分譲マンションの管理費や弁護士費用などを保証する独自のサービスを行う会社が説明会を行うという記事が掲載されていました。(2月25日付)
この会社のサイトによれば、毎月一定の保証料(管理費収入の3.8%相当額)を管理組合が支払えば、管理費の滞納が生じた場合に保証会社が滞納者の連帯保証人として組合に代位弁済するとともに、滞納者への請求も行います。また、滞納者に対する請求訴訟を提起した場合には、弁護士費用も実質負担してくれるということです。
このようなサービスが登場した背景には、「マンション管理組合特有の事情」があるためと考えられます。
#1 「滞納の督促と回収は、管理会社の仕事」という誤解
多くの管理組合では、「管理費の徴収業務を最後まで管理会社に委託している」と誤って理解しているケースが多いのではないでしょうか。
しかしながら、国土交通省から示されている標準管理委託契約書においても、「滞納期間○か月以内は管理会社が電話や面接での督促を行う」とだけ定められており、それ以降は管理組合の業務として自ら対処しなければならないことになっています。
しかも管理会社が代行する期間は、概ね3~6ヶ月間程度です。最初の1~2ヶ月間は組合員が振込みを失念した等の可能性もありますから、実際に故意の滞納で管理会社が督促する期間はもっと短いことになります。
もっと言うと、多少未収金が増えても管理会社自体は別に困らないので、頑張って督促しようとしないという残念なケースも少なくありません。
#2 管理組合の運営に無関心なために、後手に回る対応
管理会社に事務管理を委託している場合には出納会計業務もその中に含まれているため、毎月会計報告書が管理会社から理事長宛てに送付されるはずです。
しかし、これに真剣に目を通す理事長はかなりの少数派だろうと思われます。
気づいた時には6ヶ月以上の滞納となり、組合として法的措置を取ろうにも総会開催して決議しないと不可能な建付けになっているために、さらに対応が遅れて問題が深刻化するというわけです。
国交省が指針として出している最新版の標準管理規約では、理事会決議を経れば、理事長が組合の代表者として滞納管理費の請求のための法的措置をとることができるようになっています。機動的な対応をするためにも、現状の管理規約を見直して改正しておくことをお奨めします。
#3 滞納の実態に気付けない、乏しい会計知識
年1回開催される定期総会で、1年間の会計報告として損益計算書と貸借対照表が作成されます。多くの管理組合では、収益と費用の計上方式として「発生主義」を採用しています。
発生主義とは、未収金(滞納など)の有無にかかわらずその期に入るべきであった収
入の金額を計上する方法で、実際に入金のあった収入と過年度の未収金の回収金額を計上する「現金主義」と異なります。
発生主義にもとづく損益計算書(P/L表)の場合、たとえば管理費等の滞納が多額に発生していても、これらは一旦収益として発生しているものとして全額計上されてしまいます。
その代わりに、貸借対照表(バランスシート)の資産の部で「未収金」として期末の残高が計上されます。
ところが、会計・簿記の知識が乏しい場合には、損益計算書が「現金主義」によろものと解釈し、「収支決算が黒字なので問題ない」と誤解してしまうのです。
このように、滞納問題に対するチェックや、督促行為を含む監視が甘いと、滞納者もそれで許されるものと甘えが先行するので、滞納の多額化・長期化につながるリスクが上昇します。
管理組合としては、正しく滞納の問題を認識するとともに、特に管理会社が初期の督促対応を怠らないようにマネジメントすることがまず大切です。
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