本ブログでは、これまでに
◆マンションの管理費には多くのムダがあり、人間に例えると「隠れメタボ」の状態にあること
◆新築時の修繕積立金についてはデベロッパーの販売策略で故意に低く設定されているため、管理組合は「簿外債務」を抱えていること
以上2点についてお話しました。
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つまり、「管理費会計の隠れメタボ」と「修繕積立金会計の簿外債務」の2大問題こそが管理組合が潜在的に抱えるリスクだと言えます。
この問題を、区分所有者の負担を増やすことなく解決する方法が2つあります。
<その1>管理委託費等のコスト適正化で、余剰資金をねん出せよ
まず、管理委託費を中心に消費のサイフ(管理費会計)から出るおカネを見直し、無駄を排除することで余剰資金をねん出します。
一度も見直したことのないマンションなら、3割前後のコストダウンはそう難しくないはずです。
そして、そこで生まれた余剰資金を貯蓄用のサイフ(=修繕積立金会計)に移せばよいのです。とてもシンプルですね!
ただ問題は、これだけで修繕積立金の簿外債務を一掃できるかということです。
正直なところ、この方法だけでは十分とは言えません。
そこで重要なのが、第2の方法です。
<その2>継続的な見直しで長期修繕計画の精度を上げよ
長期修繕計画とは、皆さんの修繕積立金をいくらに設定するかを決める際の唯一拠り所となるものです。
そう、下の図にあるように、あの年度別・部位別に工事金額がプロットされている何とも無機質なスプレッドシートです。計画期間は、一般的に共用設備の更新周期をカバーできる30年間で設定されています。
キチンとこれに目を通したことのある方はさぞや少ないことでしょう。
ただ、実際にはこの計画がどのように作られているかを知ったうえで、これを継続的に見直しながら運用することが大切です。
なぜなら、新築当初の長期修繕計画は、そのマンション独自のものと言うよりも、一般的あるは平均的なデータをもとに作成されているため、精度が高いとは言えないからです。
したがって、そのマンションの特性に合った現実味のある計画に徐々に成熟させていく必要があるのです。特に重要なのは、次の3つを実践することです。
◆計画の修繕費用は参考にとどめ、管理会社以外から複数の見積もりを取る。
◆設定された修繕周期を鵜呑みにせず、日常の管理状況からタイミングを判断する。
◆これらの実績を今後の修繕計画に適宜反映し、計画の精度を向上させる。
上の3点を本当に実践できれば、当初計画されたライフサイクルコストを3割減らすことも十分可能であり、管理見直しによる余剰資金のねん出効果との相乗効果で「簿外債務問題」もおおむね解決できると考えます。
ただ、これには時間も手間もかかります。一定の専門知識も必要です。素人集団の管理組合が自力で実践するのは至難の業でしょう。
この課題をクリアするには、マンション管理士や建築士のように、管理会社以外の「管理組合と利益が相反しない立場の専門家」の活用が欠かせないと思います。
どうも有り難うございました!
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