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世直し本舗|村上智史の「士魂商才!」 

マンション管理見直し本舗代表のブログ。分譲マンションの管理に潜むリスクを解消し、豊かなマンションライフを実現するための見直し術をご案内します。

一括受電に対する批判記事に異論あり

10月4日付のビジネスジャーナルに、分譲マンションにおける一括受電サービス導入に伴うトラブル事例の紹介と、サービス業者の強引な行動に対する批判に関する記事が掲載されていました。

マンション向け電力ビジネスでトラブル頻出 停電リスクを隠し、「訴訟辞さない」と導入迫る

この記事を要約すると、以下のようになります。
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1) 一括受電の導入によって電気料金低減というメリットがある一方、さまざまなデメリットも指摘されている。

2) 受電設備は、導入時の長時間だけでなく、1~3年に1回の受電設備の点検が義務化されており、その際、停電のリスクが発生する。

 
3)また、サービス業者が仮に倒産した場合、マンション内にその企業が設置した変圧器などの受電設備は差し押さえ対象となる。


4)一括受電導入の可否は、管理組合の総会で決めることになるが、総会決議はあくまでも共用部分にしか法的拘束力がなく、住民の専有部分には法的拘束力はない。


5)サービス業者は契約締結を拒んでいる住民対策を管理組合に指南し、区分所有法上の共同利益に反する行為として訴訟も辞さないと反対者に圧力をかけ合意を迫る行為を行っている。


6)しかし、区分所有法上、共用部分の変更または管理に関する事項が、専有部分の使用に特別の影響を及ぼす時は、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。


したがって、仮に管理組合の総会で高圧一括受電導入が議決されたとしても、それは共用部分にしか適用されず、住民の専有部分には住民の同意が必要であり、訴訟になれば住民が勝訴する可能性が高い。

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この記事について、意見を述べたいと思います。


上記の2)については、「停電リスク」という表現がされていますが、電気事業法上の義務として免れないものである以上、リスクという表現は不適切です。


マンションを含む住居のための受電設備は、「自家用電気工作物」に該当しますが、3年に1回の頻度で1時間程度の停電を伴う点検を実施する必要があります。

このような基本的かつ重要な事項は、サービス業者から事前に説明されているはずです。

これを怠っている業者がいるとは考えにくいと思います。


3)については、あまり現実的なリスクとは思われません。

というのも、各サービス業者の資本関係を見る限り、いずれも信用力の高い大手企業グループの傘下に属していることが明らかだからです。


事業性としても、かなり安定確実なので、よほど無理をしない限り倒産⇒債権者による解体⇒債権回収という悲劇的な事態は考えにくいでしょう。


4)については、一括受電サービスとは専有部分を含めてマンション全体の電力を高圧でまとめて安く購入することを管理組合がサービス業者に許容する代わりに、共用部の管理コストが減るというメリットを享受するわけです。


ただし、受電設備だけでなく、各住戸の検針メーター等を撤去して新たに新設することが必要になるため、居住者全員からも事前に同意書を取り付けることは必要です。

しかし、だからと言って組合総会で承認して機関決定したことが何ら区分所有者に対して拘束力がないというのは言い過ぎでしょう。

反対者が一括受電の導入決議を覆したいのであれば、臨時総会決議を開催して、これを撤回する決議を行うよう努力する義務が伴うと思います。

5)についてはすでに判例があり、一括受電導入にやみくもに反対する区分所有者に対する行為が「共同の利益に反する」として強制競売請求が認められています。

サービス業者の行動自体に問題がないわけでもないのでしょうが、理屈として間違っているわけではありません。

さらに異論があるのは、6)の一括受電サービスの導入が専有部分の使用への「特別の影響」に該当すると主張しているくだりです。

既に述べたように各区分所有者は共用部の電気料金削減を通じて経済的なメリットを享受できる一方で、特段の不利益はありません。

電力会社の受電設備等を撤去してサービス業者のものに切り替えるだけの話であり、過去の判例を見てもこれに該当するとは考えにくいと思います。

分譲マンションという共有財産である以上、管理組合全体の健全かつ円滑な運営のために各区分所有者の自由が一定の制限を受けるのはやむを得ない部分があります。

ただ、管理組合としては、業者任せにせず、事前に住民説明会を開くなど、デメリットを含めて情報をなるべく開示しながら、合意形成に努めることを肝に銘じるべきでしょう。


最後まで読んでいただきまして、有難うございました