マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

築30年超マンションの管理規約、ココがヤバい!

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先日、都内の築30年超の大規模マンションの管理組合からコンサルティングの依頼があったので、さっそく物件の資料を提供していただきました。

 

資料の中には現在の「管理規約」も含まれるのですが、その内容を確認したところ、他のマンションとは明らかに構成や内容が違うことに気がつきました。

 

たとえば特徴的なものを挙げると、以下のような定めです。

■住宅以外の事務所で使用する場合には、管理費と別に「特別組合費」を納めなければならない。

 

■組合員が現在使用している事務所を同一の使用目的を持つ第三者に売却しようとする場合には、予め理事会の書面による同意を得ることが必要。

 

■バルコニーに洗濯物、布団等の美観を損するものを干すのは禁止

 

■総会を開催する場合には、少なくとも5日前までに組合員に通知する。

 

このようなユニークな管理規約には近頃滅多にお目にかかることがありません。

 

なぜなら、

既存マンションの規約は、今や国交省の「標準管理規約」に準拠して作成されるのがもっぱらだからです。

 

かつての管理規約は、分譲会社や管理会社が個々に独自のものを作成していましたが、その内容に統一性がなく、中には劣悪なものや不合理なものも見受けられました。


そのため、1982(昭和57)年に、建設省(現在の国交省)が「中高層共同住宅標準管理規約」(その後「マンション標準管理規約」に改称)を作成し、今後管理規約を作成するにあたっての「指針」として活用するよう通達しました。

 

それ以来、この標準規約に準拠した新築マンションの管理規約を作成するようになったため、どの管理組合でも概ね同じ内容になっているのです。

 

なお、一旦定められた規約を変更するのは「特別決議事項」に該当するため、組合員と議決権の各4分の3以上の合意が必要で、高いハードルが設けられています。

 

なので、問題意識の高い管理組合でないと新築当時のまま一切変更が施されないことも少なくありません。

 

ところで、冒頭で紹介したマンションの管理規約には、もう一つ注目すべき定めがありました。

 

■ 管理受託者の決定または変更については、組合員及び議決権の各4分の3以上の合意が必要(特別決議事項)

 

標準管理規約では、管理委託先の変更は総会の普通決議事項のため、出席組合員の議決権数の過半数以上の賛成があれば成立します。(※総会の開催要件は、委任状等を含む「みなし出席者」が議決権総数の半数以上)。

 

したがって、理論上は議決権総数の25%超の賛成があればクリアすることができます。

 

一方、「特別決議事項」の場合は全体の75%以上の賛成が必要なので、普通決議に比べて約3倍もハードルが上がる、というわけです。

 

分譲会社の系列子会社が管理を受託するのがマンション業界の慣例になっている中、このような管理規約の定めがフェアとは言いがたいのは明らかです。

 

しかも、この規約自体がおかしいからと言って変更したくても、それ自体が特別決議に該当してしまうのが厄介なところです。

 

昭和50年代に建てられたマンションの管理組合さんは、ぜひ一度管理規約も見直されることをお勧めします。

 

【参考記事】

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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