら24時間・365日張り付く以外に、入居者へのサービスを行う「コンシェルジュ」や、夜勤も行う「警備員」も配備することも珍しくなく、一般の分譲マンションに比べてかなり手厚い仕様が組まれているのが実情です。

 

また、夜勤も含む場合には時給単価も割り増しになるほか、昨今の人手不足に伴う他業種との人材の奪い合いもコストアップにつながっており、今の仕様を落とすような見直しをしない限りコストダウンは困難な状況です。

 

(2)ハイエンドな共用設備の存在

20階以上の高層マンションなどに設置される高速のエレベーターは制御システムが複雑なため、そのメーカーの技術者でないと保守対応ができません。そのため、非メーカー系の専門業者との競争原理が機能せず、保守料金に下方硬直性が見られます。

 

機械式駐車場もこれと同様で、上下や横方向にパレットが作動する汎用的な設備であればメーカー以外の保守専業業者でも対応可能ですが、タワマンに付設されることの多いタワー型の循環式設備の場合は、制御システムが高度かつ複雑なため取り扱いが困難なため、他に委託先の選択肢がなく、保守委託費を削減することが難しいのです。

 

それ以外にも来客用の宿泊施設やフィットネス施設、あるいは池や噴水の出る施設の類が付設されている場合には、その保守やメンテナンス、そして修繕に支出がさらに嵩む要因になります。

 

(3)大規模ゆえに限られる管理委託先の選択肢

大規模タワーマンションとなると、数百戸クラスの規模になるのが一般的です。そうなると管理組合に対するサポートにおいても管理会社に一定以上の運営スキルが求められることになります。

 

タワマンを多数供給しているデベロッパーの子会社であれば、すでに受託実績もあり、熟練したスタッフもそれなりにいるでしょうが、独立系管理会社はその機会に恵まれないのが普通です。

 

そのうえ大規模物件を受け持つのにスタッフの数も多めに確保する必要があるため、中堅以下の管理会社には少々荷が重いと思われます。

 

そうなると、現在の管理会社以外に引き受け可能な候補先はおのずと限られることになり、競争原理が働きにくくなるのです。

 

さらに、高層のタワマンの場合、大規模修繕工事の際に通常の足場を設置できないことから、一般のマンションと比べて工期が長くなり、工事単価もおのずと割高になります。

 

一方、徴収する修繕積立金の水準は、販売価格を高い水準で維持したいデベロッパーの都合から、一般のマンションと同様に必要な金額の半分以下でスタートしています。

 

 <参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

つまり、タワマンの場合、管理費会計・修繕積立金会計の両方において、潜在的な財政リスクを抱えていますが、これを解決するための管理コストや修繕コストの適正化などの選択肢も一般のマンションに比べて自ずと限られるという性質を抱えていると言えます。

 

そのため、本記事で紹介されているような副収入を期待できるような「対策」が採用される事例が今後増えていく可能性も少なくないだろうと思います。

 

<参考記事>

aplug.ykkap.co.jp

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 
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マンション管理会社が保険代理店になることを前提とした委託契約にNO!

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先日、顧問先マンションの通常総会が開催され、管理委託契約の更新に際して管理組合がかねてより要望していた契約条文の一部変更が実現しました。

 

従前の管理委託契約では、共用部を対象とするマンション保険に関する契約の手続きや、保険金の請求申請の代行業務については以下のように管理会社が保険代理店となる場合を想定した記載となっていました。

 

======<従前の条文>======

管理組合が契約者となる共用部分の火災保険等に関して、管理会社が代理店となってこれを取り扱う場合組合の指示に基づき管理会社は次の業務を行う。

a. 保険契約の申込手続・変更手続

b. 保険金の請求手続

c. 満期保険金、解約返戻金の請求手続

====================

 

しかしながら、この管理組合では保険料の負担を下げるため、代理店である管理会社を経由して締結していた保険契約を中途解約し、別の代理店を介して新たな契約に切り替えました。

 

そのため、今後は上記の条文が「適用外」とされ、これまで事務代行を行っていた管理会社にサポートしてもらえなくなるおそれが生じたわけです。

 

国交省の「標準管理委託契約」では、管理会社の事務管理業務における理事会支援業務の「事務代行」の内容として、「管理組合が行うべき損害保険に係る事務を組合に代わって行う」との規定があります。

 

そのため、当マンションについてもこれに倣って、管理会社が保険代理店となるか否かを問わず、従来どおり保険契約に関する事務代行を行なう旨を明記するよう条文の変更を要請しました。

 

これに対して、管理会社からは当初以下のような回答がなされたのです。

<ちなみに、その管理会社は業界最大手のD社です。>

 「当該文言が挿入されているのは、保険業法に違反する行為を強要されないようにするためであり、削除・修正はできない。」

 

一方、「保険金請求の際に必要な事故現場の写真撮影、修繕見積書の取得、事故報告書の作成等は事務管理業務に含まれると認識している」とのことであり、事実上従来通りに業務を行う、との回答でした。

 

これに対して、管理組合からは以下の理由で到底承服できないため、条文の改正は必須だと主張しました。

 

(1)管理委託契約には管理会社としての業務内容を記載するはずで、保険代理店の立場として行う業務を記載するのは不自然。管理組合としては「保険代理店への取次ぎ」を組合(理事会)に代わって管理会社が確実に行なってくれるというコミットメントを求める。

 

(2)現在の管理会社の担当者が従来通りに業務を行うとしても、今後担当者が交代した場合、上記条文を盾にして保険代理店への取次ぎ等の補助を行わないと主張されるリスクがある。

 

その後1年近く、管理会社と粘り強く交渉した結果、最終的には管理会社も譲歩し、当該条文については、以下の通り変更することで合意しました。

                

======<変更後の条文>======

管理組合が契約者となる共用部分の火災保険等に関して、組合の指示にもとづき管理会社は業務の補助を行う。

a. 保険契約の申込手続・変更手続

b. 保険金の請求手続

c. 満期保険金、解約返戻金の請求手続

=====================

 

今回は、理事長が管理会社に対して粘り強く交渉したことや、私が顧問として組合をサポートしたこともあってなんとか条文の修正に漕ぎ着けましたが、一般の組合ではおそらく修正させることは難しかったでしょう。

 

問題は、なぜ管理会社がこのような回りくどい条文を記載しているのか?です。

 

保険の代理店業務は、管理会社の重要な副収入源の一つであり、おそらく管理受託先の9割以上を押さえているものと思います。

 

したがって、管理会社としては管理組合(理事会)にプレッシャーをかけてでも死守したい業務だろうと予想できます。

 

過去にコンサルティングしたマンションでも、契約の切り替えに伴って管理会社が保険代理店の立場が奪われそうになると、切り替え先の保険会社の悪口(「保険金が出にくくなる」など)を言ったり、「今後は修繕の見積もり手配はしませんから」などと「圧力」をかけてきました。

 

<参考記事> 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 こうした管理会社の「脅し」や「揺さぶり」に対して、管理組合側も「これからは理事会の負担が増えるのではないか」と不安を覚え、保険契約や保険代理店の変更を思いとどまってしまうことも実際ありました

 

このような事情から、この管理会社がわざわざ標準委託契約と異なる条文を設けているのも「戦略」の一端と思わざるを得ませんし、最初に示した管理会社の修正に応じられない理由も「詭弁」にしか思えません。

 

「管理組合は素人集団だからチョロい」と思われないように注意してください。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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