当社のコンサルティング先で、今年の夏から管理委託費の減額交渉を始めたマンションの話です。
管理委託費の適正化に際しては、単純に減額を要請するだけではなく、そのマンションの「管理仕様の見直し」も検討します。
管理仕様とは、たとえば以下のような項目です。
■管理人の勤務日数や滞在時間(週◎日・1日×時間勤務)
■管理人は、日常清掃を兼務するか否か
■清掃や設備保守点検の頻度(年○○回実施など)
■理事会の開催頻度(毎月か、隔月以下か)
■設備保守業者はメーカー系か、非メーカー系か
<参考記事>
このマンションでは、管理人は平日は朝から夕方まで勤務しているのに、日常清掃は業務に含まれておらず、別途専門スタッフ(2名)を派遣している状況です。
ただ、総戸数が約200戸と大規模物件ではあるものの、集会室・ホール以外に特別管理が必要な施設や設備もなく、日中常に管理室内に待機していなくてはならない事情はありません。
このような場合、管理人にも日常清掃作業を兼務してもらえば清掃スタッフも減員できる可能性があるし、清掃のために管理室を離れる際には携帯電話を所持すれば特に支障はないと思われます。
そういった見直しを依頼したところ、管理会社の「抵抗」の凄まじいこと・・・
フロント担当者から以下のような文書が送られてきました。
・管理員業務を行いながらの清掃補助であるため、単に清掃員1名までの作業量や作業仕上がりに至らないことを予めご承知おきください。
・清掃スタッフ1名減員による作業量および作業仕上がりが現状より低減することをご承知おきください。
・作業員の純粋減であることから物理的に作業範囲や作業回数・頻度等を減らさざるを得ないこと、それに伴う美観が低下する恐れがあることをご承知おきください。
こちらとしてはあくまで品質を落とさずに合理化する対策案として検討をお願いしたのですが、事実上お断りの意思表示と読めます。
しかも、代替案のオファーも一切なし。まったく、にべもありません。
こんな木で鼻をくくったような対応を繰り返したため、管理組合の理事会もついに憤慨して、「それなら相見積もりを取って他社からの提案も聴こうじゃないか」という流れになり、リプレイスを見据えた動きになってしまいました。
すると、それを知った管理会社の態度が文字通り豹変して、今度は立派なカラー冊子で以下のような提案をしてきたのです。
・フロント担当者、管理員、清掃スタッフがこれまで以上に連携し、仕様の変更がサービスの低下とならないようしっかりした体制を構築し、将来にわたってサービスの維持向上ができるような体制づくりに取り組みます。
・緊急の際に巡回中でも連絡が取れるよう、管理員に携帯電話を貸与させます。
・管理室に不在の場合には、インターホンから携帯電話につながるようにします。
・日常清掃作業の効率アップのため、清掃用具を見直し、新規購入します。
「このままだと解約されるかもしれない」との危機感からの思い切った方針転換なのでしょうが、やや遅きに失した感は否めません。
何よりも遺憾なのは、こうした提案は管理組合のためではなく、自社の立場を守りたい一心からだということが明らかということです。
なぜ最初からできなかったのか?
ここに、マンション管理会社が抱える問題の本質があります。
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