マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

管理組合の役員を守る新しい保険商品が登場!

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日新火災海上保険が、本年10月から「マンション管理組合役員賠償責任補償」サービスの販売を開始しました。

 

この補償サービスは「特約」として、共用部の火災や破汚損等の事故などに備えて付保するマンション総合保険(マンションドクター火災保険)に任意で追加して契約できるようです。

この補償の目的とは、管理組合の理事長等が「想定外の経済的損失」を被った場合のリスクに備えた保険なのだとか・・。ちょっとピンときませんねぇ。

同社がリリースした文書では、次のように説明しています。

■ マンションの管理組合役員は1~2年交代で就任することが多く、必ずしもマンション管理の実務に明るいわけではない。

 

■ そのため、誤って居住者の個人情報を外部に開示してトラブルに発展する、あるいは共用部分の修繕費用が「適正な支出額を超えている」として居住者から損害賠償請求をされる・・などのリスクがある。

 

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■ 補償の対象となる「経済的損失」として、以下のものを想定しています。

 (1) 法律上の損害賠償金

 (2) 告発された際の弁護士費用

 (3) 情報漏えい対応費等の補償

 

ただ、やはりリリース文書のレベルではこのサービスの「効能」がよく分からないので、同社の商品開発責任者に少し質問をしてみました

 

その内容は下記の通り。

 

【質問 ①】 

 この補償特約に関する保険料はいかほどでしょうか。

 また、保険会社としてマンションごとにリスクを評価するのでしょうか?

 

<回答> 

 管理組合の運営の良し悪しにかかわらず、住戸数に応じて一律に設定しています。

 年間1〜2万円程度の負担です。

 

【質問 ②】

 「そもそも、管理組合役員の善管注意義務違反等で損害賠償請求にまで及ぶようなケースが事例としてあるのですか?」

 

<回答>

 「これまでの判例を見る限り、訴訟にまで発展したケースは組合員同士の感情的な対立が背景になっているのがほとんどです。

 

 しかも実際には、訴えられた役員が敗訴した事例はほとんどありません。

 

 ただ、理由はともかく告発された場合には弁護士に相談せざるを得ないため、経済的な負担を強いられることになります。

 

 この補償特約があれば、保険金を請求できるので安心いただけるでしょう。」

 

【質問 ③】

 「この補償の金額はいくらでしょうか?」

 

<回答>

 「最大500万円です。」

 

なるほど、ヒヤリングのお蔭でだいぶ理解が進みました!

 

保険料の負担も気にならないレベルだし、管理組合として検討に値する商品だと思います。

 

【参考記事】

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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マンションの「規模」はどれくらいがおススメなのか?

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数あるマンションから自分の住まいを選ぶ場合に、何を条件に考えますか?

大まかなエリア、部屋のサイズ、購入金額、日照条件、通勤や通学等の利便性はもちろん考慮すると思います。

でも、マンション自体の規模についてはあまり考えないのではないでしょうか

一口にマンションと言っても、最近では1千戸級のマンモスサイズもあれば、10~20戸程度のコーポラティブ・ハウスまで、その規模は千差万別です。

特に大規模なマンションは、その街のランドマークになることも多く、販売時に人気を博すことも多いようです。

でも、いざ入居してみると、以下に掲げるように大きいからこそのメリットが一転してデメリットに感じることもあるので注意が必要です。


#1  充実した共用施設

最近では、共用部分に居住者やその関係者限定で安価に利用できるゲストルームやラウンジ、保育所やスポーツジム、あるいはスパなどを装備しているマンションも増えてきました。


中には、観賞用の水槽や噴水施設まで装備している物件もありますね。

しかし、これらを運営していくには必ずコストがかかります。

水光熱費等はもちろんですが、最も大きいのはそこに「人」が介在するということ。

管理人やコンシェルジュ、清掃員などの人件費の負担が毎月支払う管理費に大きくのしかかってくることを頭に入れておく必要があります。

また、これらの施設が将来陳腐化・老朽化してくれば、修繕やリニューアルのための費用も別途必要になります。

これらの費用は、管理費とは別に徴収される修繕積立金で賄うことになります

でも、購入時の金額は故意に低く設定されていますので、長期修繕計画で将来どの程度増額される見通しになっているのか確認しておいた方がいいでしょう。

#2 多彩な住戸タイプ

そのスケールメリットを利用して、1LDKから4LDKまでの豊富な住戸バリエーションをアピールする物件も多いですね。

でも、入居して管理組合を運営する立場になると、それも良しあしです。

というのも、住戸タイプや販売価格が多彩になるほど、入居者の家族構成、所得水準、ライフスタイルも大きく異なってくるからです。

そうなると管理組合としてさまざまなルールを定めたり、決め事をしなくてはならないときに、役員同士の意見のすれ違いが生まれやすく、まとめづらいことがあります。

また、大規模マンションになると顔見知りになれる人がごく一部に限られ、居住者の匿名性が増すため、組合活動や役員の就任に非協力的になりがちという傾向も見られます。

 

#3  住民同士が交流できるコミュニティの場 

300戸以上のマンモス・マンションになると、ひと声1,000人の住民がコミュニティを形成することになります。

そうなると既存の町会などとは別に、マンション内で完結する自治会組織を作るケースが多いです。

管理組合の活動に加えて、防災・防犯のためのルール作りから、住民同士の交流を促すイベントの開催などの企画・運営を任されるなんてことも十分ありえます。

 

こうした活動を好むかどうかは個人差が大きいところですが、消極的なタイプの方には大規模マンションは向いてないかもしれません。

このように、入居した後のマンションの運営面から考えると、

● 住戸数は、50戸から100戸程度

● 各住戸のサイズに、あまり大きな差がないこと

● 階数は10階前後以下

以上3つがマンションの適正サイズとしてお薦めできる条件だと思います。

 

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あなたの資産を守る!  マンション管理見直しの極意

あなたの資産を守る! マンション管理見直しの極意

 

「電力料金」よりも「管理委託費」の見直しをお勧めするワケ

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 今年4月から電力が自由化されましたが、皆さんは電力会社を変えましたか?

ちなみに、私は「No」です。

 

自由化してから半年を経過した時点で集計した結果、切替えた世帯の割合は全国平均でなんと3%にも満たない

 

むしろ、実行した人の方が奇特なくらいの数字です。

 

あれだけの「鳴り物入り」だったにもかかわらず、とんだ肩透かしですね。

 

これほどまでに電力会社の変更が進まない理由とはなんでしょうか?

 

たとえば、

・新規参入企業が多いうえ、他のサービスと組み合わせたプランも様々で比較しづらい

・制度の理解が進んでいないため、ユーザー側の不安とリスクが拭えない

といった点が指摘されています。

 

しかし、最大の理由はきわめて単純で、

さほど電気代が下がらないから」ということに尽きます。

 

多くの会社が既存の電力会社よりも安い金額を設定していますが、各社ともせいぜい5%前後安くなる程度です。

 

毎月の電気代が1万円としても、たった500円しか安くなりません。

この程度では、切り替えるほどのモチベーションに繋がらないことは容易に想像できます。

 

電力会社の切替えが当たり前になるには、少なくとも料金が10%ダウンの大台に乗ることが必要条件だと思います。

 

しかし、切替えが進まないとは言え、電力自由化への関心に比べると、

マンション管理への関心度は比較にならないほど低いと言えます。

 

でも実は、見直しによる経済効果は、圧倒的にマンション管理の方が大きいのです

 

昨年からコンサルティングしている管理組合(神奈川県・90世帯)では、管理委託費を見直した結果、年間535万円のコスト削減ができました。

 

1世帯あたりに換算すると、年間約6万円の経済効果

これは、各区分所有者が毎月5千円も得することになったことを意味しています。

 

つまり、

毎月1万円の電気料金が半額に下がるのと同じことです。

電力見直し(月▲500円)の10倍のインパクトにもなります。

 

しかも、これまでの経験から、そのマンションの規模等にかかわらず、管理を見直すことで1世帯(住戸)あたり年間5〜7万円は費用負担を下げることは十分可能だと考えています。

 

「ホンマかいな〜?」と思われたら、当社のサイトページにアクセスしてみてください。

 

実例として、それぞれ抱える事情や見直しの手法が異なる4件のマンションを紹介していますので。

 

 <事例紹介>

yonaoshi-honpo.co.jp

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2本の記事がスーモジャーナルに掲載されました!

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スーモジャーナルに記事が2本掲載されましたので、本ブログでもご紹介します。

 

まずは、マンション管理組合における町内会の加入と町会費の徴収問題について。

 

私の顧問先でも、竣工以来17年間管理費とともに町会費が自動的に引き落とされていることに疑問の声が上がった管理組合があります。

 

町内会(自治会)への参加はしないよりした方がいいとは思うものの、加入の段階で本人がしっかりと意思決定した認識がないこと、実際には町内会から恩恵を受けている実感がないこと、町内会の活動が見えないなどが背景にあるようです。

 

管理組合との違いは、以下のように大きく2つあります。

■ 町内会は個人の任意で参加するかどうかを決められる。

 (※管理組合への加入は、区分所有者の義務です。)

■ 町内会は地域内の居住者であれば参加資格があり、賃借人等も参加できる。

 

こうした点についてきちんと認識がなされないまま、加入手続きと会費の徴収だけが先行してしまっていることにも問題があると思います。

 

 <掲載記事①>

suumo.jp

2本目は、

マンションの管理品質によって保険料の割引きが受けられる損害保険のご紹介です。

 

現状では、人間の生命保険と同様に、高経年のマンションほど保険料が高額にのぼる傾向がはっきりと見られるため、場合によっては管理費の増額リスクにも直面するケースも出ています。

 

ただ、漏水等の事故が起きる真の原因は「築年数」ではなく、「メンテナンス実施の有無」にあります

 

こうした原因分析を踏まえて、日常の保守点検やしかるべき修繕を確実に実施していれば事故発生のリスクは小さいはず、という考えにもとづいて開発されたのが「マンションドクター火災保険」です。

 

この保険の最大の特徴は、マンション管理士が事前に管理組合の運営状況や保守点検・計画修繕の実施状況等をヒヤリングしてリスクを評価するという点にあります。

 

そして、上記の診断結果に応じて、保険会社が割引き率を勘案して見積りを提示するのです。

 

こうした仕組みを提供しているのは、マンションドクター火災保険だけです。

 

この診断サービスは「無料」のうえ、管理組合としても第三者の評価が受けられる貴重な機会になりますから、ぜひ一度お試しのほどを・・。

 

<掲載記事②>

suumo.jp

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

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10月セミナー開催のお知らせ

「10月度 マンション管理セミナー」を開催いたしますので、下記の通りご案内申し上げます。

  

先着10名様のお申し込みを受け付けております。どうぞお早目にご応募ください。

【日時・会場】

平成28年 10月 22日(土) 14:00~16:00

 

LEAGUE 5階 ミーティングスペース(501号室)

東京都中央区銀座3-11-3

東京メトロ「東銀座」駅歩2分 「銀座」駅歩5分 

 

 

 

【参加料金】

 お一人様  5,000円(税込) 

※ ただし、下記のいずれかの条件に該当する方は「無料」とさせていただきます。

初めて弊社セミナーに参加される方

弊社に個別にご相談いただける方

※ご希望の方には、管理組合様宛の領収証を発行いたします。

 

【内 容】

1. 講 演 


1) 管理委託費の3割削減を実現したマンションの事例紹介

弊社のサポートでコスト削減を実現したマンションの事例(3物件)について、見直し実現までのプロセスと経済効果をご紹介します。

 

従前の管理組合の財政事情や管理委託費の査定結果、管理仕様の見直しポイント、管理会社との交渉経過、最終的に妥結した内容までをわかりやすく解説します。

 

3つの事例はそれぞれ見直しの進め方と結果が異なるので、きっとご自身のマンションの見直しの参考になるものと思います。

 

【主な内容】

・セキュリティ費用に、管理会社の多額のマージンが隠れていた事例

・既に管理委託費が3割下がっていたのに、なお割高だった事例

・管理会社との減額交渉が決裂し、リプレイスに踏み切った事例


2) 厄介なイベント「大規模修繕工事」を成功に導く秘訣

大規模修繕工事をどのように実施するかは、資産の保全だけでなく、管理組合の財務管理にとっても大きな影響があります。

それなのに、面倒だからと管理会社に丸投げしてしまってはいけません。

限りある資金を効率的に活用しながら、効果的な修繕を実施するために注意すべき点があります。

【主な内容】
・大規模修繕は、なぜ「12年周期」なのか?
・大規模修繕を正しく進めるための「4つの極意」
・責任施工方式と設計監理方式、どちらがおススメ?
・建設業界の非常識な商慣習とコスト削減を追求するのが危ない理由
・施工品質もチェックしてくれる「大規模工事瑕疵保険」の活用
 
 

【講 師】 村上 智史(弊社代表取締役)

 

2. 個別相談会(※希望者のみ)

貴マンションの管理委託費を簡易診断させていただきます。その他、管理会社の変更や大規模修繕、高圧一括受電、省エネ対策などのご相談も随時承ります。

 

【お申込み方法】

弊社サイトの問合せページから下記の要領でお申し込みください。  

 

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管理委託費の『出精値引き』ってアリなの?

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目下、管理会社と管理委託費に関する減額交渉中の案件があります。

 

こちらの減額要請に対する1次回答では、管理組合側の要望金額との乖離が大きかったため再度要請をしたところ、2回目では踏み込んだ減額の提示がありました。

 

ただ、清掃や設備保守費などの各明細費用に変更はなく、最後に「出精値引き」と称する追加減額の提示が一括でなされていました

 

そこで、「出精値引き分を各業務費に割り振ってもらえないか」と管理会社にお願いしたところ、

「最大限尽力に努めた結果であるため、出精値引きとしか出せないことをご理解下さい。出精値引きの意味をご考慮頂きますようお願い致します。」

という返信がありました。

 

「意味を考えてくれ」とまで言われたので早速調べてみたところ、以下のような複数の説があることが分かりました。

 

#1 「あなたのために頑張って値引きしました」説

 これはまさに「精を出す」=頑張るという語源からの意味でしょうね。

 ただ、「これ以上の値引きはできない」というニュアンスを含んでいるとも・・。

 

#2 「今回に限り値引きました」説

 あくまで今回限りの特別措置で、「次回からは元に戻す」ということも示唆します。

 

#3 「端数を切る・数字を丸める」説

   たとえば、千円未満を値引きしてジャストの金額でまとめてしまうようなケース。

 

#4 値引きの明細を出したくない」説

同業他社との関係から、値引き単価を記載できないようなときに利用する。

 

察するに、管理会社の主張したいのは「#1」の意味なのでしょうね。

ただし、商慣習的には「#2」「#4」もありうるので、そこがひっかかります。

 

また、管理委託契約は1年ごとに更新していくのが通常ですが、

事実上継続的な取引になっており、委託金額も原則変動することはありません。

 

その意味で、単発的な取引で使う「今回限りの特別価格」というニュアンスは馴染まないと思います。

 

また、こちらもプロフェッショナルとして、何の根拠もなく無闇矢鱈に減額をお願いしているわけではありません。

 

管理員、清掃、設備保守、事務管理それぞれの業務について適正な費用水準がどれくらいかを事前にしっかりと査定しています。

 

つまり、各業務費用の価格を適正化することが私たちコンサルタントのミッションなのに、出精値引きではその達成状況がグロスでしか判断できないことになります。

 

そのため、管理会社による値引き努力は多としますが、各業務の費用に減額分を反映するよう再度お願いすることになりました。

 

余談ですが、

出精値引きの意味をネットで調べていると、「建設業界など、いい加減な業界で使われることが多い」との指摘も見られました。

 

管理会社もそういう批判を浴びることがないように対応してくれることを期待します。

 

 

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マンション管理組合には馴染みのない「FBサービス」って何?

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この7月からコンサルをしている築20年のマンションでは、管理会社に対する不信がくすぶっています。

 

発端は、10年ぶりのマンション保険契約の更新でした。

保険の代理店も兼ねている管理会社が、従来どおりメガ損保であるM社とS社の2社だけの見積りしか提示しなかったところ、築年数の増加に伴い保険料の負担が今の10倍に増えることが分かったため、そのまま更新するわけにはいかなくなりました。

 

そこでこの組合から相談を受けた当社が提携先の代理店を紹介し、他社の見積もりをもらったところ、同条件ながら管理会社よりも半額ほど安く収まることになりました。

 

この他にも、管理会社が提示する補修工事の見積金額がどうも高いと思って他の業者からの相見積りを取ったら、なんと10分の1に下がった・・という笑えない話もあったようです。

 

そして、不信の矛先は今度は管理委託契約に向かい、現在管理委託費の見直しに着手したところなのですが、事務管理の内容についてもクレームが持ち上がりました。

 

それは、「管理組合の銀行口座のパスワードを管理会社が管理しているうえに、理事長の承認も得ずに勝手に経費を精算処理している!」というものです。

 

管理組合がその経費を精算する場合、理事長が支払承認 ⇒ 払戻し請求書に理事長印を捺印 ⇒ 管理会社が払戻し請求書を銀行に持参のうえ精算手続き という流れが原則としてあります。

 

しかし、こうした事務手続を効率的に処理するために近年「FBサービス」を採用する管理会社が増えています。(※FBとは、ファーム・バンキングの略称)

 

まず、管理組合の銀行口座を「収納口座」と「保管口座」に分離します。

「収納口座」とは、毎月月末までに組合員から徴収する管理費・修繕積立金等をプールして日常の管理に要する諸費用の支払を行うための口座です。

 

そして、経費精算の後に収納口座に残ったキャッシュをその翌月末までに「保管口座」に移動させます。

 

FBサービスを採用する場合には、次のようなことが管理委託契約で定められています。

◆あらかじめ総会決議で予算として承認された経費(管理委託費、水光熱費など)については、個別の承認を得ずに管理会社が精算の手続きを執行できるものとする。

◆その際、管理会社は「収納口座」から電子決済にもとづき支払うことができ、そのために必要なパスワードも管理会社が保持するものとする。

 

ここで、ひとつ疑問が生じますね。

「なぜ管理会社がパスワードを保持するのが許されるのか?」

 

管理会社にパスワードを渡せば、横領・着服といった不正行為で組合財産が毀損するリスクが生じます。

 

そのため、こうしたリスクへの制度的な対応として、万が一の際の措置として、管理会社は管理費等の1ヶ月分相当額を「マンション管理業協会保証機構」に預託することが義務付けられています。

 

この保証措置によって、FBサービス以外の決済方法でも、たとえば「収納口座」の印鑑あるいはキャッシュカードを管理会社が管理できることになっています。(※もちろん、保管口座についてはこのような管理は一切認められていません。)

 

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したがって、この出納業務に関するクレームに関しては、法的にも問題がないことが分かりました。

 

ただ、この管理組合では、FBサービスの利用へ切替えた際に支払承認の簡素化を含めて十分な説明を受けていなかったために、ほとんど理解されていなかったようです。

 

 

ファーム・バンキングと言っても一般の管理組合の方々にピンと来ないのは無理もないこと。

 

管理会社が事務効率を上げるのは結構ですが、顧客の信頼を損なわないよう丁寧な説明をするようにして欲しいものです。

 

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