顧問先のマンション(神奈川県所在 築26年目・55戸)では、昨秋からコンサルティングに着手しましたが、その後管理会社との交渉を経て主要コストの管理委託費や電気料金を適正化できる目処が立ったため、今月下旬の通常総会に議案を上程することになりました。
この半年あまりの期間での成果をまとめると以下のようになります。
戸あたり平均に換算すると、ざっと年間47,000円弱の経済効果となります。
特に最も大きな比重を占める管理委託費は、現状と比べて29%のダウンとなりました。
管理業界も、昨今は人件費高騰によるコスト漸増の傾向は否めませんが、まだこんなに大幅なコスト削減ができる物件もあることを証明しました。
ただ、このマンションの場合、単純減額(仕様変更を伴わない時間単価の削減)だけではなく、「管理仕様の変更による適正化」の効果も含まれています。
以下ご紹介しましょう。
(1)管理員業務と日常清掃
現状では、週2日・実質3h/日勤務 で、この規模のマンションとしてはかなり少なめの設定になっていました。
一方で、管理員とは別に日常清掃を別のスタッフで週3日実施していました。
この日常清掃を管理員が兼務するとともに、 週4日・実質4h/日の勤務体制に変更する提案をしたところ、現状とほぼ変わらない金額で賄えることになりました。
(2)給排水設備点検
現状では、 年1回の頻度でポンプ点検のみならず、雨水排水桝およびトラップ枡の清掃を実施しています。
過去に排水桝が溢れた事故が発生したためのようですが、年1回定期で行う必要性は小さいため、必要に応じて数年に一度スポットで実施することにしました。
(3)エレベーター設備点検
毎月(年12回)点検していますが、遠隔監視機能が標準装備されてため、有人点検は年4回に調整しました。
(4)外部枡調査
年1回の排水管の高圧洗浄の際に、外部の排水枡をファイバースコープで調査する仕様になっていましたが、こちらも必要に応じて数年に一度スポットで実施すればよいと判断し、定期業務から除外しました。
(5)建物設備点検
現状では以下のような仕様になっていました。
・平面駐車場点検業務 :年 1回(駐車設備撤去後に鋼製板で平面化した箇所)
・建物点検業務 :年 6回
・電気設備点検業務 :年12回
電気設備や平面化した駐車場の点検はそもそも行う必要性が小さいのと、建物点検も2ヶ月毎に実施するのは過剰という印象でした。(電気設備を目視で確認しても劣化度合いがわかるものではないので・・・)
そのため、「建物総合点検」として年2回実施することとし、その中に平面駐車場や電気設備の点検も含めることにしました。
(6)機械警備
機械警備の場合、マンションの管理室にある監視盤で受信した各設備や住戸内の異常信号をコントロールセンターでキャッチして、25分以内に現場に駆け付け対応を行うのが一般的です。
ところが、現行では警備員が毎日2回(不定期)現場に巡回点検に訪れることになっていました。
一般の分譲マンションでは極めて稀なので委託契約書を確認して驚きましたが、こちらは理事会と相談した結果、特に必要ないので仕様から削除しました。
こうした管理仕様の見直しについては、一般の管理組合や理事会役員ではメスを入れづらいでしょう。
経験豊富なコンサルタントに相談されることをお勧めします。
<参考記事>