顧問先である都内の管理組合では、2年前から高圧一括受電の導入を検討してきました。
弊社が今春からコンサルティングを開始して以来、サービス業者に全面的に委託するスキームと、組合自らが受変電設備を購入して大口契約者となり、電 気料金の請求業務や設備保守点検を外注するスキームとの両面で検討しながら、合計4社から見積もりを取って各社の条件を比較分析してきました。
その結果、先日の理事会で後者のスキーム、つまり管理組合が事業者になることを決議しました。
ご参考のために、その理由について以下ご紹介しましょう。
1)電気料金の削減メリットの違い
サービス業者の場合には、共用部電気料金の削減率を25〜50%の間で設定し、管理組合に導入メリットとして提案します。
しかし、一括受電の最大のメリットは専有部分の電気料金が大口契約によって安くなる点にあります。そして、サービス業者はその削減メリットがマンション全体でどれだけ見込めるのか決して開示せず、結論しか示しません。
実際には、専有部分の電気料金の削減メリットの大半をサービス業者が享受しているため、管理組合のメリットが小さいと判断しました。
なお、管理組合が事業者になる場合の経済的メリットは、弊社の提案で全てガラス張りにされるため、どちらがどれくらい得なのかという比較は簡単にできます。
2)電力小売り自由化のメリットの有無
いよいよ来年2016年の春から小売りの自由化が始まります。大口契約についても、東電などの地域電力以外からより有利な条件で購入先を選択することができるようになります。
しかし、サービス業者に一括受電を委託した場合には、そこで期待される追加削減のメリットは享受できないでしょう。なぜなら、管理組合には「共用部電気料金に対する一定割合」しか還元しない契約になっているからです。
3)管理組合とサービス業者の力関係
サービス業者との契約は、基本的に10年間の設定です。それ以降は3年毎の更新となっているケースが一般的です。
さて、11年目に契約条件の再交渉となった場合に、どちらが一体有利な立場にあるでしょうか。それはもちろん、地域電力会社の時と同様、受変電設備を持っているサービス業者のはずです。
そのため、契約の更新の条件として組合が負担する電気料金の削減率を下げられたとしても、これに抵抗することは難しいと思われます。
それならばということで、管理組合がこの契約を解除しようとしても、話はそう容易ではありません。管理組合が無理やり解約しようとした場合、サービス業者から受変電設備の撤去に伴う原状復旧費用を請求されることになるからです。
長い目で見て本当に管理組合にとってメリットが大きいのはどちらか、正しく判断するのは簡単ではありません。
ご相談は、下記の弊社サイトで受け付けていますので、お気軽にどうぞ!
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