先週末、コンサル契約を頂戴したばかりの某管理組合の理事会に陪席した時のこと。
この組合では先月定期総会が開催され、一部の方を除いてほとんどの役員が改選・交代となったため、この日は新任理事の役職決定について審議が行われました。
管理組合では毎度お馴染みの光景ですが、この理事会でも「理事長を誰にするか」でかなり難航しました。
立候補はもちろんなく、一同揃って「それだけは勘弁してほしい」のオンパレード。
「仕方ない、それでは平等に決めましょう」ということでクジ引き抽選となったところ、1年前に入居したばかりの高齢のご婦人に当たってしまいました。
これまでに他のマンションも含め「理事経験がゼロ」ということもあって、そのご婦人がかなり困惑された様子が痛いほど伝わってきました。
それを見かねたのでしょう、40代前半と思しき男性の理事が「では、私がやりましょう!」と挙手して立候補したのです。
その心意気に、場内は「おおーっ!」と声が上がり、みな拍手喝采。
サポートする私自身も思わず手を叩いていましたが・・。
ご承知の通り、区分所有者が組合の役員になるのは管理規約上の権利であり、義務でもあります。
ただ、マンション管理に一定の知識があり、かつ理事の経験が豊富な組合員はほぼゼロ%に近いのが実情です。
こうした団体から、権限だけでなく責任も大きい理事長という代表者を選ぶという仕組み自体にそもそも無理があると言わざるを得ません。
しかし・・・、
実は区分所有法上の管理者(※通常は理事長が務める)は、もともと区分所有者以外でもなれるってこと、ご存知ですか?
ただ、役員の資格要件として、ほとんどの管理規約では「居住する組合員から選任すること」と定めているために、外部の人間はなりたくてもなれないのです。
では、最初にそんなルール(管理規約)を決めたのは誰なのか?
それはマンションの売主であるデベロッパーです。
もちろん、管理規約の制定は管理組合の設立総会で必ず承認されている筈なので、「事実上」「実質的に」という意味です。
つまり、法的にはプロの専門家が管理者(理事長)になれるのに、管理規約上の制限を受けているためにそれが許されないというわけです。
もちろん、規約を改正すればいいのですが、全区分所有者等の75%の賛成が必要なので通常の決議よりもハードルが最大3倍くらい高いと言えます。
これをマンション業界が巧妙に仕掛けた陰謀の一つと考えるのは、私だけでしょうか?
一方、現在 標準管理規約の改正にむけて国交省が動いているようです。
マンション管理士などの外部の専門家が理事や監事になる選択肢を標準規約の中にも盛り込もうとしています。
「理事長なんて貧乏くじ、でも重要な仕事なんだよね」と考える多くの管理組合さんはこの標準規約改正の動向に要注目です。
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