マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

マンション修繕積立金の増額を提案しない管理会社は不誠実のきわみ

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先日開催したセミナーの後、ある管理組合の役員さんから個別相談を受けました。

 

ご相談の内容は、

現在、管理会社が長期修繕計画の更新を検討しているが、このままでも資金が足りるのだろうか?」ということでした。

 

<マンションの状況>

■3LDKタイプが中心の築20年超のマンション(全体:約150戸)。

■現在の修繕積立金の徴収額:戸あたり月額7千円。(竣工以来、増額改定なし)

■現在の修繕積立金残高:3億4千万円。

 

 

 もちろん、「全然足らないでしょうね」と即答しました。

 

30年間を1サイクルとみた場合に、分譲マンションの建物本体部分で専有面積1㎡あたり)月額200円(※機械式駐車場が附設されている場合は、さらに加算が必要)は必要とされています。<参考>国交省「修繕積立金ガイドライン」

 

たとえば専有面積75㎡の部屋なら、

30年間で540万円(=200円×75㎡×12月×30年)の積立金が求められるということです。

 

ところが、このマンションは戸あたり月額7千円の徴収のため、30年で252万円(=0.7万円×12月×30年)しか貯まりません。

 

つまり、必要な額の半分にも満たない。

 

一方、現在修繕積立金残高が3.4億円あるのですが、これを1戸あたりに換算すると227万円弱です。

 

したがって、今の貯金をベースに加算したとしても、

227+252=479万円 < 540万円 となり、

戸あたり61万円の資金不足となります。

 

仮に、この時点では「一時金」を各戸から徴収するか、金融機関等からの借入れで何とか危機を凌げたとしても、さらに深刻なのはこの後です。

 

まさか、築50年目でマンションを取り壊すわけにはいかないでしょうから、まだまだ修繕資金が必要です。

 

それを賄っていくには、毎月の徴収額を大幅に増額するのはもちろんのこと、戸あたり数十万単位で「基金」も拠出してもらう必要が出てくるでしょう

 

そうなると、将来の区分所有者に負担をつけ回しすることになりますから、マンションの資産価値にも負の影響が出るのは間違いありません

 

このマンションの長計を事実上作成しているのは、誰もが知る有名デベ系列の管理会社ですが、修繕積立金の増額改定を一切せずに20年間もやってきていると聞いて呆れるばかりです。

 

また、管理会社が長期修繕計画を作成する場合には「巧妙な操作」が行われることもあります。

 

どういうことかと言うと、多額の費用がかかる工事を「先送り」して計画期間の「対象外」としてしまうのです。

 

築35年目までの長期修繕計画をみたところ、国交省のガイドラインの目安に比べて10億円以上少ないためその原因を調べたところ、「築36年目」に給排水管やエレベーターの更新工事といった多額の修繕項目がこぞって後送りされていたのです。(下記記事参照)

 

<参考記事>

  

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

素人集団の管理組合がチェック能力が脆弱なことに付け込んで、いい加減な計画を作成してお茶を濁すというケースもあることが最近分かってきました。

 

マンション管理組合にとって「無関心」と「管理会社への丸投げ」は厳禁。 

必要なのは、「基礎知識の習得」と「セカンドオピニオンの導入」です。

 

 

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