マンション管理士|村上智史の「士魂商才」 

無関心な居住者が多いマンション管理組合に潜む様々な「リスク」を解消し、豊かなマンションライフを実現するための「見直し術」をマンション管理士:村上智史(株式会社マンション管理見直し本舗 代表)がご紹介します。

法人でないマンション管理組合が課税申告を求められるのはなぜか?

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3月19日付の産経ニュースで、「マンション管理組合を税務署が「申告漏れ」で狙い撃ち」という記事が掲載されていました。

 

この記事を要約すると、

◆管理組合が、携帯電話の基地局設置や駐車場の外部貸しなどで得た収入に対して課税当局から申告漏れを指摘される事例が増えている。

 

◆申告漏れとなる主な要因は、「管理組合の認識不足」である。つまり、組合員から徴収する管理費や駐車場使用料などの収益に対して課税されないことから、そもそも管理組合は申告の必要がないものと誤解してしまうことが多い。

 

◆しかし、携帯キャリア会社をはじめ、「管理組合外の者」が共用部の施設等を使用することで管理組合が収益を継続的に得るような場合には、それは「営利事業」としてみなされ、法人化していない管理組合であろうとも法人税が課される。

 

◆この他に営利事業として見なされるものとして、広告看板の設置、自販機、太陽光発電などによる売電事業などが該当する。

 

◆無申告のままやり過ごしていた事業に対して申告漏れが指摘された場合には、過去5年間に遡って加算税(5~20%)が課されるリスクもあるので注意が必要。

 

 つまり、管理組合が通常法人税の課税対象とならないのは、

管理組合が法人成りしていないという外形的な理由にあるわけではなく、

組合の外部から継続的に収益を上げていないという運営実態があるからに過ぎない

ということです。

 

昨今、駐車場の空きが増えている管理組合も少なくありませんが、内部の居住者が利用しないからと言って空き区画を外部の人間に月極め契約で貸し出した場合には、それが「収益事業」と認定され課税対象になってしまいます。

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なお、駐車場の場合、たとえ区画の一部を外部貸しにした場合でも、貸付に際して一定の条件をクリアしない限り、駐車場全体が「収益事業」と認定されるおそれがあるので注意が必要です。

 

駐車場全体が収益事業と見なされないための「条件」とは、具体的には以下の2つを同時に満たさないといけません。

  1. 区分所有者の使用希望がない場合に限り、外部貸しを行うこと。        
  2. 区分所有者から駐車場の使用希望があった場合には、一定の期間(例えば3か月)以内にその区画を明け渡すことをあらかじめ契約に定め、区分所有者の利用を優先すること。

 

<参考ページ>

マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について(照会)|法人税|国税庁

 

こうしたリスクを考えると、マンション管理組合の運営は、PTAや自治会活動とは違って専門的な知識が必要であることがわかりますね。

 

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