多くの管理組合や区分所有者が「マンション管理費の水準が妥当」と考えているようです。
でも、管理委託費を精査してみると、適正な水準よりもかなり割高なことが多いことから、管理費については引き下げの余地が大いにあることをお話しました。
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では、管理費と同じく毎月徴収される修繕積立金についてはどうでしょう?
首都圏新築マンション(70㎡)における月額管理費と修繕積立金について平均金額の推移を見てみましょう。(東京カンテイ調べ)
これによると、管理費が15,000円強なのに対して、修繕積立金はその半分以下の6,000円台前半です。(㎡単位に換算すると、管理費はおよそ220円、修繕積立金は90円くらい)
しかし、管理費と違って、修繕積立金は新築当時の金額から経年的に増額改定される運命にあります。
なぜなら、本来必要とされるな積立金の水準に比べはるかに低い設定になっているからです。
では、必要な金額はどれくらいなのか?その疑問に答える「ガイドライン」を国(国交省)が2011年に発表しています。
この修繕積立金ガイドラインによれば、30年間を設備等の更新周期と考えて均等積立方式を前提とした場合、建物本体部分については規模や階数にかかわらず概ね月額200円(専有床㎡あたり)以上が必要とされています。
新築マンションの設定金額が平均90円なので、最初は必要な水準の半額以下しか徴収していないことになります。
この差額を仮に30年間で埋め合わせようとするなら、当初の設定金額を最終的には4~5倍まで引き上げないと足らなくなることは、算数のできる子どもなら容易に想像がつく話です。
しかしながら、マンション購入の段階ではそのワナに気づく人は少なく、入居後に管理組合の運営に携わることでようやく分かるのが現実です。
言うまでもなく、そのワナを仕掛けているのは分譲会社(デベロッパー)です。
マンション購入を検討する際には必ず資金計画を立てますが、ローン返済原資の他に管理費などのランニングコストを加えてやり繰り可能か試算します。
その時に修繕積立金が、ガイドライン通り今の相場の2倍以上だとしたらどうなるでしょう?
マンションの購入予算に少なからず影響が出ることになりますよね。
これを言い換えれば、分譲会社にとって販売価格の低下、あるいは販売不振に繋がるリスクに直結します。
だから、修繕積立金は故意に低く設定されているのです。
こうしてみると、管理組合の2つの財布のうち、消費に使う財布(=管理費会計)には無駄が多くあるのに、貯蓄のための財布(=修繕積立金会計)は将来金欠になることが確実ということです。
この状況を、私は「管理費の隠れメタボ」と「修繕積立金の簿外債務」と呼んでいます。
そしてこの2つの問題こそ、すべての管理組合にとって早期に解決すべき重要なテーマなのです。
どうも有り難うございました!
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