住宅金融支援機構が、 2021 年度におけるマンション管理組合向けの債券「マンションすまい・る債」の積立てに関する募集結果を報告しました。
本報告内容の要約は、以下の通りです。
■ 2021 年度新規募集の結果
・応募組合数:1,704 (対前年比 +12%)・応募口数は 10万5,244 口 (対前年比 +21.4%) :過去最大
「1口 50万円」なので、総額525億円
■ 増加した要因
(1)応募受付期間を約1か月延長(5ヶ月→6ヶ月)したこと。
(2) 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、昨年度は多くのマンションで管理組合の総会を延期していたが、今年度も通常どおり開催する組合が増えたこと。
「マンションすまい・る債」とは、管理組合の修繕積立金の計画的な積立てと適切な管理をサポート するために、住宅金融支援機構が管理組合向けに発行する債券です。
「すまい・る債」の利率は0.12%です。
(10年満期時の平均年利率 税引前)
債券のため元本保証はありませんが、住宅金融支援機構は政府出資の独立行政法人です。
一方、メガバンク等の定期預金(1年もの)の場合、平均年利は0.002%と「天文学的?」に低い利息のうえ、残高1千万円を超えるとペイオフの対象外になるため、銀行に預ける意味は現在のところほとんどないと言える状況です。
ところが、管理組合の実態は、こうしたメガバンクに数千万円もの預金を預けたまま放置しているがもっぱらです。
また、「すまい・る債」購入のメリットは、資金運用面だけにとどまりません。
顧問先の管理組合で、大規模修繕工事の際に手元資金では厳しい状況と判断した場合には、支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を活用することをお勧めしています。
一定の要件をクリアすれば、原則として10年以内の融資を無担保・低金利で受けることができるのですがが、「すまい・る債」を1口以上保有している管理組合の場合、さらに金利の優遇(0.2%)が受けられます。<下表参照>
(「マンション共用部分リフォーム融資」パンフから抜粋)
なお、東京都の場合、「マンション共用部分リフォーム融資」を受ける管理組合を対象に、最大で金利1%相当の助成金制度があるため、現在「実質無金利」で融資が受けることも可能です。(下記記事参照)
www.mansion-tokyo.metro.tokyo.lg.jp
ただ、「マンションすまい・る債」を購入する際に注意すべき点があります。
それは、債券購入の応募時期と総会開催時期のズレです。
<「マンションすまい・る債」パンフから抜粋>
「マンションすまい・る債」を購入する際には、銀行等と異なり元本保証がないことから、原則として管理組合の総会決議を経る必要があると思います。
しかしながら、通常総会の開催時期はマンションによって異なるため、上記応募期間(4月〜10月)と総会の開催時期が大きくズレる場合があります。
たとえば、11月に通常総会を開催するマンションであれば、応募しようとする前年に議案を上程しておく必要があります。(そして、実際の購入は翌々年の2月になります)
もちろん、「臨時総会」を別途開催するつもりなら、こうした心配は無用ですが・・。
<参考記事>