都市部のマンションでは、駐車場の空き区画が確実に増えています。
かつて新築時には、駐車区画の抽選結果に住人が一喜一憂する光景が珍しくなかったことを考えると隔世の感がありますね。
いまや中古マンションの販売チラシを見ても、「駐車場:空きあり」の記載も珍しくありません。
中には、マンション全戸分の駐車場を確保するために3段式のパレットを導入したにもかかわらず、今や全体の4割も空いているところもあります。
実際に決算書を見ると、駐車料収入を加えて何とかに支出を賄っている管理組合も多く、稼働率の低下によって赤字に転落してしまうケースも見られます。
まずは、利用ニーズを喚起すべく、利用料を引き下げる、利用資格を緩和する、2台目以上の駐車も許容する、さらには外部への貸出しといった対策が考えられます。
ただし、外部に貸す場合には、どのように客付けするのか、仲介業者に頼むか、サブリース業者に一括して賃貸するのかといった課題が出てきます。(サブリースの場合は市価の半額程度の値付けになるのが普通です。)
さらに、敷地内に外部の人間が出入りすることに対するセキュリティー面の問題も浮上します。また、外部から収入を得ると、管理組合でも「みなし法人課税」の対象になるため税務申告が必要になります。
これらの手を打っても稼働率の改善が難しい場合は、いよいよ「荒療治」の選択も考えざるを得ません。
それは、過剰となった駐車場設備の撤去です。
その代表的な方法の一つが、いわゆる「石棺化」
つまり、ピット部分をアスファルトもしくはコンクリートで埋め戻してしまい、平面化してしまうのです。
ただし、マンションのピロティや地下などで施工する場合は、荷重の増大によって建物の構造に悪影響が出るため採用できない場合がありますから要注意です。
こうしたケースに対応する代替案として、「鋼製床による平面化工事」があります。
具体的には、駐車設備を撤去したうえで、ピット内に根太や梁を打ち込み、最後にスチール製の床材を敷込みます。(写真参照)
平面化工事を行うメリットは、大きく3つあります。
1)設備を撤去するため、保守点検費が不要になる
2)将来の設備更新費が不要になる
3)車両のサイズや高さの制限がなくなり、使い勝手も向上する
デメリットは、もちろん設備の撤去と鋼製床設置工事にかかる費用をねん出しなければならないことです。
上記のメリットとデメリットを比較衡量したうえで意思決定するわけです。
大手の駐車場保守業者にヒヤリングしたところ、この工事の要望が昨今著しく増えており、いまや主力ビジネスに発展しそうな勢いなのだとか・・。
高齢化や人口減少で「右肩下がり」の時代に入った今、いつまでも無関心の姿勢では自分の大切な資産は守れません。
マンション管理組合の運営も、「経営的な視点での改革」が求められているのです。
【参考記事】
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