昨年からコンサルティングしているマンション(神奈川県・133戸)で、先日通常総会が開催され、竣工以来23年間業務を委託していた管理会社をリプレイス(変更)することが決議されました。
昨年4月に、有償の「管理コスト適正化診断」の依頼を受け、当管理組合の財政状況ならびに管理委託費を含む維持管理費の状況について診断を実施した結果、以下のことが判明し、理事会に説明しました。
(1)管理委託費については割高な費用項目が多数あり、現状比で2割以上の削減余地があること。(なお、契約書記載の管理仕様と実態に複数の齟齬もあることが判明しました)
(2)長期修繕計画には見積もり項目の漏れや修繕費の見込みが甘いなどの問題があり、これを修正すると30年間で5億円弱の資金不足が生じる見通しになり、修繕積立金の大幅増額が避けられないこと。
そのため、割高な管理委託費の適正化を実現すれば、修繕積立金の増額幅を抑制できると説明し、管理コストの適正化を進めるべく、コンサルティング契約を締結し、昨年の夏から本格的な検討を開始しました。
その後、現管理会社と交渉した結果、管理委託費について現状比2割超の回答が得られました。
ただ、管理会社に対して長年の不満が燻っていることや、実際に契約書や長期修繕計画が杜撰な内容であったことを踏まえ、この管理組合にはリプレイスを勧めるべきだと考えました。
そのため、「価格の検証」という大義名分を掲げ、同業他社(3社)からも相見積もりを取得しつつ、各社からプレゼンを受けてもらいました。
その結果、同等以上のコスト削減が可能なだけでなく、現管理会社に対して不満に感じている理事会運営業務の改善も期待できるのではないかと考える役員が次々と現れ、一転リプレイスへと方針が変わっていったのです。
最終的には、現状比で3割超のコスト削減ができる管理会社に変更することになりました。
ただ、現状の日常清掃業務が行き届いてないことに不満が噴出していたことから、新たな契約では管理員をサポートする日常清掃の要員1名を追加投入することにしました。
その結果、現状比で24%弱の減額となり、年間4百万円の費用削減効果で落着しました。
竣工以来、長年付き合ってきた管理会社を変更することになるため、総会開催の2週間前に住民説明会を開催し、リプレイスの決断に至るまでの経過報告と、新たな管理会社による運営体制のプレゼンを実施しました。
20名強の出席者でしたが、質疑応答のやりとりで1時間半ほどかかりました。
管理規約では、もちろんいきなり総会を開催してもよいのですが、
議案書にもとづいて説明する限り、もっぱら事務的な内容に偏りがちです。
これまでの理事会の悩みや検討に時間をかけてきた苦労を含め、なるべく多くの組合員に理解してもらうことで総会でのコンセンサスを得やすくなる効果は十分あったと思います。
<参考記事>