知人が所有する都内のワンルーム・マンションで、あるトラブルが発生しました。
マンションの分譲販売といえば、一般的に新築物件を想像するでしょうが、中には中古物件をデベロッパーが賃貸マンション一棟を取得したうえで区分所有権として販売するということも、たまに見られます。
このマンションがまさにそのケースで、竣工時から約6年間賃貸マンションとして運用されていたのですが、それをデベロッパーが中古物件として一棟を取得して、築7年目に一般分譲した物件でした。
しかし、販売後2年が経過した時点で、販売時にデベロッパーが作成した長期修繕計画に大きなミスがあることが発覚したのです。
一般的な長期修繕計画では、築12年目から12年周期で大規模修繕工事の実施を予定することが多いのですが、そのマンションは築7年目の中古分譲なのにもかかわらず、分譲販売後12年目、つまり築19年目に第1回目の大規模修繕が予定されているのでおかしいと気づいたのです。
1回目のタイミングとしては、築15年目までに予定しておくことが望ましいと考えられるため、これではやや遅すぎるというわけです。
しかし、それよりもっと深刻なのは、
長計と表裏一体の関係にある、修繕積立金の問題です。
本来、分譲時(築7年目)から30年間の長期修繕計画では築12年目(分譲後5年目)、築24年目(分譲後17年目)、築36年目(分譲後29年目)の計3回の大規模修繕が予定されるべきところ、竣工年=分譲時だと錯覚したために第2回目までの分しか修繕費用を見込んでいませんでした。
長期修繕計画作成の目的は、修繕見込み額にもとづいて将来的に確保すべき修繕積立金の金額を積算することにあるため、このミスによって必要な積立金の額が過少に見込まれたことになります。
言い換えれば、
区分所有者は購入時に想定していたよりも大幅に修繕積立金の負担が増えてしまうことになるわけです。
この長期修繕計画の作成上の瑕疵については、売主がその責任を認めたうえで、売主の負担で竣工時から分譲販売時点までの期間にかかる修繕積立金を管理組合に補てんする提案がなされ、その後管理組合の総会でも承認されたようです。
長期修繕計画を真剣にチェックする方は極めて少ないと思いますが、世の中にはこのようなトラブルも起こっていることを知っていただき、ご注意いただきたいと思います。
<参考記事>
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