10月23日付の週刊東洋経済に、「サービスを低下させない上位100社はここだ!<住民が頼れる>マンション管理会社ランキング」と題した記事が掲載されています。
本記事の要約は以下の通りです。
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■ 住民は頼れるマンション管理会社をどのように評価すればよいか。管理会社を「業務主任者1人当たり棟数」と「管理部門売上高」の2つの指標を用いて独自にランキングした。
■ マンション住民へのサービスを維持できるかを探る指標の1つが、「管理業務主任者1人当たりの物件棟数」だ。
■ 管理業務主任者は、管理会社が管理組合と契約を結ぶときに必要な国家資格で、管理組合に対し管理状況を報告したり組合運営をサポートする。そのため、管理業務主任者1人当たり棟数が少ないほどきめ細かなサービスを提供できると考えられる。
■ 一方、スケールメリットも重要だ。管理会社にも間接部門の仕事があるが、売上高が大きければそうした間接費を効率化できるし、巡り巡ってマンション住民へのサービスも向上できる。そのため、「管理部門売上高」をもう1つの評価指標として採用した。
■ ランキングの根拠となる各社の「総合点」は、管理業務主任者1人当たり棟数の小さい順と、マンション管理部門売上高の大きい順の、それぞれの順位を合計したものであるため、数値が小さいほうが上位となる。
■ 1位は東急コミュニティーで、2つの指標ともに2位。修繕工事を積極的に受注していることも売り上げに寄与している。
■ 2位は大和ライフネクスト、3位は野村不動産系、4位は住友不動産系と三井不動産系といずれもデベロッパー系列だが、新築物件の受託機会が豊富なためと思われる。
■ ただ、デベロッパー系でも住友不動産系、三菱地所系は修繕工事を積極的に受注する姿勢があまり見られない。高級物件の管理が多く委託費だけで高い売上を確保できているからか。
■ 管理はひとたび受注できれば長期にわたって安定収益を得られる。そのため受注するときの採算が極めて重要。人件費や工事費が上昇した今、管理会社の物件選別姿勢はますます強くなるだろう。裏を返せば、住民にとっての管理会社選びは一段と難しくなっている。
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本記事によると、
以前は管理組合側がコスト重視で管理会社を選別するのが一般的だったが、いまや両者の立場は逆転し、管理会社側がマンションを選別するようになった。そのような状況のもとで、なるべく優良な管理会社を選ぶべきかの検討に資するためランキングを作成した・・とのことです。
残念ながら、私にはこの趣旨自体何を言いたいのか理解できませんでした・・(笑)
ランキング作成の趣旨はともかく、
(1)管理業務主任者1名あたりのマンション棟数
(2)管理部門の売上高
という二つの指標を算出し、(1)は昇順(少ない方がGood)で、(2)は降順(多い方がGood)で、それぞれ並べたうえで各順位を足してその合計値が小さいほど「頼れる会社」だと定義した、というわけです。
私は、思わず絶句しました。
「何じゃ、それは!?」と突っ込みたくなります。
まず、その程度のデータなら、マンション管理業協会のホームページに登録されているデータを利用すれば、誰でも簡単にできます。<下記サイト参照>
ただ、分譲マンションもさまざまで、数百戸にも及ぶ大規模物件もあれば、10数戸しかない小規模物件もあります。
また、区分所有者のほとんどが居住するマンションもあれば、ほとんどの住戸を賃貸に出している投資用のマンションもあります。
こうした物件の規模や特性によって、組合運営にかかる手間(=労務コスト)もかなり変わってくるので、各社の受託状況をつぶさに精査しないと単純にランク付けすることはできないはずです。
さらに、「売上高が大きいほどスケールメリットがあり、コスト効率が高いだろうという発想も、きわめて短絡的と言わざるを得ません。
私が思うに、間接部門の比重の高い管理会社ほど、売上高(=管理委託費)に応じて所定のマージン率を上乗せして割高な経費を請求しているケースが多いように見受けられるからです。
マンション管理会社ランキングといえば、
オリコン主催の顧客満足度調査(下記サイト参照)の方が有名でしょう。
オリコンの場合、実際にそのマンションに居住する区分所有者を対象にアンケートを実施し、管理員、フロント担当者 日常業務対応、コストパフォーマンスといった項目別にポイント評価したうえで、その総合点をランキング化しています。
この調査も、回収したアンケート数が少ないとか、調査物件が新築に偏りがちなどかなり割り引いて考える必要はありますが、顧客自身の声を拾っている点で「説得力がある」と思います。
本当に頼れるかどうかを検証したいなら、
たとえば以下のような項目もチェックしてもらいたいものです。
・各管理受託物件の契約維持率および契約継続年数
・受託物件の理事会開催頻度
・長期滞納者(6ヶ月以上)の発生比率
・組合財産着服事件をはじめ法令違反事例の有無
・管理組合の資料に関する保管・整理状況
<参考記事>