11月26日付の毎日新聞で、マンションの修繕積立金の不足問題が取り上げられていました。
この記事をざっくり要約すると次のとおりです。
・積立金不足が深刻化し、予想外の負担にあえぐ入居者が増えている。
・特に最近の2年間では、1回目の大規模修繕の資金さえ賄えない事例も増えている。
・管理組合向けの大規模修繕用の融資は、3年前に比べて件数ベースで約6割も増加。
・積立金不足の要因の一つとして、2年前から急激に施工費が上がったこともある。
・ただ、それより根本的な要因は、マンション販売業者が積立金を故意に低い額で設定していること。
・購入前に管理組合の決算書や活動報告を取り寄せ、不動産管理の専門家にチェックしてもらえば、ある程度のリスク回避が可能である。
・工事費が高騰している間は一部の工事を先延ばししたり、第三者の専門家によるセカンドオピニオンを活用すべき。
・入居者は管理組合自身の関心・意識を高めることも大切。
率直に言って、マンションの修繕積立金が不足する理由は、販売業者(デベロッパー)が自らの収益を最大化するために人為的に低く設定しているからに他なりません。
新築マンションの修繕積立金の「相場」は、国交省のガイドライン(専有面積あたり概ね200円/月)に対してその半分以下の90円程度にとどまっています。
<ちなみに、20年前はもっと酷く、管理費の10%程度の水準が「相場」でした。>
一方、新築分譲マンションの「管理費」の相場は、首都圏では専有面積あたり約210円/月くらいなので、修繕積立金の本来あるべき金額とほぼ同水準です。
言い換えれば、新築当初から修繕積立金は管理費と同じくらいの金額でない限り、将来不足するのは自明の理というわけです。
したがって、積立金不足はマンション管理においては極めて普遍的な問題で、なんら珍しいことではありません。
また、それは管理組合や区分所有者の責任でも決してないのです。
さて、ここからが本題です。
本ブログでは今回紹介した記事には書かれていない対策をご紹介しましょう。
修繕積立金が不足する事実を認識したら、即検討すべきは管理委託費の見直しです。
と言うのも、ほぼ全ての分譲マンションの管理費は、割高な管理委託費を賄う水準で設定されているからです。
マンション竣工当初に管理会社を選定するに当たって、管理組合が相見積もりを取得したり、そのマンションに適した管理仕様を設定したことのある管理組合はほぼ存在しないはずです。
たいていの場合、マンションを販売するデベロッパーの系列会社が管理を受託するのが通り相場になっているためです。
その結果、管理会社に支払う委託費用も彼らの「言い値」で決まっているのが実情です。
これを適正化することで今の委託費の3割くらい削減することは十分可能です。
そうすれば、現状の負担を増やさずに、管理費会計という「消費」用の財布から修繕積立金会計という「貯蓄」の財布にお金を移すことができます。
この対策は、因果応報的な面から考えても良い方法だと言えます。
もともと積立金不足の罠にかかったのはデベロッパーの策略によるものですから、同じ系列の管理会社にその責任を一部負担してもらうことで、管理組合として溜飲を下げることもできるからです。
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