マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

物件所在地や竣工年月が違ってる!?マンション保険契約にご注意を!

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 先日、本年10月以降の保険料一斉値上げ前の保険契約の見直しが書き入れ時であることを本ブログで報告しました。

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

2ヶ月間で10件ばかり取り扱っていると、単なる人的ミスによるのか、関係者の悪意によるものかはっきりと分からないものの、それなりに「問題含みのマンション」に遭遇するものです。

 

そんな事例として、軽いものから重いものまで5つのケースを紹介しましょう。

 

【1】保険証券記載の物件所在地が違う!

保険代理店を通じてマンション管理適正化診断の依頼があり、診断前日に現地へのアクセス方法を確認するため物件住所をネット検索したところ、築30年超のマンションにもかかわらず一向に見当たりません。

 

そのため今度は物件名で検索してみると、同名のマンションが全く別の場所に存在することが分かりました。

 

念のため、中古マンション仲介サイトで確認したところ、その別の場所で間違いがない様子。

 

そのため代理店に確認を依頼したところ、保険証券に記載されている住所がそもそも間違っていることが判明しました。

 

なぜそのような「珍事」が発生したのでしょうか?

 

その理由は、

現在の契約を締結した当時の理事長が「同じ区内の別の場所」に居住しており、保険証券の送付場所と物件所在地を混同してしまったためであることが分かりました。

 

ちなみに、管理会社の担当者もまったく気づいていませんでした。

 

診断の日は猛暑だったのですが、事前調査が功を奏して当日冷や汗をかかずに済みました。

 

【2】竣工年月が実際と違う!

マンションの竣工年月が、保険証券と仲介サイトの物件情報では違っていました。

 

保険証券の方が4ヶ月ほど遅い時期になっていましたが、管理会社に確認してみるとどうやら「管理開始日」を誤って登録した模様です。

 

数か月程度の違いなのでよかったですが、もし1年以上の乖離があったら保険料も変わってくるので一大事です。

 

【3】5年契約なのに保険料が年払い!?

マンション保険の契約期間には、短期(1年契約)と長期(5年契約)があります。

 

管理組合の場合、たいていの場合は長期の契約を選択しているはずです。

 

と言うのも、長期契約のうえで保険料を一時払いすることで保険料の割引きが受けられるからです。ディスカウント率は、およそ15%。決して小さくありませんね。

 

ところがコンサル先のマンションでは「年払い」、つまり毎年1年分の保険料だけ支払う方法を選択していました。

 

厚切り何とかじゃないですが、まさに「ホヮ~イ?管理組合ピープル!!」です。

 

みすみす割引きを受けられるチャンスを逃しているのです。

 

代理店を兼ねている管理会社に経緯を確認した方がよさそうです。

 

【4】建物評価額が低すぎるために「一部保険」状態!

あるマンションでは、保険証券に下記のような記載になっていました。

■ 建物評価額(再取得価額):3 億円

■ 保険金額        :3 億円

 

建物評価額=保険金額なのがなぜ問題なのか?と思われるかもしれません。

 

この保険が問題なのはそこではなくて、「建物評価額の水準」です。

 

各損害保険会社は、保険引受条件を算定するにあたって建物評価額の算定方法を下記のように定めています。

 

建築費単価 × 延床面積 × 共用割合(50~60%) × 調整率(70%~130%)

 

この方法に則って当該マンションの評価額を計算すると、最低5億円以上に設定しなければならないことがわかりました

 

しかしながら、現状の建物評価額は3億円強しかないため、「一部保険状態」と判断され、支払い保険金が減額されるリスクがあります

 

建物評価額を過少に設定しているため、現状の保険料は「割安」になっていますが、「安かろう悪かろう」状態のため、適正な評価額に修正することをお勧めする予定です。

 

【5】保険金額が高すぎる!

都内のあるタワーマンションの保険契約を見直してみたところ、現状は以下のように設定されていました。

■ 建物評価額:180億円 

■ 保険金額 :124億円

 

しかし、この評価額、今の保険会社でわざわざ調整率の上限(30%増し)を採用していることが分かりました。

 

この場合、もし調整率の下限(30%減)を採用していれば、評価額は130億円程度になります。

 

つまり、建物評価額130億円に対して、保険金を124億円も掛けているマンションと言えるわけです

 

鉄筋コンクリート造のマンションの場合、耐火構造のため火災で全焼と言うことはまず考えられません。

 

もちろん、9.11のようなテロに遭遇することが全くないとは言い切れませんが、蓋然性はかなり低いと言えるでしょう。

 

したがって、建物評価額に対して30%~60%相当の保険金を掛けることが多いとされています。それに比べると現状の保険金はどう考えても過剰と言わざるを得ません。

 

建物評価額、保険金とも高い設定にすればするほど、保険料の負担も上昇するので代理店も保険会社も余計に儲かります。

 

管理組合側が主体的に設定した経緯がない限り、本件の建物評価額の設定および保険金の水準の決め方には、現在の保険代理店の「思惑」が影響しているのではないでしょうか。 

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

  

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