このブログでも先日取り上げましたが、2/12付けの朝日新聞に「タワマン節税に国税庁が待った 高層階に課税強化検討」という記事が掲載されていました。
<過去記事> yonaoshi-honpo.hatenablog.com
タワーマンションの特に高層階住戸を購入した場合、その時価に対して相続税課税上の評価が3割程度になるケースがあり、その結果、時価との差額分について課税額を減らせる効果が大きいことから、課税上の不公平が生じているというわけです。
たとえば、被相続人である親御さんが2億円のマンションを購入する際、その半額の1億円をローンで借りるとしましょう。
そして、そのマンションの相続税上の評価が仮に6千万円(時価の3割)だとすれば、どうなるか?
相続資産としては、マンションの評価額(6千万円)がある一方、借入金(1億円)は「負の資産」として控除対象になりますから、差引き「マイナス4千万円」というわけです。
マンションを買わなければ、1億円が課税の対象になっていたのが、この方法を利用することで逆に「マイナス4千万円」なるので、差引き1億4千万円の評価減の効果が瞬間的に得られます。
この新聞記事によれば、
「国税庁や、マンションの財産評価に関係する総務省は、物件の実勢価格に合わせて例えば20階は1階より1割増し、30階は2割増しという形で評価額が上がるよう補正する案などを検討している」とのことです。
しかし、「相続税対策のための不動産投資」は、何も今に始まったことではありません。
まず、土地は時価よりも2割ほど安い「路線価」ベースの評価になります。さらに、その土地にアパートを建てると、「貸し家建付地」として更地よりも2割評価を下げることができます。
したがって、1億円の現金を、土地を買ってそれをアパート用地にするだけで6掛けの評価(6千万円)に下がるわけです。
さらにそこに建物(アパート)を借入金で建てた場合、建物も「固定資産税評価額」として時価のおよそ7掛けになります。その建設に必要な資金が1億円だとすると、全額ローンで調達するとアパートの評価額(7千万円)から負債(1億円)を控除できるので、建設時点で野建物全体の評価は「マイナス3千万円」になります。
最初に現金1億円の資産を持っていても、それで土地を購入し、アパートも建てたらその相続税評価額は、土地(6千万円)+建物(▲3千万円)=3千万円にできるわけです。
つまり、最初の状態から見れば、評価は7割引き、時価の3掛け評価になります。
もっとも、土地を購入してアパートを建てるよりもマンションを買うほうが手間はかなり省けますが・・・。
ただ、こうした手法は、現在でも極めてオーソドックスな相続税対策の手法であり、国税庁にも認定されているものです。(※あまりにも駆け込み的だと否認されるリスクはあります。)
結局のところ、言いたいことは
たとえ今後タワマンによる相続税対策の効果が薄れても、資産家たちが選べる「抜け道」は他にもありますよ、ということです。
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