マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

「欠陥マンション」の責任、誰に問う?

 

2003年に販売した横浜市西区の11階建てマンションで、建物を支える杭が規定に反して強固な地盤に到達しておらず、建物が傾いていることがわかりました。

 
分譲業者は、住民向けに仮住居を無償で用意するとともに、今後修繕や建て替え、買い取りなどあらゆる手段を検討すると説明しているようです。

 
さて、あまり考えたくない話ですが、不運なことに、あなたのマンションにもこのような欠陥が見つかったら、誰に責任を問いますか?


 
デベロッパーのような売主がいる場合には、購入者は売主にのみ瑕疵担保責任を問うことができる、という考え方が支配的でした。

 
つまり、たとえ設計や施工上のミスが原因だと判明しても、設計者や施工業者は購入者と直接の契約関係にないため責任を問えない、というわけです。

 
ところが、こうした「従来の常識」を覆す画期的な判例があります。

・事件番号:平成17(受)702
・損害賠償請求事件
・判決年月日:平成19年07月06日
・法廷名:最高裁判所第二小法廷

 
判決の要旨はこうです。

1.建物はそこに住む者、働く者、訪問する者、 隣人、通行人の生命、身体又は財産を危険 にさらすことのないような安全性を備えていなければならない。

 
2.建物の建築に関わる設計者、工事監理者、施工者は、契約関係にない者に対してもその建物の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を有する

 
3.建物の基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合は、違法性が強度であるかを問わず、不法行為責任が成立する。

 
4.基本的な安全性を損なう瑕疵とは、生命や身体を危険にさらすようなものをいい、建物の基礎や建物の構造に瑕疵がある場合に限らない

 
5.不法行為責任である以上、直接の契約関係にない者でも、設計者や施工者に対して損害賠償請求ができる。

 
要するに・・・、

建物の基本的な安全性を損なう欠陥が見つかった場合には、その危険度の如何を問わず、「不法行為責任」が成立する。


 
そのため、被害者との契約関係の有無を問わず、注意義務を怠った設計者、監理者、施工業者にも損害賠償責任を問うことができる
ということです。


 
ちなみに、不法行為責任の消滅時効は、行為の時から20年です。(※損害を知った時からは3年)。

 
分譲マンションの場合、「アフターサービスは最大10年間」が一般的ですが、この不法行為責任についても、覚えておかれるとよいでしょう。

 

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